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2023年7月11日 (火曜日)

モーガンのモード・ジャズです。

リー・モーガンも「進化の人」だった。デビュー当時は、バリバリのハード・バッパーだったが、ジャズ・メッセンジャーズへの参加を経て、ファンキー・ジャズに手を染める。そこから、ジャズ・ロックにも適応。ジャズの大衆音楽化に多大な貢献をしたかと思いきや、1960年代半ばには、アーティステック志向のジャズ、モード・ジャズにチャレンジする。

モーガンのトランペットのテクニックは相当に高いものがあり、様々なジャズの演奏スタイルやトレンドに確実に適応している。それだけ高い演奏テクニックを持っている訳だが、モーガンの優れているところは、様々なジャズの演奏スタイルやトレンドに適応する際、絶対に物真似では無い、必ず、モーガンのオリジナリティーを発揮しているところ。

Lee Morgan『Search For The New Land』(写真左)。1964年2月15日の録音。ちなみにパーソネルは、Lee Morgan (tp), Wayne Shorter (ts), Herbie Hancock (p), Grant Green (g), Reggie Workman (b), Billy Higgins (ds)。モーガンのトランペット、ショーターのテナーがフロント2管、グリーンのぱっきぱきファンキーなギターが入ってのセクステット編成。

ピアノにハンコック、ベースにワークマン、ドラムスにヒギンスの、これって、どう見たって「新主流派」志向のリズム・セクション。そう言えば、テナーのショーターがいる。でも、ギターはグリーン、トランペットはモーガンで、この2人はファンキー・ジャズ志向。どんなジャズが展開されるのか、聴くまでは全く予想もつかない布陣である。

冒頭のタイトル曲「Search for the New Land」を聴くと、あれれ、と思う。ブルースかと思いきや、これ、モード曲。1950年代後半のハードバップな響きと、1960年代前半のモーダルな響きが混在した、面白い雰囲気のモード・ジャズが展開される。
 

Lee-morgansearch-for-the-new-land

 
ブルースっぽい展開の部分は、グリーンのぱっきぱきファンキーなギターがスケール一発のハードバップな響きのアドリブをかまし、モーダルな展開の部分は、ハンコックがこってこてモーダルなフレーズでガンガンに攻める。

そして、主役のモーガンとフロント管の相棒ショーターは、ブルースっぽい展開の部分とモーダルな展開の部分の両方に対応する。それでも、ワークマンのベースとヒギンスのドラムののリズム&ビートは「モーダルな響き」を基本としているので、演奏全体はモード・ジャズの体をしている。

それにしても、モーガンのモーダルな吹奏は見事なもので、1950年代のハードバップ時代の響きを宿しながら、フレーズは絶対的に「モード」。

1950年代後半のジャズと1960年代前半のジャズが混ざってる、モーガン独特のモード演奏が実にユニークで聴き応えがある。そして、ショーターがこの「モーガンのモード」に合わせて、テナーを吹いているところがこれまたユニーク。サイドマンとしてのショーターの凄みを聴いた思いがする。

他の曲も、この冒頭の「モーガンのモード」に合わせたモーダルな展開をメインとした演奏で、明らかに1950年代のハードバップとは一線を画する、これからのジャズのメインのトレンドを聴く様で、思わず姿勢を正して聴き込んでしまう。決して、リラックスして聴ける4ビートな演奏では無いのだが、ジャズの持つアーティスティックな面を堪能出来る好盤だと思う。

タイトルを直訳すると「新たな地を求めて」。とても示唆に富んだタイトルだと思う。こういう、当時の時代の先端を行くモーダルな演奏を記録しているブルーノートは、やはり優れたジャズ・レーベルだったと思う。「ブルーノートを聴けば、ジャズの歴史が判る」。至極名言である。
 
 

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