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2023年6月の記事

2023年6月30日 (金曜日)

クラシック・オケとジャズロック

ECMレコードのアルバムがお気に入り。ジャズを本格的に聴き始めた1970年代後半、ニュー・ジャズ&欧州ジャズの担い手として、我が国でもECMブームが沸き起こっていた。

といっても、ECMのアルバムについては、明らかに「好き嫌い」が分かれる。米国ジャズ、特に東海岸ジャズが絶対とする「東海岸ジャズ者」の方々からは「ECMはジャズでは無い」と毛嫌いされていた。まあ、大凡、硬派なジャズ喫茶ではECMのレコードをリクエストするのには相当な勇気がいった。米国が本場のジャズについては、米国ジャズが絶対で、欧州ジャズはジャズでは無い、とされていた。

しかし、である。僕はECMレコードのアルバムがお気に入り。もともとクラシック音楽もいろいろ聴いていて、クラシック音楽の雰囲気が漂う、端正な欧州ジャズについては違和感が無い。ロックではプログレ小僧だったので、ニュー・ジャズの類については、プログレっぽくて違和感を感じない。そういうところから、ECMレコードのアルバムに違和感が無く、良いものは良い、の精神で、ECMのアルバムについては、延々と50年弱、聴き続けていることになる。

そんなECMのアルバムをカタログ番号順に聴き始めて、早5年。ECM1001〜1100番までの「ECM1000番台」のアルバムについては、明らかに現代音楽な内容のアルバムを除いて、ほぼ聴き終えた。ほぼ、というのは、3枚ほど入手出来ないでいたアルバムがあった。が最近、やっとのことで音源を確保することが出来た。あと3枚、しっかりと聴いた。3枚とも初聴きである。

Gary Burton Quartet『Seven Songs for Quartet and Chamber Orchestra』(写真左)。1973年12月、ハンブルグでの録音。ECMの1040番。ちなみにパーソネルは、Gary Burton (vib), Mick Goodrick (g), Steve Swallow (b), Ted Seibs (ds), NDR Symphony Orchestra conducted by Michael Gibbs。
 

Gary-burton-quartetseven-songs-for-quart

 
当時のゲイリー・バートンのカルテットに、NDRのオーケストラがバックに就く布陣。クラシック・オーケストラの演奏を伴奏に、ゲイリー・バートンのヴァイブをメインとするジャズ・カルテットの演奏が展開される、如何にもニュー・ジャズっぽい、クラシックにも精通するECMレーベルのアルバムらしい内容。

クラシック・オーケストラの伴奏も、なかなかのもので、ありがちな米国ジャズの取って付けたような、チープなクラシック・オーケストラでは決して無い。オーケストラだけでも十分に聴ける。

そんな充実したクラシック・オケをバックに、まずは、ゲイリー・バートンのヴァイブがソロで乱舞する。バートンのヴァイブは、いかにもECMのニュー・ジャズっぽい雰囲気満載。バックのオケの伴奏に乗って、映えに映える。良い雰囲気、いかにも欧州ジャズ。

曲が進むにつれて、バートンのソロから、バートンのカルテットの演奏に展開していく。これがなかなかのもので、当時のバートン・カルテットの個性である、アーシーでジャズロック風のフレーズ、ゴスペルっぽい米国ルーツ・ミュージック風のフレーズが漂ってきて、クラシックな雰囲気が強かった出だしからすると、一気にニュー・ジャズっぽい、バートンお得意のアーシーなジャズロック風のフレーズが実に格好良い。

欧州っぽいクラシック・オケと米国ルーツ・ミュージックとジャズロックの融合音楽。いかにもECMらしい取り合わせ。聴く前は、クラシック・オケをバックにしたバートン・カルテットってなあ、と敬遠気味だったのだが、聴いてみると意外と良い。やはり「聴かず嫌い」は良く無いなあ、と改めて思った次第。意外性のあるECM好盤です。
 
 

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2023年6月29日 (木曜日)

マクリーンのハードバップな好盤

ジャッキー・マクリーンは、デビュー当初は、典型的なハードバップなアルト・サックス奏者だった。但し、マクリーンのアルト・サックスの音色には「違和感に似た個性」がある。フレーズのところどころのピッチが合っていない。ピッチがフラットする。クラシックの吹奏では絶対にあり得ないピッチのずれ。しかし、これがマクリーンの最大の個性なのだ。

Jackie McLean『Jackie's Pal』(写真左)。1956年8月31日の録音。ちなみにパーソネルは、Jackie McLean (as), Bill Hardman (tp), Mal Waldron (p), Paul Chambers (b), Philly Joe Jones (ds)。マクリーンのリーダー作の第5作目。マクリーンのアルト・サックスとビル・ハードマンのトランペットがフロント2管のクインテット編成。

バックのリズム・セクションに、孤高のバップ・ピアニスト、マル・ウォルドロン、ベースにポール・チェンバース、ドラムにフィリー・ジョー・ジョーンズ。特に、マルのピアノ参加が目を引く。ハードバップでのファースト・コールなポルチェンのベースとフィリージョーのドラムと組んで、どんな弾きっぷりになるのか。

この盤のマクリーンもテクニック優秀、フレーズの歌心も良い感じ。既にフレーズのところどころでピッチがフラットしている。まだ、全盛期の様にほとんどフラットはせず、要所要所でフラットしている程度だが、明らかにフラットしている。1曲目の「Sweet Doll」のアルト・サックスのアドリブ・フレーズを聴くだけで、直ぐに「マクリーン」と判る位の強烈な個性。このピッチのズレが、意外と良い「味」になっていて、マクリーンの吹奏を特別なものにしている。
 

Jackie-mcleanjackies-pal

 
トランペットのビル・ハードマンとマクリーンは、ジャズ・メッセンジャーズでの盟友。この盤でも息の合ったユニゾン&ハーモニー、息の合ったアンサンブルを聴かせてくれる。ハードマンのトランペットは特にこれといった「癖」の無い、素姓の良い端正なトランペット。ブリリアントな音色がいかにも「ハードバップ」な雰囲気を醸し出す。

そして、意外と聴きものだったのが、マルのピアノ。この「こってこて」ハードバップな演奏で、マルはちょっとアウトな弾きっぷりを封印し、端正で歌心溢れるピアノ伴奏を披露する。聴き心地抜群、そのテクニックに耳を奪われる、見事なマルのハードバップなピアノ。

そこに、名手な2人、ポルチェンのベースとフィリージョーのドラムがガッチリとリズム&ビートを供給して、それはそれは、素晴らしいバッキングを披露する。特に、フィリージョーのドラムが好調で、ハードバップな雰囲気を更に増幅している。

ジャケも「やっつけ」のプレスティジらしからぬ、まずまずのデザインで良好。しかし、タイトルを途中、New Jazzからの再発時に『Jackie's Pal』(写真左)から、味もしゃしゃらもない『Steeplechase』(写真右)に変えている。理由は判らないが改悪。1991年のCDリイシュー時にオリジナルのタイトルに戻されて良かった良かった。
 
 

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2023年6月28日 (水曜日)

モーダルなソウル・ジャズです。

ブルーノート・レーベルの4100番台は、成熟したファンキー・ジャズ、そこから派生したソウル・ジャズの好盤が結構存在している。しかし、そこはブルーノート、易きに流れた、売らんが為の内容のアルバムは一切無い。少なくとも、過去を振り返った、過去の成果をなぞったものは無い。その時代の先端を行く、内容の濃いものばかりである。

Freddie Roach『Brown Sugar』(写真左)。1964年3月19日の録音。ブルーノートの4168番。ちなみにパーソネルは、Freddie Roach (org), Joe Henderson (ts), Eddie Wright (g), Clarence Johnston (ds)。ウネウネなモード・テナーのジョー・ヘンダーソンの1管フロント、ギター入りのオルガン・トリオがリズム・セクションを務める。

当時、ブルーノートほぼ専属のオルガニスト、フレディ・ローチのソウルフルな1枚。しかし、ただの聴き応えの良いソウル・ジャズでは無い。フロント1管に、モード・テナーの使い手の1人、ジョーヘンがいる。グルーヴ感満載のローチのオルガンと、ウネウネモードのジョーヘンのテナー。不思議な響きのするソウル・ジャズである。

グルーヴ感溢れるファンクネス度の高いオルガン・ジャズなんだが、どこかクールな雰囲気が漂う。とてもクールでスマートなソウル・ジャズ。ジョーヘンのウネウネモードのテナーが、その雰囲気を醸し出している。

そして、グルーヴ感溢れ、ファンクネス濃厚、ソウルフルなローチのオルガンが、モーダルな響きを漂わせたジョーヘンのテナーに歩み寄る。逆に、ジョーヘンは、モーダルだがソウルフルなフレーズで、ローチのオルガンに歩み寄る。
 

Freddie-roachbrown-sugar

 
この盤の中に、モーダルなクールな雰囲気漂うソウル・ジャズが詰まっている。ユニーク極まりない響き。そして、そのクールさを最大限に活かして、ソウルフルなイージーリスニング・ジャズまでもが展開される。

ファンクネス滴り落ちるソウルフルなジャズ・オルガン。売れ筋のこってこてファンキーなオルガン・ジャズになるのが本筋なんだが、ブルーノートではそうはならない。

モーダルなテナーをフロント1管に据え、ギターを入れて、リズム&ビートを強化。ここに、モーダルでクールな雰囲気漂う、乾いたファンクネスを湛えた、ご機嫌でユニークなソウル・ジャズが展開されている。

ブルーノートならではのソウル・ジャズ。しかし、ファンクネス滴り落ちるソウルフルなジャズ・オルガンに、こってこてモーダルでウネウネなテナーを引き合わせるなんて、ブルーノートの総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオンって凄いことを発想したもんだ、と単純に感心する。

ジャケはブルーノートらしからぬ、俗っぽくてコテコテなデザイン。これだと、こってこてファンクネスなオルガン・ジャズを想起するが、そうはならないところが、この盤のユニークなところ。中身は、意外と硬派な「モーダルなクールな雰囲気漂うソウル・ジャズ」が詰まっている。
 
 

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2023年6月27日 (火曜日)

ヒルの初期の名盤の1枚です。

ブルーノートの4100番台は、ジャズの演奏スタイル、演奏トレンドについて、バリエーションに富んでいる。ブルーノートは弱小ジャズ・レーベルだったので、売れ筋の演奏スタイル、演奏トレンドに絞ってアルバムをリリースしても良かったと思うんだが、実際、ブルーノートはそうならない。

ジャズをどこよりも理解した、ジャズ・シーンを牽引する老舗レーベルとしての矜持があったのだろう。1960年代前半、アーティスティックなジャズの1つのスタイルとして進化した「モード・ジャズ」の範疇のアルバムもかなりの数がリリースされている。ブルーノートの諸作を聴くと、モード・ジャズのバリエーションって、かなりの拡がりがあって、様々な内容のモード・ジャズがあったんやなあ、ということが良く判る。

Andrew Hill『Point Of Departure』。1964年3月21日の録音。ブルーノートの4167番。ちなみにパーソネルは、Kenny Dorham (tp), Eric Dolphy (as on1, 2, 3, b-cl on 3, 4, 5, fl on 3),Joe Henderson (ts, fl on 3), Andrew Hill (p), Richard Davis (b), Tony Williams (ds)。ドーハムのトランペット、ドルフィーのアルト、ジョーヘンのテナーのフロント3管のセクステット編成。ベースにリチャード・デイヴィス、ドラムにトニー・ウィリアムスが担当しているのが目を引く。
 
