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2023年1月の記事

2023年1月27日 (金曜日)

MJQの「この盤は外せない」

ジャズ界の伝説のカルテットのひとつ「モダン・ジャズ・カルテット(MJQ)」のアルバムの落ち穂拾いを進めているのだが、意外と「え〜っ、こんな盤がまだこのブログで語ってないのか」なんて、変に感心する盤もあったりして、なかなか面白い。MJQのアルバムについては、当ブログの初期の頃に定期的に語っていたのだが、このところ、MJQを扱うことは全く無かったからなあ。

『The Modern Jazz Quartet』(写真左)。1957年4月5日の録音。ちなみにパーソネルは、Milt Jackson (vib), John Lewis (p), Percy Heath (b), Connie Kay (ds)。鉄壁のカルテット。ドラムも、ケニー・クラークから、コニー・ケイに代わっている。クインテット名がズバリ、タイトルになっているので、デビュー盤と勘違いしそうだが、10枚目のオリジナル盤になる。どうして、こういうタイトルになったかは、ちょっと判らない。

この『The Modern Jazz Quartet』は『Fontessa』(1956年1ー2月録音)や『The Modern Jazz Quartet Plays No Sun in Venice(たそがれのベニス)』(1957年4月録音)と、バロック志向、クラシックの演奏手法をベースにした「企画型」のアルバムに続くオリジナル盤なのだが、その内容は、前の企画型の2枚とは明らかに異なる。ストレート・アヘッドな、純ジャズなMJQの演奏が堪能出来る。
 

The-modern-jazz-quartet-1957

 
3曲目の「La Ronde: Drums」が、ジョン・ルイス作である以外は、ジャズ・スタンダード曲で占められている。冒頭はメドレーで「 They Say It's Wonderful 〜 How Deep Is the Ocean 〜 I Don't Stand a Ghost of a Chance With You 〜 My Old Flame 〜 Body and Soul」。有名スタンダード曲が5曲連続するメドレーだが、そのアレンジが見事。MJQの音楽監督、ジョン・ルイスの面目躍如である。

そんなジャズ・スタンダード曲がズラリと並ぶ魅力盤だが、特に「Night In Tunisia」と「Bags' Groove」のミルト・ジャクソンのヴァイブによるアドリブ・ソロが見事。ファンクネスを豊かに湛え、鼻歌を唄うような滑らかさで、流れる様に華やかにヴァイブのソロ・パフォーマンスが弾き進む。他のスタンダード曲においても、ミルトのヴァイブも素晴らしいが、特に「Night In Tunisia」と「Bags' Groove」は聴きものである。

MJQのアルバムを見渡すと、ジャズ・スタンダード曲のチョイスがあまり多く無いことに気付く。それだけ、オリジナル曲の内容が優れているということなんだが、やはり、ジャズのコンボである以上、スタンダード曲に対する取組みと成果も確かめてみたい。そんな欲求にしっかり応えてくれる『The Modern Jazz Quartet (1957)』である。
 
 

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2023年1月26日 (木曜日)

MJQの発祥が確認出来る盤

モダン・ジャズ・カルテット(MJQ)は、僕の大好きなジャズ・ユニット。ジャズを本格的に聴き始めた時、最初に手に取ったジャズ盤が、MJQの『Django』。アーティステックで品の良い、クラシックに比肩するほどの高度な音楽性。室内楽的で緻密精巧なアレンジと、ジャズ特有のインプロビゼーションの融合。クールでアーティスティックなジャズの最高峰。

『Modern Jazz Quartet, Milt Jackson Quintet』(写真左)。1952年12月22日と1954年6月16日の録音。Prestigeの7059番。ちなみにパーソネルは、1952年12月22日録音分:Milt Jackson (vib), John Lewis (p), Percy Heath (b), Kenny Clarke (ds)。1954年6月16日録音分:1952年のピアノが、Horace Silver (p) に代わり、Henry Boozier (tp)が加わる。

1曲目から4曲目、1952年の録音が「モダン・ジャズ・カルテット」発祥の記録。ドラムはまだ、コニー・ケイでは無い。オリジナル・メンバーのケニー・クラークが担当している。ベースはオリジナル・メンバーのパーシー・ヒースが既に担当している。当然、フロントを担う2人、ピアノのジョン・ルイスとヴァイブのミルト・ジャクソンも揃い踏み。
 

Modern-jazz-quartet-milt-jackson-quintet

 
1954年の録音は、ピアノがホレス・シルヴァーで、基本はミルト・ジャクソンがリーダーのクインテット。同じ「MJQ」だが、クインテット編成だし、こってこてファンキーな演奏で固められている「モダン・ジャズ・カルテット」とは全く関連が無く、音の志向も異なる。「MJQ」つながりでカップリングしただけみたいで、やっつけレーベル、プレスティッジの成せる技。駄洒落が過ぎる。

ここでは、1952年の録音に絞って語りたいのだが、この1952年の時点で、MJQの音の個性は見事に完成されている。ミルト・ジャクソンのファンキーで流麗なヴァイヴ。クールで間を活かしたシンプルなルイスのピアノ。この二人の対比と融合。ミルトの自由なアドリブとルイスのアレンジの規律。そんなMJQの音の個性がこの4曲にしっかりと表現されている。

