サウンドの確立 『Hollywood』
ジャズ・クルセイダーズから「ジャズ」を外して、クロスオーバー&フュージョン志向へ、バンド・サウンドの方向性の舵を切ったクルセイダーズ。
クルセイダーズとなって初のアルバム『Pass the Plate』では、試行錯誤が見え隠れして、クルセイダーズ・サウンドの確立は今一歩だったが、次作のこの盤では、そんな迷いを断ち切った、クルセイダーズ・サウンドの確立が感じ取れる。
The Crusaders 『Hollywood』(写真)。1972年の作品。ちなみにパーソネルは、Wilton Felder (ts, el-b), Wayne Henderson (tb), Joe Sample (key), Reggie Johnson (ac-b), "Stix" Hooper (ds) 以上が「クルセイダーズ」。ゲストに、Arthur Adams (g), David T. Walker (g), Chuck Rainey (b), Reggie Johnson (b)。
全編に渡って、クルセイダーズの音世界が溢れている。前作の『Pass the Plate』で見え隠れしていた、ジャズ・ロック志向への試行錯誤はこの盤には無い。
ライトでアーバンで洒落たファンクネス、キャッチャーで心地良いフレーズを吹き上げるブラスのフロント管。ソフト&メロウでグルーヴィーなキーボードがムーディーな雰囲気を醸し出し、リズム隊がクルセイダーズ独特のリズム&ビートを叩き出す。
後の人気グループ「クルセイダーズ」の音がこの盤で確立している。ただし、まだ洗練される前、米国南部のゴスペルチックで、こってこてファンキーで泥臭いグルーヴがバンド・サウンドの礎で、この米国南部志向のソウルフルなグルーヴが、この「クルセイダーズ・グルーヴ」が、なんともはや心地良い。
この独特の「クルセイダーズ・グルーヴ」は、キーボードとギターによるもの。この盤は、クルセイダーズが本格的にギターを加えた最初の作品で、このギターの加入が、クルセイダーズの音世界を確立させたと言える。
ギターは、デヴィティーとアダムス。ワウワウを駆使したファンキーに粘るフレーズ、小粋なカッティングによるファンキーな切れ味良いビート、印象的でソウルフルなリフ、これらが、サンプルのソフト&メロウでグルーヴィーなキーボードと絡んで、独特のソウルフルなグルーヴを生み出している。これが「クルセイダーズ・グルーヴ」の礎になっているのだ。
この盤では、ソウル、R&B、ブラス・ロックなどの音要素を融合、クロスオーバー志向のジャズ・ロックをベースとして、米国南部のゴスペルチックで、こってこてファンキーで泥臭いグルーヴを纏った「クルセイダーズ・サウンド」が確立している。
この盤以降、しばらくは、この米国南部のゴスペルチックで、こってこてファンキーで泥臭いグルーヴを纏った「クルセイダーズ・サウンド」で数々の好盤を生み出していくことになる。
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