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2024年2月の記事

2024年2月29日 (木曜日)

縦ノリのグルーヴ 『Gaddabout』

久々にフュージョン・ジャズ盤をチョイス、である。

年配のジャズ者ベテランの方々からは、概ね「ジャズの徒花」扱いされるフュージョン・ジャズであるが、クロスオーバー・ジャズも含めて、内容のある、聴き応えのある傑作、好盤は多々ある。ジャズの裾野は広く、ジャズは柔軟。フュージョン・ジャズの中にも「良い音楽」は沢山ある。

Steve Gadd『Gaddabout』(写真左)。1984年7月、NY「A&R Studio」での録音。ちなみにパーソネルは、Steve Gadd (ds, vo), Lew Soloff (tp), George Young (sax), Ronnie Cuber (bs), Jeff Mironov (g), Richard Tee (key, syn), Neil Jason (b), David Matthews (arr)。

日本のフュージョン・ジャズ・レーベルの「Electric Bird」から、1984年のリリース。「Electric Bird」は日本のジャズ・レーベルながら、フュージョン系の好盤を多数リリースしている。今回の『Gaddabout』は、そんな中の一枚。

パーソネルを見渡すと、バリサクにロニー・キューバー、キーボードにリチャード・ティー、そして、ドラムにリーダーのスティーヴ・ガッド。後に、ガッドが1986年に結成する「The Gadd Gang」のメンバー5人中、3人がこのセッションに参加している。そして、この盤に詰まっている「音」がファンキー&ソウルフル、縦ノリのグルーヴが、まさに「The Gadd Gang」のプロトタイプ。
 

Steve-gaddgaddabout

 
トランペットにルー・ソロフ、サックスにジョージ・ヤングは、マンハッタン・ジャズ・クインテット(MJQ)のフロント2管。アレンジに、MJQのリーダー&ピアノ担当のデヴィッド・マシューズなので、その縁での召集だったのだろうか。この2管がキューバーのバリサクと組んで、見事なフロント3管を形成している。

このフロント3管のアンサンブル、ユニゾン&ハーモニー、そして、ソロ・パフォーマンスが見事で訴求力抜群。この盤での一番の聴きもの。ガッドの縦乗りグルーヴに鼓舞されて、ファンキー&ソウルフルなフレーズを、ダイナミックに骨太に吹き上げている。これがとても良い。

ジェフ・ミロノフのギターがユニーク。職人ワザが光るカッティング。ソウルフルな泣きのフレーズ。渋いバッキングで、バンド全体にファンキーな風味を色濃くする。ニール・ジェイソンのジャズ・ファンクなエレベもファンクネス濃厚。重心の低いベース・ラインが演奏全体の「底」をガッチリ支えている。

「gadabout=ブラブラ歩き」に引っかけたタイトルも「粋」。気ままに鼻歌交じりに楽しくドラムを叩きまくるガッドが素敵。ガッド独特の縦乗りのグルーヴが、ファンキー&ソウルフルな曲想にバッチリ。

フュージョン・ジャズの好盤の一枚です。こんなに内容のある、素敵なフュージョン・ジャズ盤が、日本のレーベル「Electric Bird」からリリースされたことを嬉しく思います。「Electric Bird」はなかなか隅におけないフュージョン・ジャズのレーベルですね。
 
 

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2024年2月28日 (水曜日)

染みる『In The Wee Small Hours』

子供の頃、小学校5年生の頃だったと記憶している。親父のAMラジオをくすねて、寝床に入ってイヤホンで聴くようになった。夜の10時頃、NHK第一だったと思うが、アメリカン・ポップスを聴かせる番組があった。その番組の中で、時々、ジャズ・ボーカル曲がかかる。

大人の雰囲気で演奏はしっとり落ち着いている。英語で歌われているので、何を歌っているのか、基本的に判らない。8ビートのポップスやロック曲と比べて、基本的に地味で、時々、「こぶし」を効かしたり、フェイクを入れたり、癖のある歌い方がどうにもいけない。そんな中で、この男性ボーカルだけ、何故か気に入った。フランク・シナトラである。

Frank Sinatra『In The Wee Small Hours』(写真)。1954年3月、1955年2, 3月の3セッションからの収録。1955年4月のリリース。ちなみにパーソネルは、Frank Sinatra (vo), Nelson Riddle (arr, cond), バックにジャズ・オーケストラが付く。

フランク・シナトラは、ポピュラー・ヴォーカルの帝王として、20世紀の音楽界に君臨、ジャズ・ボーカルとしても数々の実績を残した、歴代最高の男性ボーカリストである。

アルバムの収録曲は、内省、憂鬱、失恋、失敗した関係、うつ病、ナイトライフなどのテーマを扱う、失われた愛に関する「不安に満ちた」バラード曲で統一されている。歌い上げるのに、かなり難度の高いボーカル曲ばかりだが、そこはさすが「ソフト・バラードの名手」「ザ・ヴォイス」と呼ばれたシナトラ、ゆったりとしたテンポで、じっくりと魅惑的なテナー・ヴォイスで、囁く様に、語りかける様に唄い上げていく。
 

Frank-sinatrain-the-wee-small-hours

 
「オレはあの頃、シナトラやナット・キング・コールやオーソン・ウェルズの節回しまで聴いて、フレージングについてはずいぶんと勉強した。連中は、楽節とか文節とか句を声で言い回す真の達人だった」(『マイルス・デイビス自叙伝』より引用)

マイルスさえもが指摘する様に、シナトラは「楽節とか文節とか句を声で言い回す真の達人」で、シナトラの歌唱を聴いていると、ボーカルとは「歌」ではなく「楽器」の一つなのか、と唸ってしまう。深夜の寂寞感や失恋の悲しみ、真夜中から夜明けの間の真っ暗な「闇」の雰囲気を、メランコリックにムーディーに唄い上げている。思わず、じっくりと聴き入ってしまうほどの説得力と訴求力。

冒頭のタイトル曲「In The Wee Small Hours」がとりわけ良い。この1曲でこの企画盤の全てを表現している。英語で歌われているので、何を歌っているのか、基本的に判らない、と思うのだが、これだけの歌唱をぶつけられると、歌詞の和訳に手をつけたくなる。ボブ・ヒリアード作詞の歌詞が良い。そして、その歌詞に曲を付けたデイビッド・マンの旋律が染みる。

最初のコンセプト・アルバムの1つと評価されている企画盤であるが、このアルバムは商業的に成功を収め、米国ビルボード200チャートで最高2位を記録、18週間チャートに留まり、 シナトラの最高チャート・アルバムとなった。ジャケも良い。シナトラに古めかしい街灯のある風景が良く似合う。ジャケ良し、内容良し、実績良し、のジャズ・ボーカルの傑作の一枚である。
 
 

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2024年2月27日 (火曜日)

『Johnny Griffin Sextet』 です

1957年、ブルーノートより『 Introducing Johnny Griffin』をリリースし、初リーダー作デビュー。その後、ブルーノートに『A Blowin' Session』『The Congregation』の2枚の好盤を残したジョニー・グリフィン(Johnny Griffin)。1958年、満を辞して、リヴァーサイド・レコードに移籍する。

『Johnny Griffin Sextet』(写真左)。1958年2月25日の録音。リヴァーサイド・レコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Johnny Griffin (ts), Pepper Adams (bs), Donald Byrd (tp), Kenny Drew (p), Wilbur Ware (b), Philly Joe Jones (ds)。

リーダーのグリフィンのテナー、アダムスのバリサク、バードのトランペットの3管フロント。バックのリズム隊は、ドリューのピアノ、ウエアのベース、フィリージョーのドラム。セクステット編成になる。

直訳すると「ジョニー・グリフィンの6重奏団」なんていう、味もしゃしゃらも無いタイトルなんだが、リヴァーサイド移籍第一弾のグリフィンのリーダー作である。

この時代、テナー、トランペットときたら、トロンボーンが定番の3管フロントなんだが、この盤ではトロンボーンでは無く、バリサクの入った3管フロント。グリフィンの骨太でデカい音のテナーとの相性を考慮したチョイスだと思われる。

リズム隊は、黒い重量感あるドリューのバップ・ピアノ、ダイナミックでオフェンシブなフィリー・ジョーのバップ・ドラム、そして、ちょっと捻れ感のある、プログレッシヴなウエアのバップ・ベース。
 

Johnny-griffin-sextet

 
セクステットのハードバップ演奏として、聴き慣れた感、「またか」感を回避すべく、フロント3管の楽器の組み合わせと、リズム隊の奏でるリズム&ビートの新鮮さに工夫の後が見える。オリン・キープニュースの深慮遠謀を感じる。

で、その内容だが、いやはや、素晴らしい内容のハードバップ。流麗で重厚感溢れる3管フロント。テクニック確かでブリリアントなバードのトランペット、重量感豊かに流麗に吹き回すペッパーのバリサクの効果的に響く。そこに、骨太でメロディアスなデカい音のグリフィンのテナーが前面に推し出てくる。この3管フロントがこの盤の最大の聴きもの。

リズム隊も良い音出している。ドリューの黒い重量感が心地良い、疾走感溢れるバップなピアノが、演奏全体に活力を供給する。ちょっと捻れた不思議な響きが新鮮なウエアのベースラインが、フロント3管の創造力を刺激する。そして、フィリー・ジョーのダイナミックなバップ・ドラミングが演奏全体を煽り、鼓舞する。

収録曲全5曲、どの演奏も充実したハードバップだが、特に、有名スタンダード曲の「What's New?」と「Woody 'n' You」が良い。3曲目の「Woody 'n' You」のみ、アダムスとバードが抜けて、グリフィンのワンホーン・カルテットの演奏になっていて、グリフィンのテナーの個性と特徴がよく判る。

これだけ充実した6重奏団のハードバップな演奏が詰まった優秀盤だが、我が国では、ジャズ盤紹介本やジャズ雑誌で取り上げられることは殆ど無い。が、ジャケもなかなか「ジャズしてる」し、ジャケ良し内容良しの「隠れ名盤」だと、僕は評価している。今でも時々、ひっぱり出しては聴き直す、永遠のヘビロテ盤でもある。
 
 

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2024年2月26日 (月曜日)

「ファーマーの音色」だけを聴く盤

ジャズの演奏の世界って、アレンジが重要なんだなあ、と思う時がある。アレンジの良し悪しで、リーダーの担当する楽器や、フロント管の旋律やアドリブがくっきり前面に明確に聴こえたり、聴こえなかったり。聴いていて、演奏全体が聴き心地良かったり、悪かったり。アルバム全体を聴き通していて、集中して最後まで聴けたり、途中で飽きがきたり。意外とジャズには「アレンジの重要性」が必須要素としてある、と僕は睨んでいる。

Art Farmer with The Quincy Jones Orchestra 『Last Night When We Were Young』(写真左)。1957年3月28日、4月24 & 29日の録音。ちなみにパーソネルは、メインセットに、Art Farmer (tp), Hank Jones (p), Tommy Kay (g, on March 28, tracks 2, 4, 8), Barry Galbraith (g, on April 24 & 29), Addison Farmer (b), Osie Johnson (ds, on March 28, tracks 2, 4, 8), Sol Gubin (ds, on April 24 & 29), Quincy Jones (arr, cond)。ここに、それぞれの録音日で、それぞれのオーケストラ・メンバーが加わる。

当時の人気アレンジャー、クインシー・ジョーンズ(以降、愛称「Q」)のジャズオケ・アレンジに乗って、アート・ファーマーが心ゆくまでトランペットを吹き上げる、イージーリスニング志向のビッグバンド・ジャズの企画盤。ABC-Paramountレコードからのリリース。さすがに大手レコード会社、ジャズ・ファンのみならず、一般の音楽ファンにも訴求する、聴き心地の良い、それでいて、内容的にしっかりしたイージーリスニング志向のジャズに仕上がっている。
 

