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2023年6月10日 (土曜日)

「前半のペッパー」の名盤の1枚

アート・ペッパーは、1960年代後半、薬物中毒者の為のリハビリテーション施設シナノンで過ごした。この長いブランクを境に、1950年代〜1960年代前半の「前半のペッパー」と、後半のカムバック後、1970年代〜亡くなる1982年までの「後半のペッパー」とに分かれる。最近、この「前半のペッパー」のリーダー作を聴き直している。

Art Pepper『The Art of Pepper』(写真左)。1957年4月の録音。ちなみにパーソネルは、Art Pepper (as), Carl Perkins (p), Ben Tucker (b), Chuck Flores (ds)。バックのリズム・セクションに、米国ウエストコースト・ジャズの名手が集う、アート・ペッパーのアルト・サックスの1管フロントの「ワンホーン・カルテット」編成。

オリジナル盤は、アラジン・レーベルへ録音されたものの同社の倒産により、オメガ・レコードより「オープンリール・テープ」で発売という形でリリースされた、とても珍しい音源。当然、リリースされた盤の数も少なく、当時から「幻の名盤」扱いだった珍品。我が国では、トリオ・レコードから、LP2枚に分けてリリースされ、CDでのリイシューでコンプリート盤が出されて、今では我々一般でも入手可能なっている。

ペッパーのアルト・サックスについては、名盤『Modern Art』に良く似た雰囲気。ペッパーのアルト・サックスは流麗そのもの。アドリブ・フレーズも創造性に富んでいて、聴いていてとても楽しい。特にブルース曲における、ペッパーのブルース・フィーリングは秀逸。ペッパーのアルト・サックスは、ファンキーというよりは「ブルージー」。ペッパーのアルト・サックスの個性を強烈に感じる。
 

Art-pepperthe-art-of-pepper

 
バックのリズム・セクションのパーソネルを見ると、米国ウエストコースト・ジャズの名手が控えていて、パーキンスのピアノ、タッカーのベース、フローレスのドラムと、西海岸ジャズらしい、洗練されて小粋で「聴かせる」リズム&ビートを繰り出している。そんな西海岸ジャズ独特のリズム&ビートに乗って、流麗で歌心溢れる「聴かせる」アルト・サックスを、ペッパーは吹きまくる。

ワンホーン・カルテットという編成もあって、この盤でのペッパーは、バックのリズム・セクションとの小粋なインタープレイを楽しむというよりは、自分自身のアルト・サックスを、西海岸ジャズがベースの中で、如何に流麗に、如何にテクニック良く、如何に「聴かせる」か、のみを追求している様に感じる。それだけ、このワンホーン・カルテット盤では、ペッパーのアルト・サックスが目立ちに目立っている。

ジャズ者ベテランの方々が言う「前半のペッパー」は円熟した流麗なメロディストなので良い、というのは、ペッパーは米国ウエストコースト・ジャズをメインに活動〜録音していたので、ウエストコースト・ジャズの個性である、しっかりアレンジされた、流麗で小粋で、聴衆に「聴かせる」ジャズ、を、ペッパーはアルト・サックスで実践していたからなのでは、と僕は思うのだ。

とにかく、この当時の「幻の名盤」であった『The Art of Pepper』は、幻ではなくなった今では「名盤」。米国ウエストコースト・ジャズの名手がリズム・セクションを担っている分、僕は、東海岸のリズム・セクションと組んだ、名盤の誉れ高い『Meets the Rhythm Section』よりも僕は内容は濃い、と思っている。ペッパーのみならず、バックのリズム・セクションも含めて、この盤は「前半のペッパー」を代表する名盤の1枚だと思う。 
 
 

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