マクパーランドのピアノの個性
マリアン・マクパートランドは女性ジャズ・ピアニストのパイオニア。スイング期からビ・バップ期を始めとして今日まで、ジャズの歴史のほとんどをリアルタイムで活躍した本格派のジャズ・ピアニスト。また、ジャズ版 「徹子の部屋」みたいな感じのラジオ番組「The Mariian McPartlland Piiano Jazz radiio shows」の司会としても有名。
Marian McPartland & George Shearing『Great Britain's』(写真)。1曲目から4曲目まで1952年4月21日、5曲目から7曲目まで1952年12月22日の録音で、Marian McPartland (p) 。8, 11, 12, 14曲目が1947年12月23日、9, 10, 13, 15曲目が1947年2月3日の録音で、 George Shearing (p)。全てトリオの演奏。
まとめると、前半7曲がマクパーランドがピアノを担当、後半8曲がシアリングが担当している。タイトルが「偉大なる英国」。録音は全てNY。かなりやっつけのアルバム編集である(笑)。
しかし、この「やっつけ盤」を聴くと、マリアン・マクパーランドのピアノの個性が実に良く判る内容となっているから面白い。前半7曲がマクパーランドのピアノなんだが、弾きっぷりは見事なバップ・ピアノ。そこはかとなくロマンティシズム漂う耽美的な響きが特徴的。
バド・パウエルの様に、硬質なタッチでバリバリとダイナミックに弾きまくるのでは無く、端正なタッチでテクニックよろしく耽美的に弾きまくるのが、マクーパートランドのピアノ。そんな彼女独特の個性が良く判る。
「オスカー・ピーターソンの女性版」と評されたこともあるマクパーランドのピアノであるが、このアルバムの弾きっぷりを聴いていると、思わず、なるほどなあ、と思う。とにかく上手い。速いフレーズも難なく弾きこなす。スイング感が半端ない。筋金入りの「バップ・ピアノ」である。
後半の8曲はジョージ・シアリングのピアノであるが、こちらは1947年の録音で、シアリングが「バップ・ピアノ」を弾いているのだが、米国のビ・バップを真似するのでは無く、アート・テイタムの弾きっぷりをベースに、欧州的な、ちょっとクラシック的な弾き回しを反映した、重厚な弾き回しになっている。
マクパーランドと比較すると、切れ味とスピード感はマクパーランドだが、ジャジーでブルージーなフレーズはシアリングに色濃い。マクパーランドの独特の個性は「ロマンティシズム漂う耽美的な響き」がそこはかとなく潜んでいるところ。逆に、シアリングは圧倒的にジャジーでブルージー。
タイトルの『Great Britain's』は、マクパーランドもシアリングも英国出身なので、このタイトルがついたのだろう。どういう意図でこういう企画盤に仕上げたのか、良く判らないアルバムだが、マクパーランドのピアノの個性がとても良く判る作りになっているのが、この盤の一番の価値だと僕は思う。
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