フリー・ジャズへの鍛錬の第一歩
アトランティック・レコード時代のジョン・コルトレーン。リーダー作の記事化の最後のアルバムになる。ブログの右下のカテゴリーの欄に、「ジョン・コルトレーン on Atlantic」にてまとめているので、ご興味あれば、ここからブログ記事を参照されたい。
さて、僕はアトランティック・レコード時代のコルトレーンのリーダー作は、どれもが自らの「鍛錬」を最優先にしたリーダー作だと感じている。コルトレーンのアトランティック・レコード時代は「鍛錬」の時代。
John Coltrane and Don Cherry『Avant-Garde』(写真)。1960年6月28日、7月8日の録音。ちなみにパーソネルは、Don Cherry (cor), John Coltrane (ts, ss), Charlie Haden (b, track 1, 3), Percy Heath (b, rrack 2, 4, 5), Ed Blackwell (ds)。
1960年6月28日の録音が、1曲目「Cherryco」と3曲目「The Blessing」。7月8日の録音は、2曲目「Focus On Sanity」、4曲目「The Invisible」、5曲目「Bemsha Swing」。ベーシストだけが、1960年6月28日はチャーリー・ヘイデン、7月8日はパーシー・ヒースと分担している。ピアノレスのカルテット編成。
録音は1960年だが、世に出たのは1966年。ちょうど、コルトレーンのフリー・ジャズへのチャレンジ『Ascension』がリリースされた後くらいか。『Ascension』の内容を確認して、この『Avant-Garde』の売り時と思ったのではなかろうか。
この『Avant-Garde』の内容だが、この盤は、コルトレーンと、初期フリー・ジャズのリーダー格の一人、ドン・チェリーとの共同リーダー作。収録曲5曲中、ドン・チェリー作が1曲、オーネット・コールマン作が3曲、モンク作が1曲。コルトレーン作の曲は無い。僕はこの盤を、コルトレーンの「フリー・ジャズへの鍛錬の第一歩」だと見る。
1曲目のチェリー作「Cherryco」を聴くと、まずテーマを吹くのはチェリー。アドリブもチェリー主導。コルトレーンがチェリーのフレーズのイメージをなぞりながらアドリブを始めて、徐々にコルトレーンのオリジナルなフレーズが出てくる様が興味深い。まるで、チェリーの考えるフリー・ジャズとは何か、を学んでいるが如く、である。
2曲目から4曲目までは、当時、フリー・ジャズの旗手と目されていたオーネット・コールマンの作。当時のジャズの常識として「やらなかったこと」「やってはいけないこと」を敢えてやることにより、ジャズとしての「自由」を表現する。そんなオーネット流のフリー・ジャズを、コルトレーンは、当時、オーネット・コールマンのバンドに在籍していたドン・チェリーに追体験させてもらったのではないだろうか。
コルトレーンの「フリー・ジャズへの鍛錬の第一歩」。オーネット流のフリー・ジャズへの「学びとチャレンジ」が、この盤に記録されている、と僕は感じている。
面白いのは「フリー・ジャズへの鍛錬の第一歩」として、オーネット流のフリー・ジャズへの「学びとチャレンジ」の傍ら、モンク・ミュージックをフリー・ジャズに展開できないか、というアイデアにチャレンジしているところ。
これは、アドリブ部のコルトレーンのチャレンジを聴くと良く判るが、モンクの楽曲はフリー・ジャズの素材にはならない。なぜなら、モンク・ミュージックの個性の一つが「既存ジャズからの乖離」だから、である。モンク・ミュージックは、確立された時点で、ある意味「フリー・ジャズの走り」だった。
この『Avant-Garde』を録音した翌年、1961年には、コルトレーンはインパルス・レコードへ移籍。コルトレーン流の「モード・ジャズとシーツ・オブ・サウンド」を確立し、バラード形式とブルース形式の演奏ノウハウを体得した成果を発表、次なるステップとして、本格的に「コルトレーン流のフリー・ジャズ」にチャレンジしていく。
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