2曲目の「La Ronde」は、ジョン・ルイスの趣味がだだ漏れのバロックの様式美を取り入れた秀曲だが、端正にコントロールされたルイスのピアノのバッキングに乗って、流麗にドライブのかかった、ファンキーなミルトのヴァイブが素晴らしい。この音世界が「MJQ」の個性だろう。この1曲だけを聴いても、この1952年の録音に、既に「MJQ」は成立していることを実感する。
 
 

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2023年1月25日 (水曜日)

フルート主役のジャズ・ファンク

ジャズ・ファンクにジャズ・フルートをマッチさせた、ジャズ・フルートのレジェンドの一人「Hubert Laws(ヒューバート・ロウズ)」。その最初のアルバムと思われる『Romeo & Juliet』以降、フュージョン・ジャズ全盛期、1970年代後半から1980年代円半、ロウズは「ソフト&メロウなジャズ・ファンク」志向をメインとする。

Hubert Laws『Family』(写真)。1980年の作品。ちなみにパーソネルは、Hubert Laws (fl, piccolo), Nathan East (b), Leon Ndugu Chancler (ds), Chick Corea, Bobby Lyle (key), Earl Klugh (g), David T. Walker (g) Debra Laws (vo) 等、そこにストリングスがバックに入る。ロウズの「ソフト&メロウなジャズ・ファンク」の代表盤。

内容的には、ライトでアーバンな雰囲気の「ソフト&メロウなジャズ・ファンク」。演奏全体に漂うファンクネスとグルーヴ感が半端ない。とにかく聴いていて自然と足が動き、腰が動く(笑)。そんなグルーヴィーなフュージョン・ジャズ満載で、これまでカヴァーからサンプリング・ネタに至るまで幅広い世代に支持され、特に、フリーソウル、ヒップ・ホップ方面から再評価の高い1枚である。

冒頭はクラシック曲のカヴァー「Ravel's Bolero」から始まるので「あれ〜っ」と思うのですが、この「ラベルのボレロ」も意外とファンキーでライトなグルーヴ感が漂う「ジャズ・ファンク仕様」。クラシックにも精通するロウズならではの選曲であり演奏であるかも、と意外と納得して次の曲にいく。
 

Hubert-lawsfamily

 
次曲「What a Night」から「ソフト&メロウなジャズ・ファンク」に突入。この曲はサンプリング・ソースとしても人気のソフト&メロウなフュージョン・ジャズ。ミディアム・テンポの曲調にロウズのフルートが心地良く吹き進む。続いて「Wildfire」は、ファンキーなブラジリアン・フュージョン。疾走感が半端ない。ネイザン・イーストのベース・ラインが決まっている。

そして、極めつけは、やはり、タイトル曲の「Family」。ロウズの妹、デボラ・ロウズの魅力的なヴォーカルをフューチャーした、アーバンな雰囲気溢れる、ソフト&メロウなディスコ・フュージョン。フリーソウル・クラシックとしても人気の楽曲で、カヴァーやサンプリング・ソースの扱い多数。

あと「Memory of Minnie (Riperton) 」は、ゲスト参加のチック・コリアのピアノ・ソロが秀逸。そして、ラストの「Say You're Mine」は、バラードと思わせておいて、一気にファンキー・モードへ突入する、こってこての「ジャズ・ファンク曲」。

この盤、ジャケットが赤ん坊の写真をあしらったものなので、家庭で流せる優しいイージーリスニング・ジャズな盤なのか、という印象を持つんですが、とんでもない(笑)。中身は、アーバンで、むっちゃファンキーでグルーヴ感溢れる「ソフト&メロウなジャズ・ファンク」が満載。ジャケットに惑わされずに、フルートがメインのジャズ・ファンクを堪能して下さい。
 
 

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2023年1月24日 (火曜日)

ミナス・ミュージックは欧州的

ジャズライフ誌主催の「Disc Grand Prix 年間グランプリ」の2022年度版が掲載されている。もう1年経ったのか、と嘆きながら、記事の中のディスクをチェックする。主だったものは、既に当ブログで取りあげているが、中には「あれ、これは何」と言った「見落とし盤」も幾枚かある。そんな「見落とし盤」を落ち穂拾いしながら聴き進めるのも、意外と「乙なもの」である。

そんな「見落とし盤」をチェックしていると、Rafael Martini(ハファエル・マルチニ)」の名前が目に入った。マルチニって、確かブラジル出身のピアニスト/作編曲家だった記憶があるのだが、2022年度に新盤をリリースしているのは知らなかった。もしかしたら、ブラジル音楽(リオ・ミュージックや、ボサノヴァ&サンバ)をベースとしたコンテンポラリーなフュージョン・ジャズと思い込んで、スルーしたのかもしれない。

Rafael Martini『Martelo』(写真左)。2022年8月のリリース。ちなみにパーソネルは、Rafael Martini (p, synth), Joana Queiroz (cl, clarone), Luka Milanovic (vln), Felipe José (cello), Pedro Durães (electronics), Antonio Loureiro (ds)。アコースティック/エレクトリック混成のセクステット編成。ペドロ・ドゥランエスが、エレクトロニクスで参加しているのが目を引く。

