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2023年1月17日 (火曜日)

ジャズ・フルートのレジェンド

ヒューバート・ロウズのジャズ・フルートを聴いていて、他のジャズ・フルート奏者について、気になるようになった。もともと、ジャズ・フルート奏者は数が少ない。

サックス奏者のサブ楽器としてのフルートはまずまず思い当たるのだが、ジャズ・フルートがメインのジャズマンといえば、本当に数が少ない。今までの記憶の中で、思い当たったのが、ロウズに加えて、ブランク・ウエス、ハービー・マン。これ位やなあ〜。

そこで、フランク・ウエス(Frank Wess)である。1922年1月4日生まれ。米国カンサスシティーの出身。2013年10月、91歳で鬼籍に入っている。もともとは、カウント・ベイシー楽団のメンバーである。ジャズでは稀少なフルート奏者であり、1959年から1964年まで、ダウンビート誌の評論家投票で一位を獲得している。いわゆる「ジャズ・フルートのバーチュオーゾ」である。

The Frank Wess Quartet『Moodsville Volume 8: But Beautiful』(写真左)。1960年5月9日、 Van Gelder Studioでの録音。ちなみにパーソネルは、Frank Wess (fl, ts), Tommy Flanagan (p), Eddie Jones (b), Bobby Donaldson (ds)。ベースのエディー・ジョーンズとドラムのボビー・ドナルドソンは「カウント・ベイシー楽団」つながり。ウエス=ジョーンズ=ドナルドソンの「カウント・ベイシー」とながりに、何故かピアノはフラナガン。
 

The-frank-wess-quartetmoodsville-volume-

 
「Moodsville」は、Prestige傘下の傍系レーベルで、スタンダード曲のバラード演奏中心で雰囲気が良いアルバムを制作していて、このThe Frank Wess Quartet盤も、小粋でムーディーな名演がてんこ盛り。

このこのThe Frank Wess Quartet盤は、スローからミディアムテンポの心地よいスタンダード集(1曲だけウエスの自作曲があるが)。リーダーのウェスは、曲によりフルートとテナー・サックスを使い分けていて、特にフルートが熱演につぐ熱演。当時、ジャズ・フルートの第一人者だったことが良く判る。フルートの音は、音が丸くて線が細い印象があるのだが、ウエスのフルートは意外と力強く音が太め。テクニックは優秀で吹き回しは流麗。

そして、この盤、バックのリズム・セクションが良い。特に、ピアノのフラナガンが絶品。端正で歯切れの良いバップなピアノで格調高く、センス良く、ウエスのフルートをサポートする。特にスローバラードの伴奏は絶品で「But Beautiful」のイントロ、アドリブ・ソロは典雅で見事。バックに回って、バッキングの上手さを最大限発揮する「名盤請負人」の面目躍如である。

ジャズ盤紹介本やジャズ雑誌のジャズ盤紹介記事に、まず、タイトルが上がることが無い盤ですが、これがまあ、なんと「小粋な隠れ名盤」。Van Gelder Studioでの録音で音も良い。実に聴き応えのあるハードバップ盤です。
 
 

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コメント

おじゃまします。
フランクフェスの名盤って、なかなか挙げづらいですよね。
私も彼のテナーも音はまあまあ好きだけれど地味な印象で、フルートも
達者でいいな、と思います。専任の奏者並みに、ちゃんと息も入っています。
サックスと持ち替えの奏者の中には、スカスカな音の人も多いです。

私の好きな盤はフルート一本で参加しているものだと、ハープ奏者の
ドロシー・アシュビーとやっているIN A Miner Grooveや、ヴィヴラフォン奏者
Lem WinchesterのAnother Opusあたりです。
いずれも快活でフレッシュな演奏で、実に楽しそうです。
ジャズではマイナーな楽器との相性が良いというのが面白いです。

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