リーダーのアンドリュー・ヒルは、モンクの如く幾何学的にスイングするモーダルなピアニスト。このリーダー作はブルーノートでの4作目。さすがにそのピアノ・パフォーマンスは落ち着いたもので、「判り易い平易で明るいモンクの様な幾何学的にスイングし音飛びするピアノ」という個性をしっかり表現している。基本はモーダルなピアノ。時々、アブストラクトにブレイクダウンする。
 

Andrew-hill-point-of-departure_1

 
ハードバッパーなドーハムがフロントにいるのにちょっと違和感を感じるが、既に『Una Mas』(1963年4月の録音)で、モード・ジャズに手を染めているので、その延長線上での参加だと推測する。そして、なんとドルフィーとジョーヘンがいるではないか。これは、もう絶対に「モード・ジャズ」をやるんやなあ、って予測出来る。そして、ベースがデイヴィス、ドラムがトニー。モードのみならず、フリーだっていけるリズム隊である。

この盤で、ヒルの「モード・ジャズ」が完成し、そのアプローチが確立した様に思う。もともと、セロニアス・モンクのフォロワー的ピアノでデビューし、よくよく聴けば、モンクの様に幾何学的にスイングし、音飛びするが、モンクとは全く異なる「平易さ」と「明るさ」を有しており、モンクよりも判り易く、モンクよりも疾走感がある。新しいモーダルなピアニストの出現であった。

この盤では、参加しているバックのジャズマンが、ヒルのモード・ジャズをしっかり理解し、自分達の個性と照らし合わせて、ヒルのモード・ジャズを的確に表現し、リーダーのヒルのピアノを引き立て、盛り立てている。当然、ヒルはそんなバックの演奏に触発されて、ヒルならではのモーダルなフレーズをバンバン連発する。流麗な幾何学的スイング、理解出来る範囲で不意に出る音飛び、明るいアブストラクトな響き。ヒルの個性的なモーダルなピアノが実に良く鳴っている。

ドーハムとドルフィー、そして、トニーとの一期一会の出会いが「良き化学反応」を醸し出したのであろう。もしかしたら、ヒルのリーダー作の中では異色盤かもしれないが、この盤でのヒルのモーダルなピアノは見事。ヒルの初期の名盤の1枚だろう。
 
 

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2023年6月26日 (月曜日)

マクリーンのモード・ジャズ盤

ブルーノートの4100番台は、1961年後半から1965年前半の録音がメイン。ブルーノートは、聴き手に訴求するジャズの様々なニーズに応えて、成熟したハードバップを基とした「ジャズの多様化」について幅広く対応している。「売れるジャズ」であるファンキー&ソウル・ジャズばかりで無く、ジャズの芸術性の面を追求したモード・ジャズやフリー・ジャズにも力を入れていた。この辺りが、ブルーノートの凄いところである。

特に、モード・ジャズには造詣が深い。モード・ジャズと言えば、その創始とされるマイルス・ディヴィスやビル・エヴァンス、そして、ジョン・コルトレーンの名前ばかりがクローズアップされるが、モード・ジャズの担い手はかなりの数がいる。そのほとんどをブルーノートがカヴァーしている。他のレーベルについては「モードは売れない」と思ったのか、あまり力を入れていない。

Jackie McLean『Destination... Out!』(写真左)。1963年9月20日の録音。ブルーノートの4165番。ちなみにパーソネルは、Jackie McLean (as), Grachan Moncur III (tb), Bobby Hutcherson (vib), Larry Ridley (b), Roy Haynes (ds)。フロント2管が、リーダーのマクリーンのアルト・サックスと、モンカーのトロンボーン、ハッチャーソンのヴァイブ入りのピアノレス・クインテット編成。

モンカーとハッチャーソンがいるので、基本はモード・ジャズだろう、ということは想像が付く。ハッチャーソンのヴァイブがいるので、モードからフリーをやるには、ピアノはフレーズがぶつかる可能性がある。だからピアノレス。ロイ・ヘインズのドラムはモードからフリーに完全対応可能。ベースのラリー・リドリーだけが、僕にとって「謎の人」である。
 

Jackie-mcleandestination-out_1

 
モンカーとハッチャーソンのモーダルな感覚をベースに、マクリーンのモード・ジャズが展開される。マクリーンのモード・ジャズは革新的では無い。伝統的なジャズのインプロのマナーに軸足を残した、半分自由、半分伝統的な、ちょっとどこかもどかしいモーダルなフレーズが個性的。

恐らく、オーネット・コールマンの影響を受けたのであろう、伝統的なジャズには「ありえないフレーズ」、「無かったリズム&ビート」を繰り出して、他のモーダルなジャズとの差別化を実現している。

どこか伝統的な響きが残るモード・ジャズだが、あくまでマクリーン・オリジナルなモード・ジャズだし、モーダルな新主流派の尖った傑作ではある。モンカーも自らのリーダー作より、伸び伸び、モーダルでフリーキーなフレーズを吹きまくっている。ハッチャーソンの尖ったヴァイブも切れ味良く躍動感がある。

恐らく、完全にモーダルで完全にフリーな、どこかヒリヒリした雰囲気では無く、どこか伝統的な響きが残る、どこか温かみのある雰囲気が安心感につながって、各メンバーの伸び伸びとしたパフォーマンスを引き出しているような気がする。

マクリーンのモード・ジャズは、あくまでマクリーンのオリジナル。モード・ジャズとして、しっかりと内容があり、しっかりと個性を確立している。1950年代の歌心溢れるハードバップなマクリーンも良いが、モード・ジャズを通して、ジャズの即興演奏の妙を追求するマクリーンも頼もしい。
 
 

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2023年6月25日 (日曜日)

大衆音楽志向なキャノンボール

キャノンボール・アダレイの初期のアルバムの落ち穂拾いの3日目。キャノンボールは初リーダー作こそ、サヴォイ・レーベルからだったが、2枚目のリーダー作から、いきなり大手のジャズ・レーベル「エマーシー」からのリリースになる。それからは、リヴァーサイド・レーベルの専属になる。

ハードバップ期において、若手有望株の登竜門と言われた「ブルーノート」からは、マイルスの下、1枚のリーダー作(実質はマイルスがリーダー)しかリリースしていない。それだけ、デビューした時には、その個性とテクニックが完成〜確立されていて、十分に聴き手に訴求し、レーベルからしても「売れる」アルト・サックス奏者だったのだろう。

Cannonball Adderley『In The Land of Hi-Fi with Julian Cannonball Adderley』(写真左)。1956年6月8, 18日の録音。ちなみにパーソネルは、Cannonball Adderley (as), Jerome Richardson (ts, fl), Danny Bank (bs), Nat Adderley (cornet), Ernie Royal (tp), Bobby Byrne, Jimmy Cleveland (tb), Junior Mance (p), Keter Betts (b), Charles "Specs" Wright (ds), Ernie Wilkins (cond, arr)。

この盤も2枚目のリーダー作、エマーシーからの第1弾と同じ大編成での録音。この盤は「テンテット(10人編成)」である。この盤も大編成の録音で、アレンジの志向、音の雰囲気としては「ビッグバンドで豪華」なもの。
 

Cannonball-adderleyin-the-land-of-hifi-w

 
但し、エマーシーからの第1弾のアレンジを担当していたのは、クインシー・ジョーンズだったので、そのアレンジは粋でジャジーでモダンなものだったが、この盤のアレンジはアーニー・ウィルキンスが担当しており、そのアレンジは破綻は無いし、稚拙でも無いのだが、イージーリスニングっぽいビッグバンドな雰囲気で俗っぽい。

バックの演奏は、あくまでキャノンボールのアルト・サックスを引き立てるだけの演奏で、バンド全体で、丁々発止としたインタープレイが展開されることは無い。演奏時間は1曲当たり数分程度と短く、一般大衆の方々が聴くに我慢できる長さに抑えられている。如何にジャズ者以外の一般大衆に「売りたかった」かが、このバックバンドのアレンジを聴くと良く判る。

しかし、この盤でも、そんなバックのアレンジにはお構いなく、キャノンボールは伸び伸びと「滑らかで饒舌、伸びのあるブリリアントなブラスの響き、流麗かつ爽快感溢れる運指テクニック、歌心溢れるアドリブ・フレーズ」が個性のアルト・サックスを吹きまくる。ただ、ハードバップの醍醐味の1つである「インタープレイ」「ロングなアドリブ展開」が無いので、スリルは希薄、聴き心地だけが優先されているのは「モダン・ジャズ」としてはちょっとなあ、という感じ。

スイング時代の演奏志向の演奏を聴いている感じは否めない。それでも、キャノンボールのアルト・サックスは魅力的なフレーズをバンバン繰り出し、ジャズとしての心地良いテンションやアドリブ展開の妙を積極的に醸し出していて、単に聴き心地の良い「イージーリスニング・ジャズ」になっていないところが良い。
 
 

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2023年6月24日 (土曜日)

キャノンボール with Strings

キャノンボール・アダレイ(Julian Edwin "Cannonball" Adderley・1928年9月15日 - 1975年8月8日)。米国フロリダ州タンパ生まれのジャズ・アルト・サックス奏者。あだ名の『キャノンボール』の由来は、キャンニバル(cannibal:大食漢)に由来する。マイルス・デイヴィスの下での活躍、そして、ソウル・ジャズ、ファンキー・ジャズの立役者の一人、として知られる。

キャノンボールのアルト・サックスは「滑らかで饒舌、伸びのあるブリリアントなブラスの響き、流麗かつ爽快感溢れる運指テクニック、歌心溢れるアドリブ・フレーズ」が個性。この個性が、リーダー作の第1作、第2作を聴くと、既に、その個性は確立〜完成されているのが判る。その時、キャノンボールは27歳。若き天才の1人だろう。

『Julian Cannonball Adderley and Strings』(写真左)。1955年10月の録音。エマーシー・レコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Cannonball Adderley (as), Richard Hayman (musical director), Bill Russo (arr), オーケストラの名称は不明。キャノンボール・アダレイの「ウィズ・ストリングス」盤である。

「ウィズ・ストリングス」盤でも、リズム&ビートを司るリズム・セクション(ピアノ・ベース・ドラム)が入ることが多いのだが、この盤ではリズム・セクションは不在。オーケストラがリズム&ビートを供給している。加えて、キャノンボールのアルト・サックスはタイム感覚が優れている。恐らく、オーケストラやリズム・セクションがいなくても、リズム&キープはしっかりキープ出来るはずである。
 

Julian-cannonball-adderley-and-strings

 
リーダー作デビュー時点で、個性を確立〜完成させていたキャノンボール。この「ウィズ・ストリングス」盤でも、その個性・テクニックを遺憾なく発揮している。滑らかで饒舌、伸びのあるブリリアントなブラスの響き、流麗かつ爽快感溢れる運指テクニック、歌心溢れるアドリブ・フレーズ。ストリングスの調べをバックに、伸び伸びと楽しげにアルト・サックスを吹きまくっている。

バックのストリングスのアレンジは「ベタな弦アレンジ」で、どちらかと言えば「イージー・リスニング」風で甘めで凡庸。悪くは無いが、ジャズとして聴くと物足りない。が、チャーリー・パーカーの「ウィズ・ストリングス」盤のストリングス・アレンジよりは遙かに良い出来なので、耳にはつかない。逆に、キャノンボールのアルト・サックスの邪魔にならない、伴奏ストリングスとしては「まあ良し」である。

というか、バックのストリングスの良し悪しを感じること無く、ただただ、シンプルに、キャノンボールの「滑らかで饒舌、伸びのあるブリリアントなブラスの響き、流麗かつ爽快感溢れる運指テクニック、歌心溢れるアドリブ・フレーズ」に耳を傾けるだけで十分に楽しめる、キャノンボールのソロ・パフォーマンスを愛でる盤である。

