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2024年3月の記事

2024年3月31日 (日曜日)

1960年代終わりのデックス名盤

デクスター・ゴードン(以降、デックス)は、1962年に渡欧、主にパリとコペンハーゲンで活動している(1976年には米国に戻るが)。米国でのレーベル契約を "ブルーノート" から "プレスティッジ" に切り替えていた為、この盤は、プレスティッジ・レーベルでの録音になっている。プレスティッジでの録音と聞くと、お得意の「ジャムセッション一発録り」と「複数セッションからの直感的な選曲」を想起して、内容について不安になるが、この盤は大丈夫だ。

Dexter Gordon『More Power!』(写真左)。1969年4月、NYでの録音。Prestigeレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Dexter Gordon (ts), James Moody (ts, "ensemble tracks 1 & 5"), Barry Harris (p), Buster Williams (b), Albert Heath (ds)。デックスのテナー、ワン・ホーン・カルテットに、ジェームス・ムーディーが、アンサンブル中心に客演している。

録音当時、渡欧し活躍していたデックスが、一時、米国に帰国した際に録音したセッションからの1枚。同一セッションからもう一枚『The Tower Of Power!』がリリースされていて、こちらは、ムーディーとのダブル・テナーは1曲のみだったが、この『More Power!』では2曲収録されている。これが「古き良き時代のハードバップ」な雰囲気で、なかなか良い感じなのだ。
 

Dexter-gordonmore-power

 
デックスのテナーは「大らかで骨太で誠実でどこか哀愁感漂う」テナー。この生涯、変わらないスタイル・奏法がこの盤に溢れている。1969年という純ジャズの人気下落の時代に、この絵に描いた様な、骨太でダンディズム溢れるハードバップな演奏は素晴らしいの一言。特に、デックス同様、男性的でよく歌うテナーが持ち味のムーディーのテナーが絡むと魅力倍増。デックス単独でも、哀愁感溢れる美しいフレーズをデックスが情感豊かに吹き上げて、殊のほか素晴らしい。

『The Tower Of Power!』の記事でも書いたことだが、バックのリズム・セクションは、ピアノはバリー・ハリス、ベースはバスター・ウィリアムス、ドラムスはアルバート・ヒース。バックのリズム・セクションも純ジャズの人気が落ちてきた当時としてはかなり充実していて、デックスの好調さと併せて、実に気持ちの良いハードバップな演奏が繰り広げている。

同一セッションからのもう一枚『The Tower Of Power!』と併せて、この『More Power!』は、1960年代終わりの「純ハードバップ」な名盤だと思う。商業主義にも染まっていない、聴き手にも迎合していない、純粋にジャズマンとして、最高のハードバップな演奏をやり遂げる、ただそれだけの為に、自らの個性を踏まえて、極上のパフォーマンスを繰り広げる。往年の良質なハードバップが、デックスのテナーがこの盤に詰まっている。
 
 

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2024年3月30日 (土曜日)

1980年の新感覚のアコ・ジャズ

1970年代後半から1980年代前半は「フュージョン・ジャズの時代」。電気楽器をメインに基本のビートは8ビート、テクニック優秀、聴き応えと聴き心地を優先したジャズ。1950年代から培われてきた、生楽器をメインに基本のビートは4ビート、テクニック優秀、即興演奏の妙とインタープレイを主とした「ハードバップな純ジャズ」とは正反対の音楽性。

しかし、1979年、このフュージョン・ジャズとハードバップな純ジャスを足して2で割った様な「新感覚のアコースティック・ジャズ」が出現する。ヴァイブ奏者のマイク・マイニエリがメインに結成した「ステップス "Steps" 」(後にステップス・アヘッド "Steps Ahead" と改名)。このバンドの出す音は、僕にとっては衝撃的だった。

Steps『Step By Step』(写真左)。1980年12月8, 10日の録音。ちなみにパーソネルは、Mike Mainieri (vib), Mike Brecker (ts), Don Grolnick (p), Eddie Gomez (b), Steve Gadd (ds)。日本コロンビアの「Better Daysレーベル」の録音&リリース。なんと、フュージョン・ジャズとハードバップな純ジャスを足して2で割った様な「新感覚のアコースティック・ジャズ」は、我が国のレーベルで録音されていた。
 

Stepsstep-by-step

 
フュージョン・ジャズの名手達が、フュージョン・ジャズが生み出した「スクエアなノリの4ビート」に乗って、新しい感覚の純ジャズをやる。とりわけ、マイケル・ブレッカーのテナーが「純ジャズ」ライクに、モーダルに吹きまくる様は迫力満点。ゴメス、ガットの生み出す「スクエアなノリの4ビート」がクールでスインギー。

面白いのは、リーダーのマイニエリのヴァイブとグロルニックのアコピが、凝ってこてにフュージョンしていること。フュージョンの音志向「ソフト&メロウ」は、このマイニエリとグロルニックが一手に担っている。但し、バンドのリズム&ビートが「スクエアなノリの4ビート」なので、イージーリスニングに流れることはない。意外と硬派でダイナミックなパフォーマンスが見事。

僕はこのゴメス、ガットの生み出す「スクエアなノリの4ビート」に感じ入って、このステップスの音が大のお気に入りに。全曲オリジナルで、純ジャズの様な迫力ある即興演奏なアドリブとフュージョン・ライクな聴き心地の良いキャッチャーなフレーズが共存した、聴き易く聴き応えのある、後のネオ・ハードバップに通じる「新感覚のアコースティック・ジャズ」。今の耳で聴いても、新鮮な感覚が満載です。
 
 

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2024年3月29日 (金曜日)

音志向の転換点・Samurai Samba

1970年代後半から1980年代前半のフュージョン・ブームの真っ只中、後に伝説となる人気グループが多く出た。パッと頭に浮かんだだけでも、「スタッフ」「ジェントル・ソウツ」「クルセイダーズ」「ブレッカー・ブラザーズ」「ステップス・アヘッド」「スパイロ・ジャイラ」「イエロージャケッツ」など、個性溢れるバカテク集団がずらり。

Yellowjackets『Samurai Samba』(写真左)。1985年のリリース。ちなみにパーソネルは、Russell Ferrante (key), Marc Russo (as), Jimmy Haslip (5-string bass), Ricky Lawson (ds)。後に伝説となる人気グループの一つ、イエロージャケッツの3枚目のアルバム。オリジナル・メンバーのギタリスト、ロベン・フォードが完全に抜けて、ギター抜きのカルテット体制が確立した、最初のアルバム。

バンド・サウンドとしては、バンド当初のテクニカルで軽快でポップ、爽快なL.A.フュージョン志向から、AORを抱き込んだ、エレクトリックでアーバンなコンテンポラリー・ジャズへと変化し始めている。ギターの代わりに、マーク・ルッソのサックスが入り、アーバンな雰囲気を醸し出す。
 

Yellowjacketssamurai-samba

 
そして、ボーカルのゲストに、AORの貴公子「ボビー・コールドウェル」がゲスト参加して、ソフト&メロウなボーカルを披露している。このコールドウェルのボーカルが、アダルト・コンテンポラリーな雰囲気を増長し、デビュー当時の「爽快なL.A.フュージョン」を過去のものにしている。

それでも、「爽快なL.A.フュージョン」の名残りの「キャッチーで歯切れの良いリズム&ビート」はそこはかとなく残っていて、曲によっては、エレクトリックでアーバンなコンテンポラリー・ジャズに完全に変化しきっていないところが、この盤の「肝」。

この「爽快なL.A.フュージョン」の名残りの「キャッチーで歯切れの良いリズム&ビート」は以降もバンドの個性として残り、イエロージャケッツの個性の一つである「スカッとしたフュージョン・ジャズ」として定着する。以降、イエロージャケッツは、エレクトリックでアーバンなコンテンポラリー・ジャズと、スカッとしたフュージョン・ジャズのハイブリッドなサウンドを個性として、「深化」を続けていく。
 
 
 

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2024年3月28日 (木曜日)

ミンガスの名盤 『メキシコの想い出』

ベーシストがリーダーのアルバムは難しい。ベースという楽器自体、リズム&ビートと演奏のベースライン’を供給するのがメインの楽器なので、管楽器などの様に旋律を奏でるのが「得手」ではない。つまり、演奏する旋律をメインに、演奏の個性や特徴を全面に出すのが難しい。

それでも、ベーシストがリーダーのアルバムには、リーダーのベーシストの個性や特徴、テクニックを全面に押し出したアルバムもある。しかし、これは後が続かない。個性や特徴、テクニックを披露したらそれでお終い。次のリーダー作を同じコンセプトで作るわけにはいかない。もう一つのベーシストのリーダー作の傾向としては、そのセッションのリーダーとして、ベーシストの表現したいスタイルや音楽性をバンド全体で表現するというもの。

Charlie Mingus『Tijuana Moods』(写真左)。1957年7月18日と8月6日の録音。邦題『メキシコの想い出』。ちなみにパーソネルは、Charles Mingus (b), Clarence Shaw (tp), Jimmy Knepper (tb), Shafi Hadi (as, ts), Bill Triglia (p), Dannie Richmond (ds), Ysabel Morel (castanets, vo), Frankie Dunlop (perc), Lonne Elder (vo)。

トランペット、トロンボーン、サックスの3管フロントに、リーダーのミンガスをメインとしたピアノ・トリオのリズム・セクションのセクステットがメイン。そこに、ボーカルとパーカッションがゲストとして参加する。

総勢9名編成のバンド・セッションなのだが、とにかく音が分厚い。まるで、ビッグバンドの演奏を音を聴いているよう。そして、音の重ね方が独特。2〜3フレーズ聴いただけで、これはミンガス、と判るくらい特徴のある音の重ね方。この独特の音の重ね方で、ユニゾン&ハーモニー、そして、アンサンブルが奏でられるのだ。もうそこは絶対に「ミンガスの音世界」。このミンガスの音の重ね方が僕は大好きで、ジャズを本格的に聴き始めた頃から、折につけ、ミンガスのリーダー作は耳にしている。
 

Charlie-mingustijuana-moods

 
さて、この盤は、ミンガスがメキシコの都市、ティファナに傷心旅行をした時の経験を基にした楽曲で固めた「企画盤」。冒頭の「Dizzy Moods」の、フラメンコのコード進行を拝借しつつ、ちょっとすっとぼけた、それでいて、硬派で切れ味の良いアンサンブルは、もう既に「ミンガス独特の音世界」。そんなアンサンブルのバックで、ミンガスの重低音ソリッドなベースがブンブン唸りを立てて闊歩する。この1曲だけで、ミンガス・ミュージックここに極まれり、である。

2曲目の『Ysabel's Table Dance』は圧巻。収録時間は10分を超える大作だが、スパニッシュな響きのするカスタネットに続いて、フロント管がミンガス独特のマイナーな哀愁ユニゾン&ハーモニーがスッと入ってきて、ミンガスはフラメンコ・ギターの如く、アコベを重低音よろしく骨太に「掻き鳴らす」。アンサンブルからアドリブまで、バッチリ決まった、むっちゃ格好良い、至高のミンガス・ミュージックの「具現化」である。

全体にエキゾチックな香りを醸し出し、フラメンコのリズムやコード進行を拝借していたり、ミンガス流の「スパニッシュ・モードへの接近」が、このアルバムのそこかしこに感じられて、しかも、そんな音志向をベースにしたミンガスのアレンジも素晴らしいの一言。このミンガスのアレンジがアルバム全体を通じて一貫していて全くブレがない。この盤での、参加メンバーそれぞれのパフォーマンスの統一感は半端ない。

それぞれの楽器をフルフルに鳴らし、基本セクステットの演奏をまるでジャズ・オケの様に、分厚く豊かなアンサンブルで聴かせるアレンジとパフォーマンスは、ミンガス・ミュージックの真骨頂。ミンガス自身も「我が最高の作品」と自評する熱の入ったリーダー作。名盤です。
 
 

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2024年3月27日 (水曜日)

1983年のスパイロ 『City Kids』

創り出す音世界は、フュージョン・ジャズの音世界の代表的イメージの一つで、フュージョン・ジャズを語る上で、スパイロ・ジャイラは避けては通れない存在。そんなスパイロ・ジャイラの1980年代のアルバムの一気聴きである。

フュージョン・ジャズ人気の後期は1980年代前半。それも大体、1982年くらいまでが、フュージョン・ジャズが「ウケていた」期間で、1983年以降、その人気はガタッと落ちていく。

Spyro Gyra『City Kids』(写真)。1983年のリリース。ちなみにパーソネルは、スパイロ・ジャイラとして、Jay Beckenstein (sax, Lyricon), Tom Schuman (el-p, syn), Jeremy Wall (ac-p, syn), Chet Catallo (g), Kim Stone (b), Eli Konikoff (ds), Gerardo Velez (perc), Dave Samuels (marimba, vib)。加えて、ゲスト・ミュージシャンを多数、招き入れている。