Art-farmer-with-the-quincy-jones-orchest

 
冒頭の「Two Sleepy People」の演奏内容が、この企画盤の雰囲気を決定づけている。Qのムーディーで新鮮な響きでアレンジされたジャズオケの伴奏に乗って、ファーマーのトランペットが唄うように囁くように流れてくる。かなりムーディーな雰囲気だが、決して俗っぽくない。さすが、Qのアレンジである。特に尖ったところがない、流麗でムーディーなアレンジだが、底にしっかりジャズがある。

優れたアレンジの下で、ファーマーのトランペットが映えに映える。「力感溢れ端正でブレが無く流麗でウォーム、エッジがラウンドしていて聴き心地の良い」ファーマーのトランペットの音色が映えに映える。ファーマーのトランペットの個性が、とても良い響きで、いい感じ流れて来る。これが全編に渡って展開される。これが実に良い。

この企画盤は、Qのアレンジの優秀性と、この優れたQのアレンジに乗った、ファーマーの「力感溢れ端正でブレが無く流麗でウォーム、エッジがラウンドしていて聴き心地の良い」ファーマーのトランペットの音色だけを愛でる盤。バリバリ尖ったアドリブよろしくインタープレイを展開するハードバップも良いが、こういう内容の伴った、聴き心地の良いイージーリスニング志向のジャズも良い。特に、ながら聴きのジャズに最適。これも「良い音楽」、これも「良きジャズ」である。
 
 

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2024年2月25日 (日曜日)

Art Farmer『The Aztec Suite』

邦題『アズテック組曲』。キューバの作曲&編曲家、指揮者のチコ・オファリル(Chico O'Farrill)のアレンジによるアフロ・キューバン・ジャズ。トランペットのアート・ファーマーがリーダーの12人編成のスモール・ビッグ・バンドのたエキゾチックな雰囲気が芳しい企画盤。アル・コーンが音楽監督を務めている。

Art Farmer『The Aztec Suite』(写真)。 1959年11月の録音。ちなみにパーソネルは、Art Farmer, Bernie Glow, Nick Travis (tp), Jimmy Cleveland, Frank Rehak (tb), Jim Buffington (French horn), Zoot Sims, Seldon Powell (ts), Hank Jones (p), Addison Farmer (b), Charlie Persip (ds), José Mangual (perc), Chico O'Farrill (arr)。

3トランペット、2トロンボーン、2テナーにフレンチホルンを加えた8管フロントに、パーカッションを加えたリズム・セクションをバックに、エキゾチックでミステリアスな響きのする、ブラスのパンチが効いたアフロ・キューバン・ジャズの演奏で全編、埋め尽くされている。8管フロントのアンサンブルが迫力満点で、しばしば圧倒される。
 

Art-farmerthe-aztec-suite

 
さすが、キューバ出身のチコ・オファリルのアレンジが優秀で、アレンジの問題で、ややもすれば俗っぽく安っぽくなるリスクのあるアフロ・キューバン・ジャズを、鑑賞に耐える、聴き応えのあるものに仕立て上げているのは見事。東海岸ジャズの中、優れたアレンジで、西海岸ジャズを意識した様な「聴く為のジャズ」を実現している。

「力感溢れ端正でブレが無く流麗でウォーム、エッジがラウンドしていて聴き心地の良い」ファーマーのトランペットが、アフロ・キューバンなグルーヴの中でブリリアントに響き、アフロ・キューバンな熱いアンサンブルの中で「流麗でウォーム」なフレーズがくっきりと浮き出てくる。

アフロ・キューバンにファーマーのトランペット。水に油かと思ったら、意外と相性バッチリなのにちょっビックリする。流麗バップなハンク・ジョーンズのピアノも、しっかりアフロ・キューバンして、いつになく熱いフレーズを叩き出している。アレンジ上々、整って聴き応えのあるアフロ・キューバン・ジャズの佳作です。
 
 

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2024年2月24日 (土曜日)

復活直後の『Live at Donte’s』

1960年代後半、薬物中毒者の為のリハビリテーション施設シナノンで過ごしたブランクの時期を境に、1970年代〜亡くなる1982年までの活動期間を「後半のペッパー」 とするが、このライヴ音源は「後半のペッパー」の予告編的な演奏内容が記録されている。

Art Pepper Quintet『Live at Donte's, 1968』(写真)。1968年11月24日、ハリウッド「Donte」でのライヴ音源。ちなみにパーソネルは、Art Pepper (as), Joe Romano (ts), Frank Strazzeri (p), Chuck Berghofer (b), Nick Ceroli (ds)。

このライヴ録音の時期は、ペッパーはシナノンを出て、バディ・リッチ楽団で演奏を始めたところ、脾臓破裂の大手術を受け生死を彷徨った後、そんなに時間が経っていない頃ではないかと思われる。

確かに、ペッパーの吹き回しは、ちょっと元気が無い。逆に、フロント管の相方、ジョー・ロマーノのテナー・サックスがやけに元気一杯で、自由奔放、豪快でアグレッシヴな吹き回しは五月蝿いくらい。

演奏途中でのフェードアウトや,若干の音の欠落等もあって、音源の完成度としては「イマイチ」だが、テープ音源でありながら、音質はそこそこのレベルを維持しているので、「後半のペッパー」の特徴である、力強いバップで流麗なフレーズと、ややフリーキーなアグレッシヴでエモーショナルなフレーズが混在する吹き回しが良く判る。
 

Art-pepper-quintetlive-at-dontes-1968

 
ややフリーキーなアグレッシヴでエモーショナルなフレーズは、明らかにコルトレーンの影響が明らかなんだが、意外とこなれていて、コルトレーンのコピーには陥っていない。既に、ペッパー流のアグレッシヴな吹き回しになっているところが流石だなあ、と感心するところ。

もともと、メロディアスに流麗に吹き回すテクニックについては、「前半のペッパー」の最大の特徴だったのだが、「後半のペッパー」では、前半の「メロディアス」の部分が「力強いバップ」な吹き回しになっている。

ただ「流麗」なところは変わらないので、「後半のペッパー」は突如、演奏スタイルを180度変えた訳ではない。テクニック優秀、流麗な吹き回しの部分は「前半のペッパー」と変わらない。

つまりは「前半のペッパー」は、米国ウエストコースト・ジャズの音世界でのペッパーのパフォーマンスで、「後半のペッパー」は、コルトレーン後の、1970年代のモード・ジャズの音世界でのペッパーのパフォーマンスだった、ということで、「前半のペッパー」と「後半のペッパー」との優劣をつけることはナンセンス。どちらもペッパーで、どちらも僕からすると優れたペッパーである。

演奏曲はスタンダード曲がメインだが、このスタンダード曲についても、ペッパー流のアグレッシヴな吹き回しが、コルトレーン後の、1970年代のモード・ジャズな吹き回しで、決して懐メロ風には陥らず、当時として、時代の先端を行く、挑戦的な展開になっているのは立派。

このライヴ音源を聴くと、ペッパーは進化するタイプのジャズマンだったことが良く判る。
 
 

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2024年2月23日 (金曜日)

後を継ぐ者・ニタイのソロ盤

2018年、キース・ジャレットが脳卒中に倒れ、復帰の見込みが立たなくなって、キースの様な耽美的でリリカル、クラシック風味の創造的なソロ・ピアノの担い手が見当たらなくなった。というか、この10年くらい、キース以外で、ソロ・ピアノのアルバムがめっきり少なくなったと感じている。

Nitai Hershkovits『Call On The Old Wise』(写真左)。2022年6月、スイス ルガノのコンサート ホール「Auditorio Stelio Molo RSI」での録音。ECMレコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Nitai Hershkovits (p)。イスラエル出身の若手有望ピアニスト、ニタイ・ハーシュコヴィッツのソロ・ピアノ盤である。

ニタイ・ハーシュコヴィッツ(Nitai Hershkovits)は、1988年2月21日イスラエル生まれ。モロッコ人の母とポーランド人の父の間に生まれる。15歳でピアノに転向、テルアビヴ近郊のジャズ・コンクールで何度か優勝したが、その後、ジャズとクラシック両方を学ぶ。そして、アヴィシャイ・コーエンのトリオに5年間在籍した後(2011~2016年)、NYに活動拠点を移動し、現在に至る。若手ジャズ・ピアニストの有望株である。

さて、このソロ・ピアノ盤、短いものは1分ちょっと、長くても4分ちょっとの短いパフォーマンスが18曲続く。が、曲毎のトーンとイメージが整っているので、1曲毎の曲の短さは気にならない。曲毎にキーやフレーズやタッチが異なるので、バリエーション豊かなロング・レンジのソロ・パフォーマンスにも聴こえる。
 

Nitai-hershkovitscall-on-the-old-wise

 
即興演奏を中心としたソロ・パフォーマンスで、ジャズの文脈を基本とするが、クラシックの音要素が見え隠れする。タッチは明確、フレーズは耽美的でリリカル。キースと比較すると、キースより弾き回しはドライで、感情移入も控えめ。フレーズの展開は詩的でシンプルで、キースよりもクラシック的要素は濃い。

スタジオ録音なので、よく吟味され、リハーサルされたであろう、一期一会の即興フレーズが止めどなく流れてくる。感情移入が控えめなので、フレーズの抑揚は少し地味に聴こえるが、弾き回しは色彩豊かで軽快で単調にはならないので、聴いていて飽きがこない。

親しみやすいメロディー、明確で暖かいタッチは、キースとチックの間を行くような感じの「ニタイならでは」のソロ・パフォーマンス。ピアノの腕前はかなりレベルの高いところにあって、そういう面でも、キースとかチックとかのソロ・ピアノの「後を継ぐ」逸材が現れ出た、という感じを強く持った。

マンフレート・アイヒャーがプロデュース。さすがアイヒャー、ソロ・ピアノのなかなかの逸材を発掘したなあ、と感心する。アイヒャーの慧眼恐るべし、である。
 
 

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2024年2月22日 (木曜日)

McCoy Tyner『Expansions』

ブルーノート時代のマッコイ・タイナーは、自らのモード・ジャズの完成に向けて鍛錬を積んでいた時期であり、そのタイナー流のモード・ジャズの確立に向けてのチャレンジ、試行錯誤が演奏から透けて見えて、なかなか味わい深いものがある。

McCoy Tyner『Expansions』(写真)。1968年8月23日の録音。ちなみにパーソネルは、McCoy Tyner (p), Woody Shaw (tp), Gary Bartz (as, fl), Wayne Shorter (ts, cl), Ron Carter (cello), Herbie Lewis (b), Freddie Waits (ds)。

ピアノのマッコイ・タイナーがリーダー。若手有望株のウディ・ショウのトランペット、ゲイリー・バーツのアルト・サックス、そして、中核ジャズマンのウェイン・ショーターの3管フロント、ロン・カーターがチェロを弾いて、ハービー・ルイスとのダブル・ベース、そして、フレディー・ワッツのドラムの総勢7名の変則セプテット編成。

この『Expansions』、次作の『Extensions』と併せて、タイナー流のモード・ジャズの確立を確認できる兄弟盤の様な位置付けのアルバムだと解釈している。

タイナー流のモード・ジャズは、アフリカ志向のモーダル・ジャズ。アフリカの大地を想起させるような躍動感、ワールド・ミュージック志向のフレーズの響きは「エスニック&アフリカン」。まるでビッグバンドを聴いている様な「分厚い」アンサンブル。そんなバンド・サウンドをバックに、それぞれのソロイストが完全モーダルなアドリブを展開する。
 

Mccoy-tynerexpansions

 
当然ながら、リーダーのマッコイ・タイナーのモーダルなピアノが素晴らしい。タイナー流の「シーツ・オブ・サウンド」の右手、重力感溢れる印象的な左手のハンマー奏法。フロント管やロンのチェロの完全モーダルなフレーズ展開のバックで、効果的にビートを刻むブロック・コード。マッコイ・タイナーのモーダルなピアノ全開である。