「ウィズ・ストリングス盤」をリリースすることは、ジャズマンにとって一流の証し、人気ジャズマンの証と言われるが、キャノンボールは、リーダー作の第3作目にして「ウィズ・ストリングス盤」を披露する栄誉に浴したといえる。それほど、キャノンボールのアルト・サックスは完成され、抜きん出ていたのだろう。確かに、この盤でのキャノンボールのパフォーマンスは素晴らしい。
 
 

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2023年6月23日 (金曜日)

キャノンボールの完成された個性

ジャズの楽器の中では、ピアノとアルト・サックスが好きだ。というのも、どちらの楽器も子供の時から、実際に弾いたり吹いたりしていた楽器。ピアノは幼稚園の時から10年間、クラシック・ピアノを習っていた。アルト・サックスは、中学の時、ブラスバンド部に入っていて吹いていた。それから数十年経った今でも、ピアノはちょっとだけ弾けるし、アルト・サックスもちょっとけ吹ける。

ジャズを聴く上で、楽器を弾ける弾けない、は余り関係無いとは思うんだが、それでも、簡単に弾いているようで技術が必要な弾き回しや運指テクニックの良し悪しなどについて、実際に楽器を扱った経験があるが故の感じ方、納得の仕方があるようには思う。実体験に基づく感じ方、とでも言ったら良いのだろうか。

そんなお気に入り楽器のひとつ、アルト・サックスについては、アート・ペッパー、キャノンボール・アダレイ、ジャキー・マクリーン、チャーリー・パーカーが僕のアイドル。ジャズを本格的に聴き始めてから50年弱、この4人のアルト・サックス奏者のリーダー作は結構聴いてきたなあ。

Cannonball Adderley『Julian "Cannonball" Adderley』(写真左)。1955年7月21, 29日、8月5日の録音。ちなみにパーソネルは、Cannonball Adderley (as), Jerome Richardson (ts, fl), Cecil Payne (bs), Nat Adderley (cornet), J. J. Johnson - (tb, tracks 1-3 & 8-10), Jimmy Cleveland - (tb, tracks 4-7), John Williams (p), Paul Chambers (b), Kenny Clarke - (ds, tracks 1, 3, 4-7 & 10), Max Roach - (ds, tracks 2 & 8-9), Quincy Jones (arr)。
 

Cannonball-adderleyjulian-22cannonball22

 
そんなキャノンボール・アダレイのリーダー作の2作目。初リーダー作のサヴォイからいきなりエマーシーへ移籍。収録曲1曲辺りの収録時間も、ラジオやジュークボックスへの対応を考慮したのか、4分前後にまとめて、優れたハードバップな演奏を、気軽に聴くことの出来る優秀盤に仕立て上げられている。

1曲目の「Cannonball」から聴き始めて、演奏全体がしっかりまとまっていて、アンサンブル、ユニゾン&ハーモニーが優秀。アレンジが効いているんだが、この優れたアレンジ、誰のアレンジだろう、と思ってパーソネルを見たら、何と若き日の「Q」、クインシー・ジョーンズである。なるほど、アレンジが良いはずである。

そんな優れたアレンジに乗った、整ったジャジーなバックの伴奏に乗って、キャノンボールがとても気持ちよさそうにアルト・サックスを吹き上げていく。滑らかで饒舌、伸びのあるブリリアントなブラスの響き、流麗かつ爽快感溢れる運指テクニック、歌心溢れるアドリブ・フレーズ。スイング〜ビ・バップの演奏マナーや演奏志向をしっかり踏まえて、キャノンボール独特のバップなアルト・サックスが炸裂している。

リーダー作の2作目を聴くと、とにかく上手くて歌心があって流麗で饒舌。この時点で、キャノンボールのアルト・サックスは個性、テクニック共に完成していたんやなあ、とつくづく思う。この盤、クインシー・ジョーンズの優れたアレンジと相まって、キャノンボールのハードバップなアルト・サックスを心ゆくまで愛でることの出来る秀作です。キャノンボールのアルト・サックスって、基本は「メインストリーム志向」なんですね。
 
 

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2023年6月22日 (木曜日)

東海岸の聴かせるハードバップ

先の週末から、梅雨の中休みの良い天気が続いていたのだが、今日から一転、梅雨空が戻って来た。どんより曇り空で精神的に鬱陶しいし、雨が落ちてくれば湿度がグッと上がって不快指数MAX。気候病の一環として片頭痛はするわ、とにかく気分が優れない。こんな時のジャズは古風なハードバップが良い。難しいこと無しにリラックスして聴けるジャズが良い。

Donald Byrd『Byrd's Eye View』(写真左)。1955年12月2日、マサチューセッツのケンブリッジ「Harvard Square」での録音。ちなみにパーソネルは、Donald Byrd (tp), Joe Gordon (tp, tracks 1, 2, 4 & 6), Hank Mobley (ts, tracks 1 & 3-5), Horace Silver (p), Doug Watkins (b), Art Blakey (ds)。マイナー・レーベルの「Transition」からのリリース。

リーダーのドナルド・バードのトランペットとジョー・ゴードンとのツー・トランペットに加えて、ハンク・モブレーのテナーの3管フロント。バックのリズム・セクションは、シルヴァーのピアノ、ワトキンスのベース、ブレイキーのドラムという、当時最高レベルのトリオが務めている。ちなみにこの盤、ドナルド・バードの初スタジオ録音のリーダー作になる。

パーソネルを見るだけで、この盤の音は「悪い訳が無い」。録音場所の地元ボストン出身のトランペットのジョー・ゴードン以外は当時のジャズ・メッセンジャーズという布陣が興味深い。プロデューサーと録音技師が異なるが、演奏の雰囲気はブルーノートの1500番台に近い。ファンキー・ジャズの前身、ファンクネス漂う典型的なハードバップという雰囲気がとても良い。
 

Donald-byrdbyrds-eye-view

 
収録曲6曲中(ラストの6曲目「Crazy Rhythm」はCDリイシュー時のボートラ)、スタンダード曲が3曲、名作曲家モブレー作が2曲、ベースのワトキンス作が1曲。いずれもまず「曲が良い」、そして「アレンジが良い」。典型的なハードバップな演奏展開の下、味のある、ファンクネス漂うハードバップな演奏が展開される。

バードのトランペットは快調、ゴードンのトランペットも健闘している。この盤でのモブレーは好調。よほど録音時の雰囲気が良かったのだろう。シルヴァーのピアノは小粋でファンキー、ワトキンスのベースは重厚かつ堅実。

そして、何と言っても、ブレイキーのドラミングがとても良い。この盤のセッション全体のリズム&ビートをしっかりコントロールして、フロント3管が吹きやすいスペースを提供し、フロント3管を引き立てている。

何もバトルを繰り広げるだけが東海岸ジャズでは無い。全体的に落ち着いたハードバップで、「聴かせるファンキー・ジャズ」志向でまとめた佳作である。耳当たりが良い演奏だが、バックのリズム・セクションの充実が、フロント3管に良い影響を与えている様で、バードとゴードンのトランペット、モブレーのテナーが好調で破綻無く流麗。リラックスして安心して聴ける東海岸ハードバップの隠れ好盤です。
 
 

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2023年6月21日 (水曜日)

タイナー・ミュージックの完成形

マッコイ・タイナーは、1960年代、ブルーノートの諸作でタイナー独自のモーダル・ジャズを確立。ピアノのみならず、アレンジの才を発揮し、1970年代、コルトレーンのアフリカ志向をベースに、独自のワールド・ミュージックと融合したジャズを展開。トリオからジャズ・オーケストラまで、様々な編成で、その才能を存分に発揮した。

McCoy Tyner『Horizon』(写真左)。1979年4月24 & 25日の録音。ちなみにパーソネルは、McCoy Tyner (p), Joe Ford (as, ss, fl), George Adams (ts, fl), John Blake (vln), Charles Fambrough (b), Al Foster (ds), Guilherme Franco (congas)。ファレルとアダムスのサックスのフロント2管、バイオリン入りのセプテット編成。

1979年の録音ということもあったのかもしれない。この盤は、タイナーが1970年代に追求、展開してきた「コルトレーンのアフリカ志向をベースに、ワールド・ミュージックと融合したタイナーのモード・ジャズ」の集大成的な内容になっている。

というか、1970年代に入って、『Asante』(1970年, Bluenote)、『Sahara』(1972年, Milestone)から始まったタイナーの音世界であるが、アルバムを重ねる度に洗練度を高めていって、この『Horizon』がその完成形だと僕は感じている。
 

Mccoy-tynerhorizon

 
今回は7人編成という、タイナーの「ワールド・ミュージックと融合したタイナーのモード・ジャズ」としては小編成の部類だと思うが、人選が当たったのだろう、メンバー全員がタイナー・ジャズの個性をしっかりと理解し、その個性を的確に表現している。

特に、ファレルとアダムスのフロント2管が良い。サックスも良い、そして、フルートも効果的。タイナー独自のモードにもしっかり対応、アブストラクトにもフリーにも展開可能、アフリカ志向のサウンドをしっかり出し、コルトレーンの様にも振る舞う。しかし、最終的には、タイナーの音世界に染まったファレルとアダムスである。これがオリジナリティーがあって良いのだ。

ジョン・ブレイクのヴァイオリンとギルヘルム・フランコのパーカッションの存在が効いている。ヴァイオリンとパーカッションのカラフルな音色は、タイナー独自のワールド・ミュージック志向のジャズの雰囲気を増幅する。このヴァイオリンとパーカッションの存在を前提としたタイナーのアレンジ力は素晴らしい。

『Horizon』は、タイナーの「コルトレーンのアフリカ志向をベースに、ワールド・ミュージックと融合したタイナーのモード・ジャズ」の完成形。タイナーが表現したかったこと、やりたかったことが、この盤に集約されている。タイナー・ミュージックを理解し、愛でるに相応しい名盤だと思う。
 
 

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2023年6月20日 (火曜日)

高中正義のフュージョン傑作盤

時は6月、季節は「夏」である。夏が来れば、必ず聴くギタリストがいる。高中正義である。「夏だ、海だ、高中だ」という凄いベタなキャッチコピーが懐かしい。そのキャッチコピーの影響では無いのだが、夏になると、高校時代からリアルタイムで高中のギター盤を聴いている。確かに高中のギター盤は夏に聴くのが一番合う。

高中正義『An Insatiable High』(写真)。1977年の作品。ちなみにパーソネルは、高中正義 (g), Lee Ritenour (g), Abraham Laboriel, Chuck Rainey (b), 深町純, Patrice Rushen (key), 村上秀一, Harvey Mason, Ed Greene (ds), 浜口茂外也, Steve Forman, Paulinho da Costa (perc)。ホーン隊にはタワー・オブ・パワーの面々が揃う。

パーソネルを見れば「あれっ」と思う。そう、この盤、高中とジェントル・ソウツとの共演アルバムである。ジェントル・ソウツといえば、高中と同じフュージョン・ギタリスト、リー・リトナー率いる、米国西海岸を代表するフュージョン・バンド。なんと、1977年に高中は米国に渡って、リトナーとの共演を実現していたんですね。

高中盤にありがちな、コマーシャルなところ、砕けたところ、おどけたところは一切無い。ハイテクニックな弾き回しは控えめに、がっつり余裕をかました、官能的で瑞々しい、スッ〜と伸びのある高中のエレギが全編で鳴り響く。高中の「がっつり聴かせる」エレギである。リー・リトナーとのギター・コンビネーションも良好。内容の濃い、高中印の「硬派なフュージョン・ジャズ盤」である。
 