1983年リリースのスパイロ・ジャイラの7作目。先にも述べた様に、1983年といえば、フュージョン・ジャズ人気がガタッと落ちて下降線を辿り出した頃。そんな環境激変の中でも、スパイロ・ジャイラは、自らのオリジナルなサウンドをしっかり維持し、さらに洗練している。

冒頭のタイトル曲「City Kids」を聴くと、スパイロ・ジャイラも他の例に漏れず、デジタル録音の洗礼を受けて苦戦しているなあ、と感じる。音のエッジが必要以上に立っていて、ビートが鋭角で攻撃的。そんな平板傾向な音の広がり、奥行きの中で、精一杯、ダイナミックで洗練された、ソフト&メロウで、ファンキーなビートの効いた、スパイロ・サウンドを創造している。
 

Spyro-gyracity-kids

 
ベッケンスタインのサックスとサミュエルズのマリンバが織りなすカリビアンなアンサンブル。スパイロ・ジャイラの音の特徴はしっかり引き継ぎ、ギターが効果的にリフを刻み、エレベとドラムのリズム隊がそこはかとなくファンキーなリズム&ビートを刻む。

この盤のサウンドの特徴は「ライヴ感」。アルバムのライナーを読むと、ベッケンスタインいわく「プロデュースを控えめにして、ライブ感を出すことに主眼をおいてこのアルバムを作った」とのこと。確かに、その雰囲気はしっかり感じ取ることが出来て、5曲目「Islands in the sky」、続く「Conversation」は、おそらく一発録りな雰囲気で、ベッケンスタインの狙いは十分、実現されているのではないか、と感じる。

当時、流行のレゲエ・テイストのトロピカル・ナンバー「Nightlife」など、アレンジの工夫もあって、サウンドのマンネリ感は無い。我が国ではあまり人気の無いアルバムだが、米国では、ビルボード誌では、トップ200アルバム・チャートで 66 位、同誌のジャズ・アルバム・チャートで2位に達した、とのこと。

確かに今の耳で聴くと、なかなかに内容充実、スパイロ・ジャイラの個性をしっかり出しつつ、上質なフュージョン・ジャズが展開されている、と再評価。好盤である。
 
 

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2024年3月26日 (火曜日)

スパイロ・ジャイラのデビュー作

スパイロ・ジャイラ(Spyro Gyra)は、フュージョン系バンドの代表格。1977年に米国にて結成、トロピカルな電気サウンドをメインに『Morning Dance』『Catching the Sun』『Carnaval』などのヒット盤を量産。現在まで、20枚以上のアルバムを制作、累計1,000万枚以上のアルバムを売り上げ、フュージョン系バンドの中でもかなりの成功を収めている。

活動の中、スムース・ジャズっぽい内容のアルバムもあるが、基本は典型的な「フュージョン・ジャズ」。スパイロ・ジャイラの創り出す音世界は、フュージョン・ジャズの音世界の代表的イメージの一つで、フュージョン・ジャズを語る上で、スパイロ・ジャイラは避けては通れない存在である。

『Spyro Gyra』(写真左)。1978年の作品。ちなみにパーソネルは、Jay Beckenstein (sax, perc), Jeremy Wall (p, key, org, syn), Jim Kurzdorfer (b), Tom Walsh (ds, perc), Umbopha Emile Latimer (congas, Perc) がメインのメンバー。ここにゲスト・ミュージシャンが加わっているが、詳細は割愛する。スパイロ・ジャイラのデビュー作である。

ちなみに、バンド名の元々意味は「アオミドロ(Spiro Gyra)」。バンド結成時、バーのオーナーが綴りを間違えて覚えていた「正)Spiro Gyra → 誤)Spyro Gyra」を、そのままバンド名にした、とのこと。なんか、とてもマニアックな響きのする小粋なネーミングなので、意外と高尚な命名の意味があるバンド名かな、と思ったが「アオミドロ」とは(笑)。
 

Spyro-gyra

 
リズム&ビートは以降の作品よりは少し軽めだが、スパイロ・ジャイラ独特の音の個性と特徴はしっかり押さえられている。パーカッションを上手く活用したトロピカルな雰囲気のフュージョンな曲想や、サックスとマリンバが織りなすカリビアンなアンサンブル、コンテンポラリーなメインストリーム・ジャズ志向など、スパイロ・ジャイラの得意技がズラリと織り込まれている。

スパイロ・ジャイラの個性と特徴の全てが詰め込まれているので、ちょっと「とっ散らかった」散漫な印象を受けるが、デビュー作なので仕方がない。スパイロ・ジャイラの全てを詰め込むだけ詰め込んでいる「ショーケース」の様な内容。

それでも、収録されたそれぞれの曲は出来が良く、聴き心地の良いキャッチャーな曲が並んでいる。冒頭の「Shaker Song」は、米国アダルト・コンテンポラリー・シングル・チャートで16位に到達し、マンハッタン・トランスファーが『Extensions』(1979) でカヴァーしている名曲。2曲目「Opus D'Opus」、4曲目「Pygmy Funk」は、コンテンポラリーなメインストリーム・ジャズ志向のフュージョン。

元々は、小さなインディーレーベル、Crosseyed Bear Productionsから、セルフ・リリースされたデビュー盤。満足なプロデュースに恵まれなかったであろう、オリジナルなブランド・サウンドを確立させる前の「ショーケース」の様な内容だが、後のバンド・サウンドを想起させる個性と特徴のフラグメンツはこの盤に出揃っている。
 
 

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2024年3月25日 (月曜日)

聴かせる Jimmy Smith Trio + LD

1950年代から1960年代のブルーノート・レーベルは、プロデュースが大変優れていると感じる。セッションのジャズマンのブッキングなど、その対象となるリーダー作が、どの様な「志向」の演奏内容にするかによって、メンバーを厳選している。そして、その演奏の「志向」に則った演奏を実現する。このブルーノートの優れたプロデュースが数々の名盤を生み出している。

『Jimmy Smith Trio + LD』(写真左)。1957年7月4日の録音。ちなみにパーソネルは、Jimmy Smith (org), Lou Donaldson (as, tracks 1–2, 4, 6), Eddie McFadden (g), Donald Bailey (ds)。当時の売れっ子オルガニスト、ジミー・スミスのトリオに、アルト・サックスのベテラン職人、ルー・ドナルドソン(以降「ルーさん」)がフロント管として客演する格好のカルテット編成。

録音時点で、ジミー・スミスは29歳、ルーさんは31歳。両人とも実績十分の中堅ジャズマン。どちらも職人気質のジャズマンでプライドも高く、自分が一番前に出たがる。いわゆる「一国一城の主」タイプで、同じレベルのジャズマン同士、対等な立場での共演は好まないタイプなんだが、この盤では一期一会の共演が実現している。

スミス、ルーさん、どちらも前に出たがるタイプみたいなんだが、この盤では「前へ出たがり」同士がぶつかることなく、お互いの音をしっかり聴きながらの、心地良いテンポ、雰囲気のインタープレイが展開されている。ジェントルなトーンで、流麗でファンキーな、とても聴き心地の良いオルガン・ジャズを展開している。
 

Jimmy-smith-trio-ld

 
スミスのオルガンは、特徴である「切れ味の良い攻撃的な」オルガンを封印、ルーさんのアルト・サックスのバッキングに徹している。自分のソロの番になっても、オルガンのボリュームを上げて、ガンガンに弾きまくることはない。あくまで、ジェントルなトーンで、流麗でファンキーな、とても聴き心地の良いオルガンを弾き進める。

ルーさんのアルト・サックスは、お得意の熱量の高いアグレッシブな「ビ・バップ」風の吹き回しは封印、スミスのオルガンのバッキングを損なうことなく、スミスのオルガンに歩調を合わせる様に、ジェントルなトーンで、流麗でファンキーな、とても聴き心地の良いアルト・サックスを吹き進める。

スミス、ルーさん共に、双方の一番の「持ち味」を封印し、グループサウンズ優先、底に小粋なファンクネスを忍ばせつつ、ムーディーで流麗なオルガン・ジャズを展開している。アレンジも優秀で、まるで、ウエストコースト・ジャズにおける上質のオルガン・ジャズの様な雰囲気。いわゆる「聴かせる」オルガン・ジャズとして、聴き手にしっかりアピールする。

しかし、この盤、録音当時は「お蔵入り」。当時のブルーノートお得意の「理由不明のお蔵入り」盤となっている。今でもなぜお蔵入りなのかが良く判らない。それでも、1985年、我が国においてのみ、発掘リリースされ、今ではサブスク・サイトでも鑑賞することが出来る。この盤、後の「イージーリスニングなソウル・ジャズ」としても愛聴することが出来る優れもの。発掘リリースされて良かった、と改めて思う、今日この頃である。
 
 

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2024年3月24日 (日曜日)

『Elegant Gypsy & More Live』

1976年、ソロ活動に入り、初リーダー作をリリース。以降、クロスオーバー&フュージョン・シーンのど真ん中で活躍を続けている、超絶技巧ジャズ・ギタリストの人気者、アル・ディ・メオラ(以降、ディメオラ)。

意外とディメオラのライヴ盤は少なく、1週間ほど前にご紹介した、1982年2月4日、フィラデルフィアの「Tower Theatre」でのライヴ演奏を収録、1982年リリースの『Tour De Force』(左をクリック)が初ライヴ盤で、最近になってライヴ音源が3〜4枚リリースされたが、1990年代までは、この『Tour De Force』が唯一の正式リリースされたライヴ盤だった。

Al Di Meola『Elegant Gypsy & More Live』(写真左)。2018年のリリース。ちなみにパーソネルは、Al Di Meola (g),Evan Garr (vln), Phil Magallanes, Philippe Saisse (key), Elias Tona (b), Luis Alicea (ds), Gumbi Ortiz (perc)。2017年『Elegant Gypsy - 40th Anniversary-US Tour』の一部を収録したライブ盤。

収録曲を見渡すと「Race With Devil On Spanish Highway」「Flight Over Rio」「Midnight Tango」等、ディメオラのキャリア初期の自作曲や、1970年代のチックの名曲「Señor Mouse」のカヴァー、そして、1970年代のロック界最高のバンド、レッド・ツェッペリンの「Black Dog」をカヴァーしているので、てっきり、1970年代の終わりか、1980年代前半のライヴ音源の発掘盤かと思ったら、2017年のツアーでのライヴ音源とのことで、ちょっとビックリしている。

収録曲を年代順でまとめると、『Elegant Gypsy』(1977) から3曲、『Casino』(1978) から2曲、『Kiss My Axe』(1991) から1曲、『Elysium』(2015) から2曲、そこにカヴァー2曲(「Señor Mouse」と「Black Dog」)を加えた全10曲となる。こうやって見ると、アルバム・タイトルはちょっと語弊があるなあ、と思ってしまう(笑)。
 

Al-di-meolaelegant-gypsy-more-live

 
どの曲もアレンジがしっかりしている。クロスオーバー&フュージョン志向のジャズ・ロックという路線をしっかり守って、ソフト&メロウに流されず、といって、ガンガンに耳につく、ハードなロック志向に陥ることなく、現代のスマートな「クロスオーバー&フュージョン志向のジャズ・ロック」といったアレンジが良い感じ。

特に、レッド・ツェッペリンの「Black Dog」のカヴァーにはビックリした。どうやってアレンジするのか、と思って聴いたら、プラントのボーカルをバイオリンに担わせて、ディメオラはペイジのギターをディメオラ風にデフォルメして、原曲の雰囲気を損なわず、しっかりと現代のスマートな「クロスオーバー&フュージョン志向のジャズ・ロック」風にまとめているのには感心した。

全編に渡り、ディメオラのギターを聴くと、確かに、1970年代から1980年代前半のディメオラの若かりし頃の「切れ味良くとんがって」バリバリ超絶技巧に弾き回す、鬼気迫る雰囲気ではない。

ディメオラは1954年生まれ。このライヴ盤の録音時は63歳。このライヴ盤全般に渡って、超絶技巧ではあるが、年齢による円熟味が滲み出る様な、余裕ある超絶技巧で円滑かつ流麗な弾き回しは、確かにこのディメオラは、最近のディメオラのパフォーマンスなんだろう、と納得する。

優れたアレンジに乗って、唄うが如く、流れるが如く、弾き進めるディメオラ。バンド全体の演奏レベルも上々、現代のディメオラを感じ確認出来る、素晴らしい内容のライヴ盤だと思います。
 
 

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2024年3月23日 (土曜日)

米国ジャズマン「渡欧組」の活躍

米国ではジャズマンの扱いが粗雑で、人種差別もあり、生活も苦しい中、1960年代には、ジャズマンの渡欧が相次いだ。ジャズについては、欧州では「音楽芸術」として評価され、その演奏の担い手のジャズマンは「アーティスト」として、一目置かれて扱われた。ジャズマンにとって、欧州の方が活躍の場があり、生活の糧も得やすかった。

