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2024年3月13日 (水曜日)

魅力のグリフィン 『Way Out!』

身長170センチという小柄な体型にも関わらず、骨太で悠然とした音、超絶技巧なテクニックで、高速フレーズを吹き上げることから付いたニックネームが「リトル・ジャイアント」。繊細な表現にも優れ、バラードを吹かせれば天下一品。そんなサックス奏者が「ジョニー・グリフィン(Johnny Griffin)」。

Johnny Griffin 『Way Out!』(写真左)。1958年2月26–27日の録音。Riversideレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Johnny Griffin (ts), Kenny Drew (p), Wilbur Ware (b), Philly Joe Jones (ds)。リーダーのジョニー・グリフィンのテナーが1管フロントの「ワンホーン・カルテット」編成。

グリフィン30歳の時の録音。デビュー当時は荒削りなところも合って、その荒削りで豪快なブロウが魅力だったグリフィン。この盤では荒削りなところが円熟味に変わって、豪快だが硬軟自在&緩急自在の骨太なブロウが最大の聴きどころとなっている。初リーダー作が28歳の時だったので、2年間で急速に成長したことになる。そんなグリフィンの歌心溢れる、魅力的なブロウが堪能できる。
 

Johnny-griffin-way-out

 
グリフィンのテナーは、超絶技巧なテクニックを持ちながら、それをひけらかすことなく、ミドル・テンポの余裕のある落ち着いた吹き回しが個性。実に奥ゆかしい。本当にテナーをテナーらしく鳴らす、とでも表現したら良いだろうか。グリフィンのテナーは音が良い。それでも、4曲目の「Cherokee」ではスピード感のある吹き回しで「ブイブイ」言わせている。

バックのリズム・セクションの音も良い。ドリューが重心の低い、黒くファンキーなピアノを弾き回す。重厚なタッチで、グリフィンの豪快テナーに負けずに、ガンガンにサポートし鼓舞する。フリージョーのドラミングもグリフィンのテナーの個性に合った叩き回しで、いかにもハードバップな雰囲気を濃厚に醸し出している。そして、そんな典型的なハードバップな演奏に「新しい何か」を付加しているのが、ウエアの「ちょっと新しい響きとフレーズ」を宿したベース。

典型的なハードバップだが、グリフィンのテナーの吹き回しと、リズム隊の新鮮なサポートと相まって、「どこか新しい」響きのするハードバップ演奏が展開されている。とても良くまとまったハードバップ盤。しかし、近代的建造物をあしらった意味不明のジャケが良くないのか、我が国ではあまりこの盤は話題に上がらない。実に惜しいことで、この盤、再評価されて然るべき、ハードバップの好盤の一枚である。
 
 

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