ショウのトランペット、バーツのアルト・サックス、若手の2管は溌剌と個性的なモーダル・フレーズを撒き散らしている。尖った熱い、自由度の高い高速モーダル・フレーズの吹き回しは若さ爆発、勢いがあって聴き応え十分。

そんな中でやはり際立っているのは、ウェイン・ショーターのテナー・サックス。ショーターのモーダル・フレーズは重量感溢れ、ショーター流「シーツ・オブ・サウンド」の高速フレーズ、音の広がりと間を活かしたモーダルな展開、どれもが唯一無二で、どこから聴いても「ショーターのモード」。ショーターのモーダルなテナー全開である。

この盤を聴いていると、初リーダー作『Inception』から追求してきた、マッコイ・タイナーならではの「タイナー流のモード・ジャズ」が遂に確立したなあ、と思う。この盤で確立した音世界をベースに、タイナーは1970年代の活動のピークへと進化を続けていく。
 
 

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2024年2月21日 (水曜日)

菊池雅章+ギル・エヴァンス

ジャズ・オーケストラの演奏の中で一番のお気に入りは「ギル・エヴァンス」。音の魔術師「ギル・エヴァンス」の主宰するビッグ・バンドの演奏はどれもお気に入り。ギル・エヴァンスのアレンジが大好きで、ギル・エヴァンスのアレンジのジャズオケがバックの演奏であれば「なんでも通し」である。

特に、1970年代に入って以降、電気楽器を導入、8ビートをメインにアレンジされたジャズオケの演奏が堪らない。ギルのアレンジの最大の魅力は、1950年代から、従来のジャズオケでは珍しい、木管楽器を縦横無尽に駆使した幽玄なサウンドにある。そんなギルの唯一無二の有限な響きの中で、エレピ、エレギが乱舞する。これは堪らない。

そして、もう一つ、ギル・エヴァンスのアレンジの特徴が、ソロイストのアドリブ展開に相当なスペースを与える、というもの。ギルのアレンジをバックに、一流ジャズマンのアドリブ・パフォーマンスがふんだんに展開される。圧巻である。

そんなギル・エヴァンスが、我が国に残してくれた音源がある。NYで、ギル・エヴァンスが菊地雅章と意気投合、菊地雅章が日本に招き、全国4都市でコンサートをやった後、スタジオ・レコーディングされたアルバム。

我が国にて、ギル・エヴァンスのアレンジに見合う本格的なジャズオケを組む中で、メンバーには、日本のトップ・ジャズメンのほか、NHK交響楽団から木管楽器奏者とフレンチ・ホルン奏者が加わっている。

菊地雅章 with Gil Evans Orichestra『Masabumi Kikuchi + Gil Evans』(写真)。1972年7月5日の録音。ちなみにパーソネルは以下の通り。ビッグバンド編成なので、かなりの大人数になる。

Gil Evans (arr, cond, p), 菊地雅章 (el-p),Billy Harper (ts, fl, chime), Marvin Peterson (tp, flh), 峰厚介 (as, ss),鈴木重男 (as, fl), 多戸幾久三 (tuba),山本直 (fr-h),松原千代繁 (fr-h),篠原国利 (tp, flh),鈴木武久 (tp, flh),宗清洋 (tb),中沢忠孝 (b-tb),衛藤幸雄 (piccolo, a-fl, b-fl), 中川昌三 (piccolo, a-fl, b-fl),旭孝 (piccolo, a-fl, b-fl),高柳昌行 (g),中牟礼貞行 (g),江藤勲 (el-b),鈴木良雄 (b),山口浩一 (timpani),高橋みち子 (marimba, vib),宮田英夫 (perc),中村よしゆき (ds),富樫雅彦 (ds)。
 

Masabumi-kikuchi-gil-evans  

 
ギル・エヴァンスが米国から連れてきたのが、テナー・サックスのビリー・ハーパーと、トランペットのハンニバル・マーヴィン・ピーターソンの二人。それ以外は全員日本人ミュージシャンで固められたジャズオケ。これが、ギル・エヴァンスのアレンジのもと、素晴らしいパフォーマンスを展開しているのだから堪らない。

演奏のベースは、電気楽器と8ビートを導入したクロスオーヴァー・ジャズ&ジャズ・ロック。それをギル・エヴァンスのアレンジのもと、ジャズオケでやるのだから、参加した各ミュージシャンも相当な演奏テクニックを求められる。

しかし、この日本人主体の日米合同のジャズオケは、素晴らしい演奏をやってのけている。何度聴いても実に爽快。聴き終えた後、清々しい気持ちになる、素晴らしい演奏である。

ジャズオケ全体のアンサンブルやハーモニーもずば抜けて良い。ギル・エヴァンスのアレンジ独特のグルーヴ感、音の響きも的確に表現されていて、このジャズオケの充実度が相当に高かったことが窺い知れる。

ソロイストそれぞれのパフォーマンスも聴きどころ満載。とりわけ、米国から参加の二人、テナーのビリー・ハーパーと、トランペットのハンニバル・マーヴィン・ピーターソンが大活躍。

ハーパーもピーターソンも独特なビル・エヴァンスのアレンジをバックに、自由度の高いモーダルなフレーズを流麗に吹きまくり、時折、フリーキーに、時折、アブストラクトに展開する。堂々の吹きっぷりは見事。

1970年代以降のギル・エヴァンスのジャズオケの原点となる、このアルバムに詰まっているパフォーマンスは、今の耳で聴いても新しく響く、素晴らしい演奏の数々。「音の魔術師」ギル・エヴァンスの面目躍如である。
 
 

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2024年2月20日 (火曜日)

『The Art Farmer Septet』

何故か、我が国では実力に見合った人気が伴わないジャズマンは多々いる。が、21世紀に入って、過去のジャズ盤の音源の入手が飛躍的に楽になったので、過去のリーダー作が聴き直しし易くなった。聴き直してみると「イケる」。どうして、我が国では人気が伴わないのか、訝しく思う。そんなジャズマンが結構いるから面白い。

『The Art Farmer Septet』(写真左)。1953年7月2日と1954年6月7日の録音。プレスティッジ・レーベルからのリリース。1953年7月2日のセッションのアレンジが「Quincy Jones」。1954年6月7日のセッションのアレンジが「Gigi Gryce」。

どちらのセッションも同じ楽器編成でのセプテット。異なる日のセッションで、同一楽器編成で、優れたアレンジャーをチョイスしている。やっつけ構成盤が大好きなプレスティッジらしからぬアルバムである。

ちなみにパーソネルは、1953年7月2日の録音(tracks 1–4)が、Art Farmer (tp), Jimmy Cleveland (tb), Clifford Solomon (ts), Oscar Estell (bs), Quincy Jones (p, perc track-1 only), Monk Montgomery (el-b), Sonny Johnson (ds)。

1954年6月7日の録音(tracks 5–8)が、Art Farmer (tp), Jimmy Cleveland (tb), Charlie Rouse (ts), Danny Bank (bs), Horace Silver (p), Percy Heath (b), Art Taylor (ds)。2つのセッションで、共通のメンバーは、Art Farmer (tp), Jimmy Cleveland (tb) の二人のみ。
 

The-art-farmer-septet

 
このアルバムは、アート・ファーマーの初リーダー作になる。1953年7月2日の録音(tracks 1–4)は、10インチLP時代に『Work of Art』としてリリースされている。

セプテット編成の演奏の中でのアート・ファーマーのトランペットである。初リーダー作にしては、派手に目立ってはいないが、アドリブ・ソロを取る時のファーマーはなかなかのトランペットを聴かせているから立派。良く鳴るオープンとリリカルなミュートの両方が楽しめる一枚でもある。

1953年7月2日と1954年6月7日のどちらのセッションも、優れたアレンジャーがそれぞれアレンジを担当していて、それぞれの演奏の内容が整っていて聴いていて楽しい。クインシー・ジョーンズのアレンジも、ジジ・グライスのアレンジも、どちらも優秀。

ストレートなハードバップなアレンジと重厚なアンサンブルをベースに、趣味の良いラテン・フレーバーや盛り上がるラテンのリズム&ビート、哀愁感漂うジャジーなフレーズなど、当時としてはかなりレベルの高いアレンジである。そんな優秀なアレンジとバック・メンバーに支えられて、ファーマーはブリリアントで朗々と鳴るトランペットを吹き上げる。

アート・ファーマーの初リーダー作として、というか、ハードバップ初期の佳作として評価出来るアルバムだと思います。

ちなみにこの『The Art Farmer Septet』は、1960年代に入ると『Work Of Art』<New Jazz NJLP-8278>(写真右)として、アルバム・タイトルを当初の10インチLPのものに戻し、加えて、ジャケットを変更した上で、内容はそのままに、しれっと再発している。プレスティッジらしい、ボブ・ウェインストックらしい仕業である。
 
 

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2024年2月19日 (月曜日)

Jazz Lab と The Cecil Taylor 4

ドナルド・バードのリーダー作の落穂拾い、当ブログで「未記事化」のアルバムをピックアップしていて、不思議なアルバムに再会した。ハードバップど真ん中とフリー・ジャズの先駆け、2つの全く志向の異なる演奏スタイルのユニットの不思議なカップリング。どういう感覚で、こういうカップリング盤を生み出したのやら。

The Gigi Gryce-Donald Byrd ”Jazz Laboratory” & The Cecil Taylor Quartet『At Newport』(写真)。1957年7月5–6日、ニューポート・ジャズフェスでのライヴ録音。

パーソネルは、以下の通り。1〜3曲目が「The Cecil Taylor Quartet」で、Cecil Taylor (p), Steve Lacy (ss), Buell Neidlinger (b), Denis Charles (ds)。 4〜6曲目が「Jazz Laboratory」で、Donald Byrd (tp), Gigi Gryce (as), Hank Jones (p), Wendell Marshall (b), Osie Johnson (ds)。

このライヴ盤は20年ほど前に初めて聴いたのだが、前半1〜3曲目の「セシル・テイラー・カルテット」のフリー・ジャズの先駆け的な、反ハードバップ的なちょっとフリーな演奏の「毒気」にやられて、後半の「ジャズ・ラボ」の純ハードバップな演奏もそこそこに、このライヴ盤は我が家の「お蔵入り」と相なった。
 

The-gigi-grycedonald-byrd-jazz-laborator

 
が、今の耳で聴き直すと、まずこの「セシル・テイラー・カルテット」が面白い。テイラーのピアノが、硬質でスクエアに高速スイングするセロニアス・モンクっぽくて、意外と聴き易い。レイシーのソプラノ・サックスは、テイラーのピアノのフレーズをモチーフにした、擬似モーダルなフレーズっぽくて、これも意外と聴き易い。反ハードバップな、ちょっとアブストラクトな演奏だが、整っていて、しっかりジャズしている。意外と聴ける。

逆に初めて聴いた時にはしっかり聴かなかったジジ・グライスとドナルド・バードの「ジャズ・ラボ」の演奏だが、これは、このライヴ盤の前、ジャズ・ラボのデビュー盤『Jazz Lab』(2024年2月18日のブログ参照)の内容、ライヴなので、スタジオ録音よりも演奏はアグレッシヴ。演奏レベルと寸分違わない、それまでにない響きとフレーズの「新鮮なハードバップ」が展開されている。

フリーの先駆け的な、反ハードバップで、ちょっとアブストラクトな「The Cecil Taylor 4」。それまでにない響きとフレーズが新鮮なハードバップの「Jazz Lab」。当時はどちらも新しいジャズの響きだったのだろう。

今回、改めて聴いてみると、当時の先進的なハードバップの好例として、この2つのユニットの演奏は違和感無く聴ける。今回も、ジャズ盤って、時を経ての聴き直しって必要やな、と改めて感じた。
 
