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2023年10月17日 (火曜日)

マイルス『And Horns』再評価

このアルバムも、マイルスの『Birth of the Cool(クールの誕生)』に端を発した「クールというコンセプトのもと、ジャズにおけるアレンジの力を追求する」という明確なマイルスの音志向を踏まえないと、評価がガラッと変わるアルバムである。

『Miles Davis And Horns』(写真左)。1951年1月と1953年2月の録音。ちなみにパーソネルは、1951年1月の録音は、Miles Davis (tp) Bennie Green (tb) Sonny Rollins (ts -1,2,4) John Lewis (p) Percy Heath (b) Roy Haynes (ds)。1953年2月の録音は、Miles Davis (tp) Sonny Truitt (tb -3) Al Cohn, Zoot Sims (ts) John Lewis (p) Leonard Gaskin (b) Kenny Clarke (ds)。

メンバーは、ほぼ東海岸ジャズからチョイスしている。この盤は「クール」というコンセプトのもと、ジャズにおける「アレンジの力」を追求したリーダー作だが、1951年1月と1953年2月に収録セッションが分かれているところが「ミソ」。

1951年といえば、マイルスは筋金入りの「ジャンキー」だった頃。1953年2月は、マイルスが麻薬禍から脱した頃。1951年と1953年では演奏の質と雰囲気が異なる。パーソネルは、1951年の方が充実している。逆に、1953年のパーソネルは、麻薬禍に身を落としたマイルスの復帰セッションなので、おそらく信用が無かったのだろう、かなりやっつけのメンバーである。
 

Miles_davis_and_horns_2

 
1951年の録音は、基本的には、1949年録音の『Birth Of The Cool』のアレンジ&アンサンブルのイメージが根底にあるんだと思う。それでも、東海岸ジャズメン独特のアバウトさ、ラフさが災いして、西海岸ジャズに対抗できるだけの整然としたアンサンブルになっていないところはご愛嬌。マイルスも筋金入りの「ジャンキー」だった頃なので、どこか冴えないトランペットである。LPで言うと、B面の2曲目からラストの5曲目まで。曲目は「Morpheus」「Down」「Blue Room」「Whispering」。

それに比べて、1953年の録音は、「クール」というコンセプトのもと、ジャズにおける「アレンジの力」を発揮したなかなかの演奏になっている。マイルスの「クール・ジャズ」の一旦の完成形といっても良いだろう。特に、フロント楽器の相棒にソニー・ロリンズが参加しており、このロリンズの参加が、1953年の演奏をグッと締めている。LPで言うと、A面とB面の一曲目、曲目は「Tasty Pudding」「Floppy」「Willie the Wailer」「For Adults Only」。クール・ジャズを吹き進めるマイルスとロリンズの対比が良い。

1951年のセッションの内容がイマイチなのと、1953年のセッションの内容がマイルスの「クール・ジャズ」の一旦の完成形でアンサンブル重視の演奏なので、東海岸ジャズを全くイメージ出来ないところが、この盤はマイルスらしくない、と評判が芳しくない理由だろう。

しかし、1953年の録音は、マイルスの「クール・ジャズ」の一旦の完成形として評価できる。このマイルスの「クール・ジャズ」、いわゆるマイルスの考える「アレンジの力」は、マイルスのハードバップの中のスロー・テンポの曲、特にバラード演奏などに活用されていく。
 
 

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