« レッド・ガーランドの「再訪」 | トップページ | 新主流派の名演・名盤の1枚 »

2023年7月24日 (月曜日)

タイナーの1970年代トリオ2態

マッコイ・タイナーは、以前はコルトレーンの伝説のカルテットのピアニスト、コルトレーンの逝去後、コルトレーン・ジャズの継承者としてもてはやされた時期があったが、今では、あまりそういう評価は当たらない、と僕は思っている。

タイナーがコルトレーンから継承したのは、コルトレーンの「ワールド・ミュージック志向」の音世界であり、バリバリとモーダルなフレーズを弾きまくるタイナーについては、コルトレーンの「シーツ・オブ・サウンド」を深化させているイメージはあるが、コルトレーン後期のフリー&スピリチュアルな志向のジャズについては全く手付かず。

コルトレーンの「ワールド・ミュージック志向」の音世界の継承については、コルトレーンの名盤『Africa/Brass』を下敷きにしている様な感じはするが、ピアニストとして弾きまくるモード・ジャズについては、コルトレーンの影はあまり感じ無い。「シーツ・オブ・サウンド」については弾き回しのスタイルとして踏襲しているが、タイナーのモード・ジャズの展開/Users/matsuoka/Desktop/JZZ02650-1-1.jpg /Users/matsuoka/Desktop/スーパートリオズ.jpg は「タイナー・オリジナル」であり、タイナーのみが為し得るもの。

Mccoy Tyner『Supertrios』(写真)。1977年4月の録音。ちなみにパーソネルは、McCoy Tyner (p) は共通、tracks 1-6(1977年4月9ー10日録音)は、Ron Carter (b), Tony Williams (ds) とのトリオ、tracks 7-12(1977年4月11ー12日録音)は、Eddie Gómez (b), Jack DeJohnette (ds)。2つのトリオ演奏を収録した、リリース当時、LP2枚組。

タイトルの「・・・・trios」と最後に's'を付けているのは、2つのトリオ演奏を収録しているからで、ひとつは、タイナー、ロン、トニーのトリオ(LPの一枚目)。ハービー・ハンコックのトリオのリズム隊が代表的。
 

Mccoy-tynersupertrios

 
もうひとつは、タイナー、ゴメス、デジョネットのトリオ(LPの2枚目)。これは、モントルーのビル・エヴァンスのリズム隊が代表的。どちらのリズム隊も、先進的で創造的な響きを維持した、当時、中堅のリズム隊である。

タイナー、ロン、トニーのトリオ演奏は、スタンダード、ミュージシャンズ・チューンズがメインの演奏。冒頭、ジョビンのボサノバ曲「Wave」のダイナミックでモダールな演奏に仰け反る。ロンは、何時になくストレート・アヘッドなアコベを弾きまくり、トニーは千手観音よろしく、ポリリズミックに叩きまくる。そこに、モーダルなタイナーのピアノが、ガーンゴーン、パラパラパラと疾走する。

とにかく「賑やか」なトリオ演奏。ダイナミックでメリハリの効いた、シーツ・オブ・サウンドを交えた、実に「多弁」なモーダルな演奏。聴く方の体調が悪い時などは「五月蠅い」くらいだ(笑)。LP1枚目のラスト「Moment's Notice」など、トニーのドラムは圧倒的「叩きまくり」である。だが、これが良い。こんなにダイナミックでメリハリの効いたピアノ・トリオはなかなか無い。

一方、タイナー、ゴメス、デジョネットのトリオは、タイナーのオリジナル曲で占められる。こちらは柔軟度の高いトリオ演奏で、シーツ・オブ・サウンドな疾走モードからマッコイ・オリジナルのフリー演奏まで、柔軟度と適応力が圧倒的に高いゴメス-デジョネットのリズム隊をバックに、思うがまま感じるがまま、タイナーは自由に弾きまくる。

ニッコリ笑ったタイナーのシンプルなジャケに騙されてはいけない。この盤には、当時の圧倒的に尖った、最先端を行くモード・ジャズが詰まっている。BGMにしようものなら、やかましくて賑やかで「ながら」は無理。それでも、演奏内容は濃く、レベルは高度なので、思わずテを休めて聴きこんでしまう。そんな「絶対にながらは出来ない」圧倒的にダイナミックでメリハリの効いた、先端を行くトリオ演奏が詰まっています。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ    【New】 2022.12.06 更新

    ・本館から、プログレのハイテク集団「イエス」関連の記事を全て移行。

 ★ 松和の「青春のかけら達」

  ・四人囃子の『Golden Picnics
 

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から12年4ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 
 

« レッド・ガーランドの「再訪」 | トップページ | 新主流派の名演・名盤の1枚 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« レッド・ガーランドの「再訪」 | トップページ | 新主流派の名演・名盤の1枚 »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

カテゴリー