 

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2024年2月18日 (日曜日)

意外とイケる新鮮な『Jazz Lab』

ジャズ・トランペットのプロフェッサー & レジェンド、ドナルド・バードの落穂拾いをしている。

FMから流れてくるモダン・ジャズ、マイルス・デイヴィスのトランペットに触れて、ジャズを意識して聴き始めて早50年。ドナルド・バードのリーダー作については一通り聴き終えてはいるが、当ブログに記事でアップしていないリーダー作はまだまだある。追々記事にしていっているのだが、その記事にする時、おさらいに対象盤を聴き直している。

Donald Byrd & Gigi Gryce『Jazz Lab』(写真)。1957年2月4–5日と3月13日の録音。アルト・サックスの職人ジジ・グライスとトランペットのドナルド・バードが組んで立ち上げたユニット「Jazz Lab」のデビュー盤。

ちなみにパーソネルは、Gigi Gryce (as), Donald Byrd (tp), Jimmy Cleveland (tb, tracks 5 & 7), Benny Powell (tb, tracks 1 & 3), Julius Watkins (French horn, tracks 1, 3, 5 & 7), Don Butterfield (tuba, tracks 1, 3, 5 & 7), Sahib Shihab -(bs, tracks 1, 3, 5 & 7), Tommy Flanagan (p, tracks 1-3 & 6), Wade Legge (p, tracks 4, 5 & 7), Wendell Marshall (b), Art Taylor (ds)。

ユニット名の「Jazz Lab」。訳すと「ジャズ実験室」。どんな実験をやるんだ、と思って聴き始めると、意外と真っ当なハードバップ。なんだハードバップやん、と思って聴き進めると、アレンジやアドリブの取り方に色々と工夫があって、それまでにない響きとフレーズの「新鮮なハードバップ」になっていて、「手垢が付いた」感が無くて感心する。
 

Donald-byrd-gigi-grycejazz-lab

 
この盤でも、1曲目「Speculation」、3曲目「Nica's Tempo」、5曲目「Little Niles」、7曲目「I Remember Clifford」では、トロンボーン、チューバ、フレンチ・ホルン、バリトン・サックスを入れた、分厚いブラス・セクションを前提とした、捻りの効いたアレンジで、それぞれの曲をまるで新曲の様に聴かせる。「ジャズ実験室」の面目躍如である。

そして、聴き直して、ちょっとビックリしたのが、ジジ・グライスのアルト・サックス。ちょっと小難しい施策的なアルトを吹く人だと思っていたのだが違った。力感溢れるテクニック確かな、正統派アルト・サックス。これが、アレンジやアドリブの取り方に色々と工夫がある楽曲をスイスイ吹き進めるのだからビックリ。

相棒のドナルド・バードのトランペットはやはり「上手い」。テクニックも上々、フレーズは流麗で力感溢れ歌心も抜群。グライスのアルト・サックスとの相性は抜群。さすがパーマネントなユニットを組もうと思ったのも頷ける。このフロント2管の存在感が抜群なのが、この「ジャズ実験室」の最大の「ウリ」。

そうそう、1曲目〜3曲目、そして6曲目にピアノを担当しているトミー・フラナガンも実に良い。力感溢れるテクニック上々で歌心溢れるフロント2管のバックで、これは相手に不足無し、ってな感じで、トミフラ節全開のバップ・ピアノをガンガン弾いている。アドリブ・フレーズもイマージネーション豊かに様々な展開を弾きまくる。

久しぶりのこの盤で、アグレッシヴなジジ・グライスのアルト・サックスを聴いて、グライスのアルト・サックスを見直した。というか、完全に誤解していた。ドナルド・バードとトミー・フラナガンは好調を維持。聴き直してみて、意外と「イケる」ハードバップ盤。ジャズ盤って、時を経ての聴き直しって必要やな、と改めて感じた。
 
 

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2024年2月17日 (土曜日)

北欧らしい Swedish Standards

北欧ジャズの国単位の範疇は「ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、デンマーク」。北欧ジャズには独特のフレーズと響きがある。耽美的でリリカルでメロディアス。静的で決して暑くはならないクールなインプロ。クラシックの影響とそれぞれの国のフォーク・ソングのフレーズが垣間見える。

Jan Lundgren Trio『Swedish Standards』(写真)。1997年5月10−11日、コペンハーゲンのサン・スタジオでの録音。ちなみにパーソネルは、Jan Lundgren (p), Mattias Svensson (b), Rasmus Kihlberg (ds)。

ピアノのヤン・ラングレンがリーダーのピアノ・トリオ。トリオの3人ともスウェーデン出身。この「純スウェーデン人トリオ」の母国、スウェーデンの古謡を取り上げ、ジャズ化した秀作。

米国にも日本にも馴染みの無い、不思議なメロディとモチーフとしたフォーキーなフレーズがいかにも「スウェーデンの古謡」らしい。そんな「スウェーデンの古謡」を北欧ジャズの雰囲気濃厚なアレンジと録音で「トリオ・ジャズ」化している。独特な雰囲気が魅力のトリオ演奏。

この「スウェーデンの古謡」の北欧ジャズ化を聴くと、北欧ジャズの個性と特徴がとてもよく判る。とてもシンプルで地味目の「古謡フレーズ」なので、ダイナミックでドラスティックな米国ジャズを良しとする向きには「単調で退屈」だろう。
 

Jan-lundgren-trioswedish-standards  

 
しかし、欧州ジャズ者、ECMジャズ者の方々なら、すんなり受け入れて、その優れた内容を理解することができるだろう。欧州ジャズを理解できないと北欧ジャズを理解することは難しい。

古謡をベースにしながら、そのジャズ化に無理が無い。古謡の持つ不思議なメロディとモチーフが、北欧ジャズの個性と特徴に合致するのだろう。

そして、ラングレンの、美しいタッチ、歌心に溢れたフレージング、端正で流麗なリズム感、3拍子揃った、北欧ジャズ仕様のバップ・ピアノが的確に古謡のフレーズをジャズ化している。

加えて、スヴェンソンの間合いの効いたリリカルなベース、フォーキーにリズム&ビートを刻むシェールベリのドラムが、そんなラングレンの北欧ジャズ仕様のバップ・ピアノをガッチリ支え鼓舞する。

こういう、その国や地域に密着したジャズはどれもが美しい。米国ジャズだって、和ジャズだって同じ「その国や地域に密着したジャズ」。優劣は無い。

改めて、この『Swedish Standards』は、実に北欧ジャズらしいピアノ・トリオの優れたパフォーマンスである。
 
 

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2024年2月16日 (金曜日)

流麗バップで粹な『Lover Man』

長年、デューク・ジョーダン(Duke Jordan)のピアノがお気に入り。ジャズを聴き始めた頃に、ジョーダンの名盤『Flight to Denmark』に出会って、ジョーダンのピアノと曲がお気に入りになった。ブルージーで哀愁漂う「オン・ビート」のバップ・ピアノ。この「オン・ビート」の弾き回しが、最大の個性だと僕は思っている。

Duke Jordan『Lover Man』(写真)。1975年11月18日、NYCでの録音。ちなみにパーソネルは、Duke Jordan (p), Sam Jones (b), Al Foster (ds)。エレ・マイルスの要であったアル・フォスターのドラム、60年代後半のピーターソン・トリオのベーシスト、サム・ジョーンズのベースのドラムが耳新しい、ジョーダン・トリオの秀作。

ドラムがアル・フォスター、ベースがサム・ジョーンズになったからと言って、ジョーダンのピアノの個性と特徴、弾きっぷりが変わる訳では無い。逆に、ドラムのアル・フォスターとベースのサム・ジョーンズが、ジョーダンのピアノの個性と特徴、弾きっぷりを十分に理解して、ジョーダンのピアノが引き立つリズム&ビートを供給する様が、この盤の聴きどころ。
 

Duke-jordanlover-man

 
そして、そんなドラムのアル・フォスターとベースのサム・ジョーンズのリズム&ビートを得て、ジョーダンのピアノは、よりダイナミックで明確なタッチ、反面、歌心溢れる叙情的な「流麗バップな」ピアノを弾き進めている。とりわけ、スタンダード曲の解釈とアレンジが聴きもので、タイトル曲の「Lover Man」など、惚れ惚れと聴き込んでしまう。

ジョーダンの自作曲も良い。2曲目の「Dancer's Call」、続く3曲目の「Love Train」がそうなのだが、良い曲書くなあ、と感心する。しかも、ジョーダンのピアノは自作曲でより輝く。思いっきり「オン・ビート」のピアノが美しい。そして、CDリイシュー時のボートラ2曲中の1曲、アル・フォスター作の「Sea」が独特の個性を振りまいている。この1曲だけは、CDリイシュー時のボートラの恩恵。

ジョーダンは、自らのピアノの個性や特徴を変えることは絶対に無い類のピアニスト。リーダー作を重ねていくとマンネリ化する恐れが大。そこは、フロント管を1〜2本追加して、カルテット、もしくはクインテットと編成を変える、もしくは、トリオの場合は、ベーシストとドラマーを変えて、リズム&ビートのニュアンスを変える、のどちらかで回避する訳だが、この盤の場合は「後者」。ドラムのアル・フォスターとベースのサム・ジョーンズのリズム&ビートの人選が、ものの見事に成功している。
 
 

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2024年2月15日 (木曜日)

80年代タイナーの Double Trios

ジャズマンには、時代時代のトレンドに合わせて、スタイルや奏法をマイナーチェンジするタイプと、時代時代のトレンドには左右されず、一度確立したスタイルや奏法は滅多に変えないタイプと、大きく分けて2つのタイプに分類されると感じている。

迫力満点のモーダル・ピアノのレジェンド、マッコイ・タイナー(McCoy Tyner)は、一度確立したスタイルや奏法は滅多に変えないタイプ。コルトレーンの下で確立したスタイル、ダイナミックで迫力満点のモーダルな右手、そして、ビートを打ち付ける様なハンマー奏法な左手。タイナーは生涯、このスタイルと奏法を変えることは無かったように思う。

McCoy Tyner『Double Trios』(写真)。1986年6月の録音。日本のDenonレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは「tracks 1-4」について、McCoy Tyner (p), Avery Sharpe (ac-b), Louis Hayes (ds)。「tracks 5-8」について、McCoy Tyner (p), Marcus Miller (el-b), Jeff "Tain" Watts (ds) の、2つの異なったトリオで4曲ずつ演奏、Steve Thornton (perc) が「tracks 1, 3, 5-7」で入る。

1980年代に入っても、タイナーはスタイル&奏法は全く変えない。モーダルなフレーズや音の響きは、その時代時代の雰囲気や流行りを参考にしながら、自家薬籠中のものとしていて、古さは全く感じない。

特にLP時代のA面の4曲については、疾走感溢れ駆け抜けるがごとくの冒頭の「Latino Suite」、モーダルな展開が美しい3曲目「Dreamer」など、1980年代スタイルのタイナーの、オーソドックスでモーダルなピアノを楽しむことが出来る。

冒険しているのは、LP時代のB面の4曲で、ベースにエレべのファンキー・ベーシスト、マーカス・ミラーが、ドラムに、1980年代メインストリーム志向のコンテンポラリーなジャズ・ドラマーの筆頭、ジェフ・ティン・ワッツが担当している。この新世代のリズム隊をバックにタイナーがモダールなピアノを展開している。
 

Mccoy-tynerdouble-trios  

 
ベースがエレベのミラーということで毛嫌いすることは無い。5曲目「Down Home」、6曲目「Sudan」は、フュージョン・ファンクっぽい音世界なので、ミラーのパーカッシヴなエレベがピッタリハマる。

