Date/Time


2024年4月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        
無料ブログはココログ

« 純ジャズ志向の『Trio 99→00』 | トップページ | 名演 Live From Country Club »

2024年2月 7日 (水曜日)

常態のペッパー『Smack Up』

伝説のアルト・サックスの天才奏者「アート・ペッパー(Art Pepper)」。彼のキャリアの最大の特徴は「ジャンキー(麻薬中毒者)」であったことだろう。ペッパーのディスコグラフィーを振り返ってみると、初リーダー作が1956年の録音。それから1960年の録音までが、アート・ペッパーの活動前期と定義して良い。

アート・ペッパーの活動前期は、1950年代半ばから薬物関連の懲役刑のため何度も活動が中断、刑務所から出てきた時にリーダー作を録音するといった状況で、1960年代半ばにはシーンから姿を消すことになる。そして、1960年代後半は麻薬更正施設「シナノン療養所」に入所している。

Art Pepper『Smack Up』(写真左)。1960年10月24–25日の録音。Contemporaryレーベルからのリリース。トナミにパーソネルは、Art Pepper (as), Jack Sheldon (tp), Pete Jolly (p), Jimmy Bond (b), Frank Butler (ds)。ペッパーのアルト・サックスとシェルダンのトランペットが2管フロントのクインテット編成。

このアルバムは録音時点でほどなく正式リリースされている、アート・ペッパーの活動前期の最後に位置するリーダー作。収録曲は正式には全6曲。ペッパーの自作曲は1曲のみ。渋めのスタンダード曲が1曲。他の4曲は当時の「ミュージシャンズ・チューン」。1960年の録音で、オーネット・コールマンの曲「Tears Inside」を収録しているところが興味深い。この1960年時点で、ペッパーはフリー・ジャズに興味を示していた、とも捉えられる。
 

Art-peppersmack-up 

 
さて、このアルバムでのペッパーのアルト・サックスは好調。クールにエモーショナルに流麗にアルト・サックスを吹き進めている。落ち着いたアドリブにも、ペッパーらしいセンスの良さが感じられるし、楽器も良くなっているし、テクニックも揺るぎがない。恐らく、刑務所から出てきた時のペッパーは「常態」にあったのだろう。そんな「常態」での落ち着いた、天才の閃きの様なアドリブ・フレーズを披露している。

この「常態」でのペッパーを「沈滞している」と評する向きもある。が、元々、名盤の誉高い『Surf Ride』や『Meets the Rhythm Section』での「躁状態」にある様な根明で強烈な吹き回しについては、ペッパーは麻薬を「ばっちりキメて」吹いていたのでないか、と疑っているので、僕はそれらがペッパーの「真のベスト」とは感じていない。確かに凄い吹き回しではあるのだが....。「常態」での根明で強烈な吹き回しについては、アート・ペッパーの活動後期の特徴になる。これについては、また後日に語りたい。

さて、この『Smack Up』に話を戻すと、この盤のセッションについては、バックのリズム・セクションについても、なかなか好調なパフォーマンスを聴かせてくれる。特に、ピート・ジョリーのピアノが好調。ボンドのベース、バトラーのドラムも堅実なサポート。そうそう、フロント管の相棒、シェルダンのトランペットもなかなか。そう思って聴きながらパーソネルを改めて見渡すと、当時、ウエストコースト・ジャズの代表的ジャズマンが一堂に会しているではないか。良いはずである。

この『Smack Up』、ペッパーの活動前期の「最後の佳作」。「常態のペッパー」の落ち着いたクールな吹き回しを「沈滞している」として遠ざけるには勿体無い。ペッパーの活動前期の「常態のペッパー」のアルト・サックスを十分に楽しめる好盤です。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から12年10ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 
 

« 純ジャズ志向の『Trio 99→00』 | トップページ | 名演 Live From Country Club »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 純ジャズ志向の『Trio 99→00』 | トップページ | 名演 Live From Country Club »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

カテゴリー