ビルのThe Solo Sessions, Vol.2
録音当時、直ちにリリースされた訳では無く、エヴァンスの死後、1985年に「The Complete Riverside Recordings」というBOX Setの中で初めて日の目を見た「お蔵入り」音源。アルバム化は、1989年に、まず「Vol.1」が、そして、1992年に「Vol.2」が単体でリリースされた。
ビル・エヴァンスのソロ・ピアノ盤『The Solo Sessions, Vol.1&2」。リリース当時、不当と思われるほど、不憫な評価を受けている。その評価を読んで、エヴァンスの唯一の駄盤として、遠ざけているジャズ者の方々も沢山いる。しかし、こういう不憫な評価を受けている盤は、本当に「エヴァンスの駄盤」なのかどうか、実際に自分の耳で聴いてみるのが一番。
Bill Evans『The Solo Sessions, Vol.2』(写真左)。1963年1月10日の録音。ちなみにパーソネルは、Bill Evans (p) ただ一人。そう、この盤はビル・エヴァンスのソロ・ピアノ集。『The Solo Sessions, Vol.1』の続編として、1992年にリリースされている。
この盤でも、エヴァンスの「即興演奏の妙」が楽しめる。「Vol.1」と同じく、全曲スタンダード曲で、ビル独特の「音色と弾き回し」が確認し易く、即興演奏化していくビル独特の感覚を感じ取ることが出来る。
また、「ビル独特のバップな弾き回し」と「フレーズの音の広がりと間を生かした、耽美的でリリカルな弾き回し」の2面性が、この盤でもしっかり確認できる。この2面性がビルの重要な個性でもある。
「All the Things You Are」や「I Loves You,Porgy」は、「フレーズの音の広がりと間を生かした、耽美的でリリカルな弾き回し」の最たるものだし、ビルのお気に入り「"Santa Claus Is Coming to Town」や、チャーリー・パーカーの「Ornithology」は、飛び跳ねるように軽快な「ビル独特のバップな弾き回し」の最たるもの。
いきなりスタジオに入って、ピアノの前に座って、いきなり即興演奏として、お気に入りのスタンダード曲を弾くのだから、演奏の精度、曲全体の出来には、少しばらつきがあったりするのは仕方が無いだろう。このビルのソロ・ピアノの演奏は、美術で言う「デッサン」もしくは「下書き」の様な雰囲気。つまりは、ピアノ演奏の完成形の土台になるものなので、何度聴いても、新しい発見があって、興味は尽きない。
ということで、このビルのソロ・ピアノ盤『The Solo Sessions, Vol.2』についても、決して、聴くに値しない駄盤ではなく、ビルのピアノのビル独特の「音色と弾き回し」を確認できる、意外と面白い内容のソロ・ピアノ盤なのだ。
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