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2024年5月 9日 (木曜日)

第一期のピークの音『SUN SUN』

カシオペアは、結成時からリーダー兼ギタリストの野呂が書くオリジナル曲を中心に演奏してきた。バンドの方針なんで、良いも悪いも無いのだが、長年、その音楽性を継続してくると、演奏側からすると「慣れ」、聴く方からすると「マンネリ感」が芽生えてくる。カシオペアとて例外では無かった様である。

CASIOPEA『SUN SUN』(写真左)。1986年6月8日 - 6月29日、NYでの録音。1986年9月のリリース。ちなみにパーソネルは、ちなみにパーソネルは、野呂一生 (el-g), 向谷実 (key), 櫻井哲夫 (b), 神保彰 (ds)、 第一期カシオペア、伝説の4人。結成10周年記念アルバム。共同プロデューサーにカルロス・アロマーを迎えて、NYでの録音。

NY録音ということで、現地のスタジオ・ミュージシャンが多数、ゲスト・ミュージシャンとして参加している。主だったところとして、「サムシング・ロング」のリード・ボーカルで、ジョン・ウェイト(ベイビーズ、バッド・イングリッシュのボーカル担当)、「サン」のリード・ボーカルで、フランク・シムズがゲスト参加している。他のゲスト・ミュージシャンは知らない名前ばかり。

当時流行のサウンド採り入れた意欲作、という巷の評価ではあるが、良くも悪くも、明らかにアメリカナイズされたフュージョン・ジャズの音になっている。アメリカナイズと言っても、NY録音なので、東海岸系のフュージョン・ジャズの音志向である。NYらしいダンスビートを積極採用し、ドラムには深いデジタルリバーブが掛けられている。ん〜、時代を感じるなあ。
 

Casiopeasun-sun

 
特に、ボーカル入りの曲などは、フュージョン・ブームの最後の頃の、AORなのか、ソフト&メロウなブラコンなのか、良く判らないボーカル・チューンの音の傾向を踏襲していて、明らかに雰囲気が古くて、今の耳には「懐メロ」にしか聴こえない。バックでのカシオペアの演奏はカシオペアらしさを保っているが、もともとボーカルのバックに向く音志向では無いので、やっぱり、カシオペアのボーカル入りの曲はあまり好きじゃない。

インスト・バージョンは、アメリカナイズされているとは言え、演奏のそこかしこにカシオペアらしさが散りばめられているので、聴いていて飽きが来ない。さすがはカシオペアで、バンド・サウンドのクオリティはしっかりと維持している。が、野呂中心のソング・ライティングが、そろそろ「慣れ」と「マンネリ」になりかけている傾向が見え隠れしている。

結成10周年記念アルバムとして、せっかくのNY録音だった訳だが、共同プロデューサーにカルロス・アロマーを迎え、当時流行のサウンド採り入れたという割には、それまでのカシオペア・サウンドに新しい音志向と魅力を加えることが出来たのか、といえば、ちょっと首を傾げざるを得ない。

断っておくが、カシオペアの演奏、サウンドは、ほぼ成熟していて、きっちりと当時の水準を保った、充実した演奏内容である。ただ、バンド・サウンドとして、新しい何かが付加されていない、という点が気がかりだ、ということ。

この盤を聴いた当時、次にカシオペアはどこに行くのだろう、と不安になったことを覚えている。そんな気持ちを抱えながら、この『SUN SUN』を聴いていた1986年である。
 
 

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