ブロック・コードの凄さを愛でる 『It's a Blue World』
プレスティッジ・レーベルは、何の脈略も無しに、別々のセッションから直感頼りで演奏曲をセレクトして、1枚のアルバムに仕立て上げる、という、とんでもないアルバム編集方針を持ったジャズ・レーベル。セッションの寄せ集めアルバムはかなりの数に上る。
アルバムを聴き進めて行くと、突如、演奏編成が変わったり、演奏の雰囲気が変わったりするので、セッションの寄せ集めと直ぐに分かるものも多い。ジャズマンの演奏能力やジャズマンの演奏志向は刻々の変化するので、出来れば同一セッションの中で演奏曲をセレクトして欲しい。
Red Garland『It's a Blue World』(写真左)。1958年2月7日の録音。ちなみにパーソネルは、Red Garland (p), Paul Chambers (b), Art Taylor (ds)。いわゆる「1950年代ガーランドの黄金のトリオ」の演奏。しかし、この1958年2月7日のセッションは当時、お蔵入りになって、正式リリースされたのは1970年になってから。
当時、お蔵入りになった音源だが、この盤は1958年2月7日のセッションの音源だけで編集されていて、アルバム全体の雰囲気は統一感があって聴いていてシックリくる。
1958年2月7日のトリオでの録音は全6曲。1曲は失敗演奏だったので、この盤は1958年2月7日のセッションで正式に録音された音源の全て、全5曲をアルバム化している。
タイトル通り、収録された演奏は「ブルーな雰囲気を湛えたスタンダード曲」で占められ、3曲目の「Carzy Rhythm」(アルバム『Dig It』に収録されていた曲と同一)を除いて、全曲スローバラードで統一されている。実に滋味溢れる、落ち着いた雰囲気のトリオ演奏。
特に、ガーランドのブロック・コードを聴くには最適な盤で、高速ブロック・コードの「Crazy Rhythm」にまず「仰け反る」。1曲目「This Can't Be Love」、5曲目の「It's A Blue World」でのシングル・トーンとブロック・コードの弾き回しは見事。2曲目「Since I Fell For You」、4曲目「Teach Me Tonight」のどっぷりブルージーなブロック・コードが印象的。収録されたどの曲もブロック・コードの妙がしっかり聴ける。
ガーランドの場合、同一セッションの中から編集されたリーダー作はいずれも「優秀盤」。そして、この『It's a Blue World』はガーランドのブロック・コードを愛でるのに最適な盤。この盤を聴けば、ガーランドのブロック・コードの凄さが追体験できる。ブロック・コードのバイブル的優秀盤である。
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