米国東海岸ジャズマンの「渡欧組」の演奏拠点としてはパリ、ロンドン、ミュンヘン、そして、一番有名なのは、デンマークのコペンハーゲン。欧州の純ジャズ・レーベルの老舗「スティープルチェイス(SteepleChase)」のライヴ録音の拠点である「モンマルトル」がある。このモンマルトルでのライヴ録音は、数々の名盤、好盤を産んでいる。

Dexter Gordon『The Squirrel 〜 Live At Montmartre Copenhagen '67』(写真左)。1967年6月29日、コペンハーゲンのジャズハウス「モンマルトル」でのライヴ録音。デンマーク放送協会による放送用の録音らしい¥。ちなみにパーソネルは、Dexter Gordon (ts), Kenny Drew (p), Bo Stief (b), Art Taylor (ds)。

1960年代初頭から1976年にかけて渡欧した、サックス奏者のデクスター・ゴードン(愛称:デックス)。1961年にパリに渡り、1964年からデンマークのコペンハーゲンに活動の拠点を移した、ピアニストのケニー・ドリュー。1963年に渡欧して、その後20年間を主にパリを拠点に活動を続けた、ドラマーのアート・テイラー。
 
Dexter-gordonthe-squirrel-live-at-montma  
 
いわゆる、米国東海岸ジャズマンの「渡欧組」の面々に加えて、地元ベーシストのボ・スティーフが入ってのデックスのワンホーン・カルテット。放送用の割にはちょっと音が良くないが、リーダーがデックスの、ワンホーン・カルテットのエネルギッシュな演奏の雰囲気はしっかりと捉えている。

いつになく、デックスのテナーがダイナミックでエネルギッシュ。このライヴ盤、1曲当たりの収録時間が12分から20分と長尺の演奏ばかりなんだが、そんな長尺の演奏の中で、デックスはテナーを骨太に悠然と、キャッチャーで力感溢れるフレーズを吹きまくっている。そんな中、やっぱり、デックス作の人気曲「Cheese Cake」が良い雰囲気。

ケニー・ドリューがバップなピアノをテクニック優秀にガンガン弾きまくる。こんなにガンガンにバップ・ピアノを弾くタイプだったけ、と思うほど、このライヴ盤でのドリューは、解放された様に、ガンガンに弾きまくる。フロントのデックスを煽りに煽っている。そんなドリューの長尺のアドリブ・ソロも聴きもの。

そして、米国東海岸ではフロントを立てた、小粋で味のあるドラミングを披露していたのだが、このライヴ盤では「叩きまくるだけ叩きまくっている」。叩きまくってはいるが耳につかない。叩きまくってはいるが、叩き出すリズム&ビートがどこまでもジャジーで、カルテットの醸し出す純ジャズなハードバップ演奏にバッチリ適合する。

地元ベーシストのスティーフは堅実なベースラインを供給して、安定のウォーキング・ベース。米国東海岸ジャズマンの「渡欧組」の一部面々の、コペンハーゲンはモンマルトルでのライヴ演奏。米国にいた時より、のびのびと力感溢れるハードバップを演奏しまくっている様は痛快。実際にその場にいて聴きたかったなあ、という思いにさせられる、熱いハードバップ演奏で、なかなかのライヴ盤です。
 
 

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2024年3月22日 (金曜日)

ギターを弾きまくり唄いまくる盤

バップの如く弾きまくり、ソフト&メロウにR&Bに唄いまくるギタリスト、ジョージ・ベンソン。バップの如く弾きまくるギタリストは沢山いるが、「ギターをバップの如く弾きまくり、R&Bに唄いまくる」ジャズ・ギタリストは、ジョージ・ベンソンしかいない。

George Benson『The Other Side of Abbey Road』(写真左)。1970年の作品。1969年10月と11月の2セッションの録音。ちなみにパーソネルは、基本セットは、George Benson (g, vo), Bob James, Herbie Hancock, Ernie Hayes (ac-p, org, harpsichord), Ron Carter, Jerry Jemmott (b), Idris Muhammad, d Shaughnessy (ds), Ray Barretto, Andy Gonzalez (perc)。ここに、ドン・セベスキーのアレンジ&指揮のジャズ・オーケストラがバックに付く。

この盤は、ベンソンのA&Mレコードからのリーダー作の2作目。A&Mレコードからの初リーダー作『Shape of Things to Come』は「唄いまくるが如くギターを弾く」ベンソンが凄かったが、この盤では「ギターを弾きまくり、唄いまくる」、ギターとボーカルの二刀流での大活躍のベンソンを捉えた秀作である。 

全曲、ビートルズ『アビイ・ロード』の収録曲のカヴァーで占められる。それも「Golden Slumbers〜You Never Give Me Your Money」から始まり、「Because〜Come Together」「Oh! Darling」「Here Comes the Sun〜I Want You (She's So Heavy)」そして「Something〜Octopus's Garden〜The End」まで、どういう基準で選曲されたがは不明だが、なかなかマニアックな曲が、オリジナルの曲順も意識せず、並んでいる。

元々、ウエス・モンゴメリー2世と形容されたベンソン。バップの如く弾きまくるギターは当然。繰り出すフレーズは、R&Bに、ソフト&メロウに唄うが如くのフレーズ。
 

George-bensonthe-other-side-of-abbey-roa
 

そして、濃厚なファンクネスを底に漂わせながら、ベンソンはソフト&メロウに唄いまくる。しかし、ベンソンにこれだけの「ソフト&メロウにR&Bに唄わせた」クリード・テイラーの慧眼恐るべし、である。

ビートルズ『アビイ・ロード』から選ばれた楽曲は、かなり斬新なアレンジが施されていて、原曲のメイン・フレーズは残ってはいるが、イントロや間奏、ビートルズ・オリジナルなアレンジはほどんどデフォルメされている。どの曲もイントロだけ聴けば、何の曲だか判らないほど。イージーリスニング・ジャズと曲解されない様に、かなり純ジャズ寄りのアレンジが施されている。

この「かなり純ジャズ寄り」のアレンジに、バップの如く弾きまくるベンソンのギターが映える。ベンソンのソロがイージーリスニングっぽく聴こえず、バップにジャジーに聴こえるので、ジャズ・ギターとして純粋に楽しめる。そして、「ソフト&メロウにR&B」に唄うベンソンの歌唱が、ビートルズの楽曲に濃厚なファンクネスを纏わせている。 

ビートルズの楽曲のジャズ化が主目的では無い、「ギターを弾きまくり、唄いまくる」ベンソンを的確にアピールすべく、当時、人気絶頂だったビートルズの楽曲をチョイスした、と解釈している。そして、その目論見はほぼ成功している。特に、ベンソンの歌唱は、のちのフュージョン・ジャズにピッタリの「ソフト&メロウにR&B」な雰囲気をしていることが、この盤の歌唱で顕になった。                                                         

この盤、意外とマイナーな存在なんだが、ギターを弾きまくり唄いまくる二刀流のジャズマン、ジョージ・ベンソンのターニングポイントとなったアルバムだと睨んでいる。次作以降、ソフト&メロウなソウル・ジャズから、レアグルーヴなファンキー・ジャズをメインに「弾きまくり唄いまくる」ギタリストとして、ベンソンは人気者になっていく。
 
 

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2024年3月21日 (木曜日)

唄いまくるが如くギターを弾く盤

ソフト&メロウに、R&Bに唄いまくるが如く、バップの如く弾来まくるギタリスト、ジョージ・ベンソン。これが凄い。弾きまくるギタリストや、バップの如く弾きまくるギタリストは沢山いるが、「唄いまくるが如く弾きまくる」ジャズ・ギタリストは、ジョージ・ベンソンしかいない。

George Benson『Shape of Things to Come』(写真左)。1968年8-10月の録音。ちなみにパーソネルは、George Benson (g, vo), Ron Carter (b), Richard Davis (b), Herbie Hancock (p), Hank Jones (p), Idris Muhammad (ds), Don Sebesky (arr, cond) が主要メンバー。ここに、ドン・セベスキーのアレンジ&指揮のジャズ・オーケストラがバックに付く。

この盤は、ベンソンのA&Mレコードからの初リーダー作。当盤以前のコロンビアからのリリースの2枚、『It's Uptown』『The George Benson Cookbook』では、確かに、クロスオーバー・ジャズ、フュージョン・ジャズの確固たる片鱗が見え隠れした「バップな弾き回し」。そこに目をつけたクリード・テイラー。その慧眼に間違いは無かった。
 

George-bensonshape-of-things-to-come_2

 
元々、ウエス・モンゴメリー2世と形容されたベンソン。バップの如く弾きまくるギターは当然。出てくるフレーズもウエス譲りかそれ以上の、ソフト&メロウに唄うが如くのフレーズ。唄いまくるが如く弾きまくるフレーズの雰囲気は「ソフト&メロウなR&B志向」。濃厚なファンクネスを底に漂わせながら、ベンソンはソフト&メロウに弾きまくる。しかし、ベンソンにこれだけの「ソフト&メロウにR&Bに、唄いまくるが如くギターを弾きまくらせた」クリード・テイラーのプロデュース恐るべし、である。

1曲目の「Footin' It」の、切れ味良く、ソフト&メロウにR&Bにグルーヴするギターが、2曲目「Face It Boy, It's Over」での、ソフト&メロウにバップに弾きまくるギターが、最高に「きまって」いる。セベスキー・アレンジのジャズオケは、いかにも「イージー・リスニング・ジャズ志向」だが、ベンソンの流麗でハイテクニックなギター・フレーズには「芯」がしっかり入っていてバップ風。メリハリが聴いていて、ジャズオケの聴き心地の良さに流されることはない。

グルーヴィーなジャズ・ファンクから、R&Bな「ノリの良い」ソウルフルなエレ・ジャズまで、ベンソンは底にファンクネスを湛えつつ、ソフト&メロウに、クール&グルーヴィーに、唄いまくるが如くギターを弾きまくる。地味な存在の盤だが、意外と内容充実の、クロスオーバー&フュージョンを基本とした、イージーリスニング・ジャズの好盤だと思う。
 
 

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2024年3月20日 (水曜日)

第2期RTF 『銀河の輝映』再び

チック・コリアは「リターン・トゥ・フォーエヴァー(Return to Forever・以降、RTFと略)」を結成、それまでのジャズのトレンドを集約し、最先端のコンテンポラリーなメインストリーム志向の純ジャズを実現した。いわゆる「第1期RTF」である。

そして、チックは次の展開として「エレ・ジャズ」を選択。親分マイルスは、ファンクなエレ・ジャズでブイブイ言わせている。チックは「ハードなインスト・ロック」との融合を選択、ロックの象徴であるエレギを導入。ロック色を強めて、バンドのサウンド志向を「ハードなジャズ・ロック」に定める。第2期RTF である。

ハードな演奏内容ではあるが、収録されている演奏の旋律は「キャッチャーでメロディアス」。これがこのバンド独特の個性となって、このチック率いる第2期RTFは、当時最高の部類の「ジャズロック」バンドとして人気を獲得する。その最初の成果が『Hymn of the Seventh Galaxy』(1973年)であった。

Return To Forever『Where Have I Known You Before』(写真左)。邦題『銀河の輝映』。1974年の作品。改めてパーソネルは、Chick Corea (p, key, syn, perc), Al Di Meola (g), Stanley Clarke (b, key, electric chimes), Lenny White (ds, congas, bongos, perc)。ギターが、ビル・コナーズに代わって、アル・ディ・メオラ(以降、ディメオラと略)にチェンジ。「ハードなジャズ・ロック」志向がさらに濃厚になっている。

ジャジーで超絶技巧&正統派な、クロスオーバー&フュージョン志向のギタリストのディメオラに代わったおかげで、ガッチリと硬派でハードで超絶技巧な「クロスオーバー・ジャズ&ジャズ・ロック」な雰囲気濃厚。コナーズの時は、どこか「プログレ的な演奏」が見え隠れしていたが、この盤では、どこから聴いても、ジャズに軸足がしっかり残っている。聴き応えのある、硬派エレ・ジャズの傑作である。
 

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チック御大のキーボードは、それはそれは見事なもの。シンセサイザーの使い方、テクニック、共に最高。とにかく超絶技巧。フェンダー・ローズ、ホーナー・クラヴィネット、ヤマハ・電子オルガン、アープ・オデッセイ、ミニムーグ等々。これだけ、電子キーボードを弾きこなせるジャズ・キーボーダーはいないだろう。

ジョー・ザビヌルもハービー・ハンコックも、もはや敵では無い(笑)。そして、この盤では、アコースティック・ピアノの音色も美しい。ジャズ界最高のマルチ・キーボーダーの面目躍如である。見事である。