An-insatiable-high

 
冒頭の「Sexy Dance」から高中サウンド全開。緩やかなシャッフル・ビートに乗って、躍動的でメロディアスなテーマが流れると、そこはもう高中ワールド。2曲目は永遠の名曲「Malibu」。ユッタリとした拡がりのあるアンサンブル。ラッシェンのキーボードが大活躍。そこに高中のエレギが滑る様に入ってくる。ラッシェンのキーボードをバックに「映える」高中のエレギ。

3曲目のタイトル曲「An Insatiable High」は、高中お得意の疾走感溢れるスピーディーなナンバー。リトナーの蝉アコ・エレギのサウンドと高中のソリッドなエレギのサウンドのコンビネーションが素晴らしいのだが、演奏全体の雰囲気は「高中サウンド」。リトナーが「高中サウンド」のツボをしっかり押さえて、「高中サウンド」に貢献している。見事である。

冒頭の3曲だけで、この盤は素晴らしい「高中サウンド」が詰まった傑作だと確信する。リトナーをはじめとするジェントル・ソウツのメンバーは、この「高中サウンド」に馴染み、貢献するべくプレイしている。ジェントル・ソウツの懐の深さ、恐るべしである。

演奏全体のまとまり度合いは高く、テクニックはハイレベル。極上のフュージョン・サウンド。しかも、高中オリジナルなフュージョン・サウンドである。
 
 

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2023年6月19日 (月曜日)

ソウル・ジャズなオルガン盤 『Prayer Meetin'』

ジミー・スミス(Jimmy Smith)は、1950年代から1960年代の初めまで、ブルーノート・レーベルの「ドル箱」ジャズマンだった。ジミー・スミスは、ジャズ・オルガンの祖。ジャズ・オルガンの歴史は、ジミー・スミスの出現から始まったと言って良いかと思う。

ジミー・スミスの伝説は、マイルスがブルーノートの総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオンに紹介したところから始まる。ライオンはスミスのオルガンに惚れ込み、1956年から1962年の6年間に、なんと20枚以上のリーダー作をリリースしている。年に3枚以上のペースでのリリースで、これはこれで驚きだが、セールス的にも十分な実績を残したというのだから、これもこれで驚きである。

1962年、スミスは破格の好条件を提示した大手レーベル・ヴァーヴに移籍する。自分が見出し育てたジャズマンが条件の良い大手レーベルに移籍していくのは面白く無いはずだが、なんと、ライオンは一切止めること無く揶揄すること無く、喜んで送り出した。スミスはその恩義を忘れず、かなりの数の優れた内容の録音をストックとして残していった。

Jimmy Smith『Prayer Meetin'』(写真左)。1963年2月8日の録音。ブルーノートの4164番。ちなみにパーソネルは、Jimmy Smith (org), Stanley Turrentine (ts), Quentin Warren (g), Donald Bailey (ds)。スミスのそんな「鶴の恩返し」的レコーディング・ストックの1枚。相性の良いフロント管、スタンリー・タレンタインのテナー・サックスとの共演盤である。
 

Jimmy-smithprayer-meetin

 
1950年代のデビューから暫くは、硬派でバップな、そして、ハイ・テクニックなオルガンでブイブイ言わせていたのだが、1960年の『Crazy! Baby』あたりから、歌心と味のある「聴かせる」オルガンへシフト。さらに人気が高まり、1961年『Midnight Special』の大ヒットを生む。

そして、この『Prayer Meetin'』は、その『Midnight Special』の雰囲気を踏襲する、「聴かせる」ソウルフルなオルガン・ジャズで統一されている。

もともとテクニック抜群、流麗でバップなフレーズを紡ぎ出すのが得意なオルガニストである。そこに歌心が加われば、無敵である。そんな「じっくり聴かせる」歌心溢れるオルガンがギッシリ詰まっている。

そして、その歌心溢れるスミスのオルガンをがっちりサポートし、がっちりと引き立てているのが、タレンタインのテナー・サックス。スミスがポップなオルガンを弾けば、硬派な男気溢れる漆黒テナーをタレンタインが吹き、スミスが硬派でストイックなフレーズを弾けば、タレンタインはポップで悠然としたフレーズで応える。この2人のアンサンブルとインタープレイが良い感じ。相性が良いんでしょうね。

1960年代前半、ジャズの「多様化」の時代のニーズに合わせた様な、ちょっとポップで歌心溢れる「聴かせる」ソウル・ジャズがこの盤に詰まっています。ジャズの即興の妙など、刺激的な要素は希薄ですが、とにかく聴いていて心地良く、聴いていて楽しい。聴いて楽しい、リラックスして聴き込める、極上のソウル・ジャズなオルガン盤です。
 
 

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2023年6月18日 (日曜日)

ペッパーとペイチのジャズ・オケ 『Art Pepper + Eleven』

アート・ペッパーの活動時期は2つに分かれる。1960年代後半、薬物中毒者の為のリハビリテーション施設シナノンで過ごしたブランクの時期を境に、1950年代〜1960年代前半の「前半のペッパー」と、後半のカムバック後、1970年代〜亡くなる1982年までの「後半のペッパー」とに分かれる。

「前半のペッパー」は、米国ウエスコトースト・ジャズの全盛期、米国西海岸を中心に活動している。当時のウエストコースト・ジャズの特徴は「聴かせるジャズ」。優れたアレンジを施し、ユニゾン&ハーモニー、アンサンブルは小粋に流麗に響く。

そんな「聴かせる」プロフェッショナルな演奏をバックに、フロント管はハイ・テクニックで歌心溢れる即興ソロをとる。聴き手に訴求する、聴き心地良く、聴き応えがあるジャズである。

『Art Pepper + Eleven』(写真左)。1959年3月と5月の録音。米国西海岸ジャズの主力レーベル、コンテンポラリー・レコードからのリリースになる。

ちなみにパーソネルは、Art Pepper (as, ts, cl), Pete Candoli, Al Porcino, Jack Sheldon (tp), Dick Nash (tb), Bob Enevoldsen (valve-tb, ts), Vincent DeRosa (french horn), Herb Geller, Bud Shank, Charlie Kennedy (as), Bill Perkins, Richie Kamuca (ts), Med Flory (bs), Russ Freeman (p), Joe Mondragon (b), Mel Lewis (ds), Marty Paich (arr, cond)。
 

Art-pepper-plus-eleven

 
マーティ・ペイチのアレンジの下、11人の共演者のをジャズ・オーケストラに、ビ・バップからクール・ジャズまで、ジャズ・スタンダード曲をメインに、アート・ペッパーがアルト・サックスを吹きまくった傑作。といっても、パーソネルを見ると、共演者は15人ほどいるみたいだが、マーティ・ペイチのアレンジによるジャズ・オーケストラをバックにしているのには変わりは無い。

アート・ペッパーのアルト・サックスは、マーティ・ペイチのバンド・アレンジと相性が良い。というか、ペイチがペッパーのアルト・サックスを最大限に引き立てるアレンジを考え抜いて、音にしたのではないか、と思えるほど、見事にペッパーのアルト・サックスを引き立てている。

「前半のペッパー」は、流麗かつメロディアスで歌心溢れるアドリブ・フレーズを吹きまくる、孤高のアルト・サックスといった風情がとても格好良かった。この盤でも、有名なジャズ・スタンダード曲を、ペイチの優れたアレンジのジャズ・オーケストラの演奏に乗って、素晴らしいパフォーマンスを聴かせてくれている。

米国ウエストコースト・ジャズの精鋭達が集ったバックのジャズ・オーケストラの演奏が霞んでしまうほど、この盤でのペッパーのアルト・サックスは唄っている。ペッパーお決まりのアクセント、そして、スッと伸びたブリリアントなトーンで聴く者を魅了する。
 
 

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2023年6月17日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・263

唄って弾きまくるギタリスト、ジョージ・ベンソン(George Benson)。その弾きっぷりは「ウエス・モンゴメリー」のファンキー・ギターの再来。その唄いっぷりはソウルフル&ムーディー。唄って弾きまくるその底には「R&B」の黒さが流れ、ソウル・ミュージックのファンクネスが流れる。今の耳で振り返れば、ソフト&メロウなフュージョン・ミュージックの発祥である。

George Benson『Tell It Like It Is』(写真左)。1969年の4ー5月の録音。 A&M/CTIレコードからのリリース。ちなみにパーソネルは以下の通り。ドラムとパーカッションはほぼ固定。曲によって、ギターとサックス、ベースを使い分けている。後のフュージョン・ジャズの担い手ジャズマンが集結している。

George Benson (g, vo), Lew Soloff (tp), Jerome Richardson (tracks 1–5, 8, 10 & 11), Arthur Clarke, Sonny Fortune (sax, tracks 1–5), Joe Farrell Joe Henderson (sax, tracks 8, 10 & 11), Bob Porcelli, Hubert Laws (sax, tracks 6, 7 & 9), Rodgers Grant (p, tracks 6, 7 & 9), Richard Tee (p, tracks 1–5, 8, 10 & 11), Bob Bushnell (b, tracks 1–5), Jerry Jemmott (b, tracks 1–7 & 9), Jim Fielder (b, tracks 8, 10 & 11), Leo Morris (ds), Paul Alicea, Angel Allende, Johnny Pacheco (perc)。

ラテンとソウル、R&B、カリビアンとエレ・ジャズを融合させた、クロスオーバー・ジャズな音作り。リーダーのジョージ・ベンソン自体は、易きに流れず、かなり硬派でメインストリーム志向のファンキー・ギターを弾きまくっている。ウエスばりのオクターヴ奏法で弾きまくり、ソウルフルでソフト&メロウなヴォーカルを披露している。
 

George-bensontell-it-like-it-is

 
Booker T & M.G.'sの名曲をカヴァーした、ご機嫌なラテン・ジャズ「Soul Limbo」から始まり、Jerry Butlerのカヴァー、ソウルフルでR&Bな「Are You Happy?」、ベンソンのヴォーカルが心地良い「Tell It Like It Is」、こってこてラテンな「Land Of 1000 Dances」、
Dontcha Hear Me Callin' To Ya」「Water Brother」は小粋なジャズ・ファンク。

グルーヴィーなブラスのユニゾン&ハーモニーも芳しい、ソウルフルなカントリー・ナンバー「My Woman's Good to Me」でのベンソンの歌唱にグッとくる。「Jama Joe」のホットなラテン曲でギターを弾きまくるベンソンは熱い。

ラス前の、スティヴィー・ワンダーの名曲のカヴァー「My Cherie Amour」でのベンソンのオクターヴ奏法に思わず仰け反り、ラストのオールドR&Bチューンのカヴァー「Out in the Cold Again」でのベンソンのソフト&メロウな唄いっぷりに惚れ惚れする。

このベンソンの『Tell It Like It Is』というアルバム、ソフト&メロウなソウル・ジャズから、レアグルーヴなファンキー・ジャズまで、お洒落なアレンジに乗って、マニアックで玄人好みの演奏がてんこ盛り。

米国ルーツ・ミュージックと融合したクロスオーバーなジャズを、熱いギターとソフト&メロウなボーカル、そして、小粋なアレンジで聴かせてくれる。とにかく単純に聴いていて楽しく、思わず足踏みし腰が揺れる。そんなソウルフルな傑作だと思います。
 
 

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2023年6月16日 (金曜日)

ポップなタレンタインのテナー

ブルーノートの4100番台は、ジャズの「多様化」の時代にアルバムをリリースしている訳だが、聴き手のニーズに応じて、しっかりと「多様化」に対応している。このブルーノートの4100番台は、そんな「多様化」に対応した様々な演奏スタイルや演奏志向のアルバムがズラリとラインナップされている。

Stanley Turrentine『Hustlin'』(写真左)。1964年1月24日の録音。ちなみにパーソネルは、Stanley Turrentine (ts), Shirley Scott (org), Kenny Burrell (g). Bob Cranshaw (b), Otis Finch (ds)。シャーリー・スコットのオルガンはベースラインを弾かないので、この盤ではベーシストが存在する。リーダーのタレンタインのテナーとバレルのギターがフロントの変則クインテット編成。