ハファエル・マルチニはブラジル・ミナスジェライス州都ベロオリゾンチ出身のピアニスト/作編曲家。ミナスの新しい世代を代表するミュージシャンであり、現代ミナス音楽シーンの中心的な存在。
 

Rafael-martinimartelo

 
ブラジル出身の音楽と言えば「アフロ色の強い」リオ・ミュージックや、ボサノヴァ&サンバを想起するが、ミナス・ミュージックは「欧州的」。クラシックや教会音楽などの影響が感じられ、洗練されたイメージ。聴いて想起するのは「ミルトン・ナシメント」であり、僕は「エグベルト・ジスモンチ」もイメージする。

確かに、このマルチニの新盤を聴くと、リオやボサノヴァ&サンバの微塵も無い。アコースティックとエレクトロニカが共存する、欧州的なニュー・ジャズ&静的なスピリチュアル・ジャズのイメージ。初めて聴いた時は「ECM」かと思った(笑)。

硬質でリリカルで自由度の高いニュー・ジャズな音と混沌とした現代音楽風のフリーナ音とが行き来する、それでいて、その構成は綿密にアレンジされ、制御されている。「ECM」風ではありながら、「ECM」ほどに耽美的ではない。どちらかと言えば「アーバン」な響きが音の全体を支配している様に感じる。

アコースティックとエレクトロニカが共存する現代のニュー・ジャズな音世界。これが欧州発では無く、ブラジルの「ミナス新世代」から発信されているとは驚きである。ジャズのグローバル化をひしひしと感じる。どこか1970年代のプログレッシヴ・ロックを想起させる展開もあり、これ、僕は「プログレッシヴ・ジャズ」と呼びたいくらいに感じ入った。

ジャズの裾野は広い。グローバル化は意外と急速に進んでいる。もはや欧州(北欧と英独仏)と米国と我が国を押さえておけばジャズはOK、という時代では無くなって、東欧やイスラエル、ブラジルにもしっかり注意を払わなければならない時代になった、ということなんだろう。
 
 

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2023年1月23日 (月曜日)

ラージのブルーノート盤・第2弾

数々の有望新人を発掘してきた、ヴァイブのゲイリー・バートンが新たに発掘した天才ギタリスト。パット・メセニーの様な「ネイチャーな響き」もあり、ジョンスコに「くすんで捻れる」ところもあり、それでも、他にありそうでない、ワン・アンド・オンリーな個性が見事である。そのギタリストとは「Julian Lage(ジュリアン・ラージ)」。

官能的な「くすんだ音色」と「前のめりでアグレッシブなフレーズ」は、ジュリアン・ラージのギターの独特な個性。テクニックはもちろん卓越したものだが、その「超絶技巧」を売りにした様な、派手派手しい弾き回しは無い。逆に、ラージの超絶技巧な弾き回しはとてもクールで流麗。うっかりすれば、ラージのテクニックのレベルの高さに気がつかないくらいである。

あくまで、ネオ・ハードバップな、モーダルなフレーズを聴かせる中で、そこはかとなく「ハイ・テクニック」が見え隠れする程度の奥ゆかしいもの。この「奥ゆかさ」が実に好ましい。この「奥ゆかしい」クールで流麗な弾き回しが、実は凄みがあって、聴き応えがある。

Julian Lage『View With A Room』(写真左)。2022年9月のリリース。ちなみにパーソネルは、Julian Lage (g), Jorge Roeder (b), Dave King (ds) と前作同様のトリオ編成。そして、この盤では、このトリオに、米国ルーツ音楽に根ざした「捻れギター」のレジェンド、Bill Frisell (g) がゲスト参加している。ギターのメインは、当然、リーダーのラージ。"レジェンド" フリゼールは伴奏に徹している。
 

Julian-lageview-with-a-room

 
このラージとフリゼールのギター2本の絡みがこの盤の聴きどころ。ラージとフリゼールは音色が似通っているので、音が重なると訳が判らなくなるのだが、この二人はそんなリスクを容易く回避していく。フリゼールの伴奏フレーズはレイジと決してぶつからない。ラージの音の間を埋めて、ラージと重なる時は、印象的なハーモニーで重なる。そうすることで、ラージの個性である「くすんだ音色」を際立たせている。

ラージのもう1つの個性である「前のめりでアグレッシブなフレーズ」については、フリゼールが少しずらして応答し、ラージのフレーズを前面に押し出す。そして、ホルヘ・ローダーのベースとデイヴ・キングのドラムが、クイックに効果的に、緩急自在に硬軟自在に反応する。

このラージのリズム隊に対する「呼びかけ」に対するリズム隊の応答のリズム&ビートが、このラージの「前のめりでアグレッシブなフレーズ」に効果的に響いていて、盤全体に心地良いグルーヴを醸し出している。

ラージのフレージングはアイデア満載で、今までに聴いたことの無いフレーズがどんどん飛び出してきて、聴いていてとても面白い。この盤でも、前作同様、フリゼールと合わせて、ジャズをはじめ、ロック、ブルース、カントリーなど、米国ルーツ・ミュージックの音要素を引用されていて(これが僕には堪らない)、ラージ独特の音世界が展開されている。この盤で、ジュリアン・ラージは確実に、僕のお気に入りギタリストになった感じがする。次作がもう楽しみになっている。
 
