スパイロ・ジャイラのデビュー作
スパイロ・ジャイラ(Spyro Gyra)は、フュージョン系バンドの代表格。1977年に米国にて結成、トロピカルな電気サウンドをメインに『Morning Dance』『Catching the Sun』『Carnaval』などのヒット盤を量産。現在まで、20枚以上のアルバムを制作、累計1,000万枚以上のアルバムを売り上げ、フュージョン系バンドの中でもかなりの成功を収めている。
活動の中、スムース・ジャズっぽい内容のアルバムもあるが、基本は典型的な「フュージョン・ジャズ」。スパイロ・ジャイラの創り出す音世界は、フュージョン・ジャズの音世界の代表的イメージの一つで、フュージョン・ジャズを語る上で、スパイロ・ジャイラは避けては通れない存在である。
『Spyro Gyra』(写真左)。1978年の作品。ちなみにパーソネルは、Jay Beckenstein (sax, perc), Jeremy Wall (p, key, org, syn), Jim Kurzdorfer (b), Tom Walsh (ds, perc), Umbopha Emile Latimer (congas, Perc) がメインのメンバー。ここにゲスト・ミュージシャンが加わっているが、詳細は割愛する。スパイロ・ジャイラのデビュー作である。
ちなみに、バンド名の元々意味は「アオミドロ(Spiro Gyra)」。バンド結成時、バーのオーナーが綴りを間違えて覚えていた「正)Spiro Gyra → 誤)Spyro Gyra」を、そのままバンド名にした、とのこと。なんか、とてもマニアックな響きのする小粋なネーミングなので、意外と高尚な命名の意味があるバンド名かな、と思ったが「アオミドロ」とは(笑)。
リズム&ビートは以降の作品よりは少し軽めだが、スパイロ・ジャイラ独特の音の個性と特徴はしっかり押さえられている。パーカッションを上手く活用したトロピカルな雰囲気のフュージョンな曲想や、サックスとマリンバが織りなすカリビアンなアンサンブル、コンテンポラリーなメインストリーム・ジャズ志向など、スパイロ・ジャイラの得意技がズラリと織り込まれている。
スパイロ・ジャイラの個性と特徴の全てが詰め込まれているので、ちょっと「とっ散らかった」散漫な印象を受けるが、デビュー作なので仕方がない。スパイロ・ジャイラの全てを詰め込むだけ詰め込んでいる「ショーケース」の様な内容。
それでも、収録されたそれぞれの曲は出来が良く、聴き心地の良いキャッチャーな曲が並んでいる。冒頭の「Shaker Song」は、米国アダルト・コンテンポラリー・シングル・チャートで16位に到達し、マンハッタン・トランスファーが『Extensions』(1979) でカヴァーしている名曲。2曲目「Opus D'Opus」、4曲目「Pygmy Funk」は、コンテンポラリーなメインストリーム・ジャズ志向のフュージョン。
元々は、小さなインディーレーベル、Crosseyed Bear Productionsから、セルフ・リリースされたデビュー盤。満足なプロデュースに恵まれなかったであろう、オリジナルなブランド・サウンドを確立させる前の「ショーケース」の様な内容だが、後のバンド・サウンドを想起させる個性と特徴のフラグメンツはこの盤に出揃っている。
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