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2024年3月24日 (日曜日)

『Elegant Gypsy & More Live』

1976年、ソロ活動に入り、初リーダー作をリリース。以降、クロスオーバー&フュージョン・シーンのど真ん中で活躍を続けている、超絶技巧ジャズ・ギタリストの人気者、アル・ディ・メオラ(以降、ディメオラ)。

意外とディメオラのライヴ盤は少なく、1週間ほど前にご紹介した、1982年2月4日、フィラデルフィアの「Tower Theatre」でのライヴ演奏を収録、1982年リリースの『Tour De Force』(左をクリック)が初ライヴ盤で、最近になってライヴ音源が3〜4枚リリースされたが、1990年代までは、この『Tour De Force』が唯一の正式リリースされたライヴ盤だった。

Al Di Meola『Elegant Gypsy & More Live』(写真左)。2018年のリリース。ちなみにパーソネルは、Al Di Meola (g),Evan Garr (vln), Phil Magallanes, Philippe Saisse (key), Elias Tona (b), Luis Alicea (ds), Gumbi Ortiz (perc)。2017年『Elegant Gypsy - 40th Anniversary-US Tour』の一部を収録したライブ盤。

収録曲を見渡すと「Race With Devil On Spanish Highway」「Flight Over Rio」「Midnight Tango」等、ディメオラのキャリア初期の自作曲や、1970年代のチックの名曲「Señor Mouse」のカヴァー、そして、1970年代のロック界最高のバンド、レッド・ツェッペリンの「Black Dog」をカヴァーしているので、てっきり、1970年代の終わりか、1980年代前半のライヴ音源の発掘盤かと思ったら、2017年のツアーでのライヴ音源とのことで、ちょっとビックリしている。

収録曲を年代順でまとめると、『Elegant Gypsy』(1977) から3曲、『Casino』(1978) から2曲、『Kiss My Axe』(1991) から1曲、『Elysium』(2015) から2曲、そこにカヴァー2曲(「Señor Mouse」と「Black Dog」)を加えた全10曲となる。こうやって見ると、アルバム・タイトルはちょっと語弊があるなあ、と思ってしまう(笑)。
 

Al-di-meolaelegant-gypsy-more-live

 
どの曲もアレンジがしっかりしている。クロスオーバー&フュージョン志向のジャズ・ロックという路線をしっかり守って、ソフト&メロウに流されず、といって、ガンガンに耳につく、ハードなロック志向に陥ることなく、現代のスマートな「クロスオーバー&フュージョン志向のジャズ・ロック」といったアレンジが良い感じ。

特に、レッド・ツェッペリンの「Black Dog」のカヴァーにはビックリした。どうやってアレンジするのか、と思って聴いたら、プラントのボーカルをバイオリンに担わせて、ディメオラはペイジのギターをディメオラ風にデフォルメして、原曲の雰囲気を損なわず、しっかりと現代のスマートな「クロスオーバー&フュージョン志向のジャズ・ロック」風にまとめているのには感心した。

全編に渡り、ディメオラのギターを聴くと、確かに、1970年代から1980年代前半のディメオラの若かりし頃の「切れ味良くとんがって」バリバリ超絶技巧に弾き回す、鬼気迫る雰囲気ではない。

ディメオラは1954年生まれ。このライヴ盤の録音時は63歳。このライヴ盤全般に渡って、超絶技巧ではあるが、年齢による円熟味が滲み出る様な、余裕ある超絶技巧で円滑かつ流麗な弾き回しは、確かにこのディメオラは、最近のディメオラのパフォーマンスなんだろう、と納得する。

優れたアレンジに乗って、唄うが如く、流れるが如く、弾き進めるディメオラ。バンド全体の演奏レベルも上々、現代のディメオラを感じ確認出来る、素晴らしい内容のライヴ盤だと思います。
 
 

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