タレンタインは、当時の細君、シャーリー・スコットのオルガンと共演を始めた頃から、演奏の志向を「ポップなファンキー・ジャズ」に舵を切っている。もともとは、ファンクネス濃厚でソウルフルな漆黒テナーでブイブイさせていたんだが、スコットと組んでからは、黒さが軽快さに変わり、明るいファンクネスを纏った、ポップでソウルフルなテナーに変化している。
 

Stanley-turrentinehustlin

 
タレンタインのテナーの個性がポップでコマーシャルなテナーに若干、変化しているのだが、硬派でソウルフルな雰囲気はしっかり残っているので、単なる「イージーリスニング・ジャズ」なテナーに陥っていない。しかし、黒さが軽快さに変わることで、タレンタインのテナーの重厚さが少し薄れて、何だか浮かれている様な感じがするのが、気になると言えば気になる(笑)。

もともとスコットのオルガンはライトでポップ。そして、もともと漆黒アーバンなバレルのギターは、タレンタインに合わせて軽快ファンキーなギターに早変わり。ポップで軽快なギターでバレンタインのテナーを引き立てている。それでも、アドリブ展開などはキッチリとメンスとリーム系の純ジャズっぽく、硬派でジャジーな展開になっているところはさすがと言えばさすがである。

ポップでキャッチャーな「ソウル・ジャズ」な盤として、キッチリまとまっていて、聴いていて心地が良い。手に汗握るスリリングな即興演奏は望めないが、この盤の持つ軽快さと明るいファンクネスは、聴き手にジャズの「楽しさ」を教えてくれているようだ。硬派なテンション高いハードバップでは無いが、聴いていて心地良く楽しい「ソウル・ジャズ」な盤として意外と聴き応えがある。
 
 

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2023年6月14日 (水曜日)

エレクトラ時代の最終作です。

「グローヴァー・ワシントン・ジュニア(Grover Washington Jr.)」。以降、略して「ワシントンJr.」。彼が「スムース・ジャズの父」と形容される個性を確立したのが、1980年から1985年にかけての、エレクトラ(Elektra)レコードの時代。このエレクトラ時代の5枚のリーダー作で、ワシントンJr. の音楽性と個性が確立された。

Grover Washington Jr.『Inside Moves』(写真左)。1985年の作品。ちなみにパーソネルは、Grover Washington Jr.(sax), Richard Tee (Fender Rhodes), Eric Gale: Guitar (g), Marcus Miller (b), Ralph MacDonald (ds, perc), Buddy Williams (ds)。ゲストとして、Steve Gadd (ds, on A1), Anthony MacDonald (perc, on A3, B1 & B3), Anthony Jackson (b, on A3)。

ワシントンJr.のエレクトラ時代の5枚目、最終作になる。録音時のメンバーもある程度固定しており、アルバム全体の演奏の雰囲気の統一感が増していて、リーダー作としてしっかりとした内容に仕上がっている。ソフト&メロウなフュージョン・サウンドではあるが、仄かにR&B志向、ジャズ・ファンク志向の音作りが見え隠れする。

名盤『Winelight』の「Just The Two of Us」の二匹目のドジョウ的なボーカル曲が良いアクセントになっている。1982年にユランダが歌った「Watching You Watching Me」をカヴァーした3曲目と6曲目の「When I Look at You」。
 

Grover-washington-jrinside-moves

 
どちらの曲も、ジョン・ルシアンをゲスト・ヴォーカリストとして採用し、雰囲気良く唄い上げている。そして、ルシアンのヴォーカルに絡むワシントンJrのサックスがとても良い。ワシントンJr.は、ヴォーカルの伴奏役としても、素晴らしいサックスを聴かせてくれる。

続く4曲目の「Secret Sounds」、5曲目の「Jet Stream」、そしてラストの「Sassy Stew」は、ワシントンJr.のサックスがとってもソフト&メロウ。意外と力感溢れるブロウで、男気溢れる吹奏はまさに「ジャズ」。

マーカス・ミラーのエレベもキッチリ効いて、演奏全体の滑らかさは、明らかに後のスムース・ジャズの先駆け。バックの演奏はテクニック良く、しっかりまとまっているので、演奏全体が易きに流れない。決して、イージーリスニングにはならない。

そうそう、冒頭1曲目のタイトル曲「Inside Moves」は、後の、Steve Gadd『The Gadd Gang』の2曲目の「Strength」と同一曲です。この曲は「Steve Gadd, Ralph MacDonald, William Salter」の共作。この曲のバックのリズム隊には、スティーヴ・ガッドがドラムでゲスト参加しているので、この盤では曲名を「Inside Moves」として、ガッドが自らのバンドで録音時には、何故か曲名を変えて収録したものと思われます。
 
 

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2023年6月13日 (火曜日)

金太郎飴な「ブレイスの個性」

ジョージ・ブレイスは、NY出身のソウル・ジャズ・サックス奏者。知る人ぞ知る、かなりマイナーなサックス奏者である。ジャズ史に名を残す、一流ジャズマンの類では無い。ただ、ある演奏スタイルのスタイリストの1人ではある。恐らく、ブルーノート4100番台のマニアのジャズ者の方々しか、知らない名前かもしれない。

ブレイスの演奏スタイルの個性は「ローランド・カークが開発したテクニックで、循環呼吸を活用して、一度に複数の管楽器を演奏する」ところ。この盤でもブレイスは、サックス(テナー・ソプラノ)とストリッチを同時に吹いている。これがユニークというか、僕はこれを面白く、興味深く聴く。が、ジャズ者の方々の中では、明らかに好き嫌いがあると思う。

George Braith『Soul Stream』(写真左)。1963年12月16日の録音。ブルーノートの4161番。ちなみにパーソネルは、George Braith (ts, ss, stritch), Billy Gardner (org), Grant Green (g), Hugh Walker (ds)。

ぱっきぱきファンキー・ギターのグラント・グリーンを擁したオルガン・トリオをバックにした、ジョージ・ブレイスのブルーノート第2作。前作『Two Souls in One』とドラマーが代わっているだけ。この盤では、ソプラノ・サックスに加えて、テナー・サックスとストリッチを同時に吹いている。
 

George-braithsoul-stream

 
出てくるユニゾン&ハーモニーは前作と殆ど同じ。展開するフレーズも前作と同じく、シンプルで判り易い平易なフレーズ。判り易いが発展性がなく、一度に複数の管楽器を吹くという「ギミック」の音のユニークさだけで勝負している。

この辺りが、同じ「一度に複数の管楽器を吹く」という個性的な演奏スタイルを持つローランド・カークと違うところ。カークはユニゾン&ハーモニーのバリエーションを増やし、展開するフレーズについても、独特の吹き回しにチャレンジし、遂には「カーク節」と呼んで良い、個性的なフレーズを身につけた。そして、この「一度に複数の管楽器を吹く」という個性的な演奏スタイルの第一人者として、その名を残した。

ブレイスは惜しいかな、デビュー作の『Two Souls in One』で披露した演奏スタイルを殆ど発展、進化させなかった。逆に、一度に複数の管楽器を吹くという「ギミック」の音のユニークさだけで「聴かせる」リーダー作をまとめた。

これでは、聴き手の立場に立つと、金太郎飴の如く「飽き」が来る。実は、このリーダー作2作目にして、ブレイスのフレーズの組立ての先が読める様になってきて、ユニークさは確実に薄れている。
 
 

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2023年6月12日 (月曜日)

モブレーのアウトテイク集です

CDの時代になって、アルバム1枚の収録時間が飛躍的に増えた。LPはAB両面で大体45分、CDについては当初74分。実に30分程度、収録時間が増えたことになる。ここでLP時代のアルバムをCDでリイシューする時、この収録時間の余裕が問題になる。

LP時代のアルバムはそれだけで完結しているのだから、そのままCD化すれば良いものを、この収録時間の余裕が出来た分、LP時代に収録されなかった音源、未発表音源や既収録曲のテイク違いをその余裕部分に追加収録し始めたのだ。いわゆる「ボーナス・トラック」。略して「ボートラ」である。

レーベルのプロデューサーとアルバムのリーダーのジャズマンは、LP時代のAB両面の収録曲で、1枚のアルバムとして納得してリリースしていたのに、当時、収録するつもりのなかった、いわゆる「ボツ音源」を後世のレコード会社が追加収録してアルバム・リイシューしたのだ。

これは意外と困る代物で、ジャズ盤を鑑賞する場合、基本的にこのボートラが邪魔になることが殆ど。僕はジャズ盤鑑賞の時は、最初はこのボートラを一切聴かない。省略して、本来のLP時代のアルバムの収録曲のみを鑑賞対象としている。それで無いと、アルバムのリリース当時と比べて、アルバムの印象が変わるので、正しいアルバム評がまとめられない。

Hank Mobley『Straight No Filter』(写真左)。ハンク・モブレーが、1963~65年に録音した音源のアウトテイクを、1985年にLPにて編集してリリースした盤。1985年のLPリリース時の収録曲は6曲。

Tracks 1–3は、1966年6月17日の録音。セッションそのものがボツになった音源で初アルバム化。「Straight No Filter」「Chain Reaction」「Soft Impressions」の3曲。ちなみにパーソネルは、Hank Mobley (ts), Lee Morgan (tp), McCoy Tyner (p), Bob Cranshaw (b), Billy Higgins (ds)。

まずは、この3曲の内容が素晴らしい。モブレー&モーガンの2管フロントのクインテット編成で、迫力ある疾走感タップリのモード・ジャズが展開される。勢いたっぷり濃密な迫力のセッションを楽しめる。勢いのあるリズム・セクションが要で、特に、タイナーのピアノが格好良い。

Tracks 4–5は、1965年2月4日の録音。『The Turnaround!』セッションのアウトテイクで「Third Time Around」「Hank's Waltz」の2曲。ちなみにパーソネルは、Hank Mobley (ts), Freddie Hubbard (tp), Barry Harris (p), Paul Chambers (b), Billy Higgins (ds)。
 

Hank-mobleystraight-no-filter

 
Tracks 1–3から1年半前の録音になる。リズム・セクションがハードバップ志向のメンバーながら、意外とモード・ジャズしているのが面白い。頑張ってるなあ、という印象。内容的には悪く無い。Tracks 1–3と比較すると、やはりモード濃度は薄く、演奏の雰囲気はちょっと軽め。録音当時、ボツになったのも何となく納得出来る。それでも、Tracks 1–3との違和感はほとんど無い。

そして、Tracks 6は、1963年10月2日の録音。『No Room For Squares』セッションのアウトテイクで「The Feelin's Good」の1曲。ちなみにパーソネルは、Hank Mobley (ts), Lee Morgan (tp), Andrew Hill (p), John Ore (b), Philly Joe Jones (ds)。

Tracks 1–3から2年半前ほど前の録音になる。Tracks 1–3と同じ、モブレー&モーガンの2管フロントのクインテット編成。リズム・セクションに、ヒルのピアノが入っていて、それなりにモーダルな演奏としてまとまっている。が、演奏全体で雑なところが見え隠れして、録音当時、ボツになったのも頷ける。それでも、Tracks 1–3の雰囲気に繋がる、モブレー印のモーダルな演奏として成立していて、これはこれでアリかな。

ということで、このアウトテイク集は、もともとは、セッションごとボツになった1966年6月17日の録音を世に出したかったのではないかなあ、と感じている。それほど、1966年6月17日の録音は、モブレー印のモーダルな演奏として、かなり充実している。確かにボツにしたままでは勿体ない音源である。そういう意味で、LP時代の『Straight No Filter』は、収録曲6曲で意味のあるアウトテイク集だったと思う。