7曲目「Lover Man」、8曲目「Rhythm A Ning」は、こってこて4ビートのスタンダード曲だが、さすがはエレベの名手ミラー、なかなか繊細で緩急自在、硬軟自在な、エレベらしからぬ表現豊かなベースを刻んで、タイナーのピアノを盛り上げている。

ワッツのドラムは、1980年代の先端を行く、ポリリズミックで縦ノリで、流麗でスクエアにスイングするドラミングでタイナーのピアノを鼓舞している。

当のタイナーは、バックのリズム隊が新世代のメンバーということにはお構いなく、タイナーの個性溢れる、迫力満点のモーダル・ピアノを弾きまくっている。つまりは、新世代のミラーのベースとワッツのドラムが、タイナーのピアノの個性と特徴をよく理解して、タイナーに寄り添う様に、当時として新しいリズム&ビートを供給しているのだ。良いトリオ演奏だと僕は評価している。

我が国のジャズ・レーベルからのリリースだが、内容的には優れていると感じる。過去の「人気のモーダル奏法」に拘らず、選曲も人気の有名スタンダード曲に拘らず、タイナーの個性と特徴が表現しやすいスタンダード曲を選んでいる。実に潔い。

そんな優れたプロデュースのもと、タイナーのオーソドックスなモード・ピアノの延長線上の演奏と新世代のリズム隊とのチャレンジブルなインタープレイの対比で、1980年代のタイナーのモード・ジャズを的確に捉えている。なかなかの好盤である。
 
 

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2024年2月14日 (水曜日)

ショーターの「白鳥の歌」

2023年3月2日、ウェイン・ショーター(Wayne Shorter)は、89歳で逝去した。ジャズを聴き始めてから、リアルタイムでずっと聴き続けてきたジャズマンが逝去するのは単純に辛い。

ショーターのサックスのベースは「モード」。ショーターのモード奏法は、マイルスのモードの個性とコルトレーンのモードの個性を極端に拡張〜融合した、当時のモード奏法の究極形の様な吹き回し。

確実にステップアップしたモード解釈で、音の「スペースと間」を活かし、音の広がりを活かしたモーダルな展開は、明らかにショーターならではの音世界。確実にショーターは、ジャズ・サックスの偉大なスタイリストの一人だったし、後進に与える影響は大きかった。

Wayne Shorter, Terri Lyne Carrington, Esperanza Spalding, and Leo Genovese『Live at the Detroit Jazz Festival』(写真左)。2017年9月3日、デトロイト国際ジャズフェスティバルでのライヴ録音。2017年6月に逝去した、ピアニストで作曲家のジェリ・アレンの追悼のパフォーマンスでもあった。

ちなみにパーソネルは、Wayne Shorter (sax), Leo Genovese (p, key), Esperanza Spalding (b, vo), Terri Lyne Carrington (ds)。ショーターのサックスがフロント1管の「ワンホーン・カルテット」。

ショーターがテリ・リン・キャリントンやエスペランサ・スポルディング、レオ・ジェノヴェーゼと共演、という「一期一会」のライヴ音源。プロデュースは、テリ・リン・キャリントンが担当している。2022年9月にアルバムとしてリリース。今のところ、2023年に亡くなる前のショーターにとって最後のレコーディングでもあった。
 

Live-at-the-detroit-jazz-festival

 
しかし、このカルテットの編成は凄い。こういう組み合わせもあったのか、と唸った。ショーターのモーダルなサックスは、その個性と特徴をよく理解していないと共演できない類のものだと思うのだが、この「一期一会」のカルテットは、まるでパーマネント・カルテットの様な、一体感溢れる、濃密なつながりの中で、モーダルなインタープレイを展開している。

キャリントンのドラム、スポルディングのベース、ジェノヴェーぜのピアノ、このリズム・セクションがショーターの個性と特徴に精通し、ショーターの音楽性にリスペクトの念を強く抱いていることが、とても良く判る。特に、ジェノヴェーぜのピアノが凄い。変幻自在、緩急自在、硬軟自在なピアノでショーターの音世界に追従する。

フロントのショーターもそれを感じて、実に楽しそうにサックスを吹き上げている。時々、顔を出す「深刻なフレーズ」や「宇宙人との交信フレーズ」が無い。このライヴではショーターは地球人ジャズ・ミュージシャンとのみ、交信している。変に捻れたところが無く、ポジティヴで健康的なショーターのフレーズの数々が印象深い。

スポルディングが参加していることもあって、ボーカル曲も沢山入っている。しかし、そのボーカルも「ショーター調」がしっかり踏まえられていて、「ショーター節」を踏襲した唄い回しが実に微笑ましい。ネオ・ハードバップ&ネオ・モードの最先端の演奏であるが、このエスペランサのボーカルは決して邪魔にならない。どころか、ショーターのモード・ジャズに新しい彩りを添えている。

このショーターのワンホーン・カルテットでの演奏がもっと聴きたかったなあ。この4人でのカルテットの演奏はこのライヴの時だけ。真に「一期一会」のパフォーマンスを捉えた素晴らしいライヴ音源である。

この後、ほどなくショーターは引退し、2023年3月、鬼籍に入る。
 
 

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2024年2月13日 (火曜日)

ショウの名盤『The Iron Men』

1970年代の純ジャズ・シーンに現れ出た、不世出の偉大なスタイリストであるショウ。彼のトランペットを初めて聴いたのは、1981年の初めだったと記憶する。ジャズを本格的に聴き始めて丸3年。何とか、ジャズの聴き方が判って、演奏のトレンドの特徴や演奏自体の良し悪しが判ってきた頃だった。

ウディ・ショウについては、我が国のジャズ評論の世界では、ハバードのコピーの様なトランペットを吹く、ハバードの後塵を拝するトランペッター、という触れ込みで、トランペッターとしての評価はイマイチだった様な記憶がある。

しかし、FMでショウのトランペットを初めて聴いて、どうも、ジャズ評論でのショウの評価は違う、と感じた。それまでに無い、新しい響き、新しいフレーズのモーダルな演奏。ハバードなど相手では無い。ショウのトランペットを凌駕するのはマイルスだけ、と何故か感じた。そのFMで流れていた演奏が収録されていたアルバムがこれ。

Woody Shaw & Anthony Braxton『The Iron Men』(写真左)。1977年4月6, 13日の録音。ちなみにパーソネルは、Woody Shaw (tp, flh), Anthony Braxton (as, ss, cl), Arthur Blythe (as), Muhal Richard Abrams (p), Cecil McBee (b), Joe Chambers, Victor Lewis (ds)。

フロントが、ショウのトランペット、ブラックストンとブライスが交代でサックスの「2管フロント」のクインテット編成の演奏。ジャケは「キワモノっぽい」が、内容は「幻の名盤」として超一級なもの。

このアルバムは録音〜リリースの背景が少しややこしい。まず、1977年4月の録音ながらお蔵入り。1981年1月になってリリースされている。そして、アルバム単体としては未CD化。CDとしては、2013年、モザイク・レコードからリリースされた『Woody Shaw: The Complete Muse Sessions』の一部として全曲収録されているが入手は困難。

現在、サブスク・サイトにも存在しない。辛うじて、Youtubeに「Full Album」としてアップロードされているのみ。いわゆる、現代の「幻の名盤」である。
 

Woody-shaw-anthony-braxtonthe-iron-men

 
僕が初めて聴いたのは、この『The Iron Men』だった。ジャケには「Woody Shaw & Anthony Braxton」として、ショウとブラックストンの共同リーダーのアルバム風だが、ブラックストンは、2曲目の「Jitterbug Waltz」でクラリネットを、3曲目の「Symmetry」でアルト・サックスを、5曲目の「Song of Songs」でソプラノ・サックスを吹いているのだが、アルバムの全6曲中3曲のみの参加。

1曲目の「Iron Man」と5曲目の「Song of Songs」では、アーサー・ブライスがアルト・サックスを吹いている。ちなみに、4曲目の「Diversion One」と、6曲目の「Diversion Two」では、ショウのフリューゲルホーン1管のカルテット編成での録音で、サックスは入っていない。曲毎に少しずつパーソネルが変わるので、しっかり聴いていないと、特にブラックストンとブライスのサックスの音を取り違える危険性がある。

さて、この『The Iron Men』、内容的には、一言で言うと「限りなく自由度の高いモーダルな演奏」と「温厚な限りなく調整に近いフリーな演奏」のハイブリットな演奏。「限りなく自由度の高いモーダルな演奏」をリードするのがショウ、「限りなく調性に近い無調性のフリーな演奏」をリードするのが、ブラックストン若しくはブライス。

素晴らしいなあ、と思うのは、ショウのトランペットが、そのどちらの演奏にも完全対応していること。ショウの十八番である「限りなく自由度の高いモーダルな演奏」に完全対応なのは当たり前として、「限りなく調性に近い無調性のフリーな演奏」に完全対応しているのが凄い。

ブラックストン、ブライスが叩き出すフリーなフレーズに対して、そのエッセンスを瞬時に掴んで、ショウならではのフリーなフレーズで応戦している。むっちゃスリリング。内容が濃いので、フリーな演奏とはいえ、決して耳障りではない。

この盤には「限りなく自由度の高いモーダルな演奏」と「限りなく調性に近い無調性のフリーな演奏」の、1970年代の最良な演奏の一つが記録されている。

Polygon(多角形)にスイングするモーダルなショウと、限りなく調性に近い無調性のフリーな演奏を具現化するブラックストン&ブライス。そして、そのフロント管をガッチリ支えるマクビーのベースとエイブラムスのピアノ、そして、チェンバース&ルイスのドラム。

1970年代も純ジャズは死なず、脈々と深化していたのだと再認識する。
 
 

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2024年2月12日 (月曜日)

ショウの優秀作『Rosewood』

ウディ・ショウ(Woody Shaw)のリーダー作を聴き直している。聴けば聴くほど、早くに亡くしたのは実に惜しいトランペッターだった。そんな気持ちがどんどん募ってくる。

ショウのトランペットは、1960年代の最先端のモード・ジャズを掘り下げて、新しい響きと新しいフレーズ展開を具現化したもの。今の耳で振り返ればそれが良く判る。明らか1960年代のモードには無いし、1980年代の純ジャズ復古以降、新伝承派のジャズマン達にも、ショウの響きは無かった。

Woody Shaw『Rosewood』(写真左)。1977年12月15–19日の録音。ちなみにパーソネルは、Woody Shaw (tp, flh), Carter Jefferson (ts, ss), Joe Henderson (ts), Frank Wess, Art Webb (fl), James Vass (ss, as), - Steve Turre, Janice Robinson (tb), Onaje Allan Gumbs (ac-p, el-p), Clint Houston (b), Victor Lewis (ds), Sammy Figueroa (congas), Armen Halburian (perc), Lois Colin (harp)。

この盤での一番の聴きどころは「ウディ・ショウ」。この盤では、ショウの「演奏、作曲、バンドリーダー」の力量を遺憾無く発揮した優秀作。切れ味の良いソリッドで柔軟なトランペットの響きが個性的。そして、収録曲の全てを自作曲で埋め尽くし、この自作曲の中で、ショウの個性を最大限にアピールする。

テクニックについては、当時の人気ナンバーワン・トランペッターだったハバードと比肩する高いレベル。その響きとテクニックで、それまでに無い、新しい響き、新しいフレーズのモーダルな演奏を繰り広げる。
 

Woody-shawrosewood

 
バックのメンバーについては、さすが、大手のCBSレコードでの録音で、純ジャズが一番苦しかった頃なので、新旧入り乱れたパーソネルではあるが「豪華絢爛」。ショウの新しい響き、新しいフレーズのモーダルな演奏にしっかりと追従し、しっかりとバッキングしている。

フロント楽器に同じ管楽器、テナー、アルト、トロンボーン、フルートなどを配しているが、前面に目立って出てくるのは、ショウのトランペット。1970年代の純ジャズ・シーンに現れ出た、不世出の偉大なスタイリストであるショウ。そんなショウの個性と特質が、この盤にぎっしりと詰まっている。

