『Little Susie』を聴き直す。
レイ・ブライアントは、僕の大のお気に入りのピアニスト。オフビートでファンキーな弾き回しが見事な右手、低音を効果的にゴンゴーンと入れて、ベースラインに強烈なファンクネスとアーシーなビートを醸し出す左手。演奏のフレーズに「ダウン・トゥ・アース」な雰囲気をしっかりと漂わせる弾き回し。そんな「ブライアント節」僕は大好き。
レイ・ブライアントの代表盤といえば、これまでのジャズ盤紹介本やジャズ盤紹介記事では、押し並べて『Ray Bryant Trio』(Prestige)と『Ray Bryant Plays』(Signature) の2枚ばかりが上がるが、これには僕は「疑問符」である。どうして、そうなるのか、理解に苦しむ。
この2枚でのブライアントは、彼のピアノの個性と特徴が抑制され、柄にもなく、ラウンジ・ピアノっぽい弾き回し。トリオ演奏としては聴き味は良いが、ブライアントのピアノとしては、個性と特徴が抑えられていて「隔靴搔痒」の感が強い。
Ray Bryant『Little Susie』(写真)。1959年12月10日と1960年1月19日の録音。大手のColumbiaレコードからのリリース。『Ray Bryant Plays』(Signature) から、僅か1ヶ月後の録音。ちなみに、パーソネルは、Ray Bryant (p) Tommy Bryant (b) Oliver Jackson (ds)。一ヶ月前の録音の『Ray Bryant Plays』と同じ面子での録音。
『Ray Bryant Plays』(Signature) の録音から、たった1ヶ月後なのに、こちらの『Little Susie』は内容が濃い。収録曲すべてにおいて、ブライアントのピアノの個性が、特徴が乱舞している。恐らく、プロデュースの問題だろう。ブライアントのピアノの個性が最大限に発揮されていて、聴いていてとても楽しい。
特に、冒頭1曲目の表題曲「Little Susie」は、ブライアントの愛娘の為に作った曲なんだが、実に愛らしく躍動的なテーマをベースに、ブライアントのピアノの特徴である「アーシー、ファンキー、ゴスペル・フィーリング、強いタッチに強調されたオフ・ビート、良く歌う右手」が心ゆくまで堪能できる。ブライアントのピアノの個性と特徴はこの1曲に集約されている、と言って良いほどの演奏。これ、本当に「良い」。
2曲目以降の演奏も、冒頭の「Little Susie」に勝るとも劣らない、ブライアントのピアノの特徴である、右手のアドリブの展開も特徴的で、オフビートを強調しつつ、右手の取り回しに含みと間を持たせつつ、一気にフレーズを弾き切るというドライブ感を増幅させる弾き方が「てんこ盛り」。
愛娘とのツーショットの写真も微笑ましいアルバム・ジャケットも良好で、このアルバムは、僕の大のお気に入り。アルバム全編に渡って、ブライアントのピアノの個性と特徴がしっかりと感じ取ることが出来る。僕が思うに、これぞ代表盤、である。
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