が、CDリイシュー時に、なんとさらに3曲が追加され、特にラス前からの2曲は、1963年3月7日の録音。『No Room For Squares』セッションのアウトテイク集で、フロント管の相棒がドナルド・バードになっていて、フロント2管のモーダルなフレーズが未だハードバップ風。LP時代の収録6曲とはちょっと演奏志向、雰囲気が異なっていて、ボートラとしての追加に意味が無いような気がする。

LP時代のアウトテイク集に、CDリイシュー時、さらにボートラを追加するのはちょっと乱暴な感じがする。さすがにCDリイシューの全9曲は、最後の3曲辺りでちょっとマンネリ気味で飽きてくる。そういう意味で、LP時代のアウトテイク集の全6曲は、しっかり吟味されて意味があるものだったんやなあ、と改めて思います。ボートラの功罪。ボートラはジャズ研究家、評論家向けに、別編集で供給した方が良いのでは、と最近、思います。
 
 

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2023年6月11日 (日曜日)

名盤『Rhapsody And Blues』

1970年代に大活躍した伝説のフュージョン・ファンク・バンド「クルセイダーズ(The Crusaders)」。1971年にグループ名を「ザ・クルセイダーズ」と変更、オリジナル・メンバーは、トロンボーンのウェイン・ヘンダーソン 、サックスのウィルトン・フェルダー、キーボードのジョー・サンプル、そして、ドラムのスティックス・フーパーの4人。1976年にウェイン・ヘンダーソンが脱退、残りの3人でクルセイダーズを維持した。

The Crusaders『Rhapsody And Blues』(写真)。1980年の作品。ちなみにパーソネルは、クルセイダーズのメンバーとしては、Wilton Felder (sax), Joe Sample (key), Stix Hooper (ds, perc)。ゲストに、Alphonso Johnson (b), Bob Mann, Dean Parks, Philip Upchurch, Sr., Roland Bautista (g) らの名前が確認出来る。ベースとギターは客演でまかなっているが、クルセイダーズのサウンドとしては変化は無い。

前作の『Street Life』が大ヒットし、メジャーな存在にのし上がったクルセイダーズの傑作である。前作はフュージョン・ファンクな音作りと、ランディ・クロフォードのボーカルを活かしたタイトル曲が素晴らしい出来だったのだが、この『Rhapsody And Blues』では、フュージョン・ファンクな音作りは踏襲しつつ、ファンキー&ソウルな音志向に、ソフト&メロウな味付けを強化して、いわゆる典型的な「フュージョン・ジャズ」としてまとめられている。
 

The-crusadersrhapsody-and-blues

 
冒頭の「Soul Shadows」は、前作のボーカル入り曲のヒットの「二匹目のドジョウ」を狙ったのであろう、ビル・ウィザースをヴォーカルに迎えて、曲の雰囲気としては、前作のパンチの効いたジャズ・ファンクなものから、この盤では、ソフト&メロウ、そしてアーバンな雰囲気濃厚。フュージョン・ジャズの良い面がしっかりと出ていて良好。

そして何と言ってもタイトル曲の「Rhapsody And Blues」。ソフト&メロウで、叙情的でリリカル、流麗でメロディアス、そして、趣味良く弾むリズム&ビート。とにかく曲が抜群、アレンジが抜群、そして、ジョー・サンプルのキーボードが哀愁感抜群でとにかく美しい。クルセイダーズのみならず、フュージョン・ジャズの名曲名演の1曲である。僕は、この曲が本当に大のお気に入りで、この曲を聴きたさに、何度、このアルバムを聴いただろう。

続くダンサフルな楽曲「Last Call」から、しっとりと叙情的に唄い上げるギターソロに感じ入る「Sweet Gentle Love」まで、この盤のLP時代のB面(CDでは4曲目から6曲目まで)はとりわけ秀逸な内容。フュージョン・ジャズの良いところがギッシリ詰まった、フュージョン・ジャズの名盤の1枚です。この盤を聴く度に「フュージョン・ジャズも良いものは良いなあ」と改めて思います。
 
 

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2023年6月10日 (土曜日)

前半のペッパーの名盤の1枚 『The Art of Pepper』

アート・ペッパーは、1960年代後半、薬物中毒者の為のリハビリテーション施設シナノンで過ごした。この長いブランクを境に、1950年代〜1960年代前半の「前半のペッパー」と、後半のカムバック後、1970年代〜亡くなる1982年までの「後半のペッパー」とに分かれる。最近、この「前半のペッパー」のリーダー作を聴き直している。

Art Pepper『The Art of Pepper』(写真左)。1957年4月の録音。ちなみにパーソネルは、Art Pepper (as), Carl Perkins (p), Ben Tucker (b), Chuck Flores (ds)。バックのリズム・セクションに、米国ウエストコースト・ジャズの名手が集う、アート・ペッパーのアルト・サックスの1管フロントの「ワンホーン・カルテット」編成。

オリジナル盤は、アラジン・レーベルへ録音されたものの同社の倒産により、オメガ・レコードより「オープンリール・テープ」で発売という形でリリースされた、とても珍しい音源。当然、リリースされた盤の数も少なく、当時から「幻の名盤」扱いだった珍品。我が国では、トリオ・レコードから、LP2枚に分けてリリースされ、CDでのリイシューでコンプリート盤が出されて、今では我々一般でも入手可能なっている。

ペッパーのアルト・サックスについては、名盤『Modern Art』に良く似た雰囲気。ペッパーのアルト・サックスは流麗そのもの。アドリブ・フレーズも創造性に富んでいて、聴いていてとても楽しい。特にブルース曲における、ペッパーのブルース・フィーリングは秀逸。ペッパーのアルト・サックスは、ファンキーというよりは「ブルージー」。ペッパーのアルト・サックスの個性を強烈に感じる。
 

Art-pepperthe-art-of-pepper

 
バックのリズム・セクションのパーソネルを見ると、米国ウエストコースト・ジャズの名手が控えていて、パーキンスのピアノ、タッカーのベース、フローレスのドラムと、西海岸ジャズらしい、洗練されて小粋で「聴かせる」リズム&ビートを繰り出している。そんな西海岸ジャズ独特のリズム&ビートに乗って、流麗で歌心溢れる「聴かせる」アルト・サックスを、ペッパーは吹きまくる。

ワンホーン・カルテットという編成もあって、この盤でのペッパーは、バックのリズム・セクションとの小粋なインタープレイを楽しむというよりは、自分自身のアルト・サックスを、西海岸ジャズがベースの中で、如何に流麗に、如何にテクニック良く、如何に「聴かせる」か、のみを追求している様に感じる。それだけ、このワンホーン・カルテット盤では、ペッパーのアルト・サックスが目立ちに目立っている。

ジャズ者ベテランの方々が言う「前半のペッパー」は円熟した流麗なメロディストなので良い、というのは、ペッパーは米国ウエストコースト・ジャズをメインに活動〜録音していたので、ウエストコースト・ジャズの個性である、しっかりアレンジされた、流麗で小粋で、聴衆に「聴かせる」ジャズ、を、ペッパーはアルト・サックスで実践していたからなのでは、と僕は思うのだ。

とにかく、この当時の「幻の名盤」であった『The Art of Pepper』は、幻ではなくなった今では「名盤」。米国ウエストコースト・ジャズの名手がリズム・セクションを担っている分、僕は、東海岸のリズム・セクションと組んだ、名盤の誉れ高い『Meets the Rhythm Section』よりも僕は内容は濃い、と思っている。ペッパーのみならず、バックのリズム・セクションも含めて、この盤は「前半のペッパー」を代表する名盤の1枚だと思う。 
 
 

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2023年6月 9日 (金曜日)

前半のペッパーの成熟を感じる 『Intensity』

ジャズを本格的に聴き始めた頃、今を去ること40年以上前から、アート・ペッパーがずっとお気に入りのジャズマンである。振り返れば『Art Pepper Meets the Rhythm Section』(1957年, Contemporary)を聴いて、一発でお気に入りになった。そして『Among Friends』(1978年, Interplay)で確信に変わり、以来「ペッパー者」として、リーダー作を追いかけてきた。

アート・ペッパーは、1960年代後半を薬物中毒者のためのリハビリテーション施設シナノンで過ごした。この長いブランクを境に、前半のペッパーと後半のカムバック後のペッパーとに分かれる。

前半のペッパーは「米国ウエストコーストのハードバップ」で、後半のペッパーは「コルトレーン・マナーなモード・ジャズ」。ただし、流麗でハイテクニックな吹き回しは前後半共通で、どちらが優れているか、なんていう不毛な議論もあった様だが、前半のペッパーも、後半のペッパーも「ペッパーそのもの」。

Art Pepper『Intensity』(写真左)。1960年11月23–25日の録音。Contemporaryレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Art Pepper (as), Dolo Coker (p), Jimmy Bond (b), Frank Butler (ds)。米国西海岸ジャズ時代、いわゆる「前半のペッパー」。ペッパーがフロント1管の「ワンホーン・カルテット」である。
 

Art-pepper_intensity

 
「前半のペッパー」は押し並べて、ペッパーのブロウだけを楽しめる内容のリーダー作が多いのだが、この盤はまさに「それ」。もともと「ワンホーン・カルテット」なので、ペッパーのアルト・サックスが目立つが、ピアノ以下のリズム隊は米国西海岸ジャズ畑からのメンバーだが少し地味なので、聴きどころは「ペッパーのアルト・サックス」のみ、な内容。

冒頭の「I Can't Believe That You're in Love with Me」を聴けば、ベースをバックにペッパーのアルト・サックスがスッと入ってきて、すぐにドラムが加わり、やがてピアノも加わり、バンド全体で、米国西海岸ジャズ独特の、聴き応えのあるアンサンブルへ展開。その後、ペッパーの流麗で力強く軽快なアドリブ・フレーズがブワーッと吹き上げられる。ペッパーのアルト・サックスの印象が強く残るアレンジと構成が見事。

他の曲でもペッパーのアルト・サックスは好調。お洒落で小粋で軽快なフレーズをバンバン吹き上げている。フレーズについては、ペッパーの手癖に近いものがメインなので、聴けば直ぐにペッパーだと判るし、この1960年の録音時点で、「米国ウエストコーストのハードバップ」なペッパーのアルト・サックスは成熟し切っている。

この盤を録音した頃は、ペッパーは既に重度の麻薬中毒状態で、さんざんな生活を送っていた時期。それでも、録音の時には何とかシャンとしていた様で、この盤でも、麻薬禍などという状況は微塵も感じさせること無く、お洒落で小粋で軽快なフレーズを好調に吹きまくっている。「前半のペッパー」の演奏家としての成熟を感じ取ることが出来る好盤だと思います。
 
 

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2023年6月 8日 (木曜日)

ドーハムとマクリーンの相性は...

