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2024年4月21日 (日曜日)

シェリー・マンの絶妙な職人芸

米国ウエストコースト・ジャズは「小粋に聴かせるジャズ」。演奏の基本はハードバップだが、優れたアレンジを施し、演奏テクニックは極上、個の演奏よりグループサウンズを優先。アンサンブルとインタープレイがメイン、聴き手にしっかりと訴求する、聴き応えがあって、聴き味の良いジャズ演奏を「聴かせる」。

そんなウエストコースト・ジャズにおいて、ドラマーの役割は重要。演奏内容と共演メンバーを活かすも殺すもドラマー次第なのがジャズ演奏であり、特に、グループサウンズ優先、アンサンブルとインタープレイがメインのウエストコースト・ジャズでは、アレンジから演奏全体の雰囲気や志向を把握し、リズム&ビートで的確に誘うドラマーの役割はとりわけ重要である。

Shelly Manne『2-3-4』(写真左)。1962年2月5, 8日の録音。Impulse!レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Coleman Hawkins (ts, tracks 1, 3, 5, 6 & 8), Hank Jones (p, tracks 1, 3, 5 & 8), Eddie Costa (p, vib, tracks 2, 4 & 7), George Duvivier (b, tracks 1–5, 7 & 8), Shelly Manne (ds)。

タイトルの「2-3-4」については、デュオ演奏(2人の演奏)、トリオ演奏(3人の演奏)、カルテット演奏(4人の演奏)を表している。

リーダーでドラマーのシェリー・マンは全ての演奏でドラマーを務めているが、コールマン・ホーキンスとのデュオ演奏、エディ・コスタのピアノ&ヴァイブ、ジョージ・デュビビエのベースとのトリオ演奏、コールマン・ホーキンスのテナー、ハンク・ジョーンズのピアノ、ジョージ・デュビビエのベースとのカルテット演奏と3つの演奏編成の演奏集になっている。
 

Shelly-manne234

 
デュオ、トリオ、クインテットという演奏編成ごと、演奏する曲の曲想&曲調ごと、演奏するメンバーの個性&特徴ごと、ドラミングの内容を自在に変化させ適応し、演奏志向をコントロールするシェリー・マンの絶妙な職人芸が堪能出来る。

とにかく、シェリー・マンのドラミングのテクニックがずば抜けている。絵に描いた様な「緩急自在、硬軟自在、変幻自在」なドラミング。このシェリー・マンのドラミングこそが、「緩急自在、硬軟自在、変幻自在」なドラミングの究極だろう。聴いていて、本当に上手いなあ、と感心する。

馬力だけのドラミングではない、繊細なシンバル・ワーク、瀟洒なブラシ・ワーク、躍動感と切れ味が同居した小粋なドラミングが、デュオ演奏、トリオ演奏、クインテット演奏の中で、効果的に適用される。そして、彼のドラミングには、ドラムで唄うが如くの「歌心」がしっかりと備わっている。そんなところにも、シェリー・マンのドラミングのセンスの良さが表れていて素晴らしい。

ウエストコースト・ジャズのドラマーの第一人者、シェリー・マンのドラミングの優秀性が如実に表れた、ジャズ・ドラミングの教科書の様なアルバムである。聴く度に、そのドラミングに感心する、シェリー・マンの名盤の一枚。
 
 

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