この盤で、ショウの「新しい響きのモーダルなジャズ」のイメージが固まった感がある。1960年代、決定打を欠いて、次世代に影響を与えるスタイリストになり切れなかったハバードを越え、次世代のジャズ・トランペッターに強い影響を与えたスタイリスト、ウディ・ショウの「基本」がこの盤に確実に存在している。

我が国では、何故かハバードがもてはやされ、ショウはハバードの後塵を拝する存在とされたが、それは間違いなことがこの盤を聴けば判る。ショウのモード・トランペットはハバードの後継では無い。ショウのモード・トランペットは、マイルスのモード・トランペットの延長線上、発展した先にあると僕は思う。

この盤を聴いていて、ショウは絶対に再評価されるべきスタイリストだ、ということを改めて強く思った。これからしっかりとショウのリーダー作を、今一度、聴き直してみたい。
 
 

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2024年2月11日 (日曜日)

エヴァンスの『Half Moon Bay』

ジャズ・ピアノの伝説のレジェンド、ビル・エヴァンスが生前、リーダー作の録音を残したレーベルは、Riverside、Verve、Fantasy、Warner Bros.、Elektra が主だったところ。Milestoneレーベルからのリリースは「発掘シリーズ」。エヴァンスの逝去後、発掘された音源を、マネージャーだったヘレン・キーンと判断して正式リリースしたもの。

Bill Evans『Half Moon Bay』(写真)。1973年11月4日、カリフォルニア州ハーフムーン・ベイのバッハ・ダンシング・アンド・ダイナマイト・ソサエティでのライヴ録音。1998年、マイルストーン・レーベルからのリリース。ビル・エヴァンス逝去後、Milestoneレーベルからの「発掘シリーズ」の一枚。

ダイナミズム溢れるバップな弾きっぷりのエヴァンスが聴ける。ライヴでの録音なので、その時のエヴァンスの気分、調子がダイレクトに伝わってくる。この時、エヴァンスは「躁状態」だったようだ。とにかく、アドリブ・フレーズは、とりわけダイナミックにドライブするが如く弾(ひ)きまくる。

そんなエヴァンスに引っ張られて、ベースのゴメスも唄うが如く、アドリブ・フレーズを弾(はじ)きまくる。ゴメスはこの頃から、ライヴではピックアップを使用し始めたみたいで、うるさいくらいに「ブンブンブン」とソリッドに力感溢れるベース・ラインを弾(はじ)きまくる。
 

Bill-evanshalf-moon-bay

 
同じく、そんなエヴァンスに引っ張られて、理知的なドラミングが身上のモレルも、いつになく雄弁でスインギーなビートを叩き出している。モレルって、こんなにダイナミックに力感溢れるドラミングができるんだ、とちょっとビックリする。

そして、そんな「ダイナミックにドライブするが如く、弾(ひ)きまくる」エヴァンスが、「Waltz For Debby」「Autumn Leaves」「Someday My Prince Will Come」といった往年の超人気曲を再演しているのだから堪らない。エヴァンスオリジナルの「Time rememberd」も聴き応え十分。エヴァンスの本質である「バップなピアノ」が心ゆくまで楽しめる。

ビル・エヴァンスのピアノって「耽美的でリリカル」と思っている向きには、このライヴ盤の内容は「驚き」であり、これはエヴァンスではない、という感じになるだろうなあ。でも、この「バップ・ピアノ」な方がエヴァンスの本質なんで、この盤には違和感はありません。エヴァンスってライヴの時は、その時の気分や体調に大きく左右されるみたいですね。

発掘音源だけに、音質、録音バランスについては「やや難あり」。エヴァンス初心者の方々はパスしても良いライヴ盤で、エヴァンスの名盤を聴き続けて、エヴァンスの本質を理解し始めた、エヴァンス中級者の方々にお勧めのライヴ盤だと思います。
 
 

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2024年2月10日 (土曜日)

第2期RTF『第7銀河の讃歌』再び

マイルスがエレクトリック・ジャズに手を染めたのが切っ掛けとなって、1970年代前半のジャズのトレンド、「ジャズの電気化」と「ロックとの融合」が進み始める。いわゆる「クロスオーバー・ジャズ」である。マイルスはいち早く電気化を実現、「ファンク」との融合を推し進めた。

そこで、チック・コリアは考える。第1期Return to Forever(RTFと略)では、それまでのジャズのトレンドを集約し、最先端のコンテンポラリーなメインストリーム志向の純ジャズを実現した。かたや、マイルス親分はファンクなエレ・ジャズでブイブイ言わせている。チックもエレ・ジャズをやりたくなった。そして、チックは「ハードなインスト・ロック」との融合を選択する。

Return to Forever『Hymn of the Seventh Galaxy』(写真左)。邦題は『第7銀河の讃歌』。1973年8月レコードプラネットで録音。パーソネルは、Chick Corea (key, p, org), Bill Connors (g), Stanley Clarke (b), Lenny White (ds, per)。第2期RTFのデビュー盤である。

「最先端のコンテンポラリーなメインストリーム志向の純ジャズ」を実現した第1期RTFから、ジャズの象徴的楽器であるサックスを抜いて、代わりに、ロックの象徴であるエレギを導入。バンド・サウンドのロック色を強めて、バンドのサウンド志向を「ジャズ・ロック」に定める。

エレギの担当には、ブルース&ロック畑のギタリスト「ビル・コナーズ」を抜擢。「くすんだ音でちょっとラフな調子」というコナーズのエレギが相当効果的に効いている。速いフレーズを弾き回す時、ビートを崩す感じのラフな弾き回しになるんだが、これがアタッチメントの音と相まって「くすんだ音でちょっとラフな調子」になっている。これが、この盤のジャズロックの音の最大の個性。その個性を全面に押し出して、わざとロックっぽく弾いている雰囲気が実に良い。

そして、この第2期RTFはハードなジャズ・ロックに徹することになる。とにかく「ハード」。ただ、旋律はキャッチャーでメロディアスなものが中心なので、ハードな演奏ではありながら、聴き辛いというものではない。70年代ロックで言うと、プログレ、例えばイエスとかクリムゾン、ELPの演奏が聴けるのならば、全く問題の無いハードさである。
 

Hymn_seventh_galaxy_1

 
主役のチックのエレクトリック・キーボードについては申し分無い。これほどまでに、エレクトリック・キーボードを弾きこなせるミュージシャンはいないと思う。それぞれのキーボード&シンセに精通し、それぞれのキーボード&シンセの個性をしっかり踏まえた使い分けについては素晴らしい限り。

もう一つ、チックの凄いところは、この盤に収録されている自作曲の出来の良さ。旋律はキャッチャーで、ロマンティックでメロディアス。スパニッシュ・フレーバーが隠し味。この様な「印象的な旋律」を持った曲を中心に構成されている。

故に、この盤はアレンジも良く考えられていて、聴きやすく親しみ易く、聴いていて楽しく「ノリ易い」。この辺りが、同時代、トニーが率いた「ライフタイム」や、マクラフリンが率いた「マハヴィシュヌ・オーケストラ」との違いだろう。

他のメンバーも素晴らしいパフォーマンスを披露する。クラークのベースはブンブン唸りを上げ、ホワイトのドラミングは重爆撃機の如く重低音ビートを供給する。この超重量級のビート&リズムも、この第2期RTFの特徴。

あの千変万化のチックの重力級キーボードと、ビル・コナーズの重量級エレキギターを相手にするには、これくらいの「超重量級」のリズム・セクションで迎え撃たないと、バンド演奏全体のバランスが取れない。

エレギがコナーズなので、なんとなく、第2期RTFの諸作の中で、評価が一段だけ低めだが、どうしてどうして、収録された曲やグループ・サウンズ全体の雰囲気など、総合的に見渡すと、なかなかに優れた、相当に尖った「ハードなジャズロック」だと思う。

ハードな演奏内容ではあるが、収録されている演奏の旋律は「キャッチャーでメロディアス」。これがこのバンド独特の個性となって、このチック率いる第2期RTFは、当時最高の部類の「ジャズロック」バンドとして人気を獲得していく。今の耳にも、強烈な「ハードなジャズロック」として訴求力抜群である。
 
 

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2024年2月 9日 (金曜日)

最高の「92年ブルーノート東京」

チックが主宰する「ストレッチ・レーベル」からリリースされた(当時は日本だけでの発売だったと記憶している)、自主制作盤っぽいリーダー作は秀作ばかり。なぜ正式盤としてリリースしなかったのか不思議。大手レーベルは、チックの昔の録音はリリースしても売れない、とでも思っていたのだろうか。今ではどの盤も廃盤状態なので、中古を探すしかない。勿体ないことである。

Chick Corea Akoustic Band『Live From The Blue Note Tokyo』(写真左)。1992年11月、ブルーノート東京でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Chick Corea (p), John Patitucci (b), Vinnie Colaiuta (ds)。アコースティック・バンド名義だが、ドラムはデイヴ・ウェックルではなく、ロック、フュージョン畑のヴィニー・カリウタを日本に連れてきている。

もともと、チックのアコースティック・バンドは、当時の先端を行く、メインストリーム志向のトリオである。特にリズム隊、パティトゥッチのベース、ウェックルのドラムが素晴らしい。正確無比、超絶技巧、ダイナミズム&疾走感溢れる縦ノリのスインギーなリズム&ビート。その極上のリズム隊に乗って、これまた当時の先端を行く、チックのメインストリーム志向のアコピ&エレピ。
 

Chick-corea-akoustic-bandlive-from-the-b

 
しかし、このブルーノート東京でのライヴでは、ヴィニー・カリウタが、ウェックルの代役でドラムを担当している。このカリウタが凄い。野生児のごとく、バッシバッシとラフにポリリズムを叩きまくる。荒々しいだけかと思いきや、硬軟自在、緩急自在に、柔軟にダイナミックに縦ノリのスインギーなリズム&ビートを叩き出す。これが、まず、パティトゥッチのベースに「化学反応」を起こしている。

いつになく、アグレッシヴに流麗に唄うがごとく、踊るがごとく、ウォーキング・ベースをブンブンに弾きまくる。これが、カリウタの野生児ポリリズムと共鳴して、うねるような縦ノリ・グルーヴを生み出している。そして、そこにチックのアコピ&エレピが入ってくる。極上のチックのパフォーマンスが繰り広げられる。

この1992年のブルーノート東京でのライヴ・パフォーマンスは、ウェックルがドラムのアコースティック・トリオと合わせて、チックのトリオの最高の部類だと思う。明らかに、チックのピアノ・トリオは進化している。このライヴ盤には、1990年代チックのピアノ・トリオの代表的名演が詰まっている。
 
 

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2024年2月 8日 (木曜日)

名演 Live From Country Club

アコ・チックのアルバムを聴き直していて、チックが主宰する「ストレッチ・レーベル」からリリースされた(当時は日本だけでの発売だったと記憶している)、自主制作盤っぽいリーダー作が複数枚出ているのに、改めて気がついた。そして、この盤の内容がどれも優れている。順に全アルバムを聴き進めて、思わず聴き惚れてしまった。

Chick Corea『The Trio: Live From Country Club』(写真左)。1982年10月、カリフォルニア州のライヴハウス「Country Club」での録音。1996年11月、チックが主宰するStretchレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Chick Corea (p), Miroslav Vitous (b), Roy Hayes (ds)。パーソネルから判るように、『Now He Sings, Now He Sobs』(1968年)の優れものトリオの再会ライヴの一枚。

ストレッチ・レーベルからのリリースの一枚。『Now He Sings, Now He Sobs』(1968年)の優れものトリオの、1980年代の再会盤については、ECMレーベルから2枚のアルバムが正式盤としてリリースされている。この盤は私家録音を発掘、その内容が優れていたので、急遽、リリースに至った盤。日本での限定リリースらしく、音源のレア度は高い。
 

