デオダートらしさ満載の『旋風』
デオダートは「クロスオーバー・ジャズの寵児」。ブラジル出身のキーボード奏者&アレンジャー。1973年、デオダート名義としてCTIレーベルから『Prelude』をリリース。
デオダートは「クロスオーバー・ジャズの寵児」。しかしながら、クラシック曲「ツァラトゥストラはかく語りき」や「ラプソディー・イン・ブルー」をエレ・ジャズにアレンジしてヒットを飛ばしたことから、我が国では、クラシック曲をエレ・ジャズ化するのに長けている「クロスオーバー野郎」という偏った評価が定着しているみたいなのだが、とんでもない。
デオダートはまず「キーボード奏者」として優秀。特に、エレ・ジャズの世界で「フェンダー・ローズ」を弾かせたら、これがなかなかのもの。デオダートならでは、の手癖、フレーズを踏まえて、デオダートにしか弾けない「フェンダー・ローズ」を聴かせてくれる。
そして、デオダートは「アレンジャー」として優秀。クロスオーバー&フュージョン・ジャズの老舗レーベルCTIをメインに、ミルトン・ナシメント、アントニオ・カルロス・ジョビン、マルコス・ヴァーリ、フランク・シナトラなどの数々のアルバムの製作にアレンジャーとして参加している。特に、ホーンアレンジに独特の個性があって、聴けば「これってデオダート?」と判るくらいの個性的なアレンジが秀逸。
Deodato『Whirlwinds』(写真左)。1974年の作品。邦題「旋風」。ちなみにパーソネルは、Eumir Deodato (key, perc, arr, produce), John Tropea (g), John Giulino, Tony Levin (b), Billy Cobham, Nick Remo (ds), Rubens Bassini (congas、bongos) ,Gilmore Digap (per), Sam Burtis (tb) 等。
デオダートがプロデュース&アレンジまで担当した、どこから聴いても「デオダート・サウンド」満載の好盤である。全編に渡って、クロスオーバー・ファンクの「嵐」である。
冒頭は「Moonlight Serenade」。スイング・ジャズの名曲「ムーンライト・セレナーデ」のカヴァー。思いっきり、デオダートなアレンジで、スイングの名曲をジャズ・ファンクに仕立て直して聴かせる。なかなかの力作。
続く2曲目は「Ave Maria」。クラシックの有名曲、シューベルトの「アヴェ・マリア」をカヴァー。ただ、このクラシックアレンジはイマイチかなあ。もともと原曲自体がオフビートに乗せ難くく、ファンクなアレンジがし難い旋律なので、仕方が無い。
3曲目は、僕の大好きなロック・グループ、スティーリー・ダンの「Do It Again」のカヴァー。デオダートのキーボード大活躍、ホーン・アレンジもカッコ良く、ジョン・トロペイのエレギがこれまた、飛び切り個性的で実にカッコ良い。
4曲目以降、「West 42nd Street」「Havana Strut」「Whirlwinds」とデオダートの自作曲が続くが、実はこのデオダートの自作曲3連発が良い。クロスオーバー・ファンクなアレンジをベースに、ラテンのリズムあり、パーカッション大活躍、ストリングス・アレンジも秀逸。このデオダートの自作曲3連発は、デオダートらしさ満載の名パフォーマンスとして、いの一番に上げたくなる。
デオタートが、キーボーダーとして、アレンジャーとして、デオダートらしさを最大限に発揮した、デオダートの代表盤だと思います。クロスオーバー・ジャズの名盤としてもお勧め。
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