ショーターのリーダー作第2弾 『Second Genesis』
ウェイン・ショーターが逝去した。89歳。僕がジャズを本格的に聴き始めてから45年。45年前、ショーターはウェザー・リポートにいた。それから、ハービー、ロン、トニー、そして、フレディと「V.S.O.P.」なる、メインストリーム志向の純ジャズ・バンドを結成。純ジャズ復古の機運に拍車をかけた。それから、ずっとショーターのリーダー作は、リアルタイムで聴いてきた。
ジャズ史上、最高のテナーマンの1人だった。特に、モーダルなフレーズを吹かせたら、向かうとこ敵無し。ストレートアヘッドな純ジャズで炸裂する、個性的で素敵に捻れた「不思議ちゃんな」モーダル・フレーズが大好きだった。ジャズを聴き始めた頃から聴き親しんできたジャズマンが逝くのは辛いですね。
Wayne Shorter『Second Genesis』(写真左)。1960年10月11日の録音。ちなみにパーソネルは、Wayne Shorter (ts), Cedar Walton (p), Bob Cranshaw (b), Art Blakey (ds)。ウェイン・ショーターのテナー・サックスが1管フロント、ワンホーン・カルテットの編成。テナーマンの個性と特徴が良く判る編成である。録音当時は「お蔵入り」。1974年に入って突如リリースされた「曰く付きの盤」である。
初リーダー作が個性全開、「不思議ちゃん」なモーダルなフレーズ炸裂だったが、このリーダー作第2弾は、ショーター本人がしっかりと落ち着いてテナーを吹き上げていて、ショーターのテナーの良さをじっくり愛でることの出来る好盤に仕上がっている。
この盤では、「不思議ちゃん」なモーダルなフレーズ控えめ、ストレートアヘッドでハードバップなテナーを吹きまくっていて、思わず「ショーター凄え」と呟いてしまう好演の数々である。
冒頭「Ruby and the Pearl」を聴けばそれが良く判る。愛らしい流麗なフレーズが特徴の好スタンダード曲なんだが、「ああ、これはブレイキー親分のドラムか」と直ぐ判るドラミングの後、滑らかにスッと入ってくるショーターのテナーの力感溢れるフレーズが優しく、説得力を持って迫ってくる。これが絶品。ストレートアヘッドでハードバップなショーターのテナーに「殺やらる」。
ショーターはコンポーザーとしての才も素晴らしいものがある。この盤の全8曲中、5曲がショーター作なんだが、これが絶品。ほんと、ショーターって良い曲を書く。6曲目の「The Albatross」なんて、ラストの名スタンダード・バラードの「"I Didn't Know What Time It Was」と比べても引けを取らない素晴らしいバラード。他の4曲も印象的な良曲ばかり。
この盤を聴いていると、ブレイキーもマイルスも、ショーターが自分のバンドに来て欲しい、と思ったのも頷ける。テナー・サックスの吹きっぷりとコンポーザーとしての才。どちらも「革新的でクール」。マイルスが誘いに誘ったのも良く判る。そんなショーターの個性と特徴が本当に良く判る好盤である。当時、お蔵入りになったのが不思議である。
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