R・ブライアントの初リーダー作
ジャズ演奏の中では、ピアノの演奏が一番お気に入り。子供の頃、10年間ほどピアノを習っていたということもあって、ピアノについては聴くだけでは無く、弾く難しさも多少理解できるので、ジャズ・ピアノは他の楽器より、その内容が理解し易い。そういう点からも、ジャズ・ピアノが一番好きなんだろうな、と思う。
ジャズ・ピアニストについては、好きなピアニストは多々いるが、ジャズを聴き始めた50年ほど前から、レイ・ブライアントがお気に入りのピアニストの一人。で、その「レイ・ブライアントの初リーダー作」を追い求めていたのだが、やっとその音源を確保することが出来たのが5年ほど前。今日は、その「レイ・ブライアントの初リーダー作」のお話を。
Betty Carter And Ray Bryant『Meet Betty Carter And Ray Bryant』(写真)。1955年5月13日の録音。ちなみにパーソネルは、Betty Carter (vo), Ray Bryant (p), Jerome Richardson (fl), Wendell Marshall (b), Philly Joe Jones (ds)。レイ・ブライアントのディスコグラフィーからすると、この盤が初リーダー作になるという。
この盤の構成が面白くて、ブライアントのトリオ演奏と、ベティ・カーターのボーカル入りのトリオ演奏と交互に入っている。ベティ・カーターも共同名義のアルバムなので、年齢からして、ベティ・カーター先攻で始まると思って構えていたら、ブライアントのトリオ演奏が冒頭に来るので、ちょっと拍子抜け(笑)。
しかし、この冒頭のトリオ演奏「Sneaking Around」はブライアント作の曲で、これがなかなか「イケる」。この冒頭の「Sneaking Around」から、3曲目「What Is This Thing Called Love?」のブライアント・トリオの演奏を聴いていると、レイ・ブライアントのピアノの演奏スタイルは、この初リーダー作時点で確立されていたことが判る。
オフビートでファンキーな弾き回しが見事な右手、低音を効果的にゴーンと入れて、演奏のベースラインに強烈なファンクネスとアーシーな雰囲気を醸し出す左手。演奏のフレーズに「ダウン・トゥ・アース」な雰囲気をしっかりと漂わせる。このアーシーでダウン・トゥ・アースなピアノの弾き回しが僕は大好き。そんな「ブライアント節」が、この初リーダー作のトリオ演奏に既にしっかりと存在している。
そして、ベティ・カーターについても、この盤が初リーダー作になるらしいが、そんな雰囲気は微塵もない。既にベテランの様な堂々とした唄いっぷり。ボーカルに張りとパンチがあって歯切れが良いところは「若さ」から来るのか、とも思うが、とにかく唄いっぷりは堂々としている。そんな堂々とした唄いっぷりを支えているのが、ブライアント・トリオの小粋なバッキング。
レイ・ブライアントは伴奏上手、という印象は以前から持っているが、この初リーダー作にして、その「伴奏上手」が炸裂しているとは思わなかった。確かに「伴奏上手」。カーターのボーカルを邪魔することなく、効果的にサポートし鼓舞する。カーターはとても唄いやすそうで、自然体で流れる様に唄い上げている。
最後に、この盤は当初。LPでのリリース時には、収録曲は全12曲。CDリイシューの際に、LP時代の内容をそのままに復刻しているCDと、ボーナストラックを加えて、曲順もLP時代と全く変えてリイシューしているCDとある。
この盤を聴く時は、LP時代の内容をそのままに復刻しているCDを聴いて欲しい。サブスクの場合は、冒頭の1曲目が「Sneaking Around」で始まり、12曲目が「Can't We Be Friends?」のもの。これ、ボートラが後ろにくっついている場合があるが、このボートラは無視して下さい(笑)。
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