第2期RTFの2作目だけあって、スタンリー・クラーク(以降、スタンと略)のベースとレニー・ホワイトのドラム、共に充実したリズム・セクションに仕上がっている。特に、叩きまくるレニー・ホワイトのグルーヴ感は素晴らしい。ホワイトのドラミングが、この第2期RTFの「ハードなジャズ・ロック」志向のグルーヴとなり、推進力となっている。

スタンのエレベも見事。大向こう張って前に出しゃばるのでは無く、バックに回って、しっかりとジャジーなビートを押さえており、このアルバムについて、ジャズ・ロックな雰囲気を濃厚にしている。スタンのエレベが、このアルバムをジャズ・ロックたらしめている。

そんなメンバー4人の個性が結集して、第2期RTFの「ハードなジャズ・ロック」を現出しているのが、ラストの演奏時間14分25秒の大曲「Song to the Pharoah Kings」。聴いていて「仰け反るほど」に素晴らしい。ディメオラの超絶技巧エレギが炸裂し、チックのシンセが唸りを上げる。スタンのエレベはジャジーなビートを繰り出し、ホワイトは独特のジャズ・ロックなグルーヴ感を振り撒きながら叩きまくる。凄まじい第2期RTFの「ハードなジャズ・ロック」。

この第2期RTFの2作目『銀河の輝映』は傑作。アグレッシブなパワー、シャープでスピーディーな展開、超絶技巧なテクニカルさが全編に溢れていて、第2期RTFの音世界、ここに完成、である。
 
 

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2024年3月19日 (火曜日)

未知のジャズ好盤 『Collections』

アート・ペッパーは、僕のお気に入りのアルト・サックス奏者の一人。ジャズを本格的に聴き始めた頃、 『Art Pepper Meets The Rhythm Section』に出会って以来、長年、ずっと「お気に入り」。

最近、当ブログにアルバム評をアップしたリーダー作を、ディスコグラフィーに照らし合わせてチェック。今回、この盤で、ペッパー前期(麻薬禍で収監され活動を停止した時期以前)の盤をほぼ押さえることができた。

Red Norvo, Art Pepper, Joe Morello and Gerry Wiggins『Collections』(写真左)。1957年1月3日、ロスでの録音。Red Norvo (vib), Art Pepper (as,on tracks 2, 5, 7 & 10, ts on track 1), Howard Roberts (g), Gerry Wiggins (p), Ben Tucker (b), Joe Morello (ds)。パーソネルを見渡し、この盤の音を聴けば、基本的に米国西海岸ジャズである。

この盤は一般的には知られていない盤だと思う。が、昔のジャズ本を紐解くと、スイングジャーナル1974年4月臨時増刊『幻の名盤読本』に、この盤の紹介がある。ただし、デイヴ・ブルーベックの相棒、名ドラマーの「ジョー・モレロ」の初リーダー作として、である。

演奏を聴いていて、そうかなあ、と思う。この盤のセッションにはリーダーはいなかったのではないか。演奏者が平等にソロ・パフォーマンスのスペースを与えられていて、演奏の基本は西海岸ジャズ。しっかりアレンジされ、そのアレンジに則った演奏である。モレロのリーダーとしての「音の方向性」の指示の結果とは思えない。
 

Red-norvo-art-pepper-joe-morello-and-ger

 
レッド・ノーボのヴァイブ、ハワード・ロバーツのギター、ジェリー・ウィギンスのピアノ、ベン・タッカーのベース、ジョー・モレロのドラムのクインテットに、アート・ペッパーがサックスでフロント参加、収録全10曲中、5曲に参加するという構成。

クインテットのみの演奏についても溌剌とした、内容充実な西海岸ジャズであるが、5曲のペッパーの参加が、さらにこの盤の演奏内容を充実させている。それほどに、ペッパーのパフォーマンスは充実している。

1曲目のペッパーの自作曲「Tenor Blooz」では、ペッパーはテナー・サックスを吹いている。ペッパーがテナーを吹くのか、とも思うのだが、出てくるフレーズは明らかに「ペッパー節」。ただ、テナーの音程での「ペッパー節」はちょっとうるさく響いて、僕には「トゥー・マッチ」(笑)。張り切っているんでしょうが、ねえ。

しかし、本業のアルト・サックスに持ち替えた残りの参加4曲、「You're Driving Me Crazy」「Pepper Steak」「Yardbird Suite」「Straight Life」では、流麗でユニーク、聴き応えのある、素晴らしいアドリブ・フレーズを展開する。とりわけ、スタンダード曲でのパフォーマンスは秀逸。十八番の「Straight Life」は見事。

「イントロ」というマイナー・レーベルからのリリースで、典型的な西海岸ジャズのジャム・セッション盤だが、ペッパー参加が素晴らしいところから「幻の名盤」して、以前、注目されていた盤。ペッパーのディスコグラフィーにも、リーダー作の範疇に当盤のタイトルが上がっているものが多い。

今回、久々に見つけて聴き直してみたが、「名盤」というほどではないにしろ、内容充実の典型的な西海岸ジャズに、ペッパーのサックスが秀逸。「未知のジャズ好盤」として、鑑賞に十分耐える内容。楽しめました。
 
 

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2024年3月18日 (月曜日)

ドルフィーの本質 『Out There』

エリック・ドルフィーはアルト・サックス奏者。この人の吹くフレーズは、一聴すればすぐに「これは変だ」と感じるはずだ。この「これは変だ」は、ジャズ者初心者の方々のみならず、音楽を趣味で聴く人ならば感じるはず。それだけ、このドルフィーの吹くアルトは「並外れた」個性の塊である。

このドルフィーの「これは変だ」は、オーネット・コールマンの類の「変だ」では無い。オーネットは、従来ジャズの決め事の反対をやることによって、ジャズの中でやってはならないことをやることによって、「フリーなジャズ」として従来ジャズからの解放にチャレンジした。

しかし、ドルフィーは違う。ドルフィーにはちゃんとした「独自の法則や決め事」があって、その「独自の法則や決め事」に従って、調子を外したり、音程を上げ下げしたり、ドロドロとして旋律を展開しているのだ。伝統的な技法をきちんと押さえつつ、どこまで自由にアドリブ・フレーズを展開出来るのか。ドルフィーは、その一点に集中している。

Eric Dolphy 『Out There』(写真左)。1960年8月15日の録音。ちなみにパーソネルは、Eric Dolphy (as, fl, cl, bcl), Ron Carter (vc), George Duvivier (b), Louis Hayes (ds)。ドルフィー、2枚目のリーダー作。旋律楽器が全く無い、ピアノレスでドルフィーのワン・ホーンの変則カルテット。バックのリズム隊は、デュヴィヴィエのベースとロンのチェロ、ロイ・へインズのドラム。

この2枚目のリーダー作は「伝統の範囲内」での「従来ジャズの法則や決め事」に乗っ取ったドルフィーを捉えた記録。「伝統の範囲内」での「従来ジャズの法則や決め事」は、ドルフィー独自のモード・ジャズの解釈として捉えている。

ドルフィーのジャズは、常人に理解できる「伝統の範囲内」での「従来ジャズの法則や決め事」に乗っ取った、ドルフィー独自のモード・ジャズの解釈に則ったジャズである。
 

Eric-dolphy-out-there

 
モード・ジャズが基本とは言え、マイルスのモード・ジャズの解釈とは「志向」が異なる。マイルスは、モードでより自由な即興演奏を可能にし、よりクールでヒップな「聴衆に訴求する演奏」を志向し実現したが、ドルフィーは、モード奏法の特徴を最大限に活用して、即興演奏の可能性を大きく広げ、それまでに無い即興フレーズを生み出すことを志向していた様に思う。

この盤では、そんなドルフィーの「モード奏法の特徴を最大限に活用して、即興演奏の可能性を大きく広げ、それまでに無い即興フレーズを生み出す」パフォーマンスが大きくクローズアップされている。旋律楽器が一つも無いこともそのドルフィーの「志向」に沿ったパーソネルだと理解している。

加えて、ドルフィー自ら、バスクラを吹き、フルートを吹くのも、そんなドルフィーの「志向」に則った、楽器による「即興演奏による自由度の獲得」なんだと思ったりする。事実、この盤では、ドルフィーは、バスクラについても、フルートについても、本業のアルト・サックスとは全く異なった即興演奏のアプローチと響きを獲得している。

この盤でのドルフィーは「前衛的」では全く無い。というか、元々ドルフィーは「前衛的」では無い。ドルフィーは、「伝統の範囲内」での「従来ジャズの法則や決め事」に乗っ取って「モード奏法の特徴を最大限に活用して、即興演奏の可能性を大きく広げ、それまでに無い即興フレーズを生み出す」ことに注力している。

その成果が、今までに聴いたことの無い、調子を外したり、音程を上げ下げしたり、ドロドロとして旋律だったりするので「前衛的」と勘違いするだけなのだ。

今一度、「前衛的」の定義の一つを。「常人には理解し難い、過激さや難解さ、奇抜さなどがあるものを表現する際に用いられる」。これは、オーネットのフリー・ジャズ、コルトレーンのフリー・ジャズには当てはまるが、「伝統の範囲内」での「従来ジャズの法則や決め事」に乗っ取ったドルフィーには当てはまらない。
 
 

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2024年3月17日 (日曜日)

凄まじいディメオラの初ライヴ盤

久しぶりに「アル・ディ・メオラ(以降、ディメオラ)」である。最たる超絶技巧ジャズ・ギタリスト。1974年にチック・コリア率いる「リターン・トゥ・フォーエヴァー」に参加、そして、リターン・トゥ・フォーエヴァーが 1976年に事実上の解散。ディメオラはソロ活動に入り、1976年に初リーダー作をリリース。以降、クロスオーバー&フュージョン・シーンのど真ん中で活躍を続けている。

Al Di Meola『Tour De Force』(写真左)。1982年2月4日、フィラデルフィアの「Tower Theatre」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Al Di Meola (g), Jan Hammer (key), Victor Godsey (key), Philippe Saisse (additional key), Anthony Jackson (el-b), Steve Gadd (ds, perc), Mingo Lewis (perc), Sammy Figueroa (additional perc)。ディメオラ、初のライヴ・アルバムになる。

収録曲が魅力。「Elegant Gypsy Suite」「Egyptian Danza」「Race with Devil on Spanish Highway」といった、1970年台のディメオラのリーダー作の中からの人気曲、そして「Nena」は新曲、加えて、キーボードでバンドに参加しているヤン・ハマー作の2曲「Advantage」と「Cruisin」。どれもが良曲揃いで、ディメオラのラテン志向の超絶技巧ギターが映えに映える。
 

Al-di-meolatour-de-force

 
というか、ディメオラはもちろん、バンドに参加したメンバー全員が超絶技巧のテクニックを駆使して、かっ飛んだ、疾走感&爽快感抜群の、適度に尖ったクロスオーバー&フュージョン・ジャズを聴かせてくれる。凄く密度のある、凄まじいテクニック、凄まじいインプロの嵐。お互いがお互いに挑みかかるインタープレイの応酬。これがジャズかいな、と思うが、これもジャズ。これだけ尖ったハイテクニックのインプロは、ロックにも見当たらない。

バックのリズム隊も凄い。フロントがディメオラなので、相当な力量を備えたリズム隊でないと、太刀打ちできず、吹っ飛ばされてしまう懸念があるのだが、このメンバーは大丈夫。ガッドの縦ノリ・ドラム、ジャクソンのブンブン・エレベ、ハマーの攻撃的な切れ味の良いエレピ&シンセ。バックのリズム隊が束になって、最たる超絶技巧ジャズ・ギタリスト、ディメオラを支え、時に対峙する。この緊張感がたまらない。

LP時代のライヴ盤なので、収録曲がちょっと少ないのと、全体の収録時間が短いのが不満と言えば不満かな。この日のライヴ音源のコンプリート盤を出して欲しいですね。それほど、収録されたライヴの内容は凄まじく素晴らしい。屈指のクロスオーバー&フュージョン志向のジャズ・ギターが主役のライヴ盤です。クロスオーバー&フュージョン者の方々には是非、お勧めの好ライヴ盤です。
 
 

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2024年3月16日 (土曜日)

異色のドルフィーの 『Caribe』

アルト・サックスの早逝の鬼才、エリック・ドルフィーは独特のモード〜フリー〜アブストラクトなジャズが個性。どこから聴いても、ワン〜ツゥー・フレーズで「これはドルフィー」と判るほどの強烈な個性的ブロウ。そんなドルフィー、単独、もしくはコルトレーンとの共演は理解できるとして、ラテン・ジャズ系のアルバムにも手を染めているのが面白い。

The Latin Jazz Quintet + Eric Dolphy 『Caribe』(写真左)。1960年8月19日の録音。ちなみにパーソネルは、Eric Dolphy (as, fl b-cl), Juan Amalbert (congas), Gene Casey (p), Charlie Simons (vib), Bill Ellington (b), Manny Ramos (ds, timbales)。マルチリード奏者のドルフィーがプレステッジ・レーベルに残したラテン・ジャズ志向のアルバム。パーソネルを見渡せば、フロントがドルフィーのワン・ホーン。

