ポップなタレンタインのテナー
ブルーノートの4100番台は、ジャズの「多様化」の時代にアルバムをリリースしている訳だが、聴き手のニーズに応じて、しっかりと「多様化」に対応している。このブルーノートの4100番台は、そんな「多様化」に対応した様々な演奏スタイルや演奏志向のアルバムがズラリとラインナップされている。
Stanley Turrentine『Hustlin'』(写真左)。1964年1月24日の録音。ちなみにパーソネルは、Stanley Turrentine (ts), Shirley Scott (org), Kenny Burrell (g). Bob Cranshaw (b), Otis Finch (ds)。シャーリー・スコットのオルガンはベースラインを弾かないので、この盤ではベーシストが存在する。リーダーのタレンタインのテナーとバレルのギターがフロントの変則クインテット編成。
タレンタインは、当時の細君、シャーリー・スコットのオルガンと共演を始めた頃から、演奏の志向を「ポップなファンキー・ジャズ」に舵を切っている。もともとは、ファンクネス濃厚でソウルフルな漆黒テナーでブイブイさせていたんだが、スコットと組んでからは、黒さが軽快さに変わり、明るいファンクネスを纏った、ポップでソウルフルなテナーに変化している。
タレンタインのテナーの個性がポップでコマーシャルなテナーに若干、変化しているのだが、硬派でソウルフルな雰囲気はしっかり残っているので、単なる「イージーリスニング・ジャズ」なテナーに陥っていない。しかし、黒さが軽快さに変わることで、タレンタインのテナーの重厚さが少し薄れて、何だか浮かれている様な感じがするのが、気になると言えば気になる(笑)。
もともとスコットのオルガンはライトでポップ。そして、もともと漆黒アーバンなバレルのギターは、タレンタインに合わせて軽快ファンキーなギターに早変わり。ポップで軽快なギターでバレンタインのテナーを引き立てている。それでも、アドリブ展開などはキッチリとメンスとリーム系の純ジャズっぽく、硬派でジャジーな展開になっているところはさすがと言えばさすがである。
ポップでキャッチャーな「ソウル・ジャズ」な盤として、キッチリまとまっていて、聴いていて心地が良い。手に汗握るスリリングな即興演奏は望めないが、この盤の持つ軽快さと明るいファンクネスは、聴き手にジャズの「楽しさ」を教えてくれているようだ。硬派なテンション高いハードバップでは無いが、聴いていて心地良く楽しい「ソウル・ジャズ」な盤として意外と聴き応えがある。
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