ケニー・ドーハムのリーダー作の落ち穂拾いをしている。今日は、ドーハムの活動後半、後半も後半、最終リーダー作の『Trompeta Toccata』(1964年)の1枚前のリーダー作を取りあげる。

Kenny Dorham『Matador』(写真)。1962年4月15日の録音。ちなみにパーソネルは、Kenny Dorham (tp), Jackie McLean (as), Bobby Timmons (p), Teddy Smith (b), J.C. Moses (ds)。リーダーのケニー・ドーハムのトランペットとジャキー・マクリーンのアルト・サックスがフロント2管のクインテット編成。ピアノにファンキー・ピアニスト、ボビー・ティモンズの名前が見える。

ドーハムの活動の最終期、リアルタイムでリリースされたリーダー作としては「ラス前」である。ドーハムのトランペットは、相変わらず、ハードバップしていて元気溌剌。バリバリ吹きまくっている。が、ちょっと元気が無いかな、と思うところが見え隠れ。

それは、マクリーンのアルト・サックスに原因がある。この盤でのマクリーンは絶好調。ちょっとピッチの外れた独特の音色で、マクリーンはどこかモーダルな響きのするフレーズを吹きまくる。これが目立ちに目立っている。

ドーハムは従来のハードバップな吹きっぷりなので、流麗かつメロディアス。耳に優しく聴き心地の良いフレーズ。マクリーンはどこかモーダルな吹きっぷりなので、緩急自在、強弱自在、どこかゴツゴツしてたり、音の拡がりや奥行きがダイナミックだったりで、耳にしっかり響き、フレーズの印象が強く残る。そういうところから、この盤ではマクリーンの方が目立ってしまっている。
 

Kenny-dorhammatador

 
しかし、目立ったからといって、マクリーンの吹きっぷりに問題は無い。マクリーンのベスト・プレイに近い吹きっぷりで、この盤がマクリーンのリーダー作だったら、至極納得である。

ドーハムのトランペットについては、問題は無いのだが、従来からのハードバップな吹きっぷりを全く変えていない分、印象が薄まり、マクリーンと比べて、ちょっと損をしている。確かにマンネリと言えばマンネリ気味かな。

そして、意外とピアノのティモンズが活躍している。ミスター・ファンキーなピアノのティモンズ、しっかりとファンクネスを漂わせた躍動感溢れるバッキングは、しっかりとフロント2管を鼓舞する。

そして、どこかスパニッシュ・ムード漂うアルバム全体の雰囲気をしっかりと「ファンキーな純ジャズ」に着地させている。加えて、どちらかと言えば弱いと言わざるを得ないベースとドラムのリズム隊に代わって、演奏全体のリズム&ビートを統率しているのは見事。

ドーハムとマクリーン、好対照のフロント2管の相性を「良し」とするか「否」とするかで、評価の軽重が分かれるアルバムの内容かと思います。ハードバップ盤としては及第点以上。躍動感もあり、フロント2管それぞれの個性ははっきり出ていて、バックのリズム隊もピアノの大活躍で水準以上をキープ。ジャズの多様化の時代における「ユニークな内容の好盤」だと思います。
 
 

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2023年6月 7日 (水曜日)

ヒルのモード・ジャズの好盤

Andrew Hill(アンドリュー・ヒル)は、ブルーノートの総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオンが見出した「最後の才能」である。ライオンはヒルの才能に惚れ込み、積極的な録音〜プロモーションを実施、1963年録音『Black Fire』から、ライオンがブルーノートの総帥プロデューサーから引退、録音から手を引いた1967年までの4年間で、なんと8枚ものリーダー作をリリースしている。

Andrew Hill『Judgment!』(写真左)。1964年1月8日の録音。ブルーノートの4159番。ちなみにパーソネルは、Andrew Hill (p), Bobby Hutcherson (vib), Richard Davis (b), Elvin Jones (ds)。ブルーノートの総帥プロデューサーのアルフレッド・ライオンの秘蔵っ子、アンドリュー・ヒルのリーダー作の4枚目。ブルーノートからの3枚目のリーダー作になる。

ヒルのピアノの個性は明らかにユニーク。音の飛び方とか抜き方はセロニアス・モンクに近いが、ヒルの方がフレーズが流麗で判り易い。硬質なタッチでのモーダルな弾きっぷりは、その音はチック・コリアやハービー・ハンコックに似ている。

が、チックほど極端に現代音楽には接近せず、アヴァンギャルドさは緩く、ハービーほどに音の「拡がり」と「間」を活かすことは無く、音数は多い。ヒルのピアノの個性は一言では言い表せないが、チックやハービーの間を取った弾きっぷりで、音全体の印象は「判り易く流麗なモンク」という感じ。しかし、ヒルはヒル、ヒルの個性は唯一無二、先達の個性の寄せ集めでは無い。

ヒルの硬質なタッチでのモーダルな弾きっぷりは、これまた自由度マックスでモーダルなボビー・ハッチャーソンのヴァイブとの相性が抜群に良い。このヒルとハッチャーソンのユニゾン&ハーモニー、そして、インタープレイが、この盤の最大の聴きどころ。
 

Andrew-hilljudgment

 
硬派で硬質で疾走感溢れるモーダルなフレーズの応酬はとても聴き応えがある。ストイックで非商業的なフレーズの展開はアーティスティック。しかし、音の飛び方、抜き方が極端ではない、流麗さを損なわないレベルを維持しているので、難解なところは殆ど無く、硬派なモード・ジャズをやっている割に意外と判り易い。

しかし、かなり硬派でストイックなモード・ジャズなので、コマーシャルな聴き手に訴求するポップな響きは皆無。この盤でも、かなりストイックで「判り易いモンク」なフレーズを弾きまくっていて、これはこれで印象的で僕は好きなんだが、どうも大衆受けはしない感じなのだ。

ヒルのピアノは、チックやハービーと比べても「引けを取らない」のだが、ハービーやチックの様に、マイルス・バンドで活躍したとか、ジャズ・メッセンジャーズに在籍して活躍したとかと言う、メジャーでキャッチャーな活躍の場面がなかったので、ヒルはメジャーになり損ねたとみている。

しかし、このヒルのピアノは、リチャード・ディヴィスのベース、エルヴィン・ジョーンズのドラムという「超重量級」のリズム隊とのバランスがとても良い。もう少し、コマーシャルでポップな側面を織り交ぜていたら、ヒルの人気についての結果は変わっていた様な気がする。

ライオンは、アンドリュー・ヒルを第一線に送り出せなかったことを後悔しており、1980年代にブルーノートが復活した時、ライオンがまず始めたことはアンドリュー・ヒルを再び売り出すことだった。何かその理由が判るような気がする、このアルバム『Judgment!』の内容である。しかし、決して悪い内容では無い。モード・ジャズの好盤の類である。一聴する価値は十分にある。
 
 

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2023年6月 6日 (火曜日)

メインストリームなジョンスコ

ジョン・スコフィールド(John Scofield、以降「ジョンスコ」と略)は、1970年代後半から1980年代初頭にかけては、エンヤ・レコードとアリスタ・レコードの2つのレーベルを股にかけて、単独リーダー作をリリースしている。大雑把に言えば、エンヤは「メインストリーム志向」、アリスタは「ジャズ・ロック志向」のアルバム作り。1980年代以降は「メインストリーム志向」に軸足を置いていく。

John Scofield『Out Like A Light』(写真)。1981年12月14日、ドイツ、ミュンヘンのクラブ・ハーモニーでのライヴ録音。Enjaレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、John Scofield (g), Steve Swallow (b), Adam Nussbaum (ds)。スティーヴ・スワローのベース、アダム・ナスバウムのドラムとのギター・トリオをフィーチャーした3枚のアルバムのうちの最後の1枚。

1981年12月12〜14日の3日間、ジョンスコは、独ミュンヘンの「クラブ・ハーモニー」でライヴを行う。その中から12日と13日がアルバム『Shinola』になり、14日のライヴから5曲をセレクトしたのが本作になる。いわゆる前作『Shinola』の続編的位置づけのアルバムになる。

当然、ジョンスコの印象は『Shinola』と同じ感じになる。ジョンスコのエレギは、従来のジャズ・ギターとは全く異なる音色とフレーズ。心地良く「捻れた」ジャズ・ギター。時には「変態ギター」と崇め奉られる、ワン・アンド・オンリーな音とフレーズ。そして、しっかりとジャズを踏まえた「ヘビメタ」エレギ。おおよそ、ジャズ・ギターらしくない、といって、ロック・ギターのコピーではない、ジョンスコ独特のエレギがこのライヴ盤で堪能出来る。
 

John-scofieldout-like-a-light

 
加えて、スワローのエレベとの相性も抜群。ジャズ・ギターらしくないジョンスコのギターを、ロック志向、クロスオーバー志向に傾ける事無く、しっかりとメインストリームな純ジャズ志向に留めているのは、スワローのエレベのフレーズ。自由度の高いモーダルで変幻自在なスワローのエレベは、しっかりと硬派にメインストリーム志向している。そのエレベに絡んで、ジョンスコのエレギが飛翔する。

ナスバウムのドラミングも見事。心地良く「捻れた」、自由度の高いモーダルなエレギとエレベのリズム&ビートをしっかりと支えているのはナスバウムのドラミング。良い意味で変態チックなエレベとエレギの邪魔にならず、しっかりとタイムリーに「リズム&ビート」をキープしサポートしているのはナスバウムのドラミングだと感じる。

このライヴ盤を録音した翌年、ジョンスコは、マイルスの下へ馳せ参じることになる。アルバム『スター・ピープル』(1983年), 『デコイ』(1984年), 『ユア・アンダー・アレスト』(1985年) に参加、マイルス・デイヴィス・グループのメンバーとして、1985年夏のツアーまで同行する。このライヴ盤のジョンスコを聴けば、マイルスがジョンスコのギターを重用したのが良く判る。

加えて、ジョンスコは、このライヴ盤をもって、Enjaレーベルからも離れることになる。マイルスの下で、マイルス流のエレ・ジャズ・ファンクに触れ、ジョンスコ流のファンクネスを身につけていく。ジョンスコのデビュー以来の初期の時代は、このライヴ盤がひとつの節目となって、次の時代へと移行する。
 
 

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2023年6月 5日 (月曜日)

欧州ジャズのスコフィールド

ジョン・スコフィールド(以降、略して「ジョンスコ」)は、流麗に捻れて、流麗でデコボコ・ゴツゴツな、素敵にアップダウンするフレーズが個性。どう聴いても、クロスオーバー〜フュージョン・ジャズのエレギでは無い。確実に、メインストリーム志向の純ジャズに向いたエレギである。

Solal, Konitz, Scofield, Ørsted-Pedersen『Four Keys』(写真)。1979年5月8日の録音。独の名門ジャズ・レーベルMPSからのリリース。ちなみにパーソネルは、Martial Solal (p), Lee Konitz (as), John Scofield (el-g), Niels-Henning Ørsted Pedersen (b)。仏の重鎮ジャズ・ピアニスト、マーシャル・ソラールが、実質リーダーの、ドラムレス・カルテット編成。

ダイナミックで躍動感のある華麗な演奏が味わえる、欧州的な素敵なジャズ・ピアノのマーシャル・ソラール。クールで切れ味の良い、力感溢れる流麗アルト・サックスのリー・コニッツ。NHØPとしても知られる、硬派で正統派なデンマークのベーシストのニールス=ヘニング・エルステッド・ペデルセン。そして、流麗に捻れて、流麗でデコボコ・ゴツゴツな、素敵にアップダウンするエレギのジョン・スコフィールド。
 

Solal-konitz-scofield-rstedpedersenfour-

 
ピアノのソラールとベースのペデルセンが欧州、コニッツのアルト・サックスとジョンスコのエレギが米国。まず、米国のジャズ・レーベルでは見ることが出来ないであろう、ユニークな面子での、しかも、ドラムをオミットした、ドラムレスのカルテット。ドラムをオミットして、相当に自由度の高い、モーダルな即興演奏が展開されて見事。

徹頭徹尾、アーティスティックでストイックな純ジャズ志向。クールで静的に「熱気溢れる」インタープレイが展開されている。それも、それぞれが無勝手に展開するのではなく、ソラールのピアノが演奏全体をしっかりコントロールし、それに従って、演奏の「底」のリズム&ビートをペデルセンが供給、そんなリズム隊をバックに、コニッツのアルト・サックスとジョンスコのエレギが存分にアドリブ・パフォーマンスを披露している。

演奏全体を包む雰囲気は、確実に「欧州ジャズ」。聴衆の嗜好に合わせたコマーシャルな雰囲気は皆無。米国ではフュージョン・ジャズの全盛期に、こってこて「アーティスティックでストイックな純ジャズ」が展開される。緩んだところ、拠れたところは全く無し。演奏全体の心地良いテンションの下、創造的な即興演奏が見事。好盤です。
 
 

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2023年6月 4日 (日曜日)

エレクトラ時代のワシントンJr.