 

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2023年1月22日 (日曜日)

ジャズ喫茶で流したい・257

最近、ジャズ・フルートのアルバムを聴き直している。フルートって楽器、基本的にはジャズに向かないと、ずっと思ってきた。それでも、ジャズ者初心者の頃、『Opus de Jazz』のフルートを聴いて「フルートの音ってファンキーやな〜」と感じ入ったりして、フルートって、吹き手によってはジャズに向くのかな、と思って以来、幾年月。しばらく、ジャズ・フルートに拘ること無く、ジャズ盤を聴いてきた。

ボブ・ジェームスの初期のリーダー作を聴き直していて、ヒューバート・ロウズのフルートって「やっぱ、ええなあ」と感じ良った。サックスのサブ楽器としてのフルートって、ジャズではよくあるが、さすが、サブ楽器だけあって、本格的なフロント楽器とは言い難い。では、ジャズ・フルートをメインにしている、フロント楽器として成立するジャズマンって、どれくらいいたのかなあ、と思って調べ始めて、ジャズ・フルートの好盤を聴き直す様になった。

Frank Wess『Opus in Swing』(写真左)。 1956年6月20日の録音。ちなみにパーソネルは、Frank Wess (fl), Kenny Burrell, Freddie Green (g), Eddie Jones (b), Kenny Clarke (ds)。ジャケ・デザインを見たら直ぐに判る、サヴォイ・レーベルからのリリースである。1956年の録音であるが、アルバム全体の雰囲気は、ちょっとレトロな「スイング・ジャズ」。
 

Frank-wessopus-in-swing

 
しかし、このレトロな「スイング・ジャズ」がとても良い雰囲気。スイングするリズム隊に乗って、フランク・ウエスのフルートが唄う様に吹き進む。芯の入った、ストレートに力強く伸びたフルートのフレーズ。ウエスのフルートは、しっかりとフロント楽器として成立している。そして、ウエスのフルートは、どこか黒くてファンキー。ウエスのフルートにその黒いファンクネスが、そこはかとなく小粋に忍んでいるのが実に洒脱で、実にジャジー。

ソロ・ギターに、駆け出し新人自体のケニー・バレル、リズム・ギターに名手フレディー・グリーン。この二人のギターが抜群に聴いている。バレルのソロ・ギターはブルージーでファンキー、グリーンのリズム・ギターは小粋に躍動的でファンキー。この二人のギターが演奏全体のファンクネスな雰囲気を醸し出している。二人の小粋にファンキーなギターと、そこはかとなくファンキーなウエスのフルート。とっても「ジャズ」な演奏が小気味良い。

バリバリのハードバップでは無い、軽やかで耳に優しい「スイング・ジャズ」。しかし、ハードバップ・マナーなアレンジが、この「スイング・ジャズ」な演奏に古さを感じさせない。とても洒脱でモダンなジャズな演奏が、この盤に詰まっている。そして、この盤は、ジャズ・フルートが、やはり吹き手によって、フロント楽器として十分成立することを我々に教えてくれる。
 
 

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2023年1月21日 (土曜日)

ジャズ・ファンクに「フルート」

ジャズ・フルートについては、フルートという楽器が、元来、音が丸くて、線が細い印象があって、ジャズのフロント楽器としてはちょっと弱くて、ジャズでのフルートの活用は、当初は、クラシックのジャズ化やライトなラテン・ジャズなど、イージーリスニング・ジャズ志向がほとんどだった。

Hubert Laws『Romeo & Juliet』(写真左)。1976年の作品。Columbiaレーベルからのリリース。プロデュース&アレンジはボブ・ジェームスが担当している。当時、CTIレーベルの専属アレンジャーだったボブ・ジェームス。よくまあ、Columbiaレコードのこの盤の制作に協力できたもんだ、と感心する。恐らく、この後、ボブ・ジェームスはCBSに移籍するので、CTIとCBSの契約の端境期だったのかもしれない。

ちなみにパーソネルは、主だったジャズマンとして、Hubert Laws (fl), Bob James (key, Fender Rhodes), Mark Gray (key), Eric Gale, Richie Resnicoff, Barry Finnerty, Steve Khan (g), Gary King (b), Andy Newmark, Steve Gadd (ds), Ralph MacDonald (perc), Alan Rubin, Randy Brecker, Jon Faddis, Marvin Stamm, Bernie Glow (tp, flh), Allen Ralph, David Taylor, Wayne Andre (tb)。ここに豪華なストリングスとボーカル・グループが加わる。

いきなり冒頭ストリングスが大々的に入ってくるので、この盤って、ウィズ・ストリングス系のイージーリスニング・ジャズなのか、と思わず身構える。しかし、ボブ・ジェームスがプロデュースを担当している。それも、1970年半ば、ボブ・ジェームスは、フュージョン・ジャズの仕掛け人として、日の出の勢いの時期。で、程なくストリングスが去って、極上のファンク・グルーヴを伴ったタイトなリズム隊が出てきて、力強いロウズのグルーヴィーなフルートが絡んでくる。
 

