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2024年5月 4日 (土曜日)

Azymuth『Light As A Feather』

ブラジリアン・フュージョンの雄、未だに愛され続ける人気グループ「アジムス」。現代においても、レアグルーヴ、サイケ、ヒップホップなど様々なシーンからリスペクトされている唯一無二の音世界。ソフト&メロウなフレーズに、スペーシーな音の広がりとサイケデリックなブレイクダウン、ライトなファンクネスを忍ばせつつ、しなやかでソリッドにうねるようなグルーヴは独特の個性。

Azymuth『Light As A Feather』(写真左)。1979年の作品。ちなみにパーソネルは、José Roberto Bertrami (key, syn, vo,perc), Alex Malheiros (b, g, vo), Ivan Conti (Mamão) (ds, syn), Aleuda (perc)。オリジナル・メンバーのトリオ+パーカッションの編成。アジムスがワールド・ワイド契約締結の下、米国音楽シーンに進出した記念すべきアルバムである。

爽快感、軽快感溢れる、ブラジリアンな8ビートのグルーヴ感が独特の感覚。このグルーヴ感が「アジムス」の独特の個性だった訳だが、米国進出に向けて、ブラジリアンな雰囲気を少し後退させて、当時流行の米国フュージョン・ジャズの味付け「ソフト&メロウ」な面を明快に前面に押し出している。かつ、シンセサイザーを活かしたギミックなビート音を含め、リズム&ビートもしっかりとメリハリを付けている印象。
 

Azymuthlight-as-a-feather
 

それでも、アジムスの基本的な音世界はしっかりとキープされていて、ソフト&メロウなフュージョン・ジャズ独特の音作りのバックで、スペーシーな音の広がり、ライトなファンクネスを忍ばせつつ、しなやかでソリッドにうねるようなグルーヴを醸し出した音世界は「アジムスの独壇場」である。シンセのギミックな使い方は明らかに米国向け仕様。どこか懐かしい響きが愛おしい(笑)。

どの曲もオールドなフュージョン・ジャズ者の我々にとっては印象的なものばかりだが、やはり、まずは4曲目の「Fly Over The Horizon = Vôo Sobre O Horizonte」だろう。1977年の作品の、Azymuth『Aguia Não Come Mosca』に収録されていたものの米国向け再録音版なのだが、これが一番印象的。なぜなら、当時のNHKのクロスオーバーイレブンのオープニングで流れていた「あの曲」なのだ。どっぷりと懐かしさに浸れる名曲・名演である。

6曲目の「Jazz Carnival」は、ワールドワイドなヒットとなったディスコ・フュージョン曲。これもまた懐かしい。この辺りは「ブラジリアン・ジャズ・ファンク」の名盤としても評価できる切り口だろう。

懐かしさが先行する Azymuth『Light As A Feather』だが、今の耳にもしっかりと訴求する、聴き直して新しい音の発見もあるフュージョン・ジャズの名盤。これだけ、筋が一本通った、意外と硬派な音作りのフュージョン・ジャズはそうそう無い。フュージョン・ジャズを語る上で、避けて通れない名盤として僕は評価している。
 
 

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コメント

アジムス、クロスオーバーイレブン。この二つにハマったとなるとだいたい世代が予測可能かもしれない。クロスオーバーイレブンのオープニング、エンディングを飾る2曲を耳にして情報入手が難儀だった当時に地元の小さなレコード屋でマスターになんて曲?って聞いて、おっ、なかなかいいセンスね、なんてちょっと誉められて鼻を高くした少年時代。耳馴染みのいいブラジルナンバーは異国情緒も相まって何かそそられてはいたものの、ここら辺りからブラジル音楽の視野が本格的に広がりだしたのも事実。そんな想い出の詰まったアジムスのアルバム。実は『Light As A Feather』は後に知った。クロスオーバーイレブンで流れていたのは邦題涼風というど真ん中に鷲?が描かれたやつ。これをアナログディスクで当時苦労して探し入手。いまだに耳にしたくなる。そして変わらず心地いい。何年か前?マルコスヴァリとブルーノート東京でライヴに出演されていた。既にベルトラミ氏は他界されているがやはり感動した。アルバムも数えきれないくらいたくさんリリースされ、長いこと一線で存在できる価値あるグループと思う。

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