独特のモード〜フリー〜アブストラクトなブロウが個性のドルフィーが、ラテン・ジャズをやる、なんて、どうも信じ難い話。日々の生活費に困って、レーベルの要請に乗って、やむなくやったのかなあ、なんて想像するのだが、実際にこの盤を聴いてみると、意外と真面目に、意外と喜々として、ラテンのリズムに乗って、アルト・サックスを吹き上げているのだから、ちょっと面食らう。
 

The-latin-jazzquinteteric-dolphycaribe

 
ラテン・ジャズ・クインテットにドルフィーが参加した形でのセッションだが、ドルフィーは基本的にノーマルな吹奏がメイン。ドルフィー単独のリーダー作では、ユニークに捻れ、フリーに飛び、モードに戻ったかと思えば、アブストラクトに展開する、という自由闊達な吹奏は極力抑えて、ラテンのリズム&ビートに乗った正統派アルト・サックスな吹奏は、不思議なことに、これはこれで良い感じ。

俗っぽくて大衆受けのする、ちょっと気恥ずかしくなるようなフレーズやリズムが満載のラテン・ジャズが多い中、正統派なアルト・サックスで、切れ味の良いブリリアントなアルト・サックスを吹き上げる傍ら、時々、思い出したように捻れフリーに飛び、モードに走ってアブストラクトに揺れる、先進的なドルフィーのフレーズが、ラテン・ジャズ志向の俗っぽさを払拭している。

ドルフィーが単独でフロントに立っているおかげで、通常のありきたりなラテン・ジャズになっていないところが良い。まあ、異色と言えば異色、ミスマッチといえばミスマッチなドルフィーのラテン・ジャズだが、あのプレスティッジ・レーベルの仕業ゆえ、ユニークな組み合わせで、いつもとは違った顔を見せるドルフィーが聴ける、ということで、前向きに捉え評価すべき企画盤だろう。基本的にノーマルな吹奏がメインのドルフィーが堪能出来る。
 
 

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2024年3月15日 (金曜日)

大作名盤 『The 2nd Crusade』

クールでアーバン、ソフトでメロウなフュージョン・ファンク集団「クルセイダーズ」。1971年作品の『Pass the Plate』で、それまでのグループ名だった「ジャズ・クルセイダーズ」からジャズを取って、「クルセイダーズ」というシンプルなグループ名に。それまでのジャズ濃厚ファンクから、ジャズから少し距離を置きつつ、クロスオーバー&フュージョン志向な音作りに変化していった。

The Crusaders 『The 2nd Crusade』(写真左)。1973年の作品。ちなみにパーソネルは、Wilton Felder (ts, b), Joe Sample (key), Wayne Henderson (tb), Stix Hooper (ds)。ゲストが、Larry Carlton (g), Arthur Adams (g), David T. Walker (g) のギタリスト3名。

クルセイダーズと改名して以降、『Pass the Plate』(1971年)), 『Hollywood』(1972年), 『Crusaders 1』( 1972年)とリリースしてきて、この『The 2nd Crusade』は、クルセイダーズ名義で4枚目の作品。『Hollywood』で確立し『Crusaders 1』で成熟させた、そんな米国南部のゴスペルチックで、こってこてファンキーで泥臭いグルーヴを纏った「クルセイダーズ・サウンド」を大々的に展開している。
 

The-crusadersthe-2nd-crusade  

 
なんとこのアルバムはLP時代では2枚組の大作。クルセイダーズと改名して以降、ライヴ活動も積極的に行い、メンバー全員、サイドマンとしても活躍、やっと知名度も人気も上がりつつあった頃のアルバムである。とりわけこの盤では、ソフト&メロウな側面を削って、クールでアーバン、シリアスでハードな、クロスオーバー&フュージョン・ファンクを展開している。

フリーやモードの影響が顔を出したり、ゲスト参加のギターも意外とヘビーで、サイケデリックな雰囲気もユニークで、後のクールでアーバン、ソフトでメロウなフュージョン・ファンクがメインのクルセイダーズと同一とは思えない、とにかく演奏内容は意外と「硬派」。ソリッドでソウルフルなリズム&ビートを基本に、こってこてファンキーで泥臭いグルーヴが実に芳しい。

まだまだソフト&メロウには傾倒しない、真摯で硬派なクルセイダーズがこの盤に溢れている。メンバー各々、担当楽器でクルセイダーズ独特のグルーヴを叩き出していて、バンド全体のうねるようなグルーヴがとにかく心地良い。クルセイダーズ初期の名盤の一枚でしょう。
 
 

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2024年3月14日 (木曜日)

テナーの名盤 『The Little Giant』

Johnny Griffin 『The Little Giant』(写真左)。1959年8月4, 5日の録音。リヴァーサイド・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Johnny Griffin (ts), Blue Mitchell (tp), Julian Priester (tb), Wynton Kelly (p), Sam Jones (b), Albert "Tootie" Heath (ds)。

リーダーのグリフィンのテナー、ミッチェルのトランペット、プリースターのトロンボーンの3管フロント、ケリー、ジョーンズ、ヒースの「ごきげん」リズム隊のセクステット編成。ジャケがとっても格好良し。

身長170センチという小柄な体型にも関わらず、骨太で悠然とした音、超絶技巧なテクニックで、高速フレーズを吹き上げることから付いたニックネームが「リトル・ジャイアント」。そのニックネームをそのまま、アルバムタイトルにした、ジョニー・グリフィン初期の名盤。

前作『Way Out!』では、グリフィンのテナー1管のワン・ホーン・カルテットで、グリフィンのテナーの個性が堪能できた訳だが、今回の『The Little Giant』では、トランペットとトロンボーンを従えた重厚な3管フロント。グリフィンのテナーが3管に溶け込むかと思いきや、音が大きくてブリリアントな分、3管フロントの中でもしっかりと目立っているからさすが「リトル・ジャイアント」である。

大きな音、切れ味の良いブリリアントなグリフィンのテナーに、高音域担当のトランペット、低音域担当のトロンボーンが絡んで、実に魅力的で重厚なユニゾン&ハーモニーが見事。アドリブ部についても、3つの音域の管楽器が入れ替わり立ち替わりアドリブに入るので、メリハリがあってバラエティーに富んでいて、聴き応えが十分。
 

Johnny-griffinthe-little-giant

 
当然、グリフィンのテナーは絶好調。トランペットとトロンボーンの2管を従えている分、いつも以上に力強く全力で大きな音で、グリフィン節をブイブイ言わせている。渋い、玄人好みのスタンダード曲中心の選曲の中、テクニック十分、歌心溢れる、スケールが大きいブロウを展開する。存在感抜群、素晴らしいテナーである。

ミッチェルのファンキー・トランペットが活き活きしている。グリフィンとの絡みも良好。グリフォンのテナーにファンクネスな雰囲気を供給する殊勲のトランペット。プリースターのトロンボーンの中低音が良い。3管フロントのユニゾン&ハーモニーの「底」をガッチリと押さえる、縁の下の力持ち的トロンボーン。

グリフィンの好調のテナーをはじめとする3管フロントをしっかりと支えているのが、ケリー、ジョーンズ、ヒースの「ごきげん」リズム隊。ケリーのハッピー・スインガーでファンキーなピアノ、重心の低い、演奏の底を押さえたサム・ジョーンズのベース、バンドのリズム&ビートを堅実にキープし、バンドのパフォーマンスを鼓舞するヒースのドラム。上質のハードバップを湛えた、「ごきげん」なリズム隊。

雑誌やジャズ盤紹介本などで、その扱いが小さく、ロリンズ、コルトレーンびいきの我が国のジャズ・シーンの中では、知名度の低い、人気イマイチのテナー奏者だが、この盤や前作『Way Out!』を聴けば判る、ロリンズやコルトレーンに負けずとも劣らない、魅力十分のテナー・タイタンである。
 
 

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2024年3月13日 (水曜日)

魅力のグリフィン 『Way Out!』

身長170センチという小柄な体型にも関わらず、骨太で悠然とした音、超絶技巧なテクニックで、高速フレーズを吹き上げることから付いたニックネームが「リトル・ジャイアント」。繊細な表現にも優れ、バラードを吹かせれば天下一品。そんなサックス奏者が「ジョニー・グリフィン(Johnny Griffin)」。

Johnny Griffin 『Way Out!』(写真左)。1958年2月26–27日の録音。Riversideレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Johnny Griffin (ts), Kenny Drew (p), Wilbur Ware (b), Philly Joe Jones (ds)。リーダーのジョニー・グリフィンのテナーが1管フロントの「ワンホーン・カルテット」編成。

グリフィン30歳の時の録音。デビュー当時は荒削りなところも合って、その荒削りで豪快なブロウが魅力だったグリフィン。この盤では荒削りなところが円熟味に変わって、豪快だが硬軟自在&緩急自在の骨太なブロウが最大の聴きどころとなっている。初リーダー作が28歳の時だったので、2年間で急速に成長したことになる。そんなグリフィンの歌心溢れる、魅力的なブロウが堪能できる。
 

Johnny-griffin-way-out

 
グリフィンのテナーは、超絶技巧なテクニックを持ちながら、それをひけらかすことなく、ミドル・テンポの余裕のある落ち着いた吹き回しが個性。実に奥ゆかしい。本当にテナーをテナーらしく鳴らす、とでも表現したら良いだろうか。グリフィンのテナーは音が良い。それでも、4曲目の「Cherokee」ではスピード感のある吹き回しで「ブイブイ」言わせている。

バックのリズム・セクションの音も良い。ドリューが重心の低い、黒くファンキーなピアノを弾き回す。重厚なタッチで、グリフィンの豪快テナーに負けずに、ガンガンにサポートし鼓舞する。フリージョーのドラミングもグリフィンのテナーの個性に合った叩き回しで、いかにもハードバップな雰囲気を濃厚に醸し出している。そして、そんな典型的なハードバップな演奏に「新しい何か」を付加しているのが、ウエアの「ちょっと新しい響きとフレーズ」を宿したベース。

典型的なハードバップだが、グリフィンのテナーの吹き回しと、リズム隊の新鮮なサポートと相まって、「どこか新しい」響きのするハードバップ演奏が展開されている。とても良くまとまったハードバップ盤。しかし、近代的建造物をあしらった意味不明のジャケが良くないのか、我が国ではあまりこの盤は話題に上がらない。実に惜しいことで、この盤、再評価されて然るべき、ハードバップの好盤の一枚である。
 
 

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2024年3月12日 (火曜日)

サウンドの確立 『Hollywood』

ジャズ・クルセイダーズから「ジャズ」を外して、クロスオーバー&フュージョン志向へ、バンド・サウンドの方向性の舵を切ったクルセイダーズ。

クルセイダーズとなって初のアルバム『Pass the Plate』では、試行錯誤が見え隠れして、クルセイダーズ・サウンドの確立は今一歩だったが、次作のこの盤では、そんな迷いを断ち切った、クルセイダーズ・サウンドの確立が感じ取れる。

The Crusaders 『Hollywood』(写真)。1972年の作品。ちなみにパーソネルは、Wilton Felder (ts, el-b), Wayne Henderson (tb), Joe Sample (key), Reggie Johnson (ac-b), "Stix" Hooper (ds) 以上が「クルセイダーズ」。ゲストに、Arthur Adams (g), David T. Walker (g), Chuck Rainey (b), Reggie Johnson (b)。

全編に渡って、クルセイダーズの音世界が溢れている。前作の『Pass the Plate』で見え隠れしていた、ジャズ・ロック志向への試行錯誤はこの盤には無い。

ライトでアーバンで洒落たファンクネス、キャッチャーで心地良いフレーズを吹き上げるブラスのフロント管。ソフト&メロウでグルーヴィーなキーボードがムーディーな雰囲気を醸し出し、リズム隊がクルセイダーズ独特のリズム&ビートを叩き出す。
 

The-crusadershollywood

 
後の人気グループ「クルセイダーズ」の音がこの盤で確立している。ただし、まだ洗練される前、米国南部のゴスペルチックで、こってこてファンキーで泥臭いグルーヴがバンド・サウンドの礎で、この米国南部志向のソウルフルなグルーヴが、この「クルセイダーズ・グルーヴ」が、なんともはや心地良い。

この独特の「クルセイダーズ・グルーヴ」は、キーボードとギターによるもの。この盤は、クルセイダーズが本格的にギターを加えた最初の作品で、このギターの加入が、クルセイダーズの音世界を確立させたと言える。