Hubert-lawsromeo-juliet

 
それまで、クラシックのジャズ化、ファンキーなクロスオーバー・ジャズ、時々、ライトなラテン・ジャズで、どちらかと言えば、イージーリスニング・ジャズ志向の活躍をしてきたロウズが、ジャズ・ファンクにジャズ・フルートをマッチさせた優秀盤である。パーソネルも、ボブ・ジェームスのジャズ・ファンクなフュージョン・ジャズに欠かせない、ボブ・ジェームス御用達のリズム隊が集結している。

冒頭の「Undecided」は、ボブ・ジェームスのアレンジ志向が色濃い、CTIレーベルぽいジャズ・ファンク。メロウで渋いエレピ&ベース・フレーズに乗ったロウズのフルートが素敵な「Tryin To Get The Feeling」。「What Are We Gonna Do」「Guatemala Connection」のソフト&メロウなフュージョン・ファンクは魅力的。

バリー・マニロウ「歌の贈り物」(1975年11月リリースの大ヒット曲)や、クラシックのチャイコフスキーの「ロミオとジュリエット」をカヴァーしているが、ボブ・ジェームスの手によって、グルーヴィーなアレンジが施され、ファンキーでグルーヴィーなロウズのフルートが素晴らしいインプロビゼーションを披露している。アレンジとしては「ボブ・ジェームス色」濃厚。

この盤、ボブ・ジェームズのアレンジ&キーボードとヒューバート・ロウズのフルートの相性がとても良いことが良く判る。Columbiaレーベルからのリリースだが、音だけ聴くと、この盤は「CTIレーベル」からのリリースと勘違いするくらいだ。但し、このジャケのデザインはイマイチ。CTIレーベルとは似ても似つかない酷いもので、ジャケをみるだけでは、この盤には直ぐには触手は伸びないだろう(笑)。
 
 

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2023年1月20日 (金曜日)

セシル・テイラーの発掘音源

僕の中で一定周期があるのか、振り返ると3ヶ月に1回程度のスパンで「フリー・ジャズを聴きたい週間」が巡ってくる。フリー・ジャズも立派なジャズ演奏の一形態なので、ジャズ者であるならば、しっかり聴かねばなるまい、と思っている。「あんなのジャズじゃねーよ、ジャズは4ビートさ」という硬派なジャズ者の方々もいるし、「あんなの音楽じゃねえ」とバッサリ切り捨てるジャズ者初心者の方々もいる。

でもなあ、フリー・ジャズとは言っても、一定の決まり事を踏まえたもので(一定の決まり事が無いと音楽として成立しない)、無手勝流に、演奏者それぞれが好き好きに楽器を鳴らせば良い、という訳では無い。フリー・ジャズって、①音階(キー)から、②コードあるいはコード進行から、③ハーモニーから、④リズムから、の束縛から逃れたインプロのことで、この「束縛」から逃れておれば、調性音楽でも「フリー・ジャズ」として成立する。

Cecil Taylor『The Complete, Legendary, Live Return Concert』(写真左)。1973年11月4日、NYの「Town Hall」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、ちなみにパーソネルは、Cecil Taylor (p), Jimmy Lyons (as), Sirone (b), Andrew Cyrille (ds)。2022年のリリース。当時コロンビア大学の学生が、録音のために借りた機材を使用したプライベート録音が音源とのこと。

収録曲は3曲しか無い。①「Autumn/Parade」 (quartet) – 88:00 ②「Spring of Two Blue-J's Part 1」 (solo) – 16:15, ③「Spring of Two Blue-J's Part 2」 (quartet) – 21:58。
 

Cecil-taylorthe-complete-legendary-live-

 
しかし、1曲目の「Autumn/Parade」などは、演奏トータルで88分の長尺。カルテットの演奏だが、①音階(キー)から、②コードあるいはコード進行から、③ハーモニーから、④リズムから、の束縛から逃れたインプロを、約1時間半の間、マンネリの陥ること無く継続するのだ。この演奏を可能とする演奏者の体力とエネルギー、そして、演奏についてのイマージネーションについては驚くべきものがある。

収録されたフリー・ジャズな演奏、3曲とも「爽快」である。①音階(キー)から、②コードあるいはコード進行から、③ハーモニーから、④リズムから、の束縛から逃れた「調性」と「無調性」が入り乱れた演奏だが、ビートについてはポリリズムによる従来リズムからの解放が感じ取れるし、混沌とした無調なフレーズの連続だが、切れ味と疾走感が抜群で、停滞感やマンネリ感は皆無。カオスな演奏がどこか規律を持ったか如く、即興性溢れる、ひとつの音楽として収束している、そんな見事なフリー・ジャズなパフォーマンスを聴かせてくれる。

セシル・テイラーのフリー・ジャズって、以前からお気に入りで、例の「フリー・ジャズを聴きたい週間」でちょくちょく聴くのだが、この今回のライヴ盤は昨年のリリースで、久し振りのセシル・テイラーの新盤にちょっと興奮したのを覚えている。

フリー・ジャズって、確かに難解なので、ジャズ者初心者の方にはまずお勧めしない。でも、ジャズを聴き続けて行く中で、避けては通れないジャズ演奏の一形態ではある、と僕は思っている。なぜなら、フリー・ジャズは、モード・ジャズと並んで、ジャズの「即興演奏」を的確に表現するジャズ演奏の一形態だと思うからである。即興演奏の無いところにジャズは無い。
 