スムース・ジャズの父、フュージョン・ジャズにおけるサックスの帝王と呼ばれる「グローヴァー・ワシントン・ジュニア(Grover Washington Jr.)」。以降、略して「ワシントンJr.」。そのワシントンJr. が、その音楽性と個性を確立させたのが、エレクトラ(Elektra)レコードの時代。

アルバム・タイトルとして、『Paradise(パラダイス)』(1980年)、『Winelight(ワインライト)』(1982年)、『Come Morning(カム・モーニング)』(1983年)、『The Best Is Yet to Come(訪れ)』(1984年)、『Inside Moves(インサイド・ムーヴス)』(1985年) の5枚。この5枚で、ワシントンJr. の音楽性と個性の全てが理解出来る。

Grover Washington Jr.『Paradise』(写真左)。1979年のフィラデルフィア録音、1979年のリリース。ちなみにパーソネルは、Grover Washington Jr. (sax, fl, , el-p (7)), James "Sid" Simmons (p), Richard Lee Steacker (g), Tyrone Brown (b), Millard "Pete" Vinson (ds,),Leonard "Doc" Gibbs (perc), John Blake Jr. (vln)。エレクトラ・レコード時代の第一弾。この盤から、ワシントンJr. の伝説は始まるのだ。
 

Grover-washington-jrparadise

 
エレクトラ・レコードからのリリースと並行して、モータウン・レコードからもリーダー作をリリースしており、モータウンでは、アレンジの志向としては、ライトな「ソウル、R&B」志向のアレンジがメイン。こちら、エレクトラでは、ライトな「ソウル、R&B」志向以外の様々なアレンジにチャレンジしている。

ラテン風、ボサノバ風を含め、バラエティーの富んだアレンジではあるが、基本は「ソフト&メロウ」な、正統フュージョン・ジャズ。力感溢れる流麗サックスがブリリアントなワシントンJr.の真骨頂。特にLP時代のB面、CDでは4曲目「Asia's Theme」以降は、ソフト&メロウな正統派フュージョンのオンパレードで、このB面は聴きどころ満載。ワシントンJr. のフュージョン・ジャズが確立された瞬間を捉えている様で、演奏全体の雰囲気は素晴らしい。

ただ、バックのメンバーは、録音地の地元フィラデルフィアのミュージシャンを採用しているらしく(どうりでパーソネルを見て、知らない名前ばかりが並んでいる)、ちょっと洗練度に欠けるところが惜しい。それでも、ワシントンJr.のサックスは充実しまくりなので、良しとしましょう。そして、ワシントンJr. は、次作以降、この盤のLP時代のB面の演奏〜展開の洗練度を高めていく。
 
 

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2023年6月 3日 (土曜日)

ポール・モチアン・トリビュート

ポール・モチアンと言えば、ビル・エヴァンス、キース・ジャレットとの共演の印象が強くて、正統派スインギーな純ジャズ系のドラマーというイメージがある。

そんなモチアンとECMというのは、ちょっと違和感があるのだが、モチアンって、現代音楽っぽい前衛的なジャズや、スピリチュアルなジャズが得意だったりするので、モチアンとECMって、そういう面で相性が良かったのだろう。

ポール・モチアンとECMとの関係は、1970年代、ECMレーベルが活動を始めた頃から、1981年まで、5枚のリーダー作を残している。そして、一旦、ECMを離れるが、21世紀に入って、2004年に『I Have the Room Above Her』を録音して、ECMにカムバック。亡くなる2年前にも『Lost in a Dream』を録音している。

Jakob Bro & Joe Lovano『Once Around The Room - A Tribute To Paul Motian』(写真左)。2021年11月、コペンハーゲンでの録音。ちなみにパーソネルは、Jakob Bro (g), Joe Lovano (ts, Tarogato), Larry Grenadier, Thomas Morgan, Anders Christensen (b), Joey Baron, Jorge Rossy (ds)。

2011年に惜しまれながら鬼籍に入った、多くの名盤に携わった偉大なジャズ・ドラマー、ポール・モチアンのレガシーをトリビュートする作品。いかにも、未だ硬派なメインストリーム・ジャズ専門のレーベル、ECMらしい企画盤である。
 

Jakob-bro-joe-lovanoonce-around-the-room

 
さて、このトリビュート盤、フロント楽器として、デンマーク出身の異能のギタリスト、ヤコブ・ブロと、ベテラン・サックス・プレイヤーのジョー・ロヴァーノ。リズム隊は、ベーシストが3人、ドラマーが2人、曲ごとに編成を変えながらの録音になっている。

演奏はインテリジェンス溢れる、陰影と音の「間」に富んだ即興演奏。静的でクリスタル、クールな熱気溢れるECMらしい即興演奏。

ヤコブのギターは内省的で静的な、墨絵の様な拡がりと陰影を持った音で印象的。ロヴァーノのテナーは、力感&情感溢れるストレートでクールな吹きっぷり。静のヤコブのギターと、動のロヴァーノのテナーとの対比がとても美しい。

ベースとドラムのリズム隊は、曲毎に交代して担当しているが、出てくるリズム&ビートの雰囲気は、明らかに「ポール・モチアン」。モチアンのドラミングって、機微、抑制、音色のバラエティーに熟練しているんだが、そんな達人的なリズム&ビートをしっかりと再現しつつ、それぞれの個性もしっかり反映する。なかなかに優れたリズム隊の面々。

ポール・モチアンって、ジャズ・ドラミングにおける、一流のスタイリストの1人やったんやなあ、と改めて感心する。そして、さすがはECM、ポール・モチアンのソロ・リーダー作の個性と特徴である「現代音楽っぽい前衛的なジャズ」や「スピリチュアルなジャズ」をしっかりと再現し、ECMジャズとして完結させている。
 
 

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2023年6月 2日 (金曜日)

ジャズ・ロック、時々純ジャズ

ジョン・スコフィールド(John Scofield、以降「ジョンスコ」と略)の1970年代〜80年代のリーダー作の落ち穂拾い。1970年代後半から1980年代初頭にかけては、エンヤ・レコードとアリスタ・レコードの2つのレーベルを股にかけて、単独リーダー作をリリースしている。大雑把に言えば、エンヤは「メインストリーム志向」、アリスタは「ジャズ・ロック志向」のアルバム作りになっている。

John Scofield『Bar Talk』(写真左)。 1980年8月の録音。アリスタ・レコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、John Scofield (el-g), Steve Swallow (b), Adam Nussbaum (ds)。前作『Who's Who?』から、キーボード、パーカッション、管楽器も抜いて、とってもシンプルなギター・トリオな編成。

アリスタ・レコードからのリリースなので、ジャズ・ロック志向の演奏を踏襲しているが、シンプルなギター・トリオになった分、演奏の硬派度合いが増している。ただ、ジョンスコの紡ぎ出すフレーズは、シュッとしたデコボコ流麗、ちょっと捻れたフレーズで、1980年代半ば以降のジャズ・ファンクな雰囲気や、相当に捻れた良い意味での「変態捻れフレーズ」は全く無い。
 

John-scofieldbar-talk

 
まだまだ、フュージョン、若しくは、ジャズ・ロック志向のジョンスコではあるが、どこか硬派な「メインストリーム志向」の雰囲気、響きが見え隠れする。どうしてかなあ、とジックリ聴き耳を立ててみたら、スワローのベース・ラインが、意外と「尖っている」。ナスバウムのドラミングも、どちらかと言えば「コンテンポラリーな純ジャズ」な叩きっぷり。

このリズム隊の叩き出す雰囲気、フレーズが、ジャズ・ロック志向のジョンスコのエレギに「メインストリーム志向」の響きを醸し出させているのだ。なるほど、と思う。アリスタ・レコード配下でのリーダー作において、スワローのベース、ナスバウムのドラムを採用したこと自体がユニークといえばユニーク。ジョンスコのセルフ・プロデュースの度合いが高かったのかなあ。とにかく、アリスタに、スティーヴ・スワロー、そして、アダム・ナスバウムは似合わない(笑)。

演奏全体の雰囲気は、一応、アリスタ配下、ジャズ・ロック志向が基本ですが、ところどころ、本来はエンヤでやっている「メインストリーム志向」の雰囲気、響きが見え隠れするところがこのアルバムの聴きどころかと思う。そういう意味では、前作の『Who's Who?』が異色盤だったのかも。とにかく、この『Bar Talk』、ジョンスコにとって、ちょっとユニークな内容のリーダー作に仕上がっています。
 
 

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2023年6月 1日 (木曜日)

「ジャズ・ロック」なジョンスコ

ジョン・スコフィールド(John Scofield、以降「ジョンスコ」と略)の1970年代〜80年代のリーダー作の落ち穂拾い。初リーダー作の『John Scofield Live』(1977年11月録音, Enja)から『Flat Out』(1988年12月録音, Gramavision)まで、15枚のリーダー作の中で、6枚が当ブログで記事として扱っていない。これを順番に聞き直して、記事をアップしていこうと目論んでいる。

John Scofield『Who's Who?』(写真左)。1979年の作品。ちなみにパーソネルは、John Scofield (el-g), Kenny Kirkland (key), Anthony Jackson (b), Steve Jordan (ds), Sammy Figueroa (perc)。3曲目「The Beatles」と6曲目「How the West Was Won」のみ、Dave Liebman (sax) 加わり、Eddie Gomez(b), Billy Hart (ds) にベースとドラムが代わっている。

ジョンスコのリーダー作の4作目。エレギの、ちょっと変態的な捻れ具合、独特にデコボコ流麗に流れるフレーズ、ジョンスコのエレギの個性はこの盤に満載。ジョンスコのエレギの音色、フレーズ作りの個性は完全に確立されている。冒頭の「Looks Like Meringue」のエレギのフレーズを聴けば、直ぐに「ジョンスコや!」と判るくらいに、ハッキリした個性。
 

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この『Who's Who?』は、米国西海岸のアリスタ・レコードからのリリース。演奏全体の雰囲気は明らかにフュージョン・ジャズ寄り。と言っても、硬派なメインストリーム系のクロスオーバー・ジャズな雰囲気を色濃く残していて、フレーズがデコボコ流麗、捻れてはいるが、爽快感と疾走感が全面に押し出され、ジャズ・ファンクな味付けも見え隠れし始めて、メインストリーム志向のジャズロックといった雰囲気が意外と好感度大。

バックのリズム隊も良いサポートを醸し出していて、ベースのアンソニー・ジャクソンとドラムのスティーブ・ジョーダンのコンビネーションはとてもカッチリ整っていてきめ細やか、ジョンスコのブルージー&レイジーで豪胆なエレギのフレーズの弾き回しをがっちりサポートしている。タイトル曲の5曲目「Who's Who?」を聴けばそれが良く判る。

1980年代のジャズ・ファンクな音志向は、まだ始まったばっかりの、どちらかと言えば、シュッとしたデコボコ流麗、捻れたフレーズを弾きまくったフュージョン・ギターといった風情だが、メインストリーム志向の硬派な弾き回しは随所に聴くことが出来るところは、さすがジョンスコといったところ。まだ4作目のジョンスコのリーダー作。最終的な音の志向を目指して発展途上な音作りですが、これはこれで魅力的に響いていて良好。好盤です。
 
 

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