ギターは、デヴィティーとアダムス。ワウワウを駆使したファンキーに粘るフレーズ、小粋なカッティングによるファンキーな切れ味良いビート、印象的でソウルフルなリフ、これらが、サンプルのソフト&メロウでグルーヴィーなキーボードと絡んで、独特のソウルフルなグルーヴを生み出している。これが「クルセイダーズ・グルーヴ」の礎になっているのだ。

この盤では、ソウル、R&B、ブラス・ロックなどの音要素を融合、クロスオーバー志向のジャズ・ロックをベースとして、米国南部のゴスペルチックで、こってこてファンキーで泥臭いグルーヴを纏った「クルセイダーズ・サウンド」が確立している。

この盤以降、しばらくは、この米国南部のゴスペルチックで、こってこてファンキーで泥臭いグルーヴを纏った「クルセイダーズ・サウンド」で数々の好盤を生み出していくことになる。
 
 

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2024年3月11日 (月曜日)

音の確立前夜 『Pass the Plate』

1970年代、フュージョン・ジャズの中で一世を風靡したジャズ・ファンクなバンドが「クルセイダーズ(The Crusaders)」。ポップでファンキーなフュージョン・ジャズが素敵なバンドで、僕の大好きなフュージョン・バンドの一つである。

The Crusaders『Pass the Plate』(写真左)。1971年の作品。ちなみにパーソネルは、Stix Hooper (ds), Arthur Adams (g), Joe Sample (key), Wilton Felder (sax), Wayne Henderson (tb)。ジャズ・クルセイダーズからクルセイダーズ名義に変わった最初の盤。

内容的には、クルセイダーズの音の確立一歩手前という感じ。15分にも及ぶ組曲をやったり、4ビートの曲もあったりで、ところどころ、試行錯誤の部分が見え隠れしている。何となく、初期「シカゴ」のブラス・ロックを意識してるのかな、なんて思ったり。ソウル・ジャズからフュージョン・ファンクへの過渡期で、バンドの音志向を模索している感じ。
 

The-crusaderspass-the-plate  

 
それでも、ブラスのユニゾン&ハーモニーは、こってこてファンキーでソウルフル。音の重ね方などは、既に「クルセイダーズ」節になっていてヒップでクール。LP時代のA面は組曲風の試行錯誤だが、B面は「クルセイダーズの音の確立一歩手前」の素敵なフュージョン・ファンクが展開している。

「Listen And You'll See」は疾走感溢れるフュージョン・ファンク。4ビートと16ビートの使い分けなど、フーパーのドラミング・センスが際立つ。「Greasy Spoon」では、サンプルのエレピのグルーヴが心地良い。サンプルのエレピのグルーヴは、既にクルセイダーズのグルーヴになっている。

演奏スタイルと個人技に走る純ジャズではない、グループ・サウンズの基本とした、ソウルやR&Bの音要素を取り込んだ、「クルセイダーズ」流フュージョン・ファンクのグルーヴがこの盤に溢れている。「クルセイダーズの音の確立一歩手前」の素敵なフュージョン・ファンク。あとは、クルセイダーズならではの「音世界の確立と統一」。それは次作で実現する。
 
 

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2024年3月10日 (日曜日)

成熟&極上の Fourplay 『4』

フュージョン・ジャズの世界では、伝説的な人気グループが多くある。パッと頭に浮かんだだけでも、「スタッフ」「ジェントル・ソウツ」「クルセイダーズ」「ブレッカー・ブラザーズ」「ステップス・アヘッド」「スパイロ・ジャイラ」「イエロージャケッツ」など、個性溢れるバカテク集団がずらり。そして、僕が愛してやまないのが「フォープレイ」。

Fourplay『4』(写真左)。1998年の作品。ちなみにパーソネルは、Bob James (p, key, program), Larry Carlton (g), Nathan East (b, vo), Harvey Mason (ds)。ギター担当がリー・リトナーから、ラリー・カールトンの代わった最初のアルバム。フォープレイとしては、通算4枚目のスタジオ録音盤。

この「フォープレイ」は、フュージョン・シーンのレジェンド級の名うてのトップ・プレイヤー4人が集結したスーパー・グループ。管楽器は無く、ギター、キーボード、ベース、ドラムの「ギター・カルテット」。

フロントはギター、キーボードが担当する。メンバー4人とも、実績十分、貫禄十分、人気十分、テクニック十分。そんな4人がガッチリとグループを組んで奏でる、極上のソフト&メロウなフュージョン・ミュージック。

この盤は、ギターがリトナーからカールトンに代わった最初の盤。カールトンのギターがソウルフルでブルージーな分、大人のフュージョンというイメージがより強くなっている。カールトンのギターの個性に合わせているのか、全体的には、ミドルからスローなテンポがメイン。これが、極上のソフト&メロウでブルージーなグルーヴを醸し出している。

このカールトンのギターが良い。バンド・サウンドの中にしっかり溶け込むカールトンのギター。カールトン入りのフォープレイの音の雰囲気をしっかりと決定づけている。
 

Fourplay4

 
ボブ・ジェームスのキーボードが良い。カールトンに寄り添う様に鼓舞する様にソフト&メロウに、時に切れ味よくシャープに乱舞する。ボブ・ジェームスはアコピにエレピに八面六臂の大活躍。マイルドでメロウなキーボード・ワークだが、押さえるべきところは、しっかりとメリハリあるフレーズで押さえているところはさすが。

ネイザン・イーストのエレベが良い。ゴリっと鋼質な粘りのあるベース音。ソフト&メロウな雰囲気の演奏全体を引き締めている。特に、演奏のビートの底をしっかりと支えているベース・ワークは極上の職人芸。

そして、ハービー・メイソンのドラムが良い。バンド全体のリズム&ビートの要。演奏全体の調子、雰囲気を柔軟にコントロールする。抑制の効いた、変幻自在、硬軟自在なドラミングは「大人のドラミング」。叩きまくるだけがドラムでは無い。味のある小粋なドラミングはメイソンならでは、である。

とりわけ、3曲目のマーヴィン・ゲイの名曲「Sexual Healing」は、R&Bっぽい、黒いソウルフルなサウンドが特徴的。カールトンのギターの個性にぴったりの雰囲気で、仄かにファンクネス漂うボブ・ジェームスのキーボードがこの曲のアレンジにバッチリ合う。この演奏はカールトンの参加ならではの選曲&演奏だろう。

全体に淡い霞がかかった様な、淡く広がる様な、奥行きのあるサウンド。それでいて、リズム&ビートはしっかりと効いていて、ブルージーなグルーヴ感が濃厚、ゆったりとしたオフビートが「立って」いる。

よりマイルドな、よりソフト&メロウな「成熟した大人のフュージョン」な作品に仕上がっている。フュージョン・ジャズの最高峰に位置する、極上のパフォーマンス。好盤です。
 
 

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2024年3月 9日 (土曜日)

Genius of Modern Music Vol.2

セロニアス・モンク(Thelonious Monk)。モダン・ジャズの最高の才能、最高の奇才。モンクのピアノは強烈な個性。スクエアにスイングし、フレーズは幾何学的に飛ぶ。クラシック・ピアノの正反対の「音」。クラシック・ピアノの影響は微塵も無い。ジャズから生まれた、ジャズの最高の個性。

Thelonious Monk 『Genius of Modern Music Vol.2』(写真左)。録音日とパーソネル、演奏曲は以下の通り。

1947年10月15日は、Thelonious Monk (p), Idrees Sulieman (tp), Danny Quebec West (as), Billy Smith (ts), Gene Ramey (b), Art Blakey (ds)。演奏曲は、5曲目「Suburban Eyes」、6曲目「Evonce」。

1947年10月24日は、Thelonious Monk (p), Gene Ramey (b), Art Blakey (ds)。演奏曲は、9曲目「Nice Work」。

1947年11月21日は、Thelonious Monk (p), George Taitt (tp), Sahib Shihab (as), Robert Paige (b), Art Blakey (ds)。演奏曲は、10曲目「Monk's Mood」、11曲目「Who Knows」。

1951年7月23日は、Thelonious Monk (p), Sahib Shihab (as, except "Ask Me Now"). Milt Jackson (vib, except "Ask Me Now"), Al McKibbon (b), Art Blakey (ds)。演奏曲は、7曲目「Straight No Chaser」、8曲目「Four In One」、12曲目「Ask Me Now」。

1952年5月30日は、Thelonious Monk (p), Kenny Dorham (tp), Lou Donaldson (as), Lucky Thompson (ts), Nelson Boyd (b), Max Roach (ds)。1曲目「Carolina Moon」、2曲目「Hornin' In」、3曲目「Skippy」、4曲目「Let's Cool One」。
 

Monk-genius-of-modern-music-vol2

 
Vol .1に続いて、こちらは、5つのセッションからの曲の寄せ集め、しかも、大体がクオリティの落ちがちな「Vol.2」。今度こそ、統一感とかトーンの整合性とか、全く無視しているんじゃないか、と思うんだが、この「Vol.2」も、アルバム全体に統一感がバッチリ、演奏のトーンや内容も違和感は全く無い。

Vol.1と同様に、モンクのピアノの突出した個性、モンク独特のアレンジが、アルバム全体の統一感、演奏のトーンや内容を決定づけている。モンクの強烈個性のピアノとアレンジだけが、演奏の全面に出てきて、他の演奏者の音や個性に、アルバム全体の統一感、演奏のトーンや内容が影響されることが全く無い。

この「Vol.2」は、Vol .1と同様、収録曲はモンクの自作曲、モンク独特のアレンジで統一されている。曲名を見渡すと、Vol .1に比べるとマイナーな曲が多くなっているが、それでも「Monk's Mood」「Straight No Chaser」など、最終的にはスタンダード曲化する、モンクの自作曲の中でも特に有名となる曲も散見される。

マイナーな曲が多いとはいえ、そこは「モンクの自作曲」、ちょっと不思議なフレーズ、幾何学的に飛ぶ音、耳あたりの良い不協和音、不規則に現れる絶妙な間、がどの曲にも反映されていて、モンクの有名曲とマイナーな曲との間に相違点は無いし、一緒に収録されていても違和感が全く無い。どころか、確固たる「統一感」を醸し出している。

「Vol.2」は、Vol .1と同様、演奏の形態は、1曲の収録時間が3分前後の「ビ・バップ」ライクなもの。モンクの数々の難曲は、セッションに参加した演奏者からすると、アドリブを取りやすい、アドリブを取ると楽しい、らしく、皆、嬉々として演奏している。「Vol.2」は結構、無名なジャズマンも多数参加しているが、演奏全体の内容はどの曲も充実している。思わず目を見張る。

ブルーノートの1511番。この「Vol.2」も,Vol .1と同様、、モンク・ミュージックのショーケースの様な内容のアルバム。この「Vol.2」でも、モンクは明確な力強い尖ったタッチで、スクエアにスイングし、フレーズを幾何学的に飛ばしつつ、セッション・メンバーと一期一会の即興演奏を繰り広げている。この盤もモダン・ジャズの「永遠の名盤」である。
 
 

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2024年3月 8日 (金曜日)

Genius of Modern Music Vol.1

セロニアス・モンク(Thelonious Monk)。モダン・ジャズの最高の才能、最高の奇才。モンクのピアノは強烈な個性。スクエアにスイングし、フレーズは幾何学的に飛ぶ。クラシック・ピアノの正反対の「音」。クラシック・ピアノの影響は微塵も無い。ジャズから生まれた、ジャズの最高の個性。

Thelonious Monk 『Genius of Modern Music Vol.1』(写真左)。録音日とパーソネル、演奏曲は以下の通り。

1947年10月15日は、Thelonious Monk (p), Idrees Sulieman (tp), Danny Quebec West (as), Billy Smith (ts), Gene Ramey (b), Art Blakey (ds)。演奏曲は、7曲目「Thelonious」、12曲目 「Humph」。

1947年10月24日は、Thelonious Monk (p), Gene Ramey (b), Art Blakey (ds)。演奏曲は、2曲目「Off Minor」、3曲目「Ruby My Dear」、5曲目「April In Paris」、10曲目「Well You Needn't」、11曲目「Introspection」。

1947年11月21日は、Thelonious Monk (p), George Taitt (tp), Sahib Shihab (as), Bob Paige (b), Art Blakey (ds)。演奏曲は、1曲目「 'Round About Midnight」、6曲目「 In Walked Bud」。

1948年7月2日は、Milt Jackson (vib), Thelonious Monk (p), John Simmons (b), Shadow Wilson (ds)。演奏曲は、4曲目「I Mean You」、8曲目「Epistrophy」、9曲目「Misterioso」。
 

Thelonious-monk-genius-of-modern-music-v
 

何だか、4つのセッションからの曲の寄せ集めで、統一感とかトーンの整合性とか、全く無視している様に見えるが、聴いてみると判るが、アルバム全体に統一感がバッチリ、演奏のトーンや内容も違和感は全く無い。