 

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2023年1月19日 (木曜日)

禅問答の様なピアノ・トリオ

ピーター・アースキン(Peter Erskine)と言えば、伝説のエレジャズ・バンド「Weather Report」の黄金期のドラマーなので、フュージョン・ジャズ畑のドラマーという先入観があるんだが、どうして、硬派なメインストリーム系の純ジャズで叩かせても、相当の腕前を持っていることが判る。

Peter Erskine featuring John Taylor and Palle Danielsson『Juni』(写真左)。1997年7月、オスロの「Rainbow Studio」での録音。ECMレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Peter Erskine (ds), John Taylor (p), Palle Danielsson (b)。ドラマーのピーター・アースキンがリーダーのピアノ・トリオ編成。

ピアノにジョン・テイラーが座る。ジョン・テイラーのピアノは昔から好きで、当ブログではあまり記事にしないが、ちょくちょくとその名を思い出しては聴いている「お気に入りのピアニスト」の一人である。そこにスウェーデン出身のベーシスト、パレ・ダニエルソンがいる。英国のピアニストと北欧のベーシスト、そして、アースキンは米国のドラマー。録音はECM。ということで、出てくる音は、ECM印の欧州ジャズ・トリオな音。
 

Peter-erskinefeaturing-john-taylorand-pa

 
水墨画を見る様なトリオ演奏である。「侘び寂び」を忍ばせつつ、硬質でクリスタルで深いエコーを伴って、幽玄な拡がりをもって、力強く漂う楽器の音。ビートをしっかり効かせた、限りなく自由度の高いモーダルな展開。禅問答の様な、集中してお互いの音に耳を傾けながら、打てば響く響いては打つ、一体感溢れる高度なインタープレイ。現代音楽に通じる前衛的なタッチでフリーの如く迫る即興演奏。

独特の響きを湛えたピアノ・トリオ演奏である。北欧ジャズ風ではあるが、北欧ジャズほど流麗でリリカルでは無い。ジョン・テイラーのタッチはどこかバップ、そして、前衛風。アースキンのドラムは柔軟度が高く、ポリリズミックなドラミングは変幻自在であり硬軟自在。ダニエルソンのベースは、しっかりと安定したビートを効かせて、バンド全体の自由度の高いインプロを破綻させることは無い。

「禅問答の様なトリオ」と形容されるこのピアノ・トリオ、その特徴と個性がこの盤に溢れている。現代ジャズにおける、ニュー・ジャズな響きを宿したピアノ・トリオとして「ピカイチ」の出来だろう。あまり話題に上らないピアノ・トリオだが、ECMで4枚のアルバムをリリースしていて、どれもが秀逸な出来。もっと注目されてもいいピアノ・トリオのパフォーマンスである。
 
 

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2023年1月18日 (水曜日)

エレ・バードの未発表ライヴ盤

ネットでジャケットを見た時は、最初はCDリイシューかと思った。ドナルド・バードの1973年のモントルー・フェスでのライヴ音源。ジャケットが、以前にブルーノートからリリースされた一連の「ライヴ:クッキン・ウィズ・ブルーノート・アット・モントルー」のシリーズと全く同じデザイン。これじゃあ、CDリイシューだと思いますわね(笑)。

ロニー・フォスター、マリーナ・ショウ、ボビー・ハッチャーソン等の優れた内容の「モントルー・ライヴ盤」があって、なんだドナルド・バードのライヴもあったんか、と思っていたが、薄らとした記憶を辿って、それは違うなあ、とネットでググってみたら、なんと「新たな発掘音源」だった。まだ、こんな優れた内容のライヴ音源が眠っていたのか。

Donald Byrd『Live: Cookin’ With Blue Note At Montreux』(写真左)。1973年7月5日、スイスで行われたモントルー・ジャズ・フェスティバルでのライヴ録音。

ちなみにパーソネルは、Donald Byrd (tp, flh, vo), Fonce Mizell (tp, vo), Allan Barnes (ts, fl), Nathan Davis (ts, ss), Kevin Toney (el-p), Larry Mizell (syn), Barney Perry (el-g), Henry Franklin (el-b), Keith Killgo (ds, vo), Ray Armando (congas, perc)。ライヴ録音されたマスター・テープはブルーノートの保管庫に眠っていたらしい。
 

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マイゼル・ブラザーズやネイサン・デイヴィスなど10人によるエレクトリックなバンド編成。あのバードのエレクトリック・ジャズの名盤『Black Byrd』の録音の翌年のモントルー・ジャズ・フェスでのライヴ音源。さすが、マイゼル・ブラザーズ擁するバードのエレ・バンド。エレクトリックな楽器が乱舞する、熱狂&強烈なジャズ・ファンクが展開されている。

エレ・ジャズ・ファンクの名曲「Black Byrd」は、スタジオ録音よりも熱気溢れる良い内容。未録音のバードのオリジナル曲「The East」「Kwame」「Poco-Mania」の収録は貴重だし、これまた良い内容。そして、最大の聴きものは、スティーヴィー・ワンダーの「You've Got It Bud Girl(悪い娘)」のカヴァー。これがまた素晴らしい出来。ジャズ・ファンクの名カヴァーである。

