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2023年5月17日 (水曜日)

聴いて楽しいソウル・ジャズ盤

ブルーノートの4100番台をカタログ番号順に聴き直しているのだが、この4100番台は演奏されるジャズについて、バリエーションが豊か。1962年から1965年までにリリースされたアルバム群なんだが、成熟したハードバップを起点にした「ジャズ多様化」の時代の傾向をもろに反映しているカタログには感心することしきり、である。しっかりと当時のジャズ演奏のトレンドを把握していて、それに見合った内容のアルバムをリリースする。さすがはブルーノート・レーベルである。

Stanley Turrentine『A Chip Off The Old Block』(写真左)。1963年10月14 & 21日の録音。ブルーノートの4150番。ちなみにパーソネルは、Stanley Turrentine (ts), Blue Mitchell (tp), Tom McIntosh (tb, tracks 6 & 7), Charles Davis (bs, tracks 6 & 7), Shirley Scott (org), Earl May (b), Al Harewood (ds, tracks 1–5), Ben Dixon (ds, tracks 6 & 7)。

タレンタインのテナー、ミッチェルのトランペット、シャーリー・スコットのオルガン、アール・メイのベースは2セッション共通。1963年10月14日の録音(tracks 6 & 7)では、トロンボーンとバリトン・サックスが追加されてフロント4管、ドラムがベン・ディクソンが担当したセプテット編成。1963年10月21日の録音(tracks 1-5)では、タレンタインのテナー、ミッチェルのフロント2管のまま、ドラムだけがアル・ヘアウッドが担当したクインテット編成。
 

Stanley-turrentine-a-chip-off-the-old-bl

 
タレンタインは、ジャズ多様化の時代に「ポップスとしてのジャズ」を選択した様で、この盤では、ポップでライトなソウル・ジャズを気持ちよさそうに吹きまくっている。ライトでファンキーなスコットのオルガンも、そんな雰囲気にピッタリで、トランペットのミッチェルもそれの合わせて、ライトでファンキーな明るいトランペットで応じている。いわゆる「ライトで聴いて楽しいソウル・ジャズ」といった内容なのだ。

特に、タレンタインのテナー・サックスは、もともとは「こってこてのファンクネス滴る、思い切りジャジーで漆黒なテナー」だった。どこかオールド・スタイル風の「ディープなブルージーさ」も醸し出しながら、ブブブブ〜ッと重厚な漆黒テナーでブイブイ言わせていたんだが、この盤では「ライトでスッキリとした、ファンクネス香るソウルフルなテナー」に変化してきている。しかし、これが実に良い雰囲気なのだ。いわゆる「聴き手の立場に立った」聴いて楽しいソウル・ジャズで統一されている。

ファンキー・ジャズをポップにして、アーバンで明るいアレンジが施され、聴いて楽しいソウル・ジャズ。特にブルース・ナンバーとバラード・ナンバーの出来が良く、リーダーのタレンタインのテナーを筆頭に、参加メンバー、皆、好調でとても良いパフォーマンスを発揮している。タレンタインのポップな一面をクローズ・アップした、気楽に楽しめる好盤です。
 
 

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