Chick-coreathe-trio-live-from-country-cl

 
内容的には、ECMレーベルから正式にリリースされた2枚のアルバムに比肩する、もしくは、部分的に優れた、なかなかの内容である。さすが『Now He Sings, Now He Sobs』を生み出した3人である。この盤では、1980年代仕様の最高のピアノ・トリオのパフォーマンスが記録されている。この盤では、ECM盤には無いピアノ・ソロ、ピアノ&ベースのデュオ、ドラム・ソロが含まれてい、てより一層内容が濃い。

チックについては、1960年代、1970年代と比べて明らかに進化している。チックならでは、モーダルで個性的なフレーズを、軽やかに流麗にバリエーション豊かに弾きまくり、1970年代には封印していたフリーなソロを再び披露している。しかも、それが昔のイメージを踏襲するのではなく、新しいチックならではのアプローチで、チックとして新しいイメージの、フリーなフレーズをバンバン叩き出すチックは聴き応え十分。

この盤は、ECMレーベルから正式にリリースされた2枚のアルバム同様、『Now He Sings, Now He Sobs』の再現セッションの記録では無い。1980年代の最先端を行く、チック・ヴィトウス・ヘインズのピアノ・トリオの素晴らしいパフォーマンスの記録である。3人とも過去を全く振り返っていないことに、彼ら同一の強い「矜持」を強く感じる。でもなあ、ジャケはもうちょっとマシなものにならなかったのだろうか(笑)。
 
 

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2024年2月 7日 (水曜日)

常態のペッパー『Smack Up』

伝説のアルト・サックスの天才奏者「アート・ペッパー(Art Pepper)」。彼のキャリアの最大の特徴は「ジャンキー(麻薬中毒者)」であったことだろう。ペッパーのディスコグラフィーを振り返ってみると、初リーダー作が1956年の録音。それから1960年の録音までが、アート・ペッパーの活動前期と定義して良い。

アート・ペッパーの活動前期は、1950年代半ばから薬物関連の懲役刑のため何度も活動が中断、刑務所から出てきた時にリーダー作を録音するといった状況で、1960年代半ばにはシーンから姿を消すことになる。そして、1960年代後半は麻薬更正施設「シナノン療養所」に入所している。

Art Pepper『Smack Up』(写真左)。1960年10月24–25日の録音。Contemporaryレーベルからのリリース。トナミにパーソネルは、Art Pepper (as), Jack Sheldon (tp), Pete Jolly (p), Jimmy Bond (b), Frank Butler (ds)。ペッパーのアルト・サックスとシェルダンのトランペットが2管フロントのクインテット編成。

このアルバムは録音時点でほどなく正式リリースされている、アート・ペッパーの活動前期の最後に位置するリーダー作。収録曲は正式には全6曲。ペッパーの自作曲は1曲のみ。渋めのスタンダード曲が1曲。他の4曲は当時の「ミュージシャンズ・チューン」。1960年の録音で、オーネット・コールマンの曲「Tears Inside」を収録しているところが興味深い。この1960年時点で、ペッパーはフリー・ジャズに興味を示していた、とも捉えられる。
 

Art-peppersmack-up 

 
さて、このアルバムでのペッパーのアルト・サックスは好調。クールにエモーショナルに流麗にアルト・サックスを吹き進めている。落ち着いたアドリブにも、ペッパーらしいセンスの良さが感じられるし、楽器も良くなっているし、テクニックも揺るぎがない。恐らく、刑務所から出てきた時のペッパーは「常態」にあったのだろう。そんな「常態」での落ち着いた、天才の閃きの様なアドリブ・フレーズを披露している。

この「常態」でのペッパーを「沈滞している」と評する向きもある。が、元々、名盤の誉高い『Surf Ride』や『Meets the Rhythm Section』での「躁状態」にある様な根明で強烈な吹き回しについては、ペッパーは麻薬を「ばっちりキメて」吹いていたのでないか、と疑っているので、僕はそれらがペッパーの「真のベスト」とは感じていない。確かに凄い吹き回しではあるのだが....。「常態」での根明で強烈な吹き回しについては、アート・ペッパーの活動後期の特徴になる。これについては、また後日に語りたい。

さて、この『Smack Up』に話を戻すと、この盤のセッションについては、バックのリズム・セクションについても、なかなか好調なパフォーマンスを聴かせてくれる。特に、ピート・ジョリーのピアノが好調。ボンドのベース、バトラーのドラムも堅実なサポート。そうそう、フロント管の相棒、シェルダンのトランペットもなかなか。そう思って聴きながらパーソネルを改めて見渡すと、当時、ウエストコースト・ジャズの代表的ジャズマンが一堂に会しているではないか。良いはずである。

この『Smack Up』、ペッパーの活動前期の「最後の佳作」。「常態のペッパー」の落ち着いたクールな吹き回しを「沈滞している」として遠ざけるには勿体無い。ペッパーの活動前期の「常態のペッパー」のアルト・サックスを十分に楽しめる好盤です。
 
 

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2024年2月 6日 (火曜日)

純ジャズ志向の『Trio 99→00』

パット・メセニーは何の前触れもなく、いきなり「コンテンポラリーな純ジャズ」に転身することがある。

通常のパットは、パット・メセニー・グループ(PMGと略)での活動がメインで、音の基本は「コンテンポラリーなクロスオーバー・ジャズ、もしくは、硬派な純ジャズ志向のジャズ・ロック。パットの個人名義での活動もあるが、こちらは「オーネット・コールマン」を踏襲したフリー・ジャズがメイン。しかし、突如として「コンテンポラリーな純ジャズ」に志向を変えたりするから面白い。

Pat Metheny『Trio 99→00』(写真左)。1999年8月の録音。2000年2月のリリース。ちなみにパーソネルは、Pat Metheny (g), Larry Grenadier (b), Bill Stewart (ds)。パット・メセニーのソロ・プロジェクト。今回は「ギター・トリオ」である。演奏の基本は、コンテンポラリーな純ジャズ。

1996年リリースの『Quartet』で、PMGとして、いきなり純ジャズ化。しかし、PMGとして違和感を覚えたのか、次作の『Imaginary Day』で、ワールド・フュージョンな音世界に軌道修正している。で、この『Trio 99→00』は、パットのソロ・プロジェクトの範疇での「コンテンポラリーな純ジャズ」化である。

パットのソロ・プロジェクトでの直近のトレンドは「デュオ」演奏だった。当アルバムは、そのデュオの演奏を一歩進めて、ギター・トリオでの「コンテンポラリーな純ジャズ」化である。ベースにラリー・グレナディア、ドラムにビル・スチュワートを迎えた、本気で硬派なギター・トリオである。
 

Pat-methenytrio-9900

 
収録された曲を見渡すと、コルトレーンの「Giant Steps」やウェイン・ショーターの「Capricorn」といった、シーツ・オブ・サウンドや、モード・ジャズなど、パッキパキ硬派な純ジャズ曲と、「Lone Jack」や「Travels」のパットメセニーグループ時代の曲を、本気で硬派なギター・トリオでやるといった「快挙」。

ただし、パットの「コンテンポラリーな純ジャズ」である。スインギーな4ビートでもなければ、マイルス流やショーター流のベーシックなモーダルなジャズでも無い。パットの個性全開、浮遊感溢れる、それでいて、フレーズの芯がしっかりしたフォーキーなフレーズで、パット流の即興モード・ジャズを展開する。

グレナディアのベース、スチュワートのドラム、共にそんな「パット流の即興モード・ジャズ」に的確に反応し、しなやかで力感溢れるリズム&ビートで、パットをしっかりとサポートする。今回、この盤で初めてトリオを組んだとは思えない、しっかりと意思疎通された、臨機応変なトリオ・サウンド。見事である。

録音時、パットは45歳。人生の半ばに差し掛かり、「コンテンポラリーな純ジャズ」に回帰する気になったのだろうか。そして、パットは、この『Trio 99→00』で、「パット流の即興モード・ジャズ」として、見事なパフォーマンスを捉えている。今の耳で聴き直して、現代のネオ・ハードバップの名盤として良い内容かと思う。
 
 

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2024年2月 5日 (月曜日)

パットのソロ『Dream Box』

パット・メセニーは、今年70歳。盟友ライル・メイズが2020年に亡くなって、パット・メセニー・グループの活動は停止した。ソロ活動のみに集中して現在に至る。2021年リリースの『Side-Eye NYC(V1.IV)』は、久しぶりに「PMGサウンドに通じるパット」らしい内容で、聴いていてワクワクしたが、その後が続かない。どうしたのか、と思っていたら、昨年、突如、ソロアルバムが出た。

Pat Metheny『Dream Box』(写真左)。2023年6月のリリース。パット・メセニーの声明文によると「この盤は、僕にとって珍しい録音で、ツアー中に聴いて発見した数年間に録音されたソロ曲のコンピレーションです」。タイトルの「Box」は、スラングで、フルアコのエレキ・ギターを指す。そう、このアルバムは、パットのフルアコ・エレギのソロ・パフォーマンス集。

全編に渡って、絶妙にコントロールされたフルアコ・エレギのソロ・パフォーマンスが繰り広げられる。フルアコ・エレギの表現力の豊かさ。パットのフルアコ・エレギをコントロールするテクニックの高さが良く判る。ビートの効いたスインギーな純ジャズ志向の演奏では無い。限りなく耽美的でリリカル、静的で哀愁感溢れる、即興演奏をメインとした「ニュー・ジャズ」な音世界。静かなエレキ・ギター。
 

Pat-methenydream-box

 
演奏しているのはパット一人なのだが、ギター1本だけの完全なソロは1曲だけ。他の曲は、バックのギターにソロを重ねて録音している。パット曰く「ツアー中に思いつくまま、バラバラに録り溜めておいた演奏が、聴き直してみるとその一貫性に驚いた」ということだが、確かに、このアルバムの収録された曲にはしっかりとした一貫性が感じられる。

語りかける様な繊細なダイナミズム、哀愁感漂うマイナー調の流麗なフレーズ、決して熱くならない緻密な音の積み重ね、しっとりとした静的で穏やかなリズム&ビート。これらの音の個性を融合して、パットは即興演奏の極致を表現する。即興演奏というところで、このパットのソロ・パフォーマンスは、ギリ「ジャズ」の範疇に留まっている。

「エレギをアコギのように静かに情感豊かに弾くにはどうしたらいいか」という命題に取り組んでいる様な、パットの思索的な、沈思黙考的なソロ・パフォーマンス。聴いていて、ECMからデビューした時の『Bright Size Life』(1976年) での、パットの透明感溢れる、耽美的でリリカルなパットのパフォーマンスを思い出した。
 
 

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2024年2月 4日 (日曜日)

『Eastern Rebellion 4』を聴け

シダー・ウォルトンが率いる「イースタン・リベリオン」。第1作が、1975年12月の録音。第1作から第4作まで、スタジオ録音のみで全4作。1975年から1983年までの8年間。基本的には、1970年代のモード・ジャズの進化形のパフォーマンスの記録で、これがなかなか見事な内容で残っている(我が国では取り上げられることは殆ど無いが....)。

Cedar Walton『Eastern Rebellion 4』(写真左)。1983年5月25日の録音。オランダの「Timeless label」からのリリース。ちなみにパーソネルは、Cedar Walton (p), Curtis Fuller (tb), Bob Berg (ts), Alfredo "Chocolate" Armenteros (tp), David Williams (b), Billy Higgins (ds)。シダー・ウォルトン率いる名コンボ「イースタン・リベリオン」最終作。

