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2023年5月22日 (月曜日)

モブレー根明なモード・ジャズ

ハンク・モブレーのテナーも、その演奏志向のブレは無かった。もともと、こってこてのハードバップ。そして、モブレーのテナーの個性を活かしたモーダルなジャズへの変化。基本はモダン・ジャズの王道、ど真ん中を行くものだった。少なくとも、ポップなジャズ志向、ファンキー・ジャズやソウル・ジャズ、ジャズ・ロックに転身することは無かった。

Hank Mobley『A Caddy for Daddy』(写真左)。1965年12月18日の録音。ブルーノートの4230番。ちなみにパーソネルは、Hank Mobley (ts), Curtis Fuller (tb), Lee Morgan (tp), McCoy Tyner (p), Bob Cranshaw (b), Billy Higgins (ds)。

フロント3管は、ハードバップ初期から第一線で活躍してきた、ブルーノート・ファミリーなジャズマン3人、リーダーのモブレー、トランペットのモーガン、トロンボーンのフラー。バックのリズム・セクションは、新進気鋭のモード・ジャズが得意な若手トリオ。

冒頭のタイトル曲「A Caddy for Daddy」を聴くと、あれれ、と思う。リー・モーガンがやるようなジャズ・ロックな演奏。おお、遂にモブレーもポップなジャズ志向に舵を切ったか、と思うのだが、2曲目の「The Morning After」以降を聴くと、やっぱり、ポジティヴで根明なモード・ジャズで貫いている。

どうも冒頭のジャズ・ロックな「A Caddy for Daddy」は、ジュークボックスやラジオ用のシングル・カット対象の演奏だったのだろう。やっぱり、少しは売れないとブルーノートの屋台骨を支えられないからなあ。モブレーには似合わない様に感じるジャズ・ロックな演奏だが、意外と喜々と演奏しているモブレーが微笑ましい。やっぱり、モーガンとの相性が抜群なんだろうな。
 

Hank-mobleya-caddy-for-daddy

 
2曲目以降のポジティヴで根明なモード・ジャズは見事な演奏。というか、まず、曲が良い。モーダルなフレーズ展開を前提としたモブレーの書く曲がどれも良好。3曲目だけ、ウェイン・ショーター作の「Venus Di Mildew」なんだが、この盤の2曲目以降のモーダルな演奏についてはしっかりとした統一感があって、違和感が無い。逆に、1曲目のジャズ・ロックな演奏に違和感を感じる位だ。

プロデュースは、この盤ではまだ、ブルーノートの総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオンが担当しているので、モダン・ジャズとして、硬派な内容はしっかりと維持されている。

モブレー&モーガンはバリバリとモーダルなフレーズを連発し迫力満点。意外だったのは、カーティス・フラーがモーダルなジャズに適応していること。フラーがモーダルなフレーズを吹きまくるなんて思いもしなかった。この盤ではトロンボーンの特性を活かした、音の拡がりと浮遊感を宿したモーダルなフレーズを連発している。

しかし、このジャケットはなあ。来たるべき、サイケデリックで、ラヴ&ピースな雰囲気濃厚のジャケ。タイポグラフィーは辛うじて往年のアーティスティック度を維持しているが、ここまでジャケット・デザインが俗っぽくなるとはなあ。

ジャケはとほほ、だが内容は充実。ブルーノート・レーベルにとって、モダン・ジャズにとって、苦しい時代に突入した時代の、それでいて、アーティスティックな「ブルーノート・ジャズ」としての矜持を維持した、傾聴に値する内容だと思う。
 
 

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