硬派で純ジャズなマクブライド
クリスチャン・マクブライド(Christian McBride)。現代ジャズにおけるファースト・コール・ベーシスト。1972年5月31日生まれなので、今年で51歳。初リーダー作『Gettin' To It』が1995年1月のリリース。サイドマン参加では1990年の記録があるから、約30年以上に渡って、ジャズ・ベーシストの第一集団を走ってきたことになる。
マクブライドはベーシストでありながらリーダー作が多い。約20枚のリーダー作をリリースしていて、平均1.5年に1枚のペース。ベーシストでリーダー作を一番リリースしているのは、恐らく「ロン・カーター」だろうと思うが、カーターで平均1年に1枚のペースだったかと思う。つまりは、マクブライドはロン・カーターと同程度の「多作」ベーシストなのだ。
Christian McBride's New Jawn『Prime』(写真左)。2023年3月のリリース。ちなみにパーソネルは、Christian Mcbride (b), Josh Evans (tp), Marcus Strickland (ts, b-cl), Nasheet Waits (ds)。クリスチャン・マクブライド・ニュー・ジョーンの、2018年のデビュー盤(ブログ記事はここをクリック)に次ぐ、2ndアルバムになる。
マクブライドは、様々なジャズのスタイルに適応する。それだけ、アレンジとセルフ・プロデュースの才に長けている訳だが、今回のこのクリスチャン・マクブライド・ニュー・ジョーンの 2ndアルバムは、現代のガッチガチ硬派でストイックな純ジャズ。聴き応えバッチバチである。従来からの「ジャズ・スタンダード曲」と呼ばれるものを1曲たりとも選曲していないところが実に硬派やなあ、と思う。
いきなりフリー・ジャズ風な展開から入る。いきなりビックリである。これはフリー・ジャズか、と思ったら、いきなりR&Bのようなオープニングが鳴り響いて、これまたビックリ。それぞれの楽器が太く良く鳴っているので、耳に心地良く響く。そして、ストリックランドのバスクラがブリブリッ。それぞれの楽器がかなり伸び伸び吹き回している。ふと気がついた。そう、このバンド演奏、ピアノレス。
ピアノレスがゆえにベースとドラムが前面に出てくる。マクブライドの太いソリッドで伸びやかなベースが実に魅力的。聴いて何だかゾクゾクする様なベースの胴鳴り。自由度の高い、変幻自在のドラミングがそんなマクブライドのベースに絡んで、独特のグルーヴを醸し出す。そこに、ストリックランドのテナー&バスクラが切り込み、エヴァンスのトランペットが炸裂する。フレーズの展開はモーダル時々フリーが基本。
選曲がふるっている。ストリックランド作曲のタイトル曲「Prime」、マクブライドが書き下ろしたオリジナル2曲「Head Bedlam」「Lurkers」、ラリー・ヤングの「Obsequious」、オーネット・コールマンの「The Good Life」、そしてソニー・ロリンズの「East Broadway Run Down」。
特に、ヤング、コールマン、ロリンズの楽曲のアレンジが尖っている。現代のモード&フリーな演奏を展開する時、ヤング、コールマン、ロリンズの楽曲が「現代ジャズのスタンダード曲」なんだろう。実に硬派で尖っている。良い音で鳴っている。
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