ベースが、サム・ジョーンズから、デヴィッド・ウィリアムスに交代。フロント管に、キューバの英雄、アルフレッド “チョコラーテ” アルメンテロスのトランペットが加わって、3管フロントのセクセット編成。キューバのアルメンテロスが参加して、この『Eastern Rebellion 4』は、アフロ・キューバン・ジャズの1980年代版。
 

Cedar-waltoneastern-rebellion-4

 
この時期に、どうして「純ジャズ志向のアフロ・キューバン・ジャズ」をやったのか、ウォルトンの真意は判らないが、1950年代から60年代のアフロ・キューバンを下敷きにしながら、1970年代後半に全盛を極めたフュージョン・ジャズからの影響か、ソフト&メロウな「温和な」側面も見え隠れする、以前の熱狂的な「熱い」アフロ・キューバン・ジャズでは無い、聴きやすさ満点の「軽快な」アフロ・キューバン・ジャズが展開される。

演奏全体の曲想が「アフロ・キューバン・ジャズ」になっても、ウォルトンのそこはかとなくファンキーでバップな「情熱&躍動ピアノ」は変わらない。というか、ウォルトンのバップな「情熱&躍動ピアノ」が、アフロ・キューバンにぴったりで、モーダルなウォルトンのピアノが、「アフロ・キューバン」をやっていても違和感が無い。ウォルトンのピアノの適応力の広さが窺い知れる。

ただ、この時期にイースタン・リベリオンが「アフロ・キューバン」をやる必然性を見出せることが出来ないので、この盤でのイースタン・リベリオンは異質で、この盤の唐突感は否めない。1983年の録音、フュージョン・ジャズが勢いを失い、1980年代半ばの「純ジャズ復古」前夜の時期。「イースタン・リベリオン」は進む方向性を見出せず、この4作目でその活動を終結した。致し方ない。
 
 

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2024年2月 3日 (土曜日)

『Eastern Rebellion 3』を聴け

そこはかとなくファンキーでバップな「情熱&躍動ピアノ」。テクニックは確か、端正で正確なタッチ。両手を一杯に使って、ダイナミックにスケールの大きいバップ・ピアノを弾きまくる。そんな「シダー・ウォルトン」のリーダー作の聴き直し。1970年代の純ジャズ。これが意外と興味深い。

Cedar Walton『Eastern Rebellion 3』(写真左)。1979年12月19日の録音。ちなみにパーソネルは、Cedar Walton (p), Curtis Fuller (tb), Bob Berg (ts), Sam Jones (b), Billy Higgins (ds)。今回の第3弾では、ボブ・バーグのテナーはそのままに、カーティス・フラーのトロンボーンが加わったクインテット編成。

シダー・ウォルトンが率いる「イースタン・リベリオン」の第3弾。「イースタン・リベリオン」のサウンドは、基本的には、1960年代モード・ジャズの進化形、1970年代のモード・ジャズだと思うのだが、今回、フラーのトロンボーンが加わっただけで、イースタン・リベリオンのサウンドは、1960年代、ウォルトンが在籍した頃の「ジャズ・メッセーンジャーズ」のモード・ジャズの進化形の様なサウンドにガラッと変化している。
 

Cedar-waltoneastern-rebellion-3

 
ほんわかホノボノ、音のふくよかさ、フレーズの聴き心地の良さを前面に押し出した、安定したフラーのトロンボーンが、唯我独尊、自分の吹きたい様に吹く、バーグのテナーと好対照で、意外と相性の良いフロント2管になっているのが面白い。お互いのアドリブ・ソロが、お互いの個性を引き立たせている。

フロント2管のバックで、トリオ率いてリズム・セクションを司るシダー・ウォルトンのピアノは、この「イースタン・リベリオン」の第3弾でも絶好調。前々作、前作での「ウォルトンの音を敷き詰めた様なモーダルなフレーズ、躍動感を生む弾むようなコード弾き。そこに骨太なサム・ジョーンズがガッチリと音の底を支え、ビリー・ヒギンスの柔軟なドラミングが、グループ全体のスインギーなグルーヴを堅実にキープする」は変わらない。

イースタン・リベリオンの提示する「1960年代、ウォルトンが在籍した頃の、ジャズ・メッセーンジャーズのモード・ジャズの進化形」は内容が濃い。クロスオーバー&フュージョン・ジャズ隆盛の1970年代に入っても、しっかりと1960年代のモード・ジャズを進化させている。決して「懐メロ」に走らないウォルトン。硬派なジャズマンである。
 
 

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2024年2月 2日 (金曜日)

エレ・ハービーの「最終成果物」

エレクトリックなハービー・ハンコック(エレ・ハービー)の活動期は、1969年から1984年辺り。以降『Perfect Machine』(1988年録音)、『Dis Is Da Drum』(1993-94年録音) と、4〜5年に1枚のタイミングでアルバムをリリースしている。そして、今回、ご紹介するアルバムで、エレ・ハービーは打ち止めである。

Herbie Hancock『Future 2 Future』(写真左)。2001年の作品。ちなみにパーソネルは、Herbie Hancock (key), Wayne Shorter (sax), Charnett Moffett (ac-b), Bill Laswell (el-b, produce), Jack DeJohnette, Tony Williams (ds, 故人), Karsh Kale (ds, program beats)。他、ゲストが多数。

ビル・ラズウェルのプロデュースによる「21世紀のエレ・ハービー」。ビル・ラズウェルが、ハービーのの過去の音源を使用してリミックス盤を作成することを提案したところ、ハービーが、それなら新しいアルバムを作る、と言って実現したアルバムらしい。

エレ・ハービーの総決算的内容。初期の「プログレッシブ・エレ・ファンク」な響き、全盛期の「Q(クインシー・ジョーンズ)流のエレ・ファンク」、そして、1980年代の「スクラッチ」、「アフリカン・ネイティヴなビート」「ヒップホップのビート」、エレ・ハービーの個性の全てが、この『Future 2 Future』に盛り込まれている。

恐らく、過去を振り返って、ハービーが思うところの最高のメンバーを集めて、最高のエレ・ハービーの最終到達点の演奏を残したかったのだろうか。なんだか、ほとんど、マイルス1960年代黄金のカルテット以降の同窓会的メンバーである。
 

Herbie-hancockfuture-2-future 

 
パーソネルを見渡すと、サックスにウェイン・ショーター、ドラムにトニー・ウイリアムス(録音時点では故人。生前の録音音源を編集収録)、そして、初期エレ・マイルスの要、ジャック・デジョネット。

さすがに、ベースにはロン・カーターとはいかなかったらしく(ロンのベースはさすがにヒップホップのビートには向かないなあ)、エレベ感覚でアコベを弾くことができるチャーネット・モフェットと、スクラッチ&エレ・ヒップホップの盟友、ビル・ラズウェルがベースを担当している。

エレ・ハービーの総決算的内容なので、新しい響き、新しいトレンドは見当たらない。過去の成果を熟練・熟成した、ハイ・レベルで、明らかにハービーのエレ・ファンクである。音の響き、フレーズ、リズム&ビート、どこから聴いても「成熟したエレ・ハービー」。

1969年の『Fat Albert Rotunda』から、ずっとエレ・ハービーを聴き親しんできた「ハービー者」には感じる、この盤はエレ・ハービーの「最終成果物」である。

発売当時、『ビルボード』のコンテンポラリー・ジャズ・アルバム・チャートでは2位。我が国でも、4週オリコンチャート入りし、最高45位を記録。エレ・ハービーの人気はまだまだ衰え知らずだったことが窺い知れる。

しかし、以降、現在まで、エレ・ハービーの「次なるアルバム」は発表されていない。
 
 

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2024年2月 1日 (木曜日)

ハービーの謎『Dis Is da Drum』

ハービー・ハンコックのリーダー作の「落穂拾い」。当ブログでの、ハービーのリーダー作の記事のコンプリートを目指しているのだが、1980年代後半から、ポロポロッと何枚か、記事化されていないリーダー作がある。エレ・ハービーについては2枚ほどのリーダー作が未記事化。その中の一枚を今回取り上げた。

ハービー・ハンコックは、1963年、マイルスのバンドに抜擢される。マイルスにはモード・ジャズの薫陶を得て大成長。しかし、エレ・マイルスの時代に入った時点で、エレピをアコピの様にしか弾けず(弾かず?)に、いわゆる「クビ」に。しかし、ハービーはマイルスが大好きで、マイルスの「エレ・ファンク」に追従。しかし、マイルスの真似をしたら、マイルスに怒られるので、ハービーは「Q(クインシー・ジョーンズ)」のエレ・ファンクをお手本に、ハービー流のエレ・ファンクで大活躍。

ハービーは、マイルスがそれぞれの時代の最先端で流行っていたジャズの演奏スタイルや、他の音楽ジャンルで流行っていたリズム&ビートをいち早く、ジャズに取り込んでいたのを踏襲して、先に挙げた「Q流のエレ・ファンク」そして「スクラッチ」のジャズ化にいち早く取り組んで、マイルスに大アピール。きっと、ハービーはもう一度、マイルスとやりたかったんやろなあ。でも、それは叶わなかった。

Herbie Hancock『Dis Is da Drum』(写真左)。1994年の作品。ちなみにパーソネルは、曲ごとにメンバーが色々入れ替わっているので、詳細は割愛するが、それぞれの曲で「鍵を握っている」メンバーは、Bill Summers (perc), Wah Wah Watson (g), Wallace Roney (tp), Bennie Maupin (ts), The Real Richie Rich (DJ and scratcher) 等々。そして、かなりの数のパーカッション、そしてボーカル。

リリース当時「ハービーのアフリカン・ネイティヴなビート、ヒップホップのビートのジャズ化」として、先進的なエレ・ジャズとして、相当にチヤホヤ好意的に受け入れられていた思い出がある。が、自分には、どうにも以前聴いたことのある、既出の「エレ・ファンク」に聴こえて、どうにも困ったことを覚えている。
 

Herbie-hancockdis-is-da-drum

 
既に1970年代から80年代前半で、ハービーのエレ・ファンクは「Q流のエレ・ファンク」なスタイルで確立されている。しかも、以前に「スクラッチ」を取り入れたエレ・ファンクでスベった実績があるので、今回、スクラッチの代わりに「ヒップホップ」を取り入れたのは、ちょっと無理筋だった様な気がしている。

冷静にこの盤に詰まっている「エレ・ファンク」を聴き直してみると悪くはない。水準以上である。しかし、アフリカン・ネイティヴなビートやヒップホップのビートを取り込んだことによる「化学反応」はあまり感じられない。どっちかと言えば、マイルスの「ビッチェズ・ブリュー」のリズム&ビートを洗練しクールにしたイメージで、それぞれのトラックに流れるリズム&ビートは、どちらかと言えば「温故知新」的な感じがする。

その「温故知新」な感じは、「マイルスの再来」と評されたウォレス・ルーニーのトランペットが入ったトラックで強く感じる。ルーニーのトランペットは「マイルスの再来」と言われるだけあって、マイルスの音に似通っているのだが、このルーニーのトランペットが入ると、そのトラックの音世界は、1970年代前後の「エレ・マイルス」を彷彿とさせるものに激変する。ルーニーのトランペットが入ったトラックが特別に映える。

この『Dis Is da Drum』の各トラックを聴いていて、もしかしたら、ハービーって、このトラックをバックにマイルスにトランペット吹いて欲しかったのではないか、と思ってしまう。それほど、この『Dis Is da Drum』の各トラックでマイルスのトランペットが鳴り響いたら、と想像すると、なんだかゾクゾクする。

しかし、このアルバムが制作された当時は、既にマイルスはこの世にいない。故に、この『Dis Is da Drum』の制作理由、存在意義がいまだに理解できずにいる。この盤の「アフリカン・ネイティヴなビート、ヒップホップのビートのジャズ化」は、ハービーならではの「マイルス・トリビュート」だったのかもしれない。謎である。
 
 

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