以前から我が国では人気はイマイチみたいだが、ドナルド・バードのエレ・ファンクは、マイルスのエレ・ファンクを判り易くポップにした様な内容で、ちょっと俗っぽく下世話なところがあるが、これはこれで十分に内容のあるエレ・ファンクだと思っている。

そのライヴ音源が、こうやって50年の時を経て耳にすることが出来た。ライヴ音源を聴いてみて、やっぱりバードのエレ・ファンクは良い、と再評価である。しかし、こんなライヴ音源を眠らせていたなんて。ブルーノート、もっともっと音源発掘に力を入れて欲しいなあ(笑)。
 
 

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2023年1月17日 (火曜日)

ジャズ・フルートのレジェンド

ヒューバート・ロウズのジャズ・フルートを聴いていて、他のジャズ・フルート奏者について、気になるようになった。もともと、ジャズ・フルート奏者は数が少ない。

サックス奏者のサブ楽器としてのフルートはまずまず思い当たるのだが、ジャズ・フルートがメインのジャズマンといえば、本当に数が少ない。今までの記憶の中で、思い当たったのが、ロウズに加えて、ブランク・ウエス、ハービー・マン。これ位やなあ〜。

そこで、フランク・ウエス(Frank Wess)である。1922年1月4日生まれ。米国カンサスシティーの出身。2013年10月、91歳で鬼籍に入っている。もともとは、カウント・ベイシー楽団のメンバーである。ジャズでは稀少なフルート奏者であり、1959年から1964年まで、ダウンビート誌の評論家投票で一位を獲得している。いわゆる「ジャズ・フルートのバーチュオーゾ」である。

The Frank Wess Quartet『Moodsville Volume 8: But Beautiful』(写真左)。1960年5月9日、 Van Gelder Studioでの録音。ちなみにパーソネルは、Frank Wess (fl, ts), Tommy Flanagan (p), Eddie Jones (b), Bobby Donaldson (ds)。ベースのエディー・ジョーンズとドラムのボビー・ドナルドソンは「カウント・ベイシー楽団」つながり。ウエス=ジョーンズ=ドナルドソンの「カウント・ベイシー」とながりに、何故かピアノはフラナガン。
 

The-frank-wess-quartetmoodsville-volume-

 
「Moodsville」は、Prestige傘下の傍系レーベルで、スタンダード曲のバラード演奏中心で雰囲気が良いアルバムを制作していて、このThe Frank Wess Quartet盤も、小粋でムーディーな名演がてんこ盛り。

このこのThe Frank Wess Quartet盤は、スローからミディアムテンポの心地よいスタンダード集(1曲だけウエスの自作曲があるが)。リーダーのウェスは、曲によりフルートとテナー・サックスを使い分けていて、特にフルートが熱演につぐ熱演。当時、ジャズ・フルートの第一人者だったことが良く判る。フルートの音は、音が丸くて線が細い印象があるのだが、ウエスのフルートは意外と力強く音が太め。テクニックは優秀で吹き回しは流麗。

そして、この盤、バックのリズム・セクションが良い。特に、ピアノのフラナガンが絶品。端正で歯切れの良いバップなピアノで格調高く、センス良く、ウエスのフルートをサポートする。特にスローバラードの伴奏は絶品で「But Beautiful」のイントロ、アドリブ・ソロは典雅で見事。バックに回って、バッキングの上手さを最大限発揮する「名盤請負人」の面目躍如である。

ジャズ盤紹介本やジャズ雑誌のジャズ盤紹介記事に、まず、タイトルが上がることが無い盤ですが、これがまあ、なんと「小粋な隠れ名盤」。Van Gelder Studioでの録音で音も良い。実に聴き応えのあるハードバップ盤です。
 
 

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2023年1月16日 (月曜日)

チックの尖ってカッ飛んだ傑作

チックのピアノは「硬質で切れ味の良いエッジの立ったスピード感溢れるタッチ」で、現代音楽風の、前衛的な響きを宿したピアノの弾き回しが特徴。そんな尖ったタッチで、尖ってばかりでは無い、流麗でメロディアスなフレーズを弾いたり、スパニッシュ・フレーバーなフレーズを弾いたり、ロマンティシズムな弾き回しが堪らない。

そんなチックが、若かりし頃、最高に尖って、フリー一歩手前のガンガン自由度高い弾き回しでブイブイ言わせていた時期がある。そんな時期、チック率いるリズム・セクションの「限りなく自由度の高いモーダルな演奏」の尖った2枚のリーダー作の2枚目がこの盤。

Chick Corea『A.R.C.』(写真)。1971年1月11ー13日の録音。ちなみにパーソネルは、Chick Corea (p, key), Dave Holland (b), Barry Altschul (ds)。もちろん、このチック率いるトリオは「Circle(サークル)」のリズム・セクションそのもの。

この盤は、まだ駆け出しのECMレーベルからのリリース。チックの尖った現代音楽風の限りなく自由度の高いモーダルな演奏」に着目した、ECMも総帥プロデューサー、マンフレート・アイヒャーの慧眼、恐るべしである。
 