モンクのピアノの個性が突出していて、このモンクの強烈個性のピアノだけが、アルバム全体の統一感、演奏のトーンや内容を決定づけている。フロント楽器やベースやドラムのリズム隊の音や個性に、アルバム全体の統一感、演奏のトーンや内容が影響されることが全く無い。

加えて、収録曲はモンクの自作曲で統一され、モンク独特のアレンジで統一されていて、アルバム全体の統一感、演奏のトーンや内容を決定づけている重要な要素になっている。収録された自作曲を見渡すと、後のミュージシャンズ・チューンとなって、最終的にはスタンダード曲化する、モンクの自作曲の中でも特に有名となる曲が軒並みチョイスされている。

演奏の形態は、1曲の収録時間が3分前後の「ビ・バップ」ライクなもの。モンクのちょっと不思議なフレーズを持つ自作曲で「ビ・バップ」が出来るのか、と懸念を抱くのだが、意外とモンクの曲は、ジャズマンにとってアドリブを取りやすい、アドリブを取ると楽しいみたいで、モンクのちょっと不思議なフレーズを持つ自作曲を皆、嬉々として演奏している。そう、演奏全体の内容はどの曲も充実しているのが凄い。

ブルーノートの1510番。モンク・ミュージックのショーケースの様な内容のアルバム。このモダン・ジャズの最高の才能、最高の奇才を見出し、アルバムを制作させた、ブルーノート・レーベルの総帥プロデューサーのアルフレッド・ライオンの慧眼の凄さに敬服する。この盤はモダン・ジャズの「永遠の名盤」である。
 
 

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2024年3月 7日 (木曜日)

ダブル・ドラムの優秀な企画盤

ジャズ・ドラムというのは、意外と「個性の塊」である。フロント管を交えたバンド演奏の中で、リズム&ビートを供給する役割のドラム。リズム&ビートを供給するだけ、と思いがちなので、ドラムには個性は必要無い、と言われそうなんだが、それは「違う」。

ドラミングの個性によって、演奏の雰囲気は変わるし、演奏全体のトーンによって、ドラミングの質は変わる。ジャズにおいては、ドラミングは演奏の雰囲気やトーンを決定づける重要な役割を担っている。ゆえに、ドラミングのテクニックは高度なものが要求されるし、そのドラマーならではの個性や特徴は当然、要求される。

Elvin Jones and Philly Joe Jones『Together!』(写真左)。1961年2月2日の録音。ちなみにパーソネルは、Elvin Jones (ds), Philly Joe Jones (ds), Blue Mitchell (tp), Curtis Fuller (tb), Hank Mobley (ts), Wynton Kelly (p), Paul Chambers (b)。

ハードバップど真ん中なバップ・ドラムの第一人者、フィリー・ジョー・ジョーンズ(フィリージョー)と、新しい響きを宿した・バップ・ドラムの第一人者、エルヴィン・ジョーンズのダブル・ドラム、ダブル・リーダーの企画盤。

フロントに、ミッチェルのトランペット、フラーのトロンボーン、モブレーのテナーの3管を配して、ダブル・ドラムの重厚な布陣。個性溢れるジャズ・ドラマーの代表する2人がリズム&ビートを担うので、フロント3管くらいの重厚なアンサンブルで十分にバランスが取れる。
 

Elvin-jones-and-philly-joe-jonestogether  

 
二人のドラマーが主役なんだが、この二人の個性溢れるドラミングが素晴らしい。典型的なハードバップ・ドラムな、ダイナミックで切れ味の良いフィリージョー、少しラフで印象的なオフビートで今までに無い叩きっぷりのエルヴィン、どちらのドラミングも素晴らしいの一言。これぞ、ハードバップなドラミングという個性を遺憾無く発揮していて、聴き応えがある。

これだけ優れたドラミングに鼓舞されるのである。フロント3管は好調に吹きまくる。ミッチェルもフラーも良いが、特に、モブレーが好調。このセッションでのモブレーのテナーは「当たり」である。覇気溢れるエネルギッシュな吹奏で聴き応え満点。

加えて、これだけ優れたドラミングが様々なニュアンスのリズム&ビートを繰り出すのである。ピアノ、ベースのリズム隊も健闘に次ぐ健闘。ハッピー・スインガーなケリーのピアノは、翳りを封印し、ファンクネス溢れる明快なタッチの弾き回しでドラムに調子を合わせ、ポルチェンのしなやかでソリッドなベースが、リズム・セクションの「底」をガッチリ支える。

演奏全体の雰囲気は、明確に「絵に描いた様なハードバップ」。ドラムが優れていると、ちゃんとこう言った優れたハードバップな演奏が展開されるという好例。ダブル・ドラムの効果も十分出て、重厚なアンサンブルは聴いていて気持ちがスッとする。良い企画盤です。ジャケ・デザインはイマイチだけど(笑)。
 
 

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2024年3月 6日 (水曜日)

好盤、Elvin Jones 『Elvin!』

僕は長年、この盤がエルヴィン・ジョーンズの初リーダー作だと思っていた。この盤より先に『Keepin' Up with the Joneses』で、The Jones Brothers名義で、エルヴィンが共同リーダーとして、初リーダー作をリリースしていたのを知ったのは、21世紀に入ってから。

ただし、この盤はエルヴィンの単独リーダー名義で、エルヴィンのドラムが全面に出ていて、エルヴィンのドラミングが堪能できる内容なので、こちらが初リーダー作としても良いくらいだ。

Elvin Jones『Elvin!』(写真左)。1961年7月11日, 1961年12月27日, 1962年1月3日の録音。リヴァーサイド・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、 Thad Jones (cor), Frank Wess (fl), Frank Foster (ts), Hank Jones (p), Art Davis (b), Elvin Jones (ds)。

サドのコルネット、ウエスのフルート、フォスターのテナーのフロント3管、ハンクのピアノ、デイヴィスのベース、エルヴィンのドラムのリズム隊、総勢6名のセクステット編成。サド、ハンク、エルヴィンの「ジョーンズ3兄弟」揃い踏み。この盤はエルヴィンがリーダー。ジョーンズ3兄弟プラス3の重厚な6人編成。録音日は3つに跨った「寄せ集め」盤の様に見える。

が、セクステットのメンバーは変わらないので、3セッションに跨った選曲だが、演奏内容に違和感は無いし、トーンはしっかり合っている。この辺は、リヴァーサイド・レーベルのプロデュースの優れたところだろう。
 

Elvin-joneselvin  

 
冒頭「Lady Luck」の前奏から、エルヴィンのドラミングが炸裂する。豪放磊落、ちょっとラフでダイナミックでメリハリのバッチリ効いた、重心の低いオフビートなドラミング。

まだ後年のポリリズミックなドラミングでは無いが、独特のスイング感&グルーヴ感が心地良い。そんな魅力あるエルヴィンのドラミングがアルバム全編に渡って堪能できる。

アート・デイヴィスの軽快でスインギーなベースがピッタリと寄り添って、エルヴィン独特のスイング感&グルーヴ感を増幅する。

そんなエルヴィンのドラミングに乗って、フォスターが豊かなニュアンスのテナーを、ウエスがエモーショナルで流麗なフルートを、サドが朗々とブリリアントなコルネットを吹き上げる。

小気味良くスインぎーな「Lady Luck」、フロントがオリエンタルな雰囲気を紡ぎ出す「Shadowland」、エルヴィンのブラシが小粋な「Pretty Brown」など、好演奏が目白押し。

パーソネルもしっかり選定されたエルヴィンの単独リーダー名義のアルバム。エルヴィンの独特のスイング感&グルーヴ感に乗った、ハードバップの成熟した演奏がとても心地良い。好盤です。
 
 

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2024年3月 5日 (火曜日)

エルヴィンの初リーダー作です

ジャズ・ドラマーの中では、アート・ブレイキー、エルヴィン・ジョーンズ、スティーヴ・ガッドの3人がお気に入り。3人のディスコグラフィーをまとめ直していて、まだまだアルバム評をブログ記事にしていないリーダー作があることに改めて気がついた。どうも、ドラム、ギターは後回しになってしまう傾向にあって、反省、反省。

The Jones Brothers『Keepin' Up with the Joneses』(写真左)。1958年3月24日の録音。ちなみにパーソネルは、Thad Jones (flh, tp), Hank Jones (p). Eddie Jones (b), Elvin Jones (ds)。サド、ハンク、エルヴィンのジョーンズ3兄弟に、姓が「Jones」繋がりで、エディ・ジョーンズが入ったカルテット編成。実はこの盤の存在を全く失念していて、今回、初聴きになる。

エルヴィン・ジョーンズのディスコグラフィーをまとめ直していて、エルヴィンの初リーダー作は『Elvin!』(1961・Riverside)だと思っていたら、この盤があった。といっても、The Jones Brothers名義で、エルヴィンはそのユニットの一部、ではあるが、リーダー作といえば、立派なリーダー作である。

「The Jones Brothers」とは、姓が「Jones」のメンバーの集まり。その内訳は、トラペットのサド、ピアノのハンク、ドラムのエルヴィンの3人は実の兄弟。そして、ベースのエディは他のメンバーと血のつながりは無く、姓が同じというだけのメンバー。それでも、4人とも姓が「Jones」なので「The Jones Brothers」としている。

収録曲全7曲、全曲ゆったりとしたミッド・テンポの演奏がメインで、4ビートの心地良いスイング感が良い感じ。この4ビートの心地良いスイング感を醸し出しているのが、エルヴィンのドラミング。この盤では、エルヴィンはブラシを使ってドラミングで、サドのトランペットやハンクのピアノのソロの邪魔にならず、引き立て役に回りながら、サドやハンクのソロをしっかり支え鼓舞している。
 

The-jones-brotherskeepin-up-with-the-jon

 
エルヴィンの硬軟自在、緩急自在、メリハリの効いた抑揚が絶妙なドラミングはこの初リーダー作で確立されている。特に、この盤ではブラシを使ったドラミングで、繊細なニュアンスも付加していて、見事にモダンなドラミングを叩き出しているのは立派。

そんなエルヴィンの優れたドラミングをバックに、サドはトランペットを朗々とブリリアントに吹き上げる。もともとサドはミッド・テンポからスロー・テンポのフレーズの吹奏に優れている。この盤では、朗々とブリリアントな音色で、音も大きく溌剌と、その実力を遺憾無く発揮している。

ハンクのピアノも絶好調。よほどエルヴィンのドラミングとの相性が良いのだろう、洒脱で流麗バップなピアノを氣持ち良さそうにグイグイ弾きまくる。2曲目のタイトル曲「Keepin' up With the Joneses」では、小粋でファンキーなオルガンを披露している。これがまた味があって良い感じ。

全曲ゆったりとしたミッド・テンポの演奏がメインで、速弾き、速吹きなバカテクな展開は無いが、歩くスピードの4ビートの心地良いスイング感に乗った、サドのトランペット、ハンクのピアノは聴き味抜群。そして、そのリズム&ビートを叩き出しキープするエルヴィンのドラミングはこれまた見事。

何の変哲もない、シンプルで上質のハードバップ演奏の数々ですが、とにかく味があって小粋。丁々発止としたインタープレイとは全く無縁な、バップでモダンなミッド・テンポの演奏。グループのアンサンブルに、メンバー個々のソロに、意外と聴き応えがある好盤です。
 
 

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2024年3月 4日 (月曜日)

マクリーンの優れた「寄せ集め」盤

メンバーの選定は「場当たり的」が多く、録音はリハ無しの「一発録り」。複数セッションからの寄せ集めでアルバムを作成する。録音日やセッションを無視して、プロデューサーの直感と好みだけで選曲する。当然、パーソネルはセッションごとに異なり、編成も異なることが多い。セッション共通のメンバーはリーダーのみ。よって、アルバム全体のトーンが変わることが多い。いかにも、プレスティッジ・レーベルらしい仕業である。

逆に、ブルーノート・レーベルは全くの「逆」。メンバーの選定は「録音の狙い」を事前に定めて、その狙いを実現出来るメンバーを招集する。リハはしっかり実施、リハにもギャラを払う。当然、録音された演奏レベルは高い。「録音の狙い」がはっきりしているので、プロデューサーの直感と好みで選曲することは無い。選曲の基準は「演奏の出来」。複数セッションからの選曲も「演奏の狙い」に合致した演奏を採用するので、アルバム全体のトーンが変わることが無い。

Jackie Mclean & Tina Brooks『Street Singer』(写真左)。1960年9月1日の録音。ちなみにパーソネルは、Tina Brooks (ts), Jackie McLean (as), Blue Mitchell (tp), Kenny Drew (p), Paul Chambers (b), Art Taylor (ds)。ブルーノート・レーベルからのリリース。

アルト・サックスのマクリーンとテナー・サックスのブルックスが共にリーダー、この二人とミッチェルのトランペットのフロント3管のセクステット編成。リズム隊はブルノートでは珍しい、ドリューのピアノ、チェンバースのベース、テイラーのドラム。

アルバムの収録曲全5曲を確認すると、4051番の Jackie Mclean『Jackie's Bag』 から3曲( "Appointment in Ghana", "A Ballad for Doll" and "Isle of Java")と、4052番の Tina Brooks『Back To The Tracks』から1曲("Street Singer")。そして、2曲の未発表曲("Melonae's Dance", "Medina")が加えられている。
 

Jackie-mclean-tina-brooksstreet-singer

 
この作品は、分散して収録されていた1960年9月1日のセッションから、選曲し直して1枚に再編集した、いわゆる「寄せ集め」盤。この盤はもともと、1980年に我が国で「キング世界初登場シリーズ」の中の一枚としてリリースされている(写真右)。キングレコードも、まるでプレスティッジの様な「暴挙」をしでかしていた、ということになる。

同じ日に、同じメンバーにより、リーダーの異なるセッションが行なわれ、その中から曲をチョイスしての「寄せ集め」盤だが、「録音の狙い」が同一だったようで、分散収録されていた演奏とアルバム未収録曲を一つにまとめ直しても、アルバム全体のトーンや流れ、内容に違和感は全く無い。さすがブルーノートである。キングレコードも事なきを得た。

さて、その内容であるが、ちょっとピッチの外れた独特のエモーショナルな吹奏のマクリーンと、哀愁感漂うストレートでシンプルでダンディズムあふれる吹奏のブルックスと、全く異なったキャラのサックス2管が絶好調。

このサックス2管は相性が良いようで、ユニゾン&ハーモニーにも、ソロの交換にも違和感が無い。しばらく、レギュラー・バンドとしてやり続けても良いくらいの内容の濃さ。

そこに、マイナーなファンクネス漂う、ブリリアントなミッチェルのトランペットが絡む。マクリーンのちょっとピッチの外れた音が哀愁感に繋がって、ブルックスのテナーの哀愁感、そして、このミッチェルのトランペットの哀愁感と相まって、相乗効果を醸し出し、アルバム全体に「上質の哀愁感」を漂わせている。この3管フロントは大成功。

リズム隊も良い。ケニー・ドリューのピアノがいつになく活発な「バップ・ピアノ」で弾きまくっている。チェンバースのベースはテクニカルで安定のビート。そして、テイラーの職人ドラムが柔軟でスインギーなドラミングでバンド全体を小粋に鼓舞する。溌剌として切れ味の良い、ポジティヴなリズム隊の音が強く印象に残る。

6人編成なので、それぞれのソロのスペースが限られるので、丁々発止とした、アグレッシヴなインタープレイは無いが、理路整然としっかりアレンジされ、しっかりリハを積んだであろう、端正で整った質の高いハードバップ演奏が繰り広げられる。
 
 

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2024年3月 3日 (日曜日)

マクリーンを愛でる「寄せ集め」盤

Jackie McLean『Strange Blues』(写真左)。1957年2月15日、7月12日、8月30日の3セッションからの寄せ集め。いかにも、プレスティッジ・レーベルらしい仕業である。当然、パーソネルはセッションごとに異なる。3セッション共通のメンバーは、リーダーのマクリーンだけ。

まず、1957年2月15日は、1曲目の「Strange Blues」のみ。ちなみにパーソネルは、Jackie McLean (as), Mal Waldron (p), Art Phipps (b), Art Taylor (ds)。このトラックは、マクリーンのアルト・サックスのみ、1管フロントのワンホーン・カルテット編成。バックのリズム隊に、マル・ウォルドロンのピアノ、アート・テイラーのドラムがいるので、この寄せ集め盤の中で、一番、演奏内容が充実している。

次の、1957年7月12日は、2曲目「Millie's Pad」、4曲目「Disciples Love Affair」、5曲目の「Not So Strange Blues」の3曲。ちなみにパーソネルは、Jackie McLean (as), Webster Young (tp), Ray Draper (tuba), Jon Mayer (p), Bill Salter (b), Larry Ritchie (ds)。マクリーンのアルト・サックス、ヤングのトランペット、ドレイパーのチューバの3管フロント。リズム隊は馴染みの無い名前が並ぶ。

この日のトラックが収録曲の半分以上を占めているが、リズム隊は馴染みの無い名前が並んで、健闘はしてるが、リズム&ビートは平板で単調。ドレイパーのチューバが拙いフレーズを吹き散らかして違和感満載。マクリーンのアルトの邪魔にはなっていないので辛抱できるが、このドレイパーは不要だろう。逆に、ウエブスター・ヤングのトランペットは溌剌とブリリアントなフレーズを吹き上げていてホッとする。マクリーンはリズム隊の良し悪しに関係なく、好調にアルト・サックスを吹きまくっている。

Jackie-mcleanstrange-blues

 
最後の、1957年8月30日は、3曲目の「What's New?」のみ。ちなみにパーソネルは、Jackie McLean (as), Gil Coggins (p), Paul Chambers (b), Louis Hayes (ds)。マクリーンのアルト・サックスのみ、1管フロントのワンホーン・カルテット編成。バックのリズム隊に、ポール・チェンバースのベース、ルイス・ヘイズのドラムがいるので、1曲目の「Strange Blues」に次いで、演奏内容が充実している。

ジャズ演奏の要である「リズム隊」の演奏レベルにばらつきがあるのと、ドレイパーのチューバの存在がこの盤の弱点。しかし、その弱点を補って余りあるのが、リーダーのマクリーンのアルト・サックスの素晴らしさ。収録曲全5曲、全てに渡って、マクリーンのアルト・サックスが好調。楽器自体がとても良く鳴っている。ちょっとピッチの外れた独特の吹奏で、アグレッシヴに流麗に魅力的なフレーズを紡ぎ上げていく。

3セッションからの気まぐれな寄せ集め曲、演奏メンバーの「場当たり」なチョイス、プレスティッジ・レーベルの悪いところが目立つ盤だが、マクリーンの素敵なブロウが、その「悪いところ」を覆い隠している。そう、この盤は、ジャキー・マクリーンの優れたアルト・サックスだけを愛でる盤。リズム隊が良いと、その優れたアルト・サックスがさらに輝きを増している。

ジャケも酷いもので、ジャズを聴き始めた「ジャズ者初心者」の方々は、この盤に触手が伸びることはないでしょう。というか、この盤、水準レベルを維持したまずまずのハードバップ盤で、マクリーンのアルト・サックスを愛でる、という点で、ジャズ者中級者向けのアルバムです。しかし、プレスティッジって、この程度の内容の音源でもアルバム化してしまうのですから、全くもって「困りもの」のレーベルです(笑)。
 
 

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2024年3月 2日 (土曜日)

活動前期の傑作『Consciousness』

最近やっと、パット・マルティーノ(Pat Martino)をしっかり聴き直している。しっかりディスコグラフィーのリストを作って、聴いたアルバム、未聴のアルバム、入手不可能なアルバムに分けて、聴いたアルバムについては、当ブログに記事化されていないものは順に記事化、未聴のアルバムは時間を見つけては聴き直している。

パット・マルティーノは、1944年8月生まれ。2021年11月、惜しくも77歳で逝去している。1967年の初リーダー作『El Hombre』から頭角を表し、1年に1枚のペースで順調にリーダー作をリリース、純ジャズ逆境の時代に、メインストリーム志向の「クロスオーバー・バップ」なエレギで、ジャズ・ギターの第一線を走っていた。

が、1976年、脳動静脈奇形による脳動脈瘤に倒れ、1980年に手術の結果、記憶を失う。しかし、家族の支え、コンピューターによる支援、自身のアルバムの聴取等、の努力で以前の記憶を回復。1987年の『The Return』で奇跡的にカムバックを果たす。以降、2004年には『ダウン・ビート』誌の「Guitar Player of the Year」を獲得するなど、第一線で活躍した。

Pat Martino『Consciousness』(写真左)。1974年10月7日、NYでの録音。ちなみにパーソネルは、Pat Martino (g), Eddie Green (el-p, perc), Tyrone Brown (el-b), Sherman Ferguson (ds, perc)。ギターのマルティーノがリーダー&フロント、エレピ、エレベ、ドラムのエレ・リズム隊をバックにしたカルテット編成。

エレ・リズム隊のメンバー名には全く馴染みが無い。アルバム全体の雰囲気は、エレ・ジャズを基本に8ビートがメインの「クロスオーバー・バップ」な演奏の数々。
 

Pat-martinoconsciousness

 
マルティーノのエレギ・フレーズには、サイケデリック・ロックな雰囲気や、プログレッシヴ・ロックな雰囲気が漂っていて、フレーズの雰囲気もアグレッシヴで切れ味良好。それまでにない、新しい響きのエレ・ジャズ・ギターであった。

収録曲を見渡すと、これが今の感覚からするとユニークで、コルトレーンのモード・ジャズ「Impressions」、ゴルソンのファンキー・ジャズの名曲「Along Came Betty」が収録されている。このモード・ジャズ、ファンキー・ジャズの名曲を、バリバリとバップなエレギで弾きまくっている。フレーズの雰囲気は明らかに「バップ」で、これがマルティーノのギターの最大の個性である。

特に、冒頭の「Impressions」と、6曲目のマルティーノ作の「On the Stairs」の弾きまくりは凄い。鬼気迫るが如く迫力満点、疾走感溢れる、かっ飛ぶが如くのフレーズで圧倒する。

3曲目のマルティーノの自作曲「Passata on Guitar」と、7曲目のジョニ・ミッチェルの名曲「Both Sides, Now(青春の光と影)」では、テクニックの確かさ、そして、従来の「バップ」とは異なる、1970年代にECMレーベルを中心に現れ出た「ニュー・ジャズ」志向のギターの響きと静寂で透明感のあるソロ・パフォーマンスが新鮮で個性的で絶品。

1970年代以降の「ニュー・ジャズ」志向のジャズ・ギタリストの中でも、先頭集団に位置するパット・マルティーノ。この『Consciousness』は、1976年、脳動脈瘤に倒れるまでの「マルティーノ活動前期」の傑作の一枚。とにかく、まあ、凄まじいテクニックと唯一無二のソロ・パフォーマンス、聴きどころ満載です。
 
 

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2024年3月 1日 (金曜日)

モンクの 『ソロ・オン・ヴォーグ』

ジャズの高僧・セロニアス・モンク。バップの開拓者の一人、そして、バップを超えて、唯一無二のオリジナリティを確立した「孤高のジャズ・ピアニスト」である。このピアニストの「音」は、ワンフレーズ聴いただけで直ぐに判る。出てくるハーモニー、タッチのタイミング、間の取り方、どれをとっても、それまでの西洋音楽の「音」では全く無い。

他の音楽ジャンルには無い、ジャズというジャンルで初めて現れ出た「音」。しかも、同じフレーズが繰り返されることは皆無。究極の「即興演奏」を旨としたピアノ。ジャズの中で「一番ジャズらしい」ピアノとも言える。フレーズの音の「跳び方」も、他の音楽ジャンルには「ありえない」跳び方。しかし、その「ありえない」跳び方には、しっかりとジャジーで鋭角なスイング感が潜んでいて、独特のグルーヴ感を醸し出している。

Thelonious Monk『Solo 1954/Piano Solo』(写真左)。邦題『ソロ・オン・ヴォーグ』(写真右)。1954年6月、パリでの録音。パーソネルは、Thelonious Monk (p) のみ。フランスのレーベル、Disques Vogue からリリース。セロニアス・モンクの生涯初のソロピアノ・アルバム。元々はラジオ放送用の音源だったらしい。音的にはまずまずのレベル。最新のCDはリマスターが効いていて鑑賞に耐えるレベルになっている。
 

Thelonious-monksolo-1954piano-solo1

 
モンクだけのソロピアノの演奏なので、モンクのピアノの特殊性、独創性がとても良く判る。クラシックをメインとする西洋音楽、それをベースとしたポップスやロックを聴き慣れた耳には「違和感」ありまくり、のモンクのピアノ。しかし、このジャズというジャンルで初めて現れ出た、究極の「即興演奏」を旨としたピアノの特徴がとても良く判る。

モンクのピアノは自作曲で一番輝く。この盤では、「'Round About Midnight」「Evidence」「Well, You Needn't」といったモンク作の名曲の自演が素晴らしい。しかし、この盤に収録されている、モンク流のアレンジによる、スタンダード曲の「Smoke Gets in Your Eyes(煙が目にしみる)」の革新的なカヴァーも素晴らしい。

この『ソロ・オン・ヴォーグ』は、モンク・ミュージックを構成する「要素」が完璧に記録されている、モンク・ミュージック入門に相応しい名盤。ジャズ者初心者の方々には、最初は「違和感」ありまくりかもしれない。それでも、ジャズに対する理解が深まるにつれ、この盤を聴く度に、モンクのピアノの「真髄」に触れる機会が多くなる。そんな長いレンジで聴き親しむ類の名盤だと思います。
 
 

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