Chick-corea-arc_1

 
チック率いるリズム・セクションの「限りなく自由度の高いモーダルな演奏」の前作『The Song of Singing』にも増して、尖りに尖った、ぶち切れて、カッ飛んだチックのピアノが凄まじい。ECMエコーの録音に、チックの現代音楽風の、前衛的な響きを宿した硬質で尖ったタッチが心地良く響く。ホランドのベースは締まった低音でチックを支え、アルトシュルのドラムは、ど天然で自由なポリリズムでチックを鼓舞する。

そして、前作『The Song of Singing』のラストに収録されていた、ショーター作のモーダルな名曲「Nefertiti」が、この盤にも演奏されていて、しかも先頭に収録されている。これが凄い。本当にギリギリでフリーの手前、限りなく自由度の高いモーダルな「Nefertiti」が疾走する。

このECM盤の「限りなく自由度の高いモーダルな演奏」には、流麗でメロディアスなフレーズ、スパニッシュ・フレーバーなフレーズなど、ロマンティシズムな弾き回しは皆無。ただただ、尖ってカッ飛んだ、現代音楽風の前衛的な響きを宿した、硬質で切れ味の良いエッジの立ったスピード感溢れる「インタープレイ」だけが疾走する。

アルバムのタイトルは、当時、チックが関わっていたサイエントロジーの用語である「Affinity, Reality, Communication(親和性、現実、コミュニケーション)」の略。よくよく見ると、タイトルからして、むっちゃ尖ってカッ飛んでいる(笑)。
 
 

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2023年1月15日 (日曜日)

硬質で尖ったチックの鍵盤楽器

当ブログで「チックのフリーへの最接近」の一連の記事の中で、チックとブラックストンが結成した「Circle(サークル)」。チック率いるリズム・セクションの奏でる「限りなく自由度の高いモーダルな演奏」と、ブラックストンのリード楽器が奏でる「完全フリーな演奏」の融合を図ったバンドだったが、その融合のチャレンジは想像する以上に無理があったと思われる、と語った。

では、チック率いるリズム・セクションの「限りなく自由度の高いモーダルな演奏」はどんな内容のものだったのか。それは2枚のチックのリーダー作に残されている。

Chick Corea『The Song of Singing』(写真左)。1970年4月7, 8日の録音。ちなみにパーソネルは、Chick Corea (p, key), Dave Holland (b), Barry Altschul (ds)。パーソネルを見れば、このチック率いるトリオは、「Circle(サークル)」のリズム・セクションそのもの。

当初リリースは全6曲だったが、CDリイシューの度にボートラが追加され、1987年リイシュー時は全8曲。1989年リイシュー時は全9曲。ちなみにどのバージョンを聴いても、その内容に優劣は無い。どのバージョンのアルバムを入手しても、「限りなく自由度の高いモーダルな演奏」は如何なるものだったかを感じ取る事が出来る。

今でもこの盤は「チックのフリー・ジャズ」として捉えられている向きがあるが、これはフリー・ジャズでは無い。
 

Chick-coreathe-song-of-singing

 
フリー・ジャズって、①音階(キー)から、②コードあるいはコード進行から、③ハーモニーから、④リズムから、の束縛から逃れる、いわゆる「フリー」になって演奏するジャズ演奏の事なんだが、このチック盤は①〜④まで、何れの要素の束縛からは逃れていない。

時々、フリーなインプロに走る瞬間もあるが、演奏の基本は「限りなく自由度の高いモーダルな演奏」。この盤で聴けるフリーなインプロは、確実に現代音楽の要素を踏襲していて、いわゆる「フリー・ジャズ」な表現とは異なる。モードからフリーへ走る瞬間も、フリーからモードへ戻る瞬間も、きっちり「予定調和」していて、明らかに「調性音楽」な内容である。

といって、この盤の「限りなく自由度の高いモーダルな演奏」はとても優れている。これだけ硬派で尖ったモーダルな演奏は当時見当たらない。特にチックのピアノは凄い。確実にこの頃のチックは「キレて」いる。プツンとキレて、硬質で尖った、それでいてハイテクニックで流れる様な、妖気溢れるモーダルなフレーズを弾きまくっている。

その妖気溢れるモーダルなフレーズは、ショーター作曲の名曲「Nefertiti」で最高潮に達する。もの凄い鬼気迫る弾き回し。それでいて「クールでヒップ」。そんなプツンとキレて、硬質で尖ったチックの鍵盤楽器が聴けるのは、この盤が最右翼だろう。

当時、マイルスがチックを重用し、チックの悪口は絶対に言わなかった事が何となく判った様な気がした『The Song of Singing』である。
 
 

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2023年1月14日 (土曜日)

ライヴ「不思議の国のミンガス」

チャールズ・ミンガスのリーダー作を聴き継いでいると、曲毎のテーマでのフロント楽器の奏でるフレーズを聴くと、すぐに「これはミンガスの音」だと判る。ミンガス・ミュージックの音の響きは独特の個性があって、これは、あの偉大なジャズ界のレジェンド、デューク・エリントンの音に通じるもの。

ミンガスはエリントンを一生敬愛していたと言い伝えれれる位、ミンガスはエリントン・ミュージックの信奉者で、ミンガス・ミュージックは、エリントン・ミュージックの継承とも言えるだろう。ミンガスは事あることに、エリントンに対する「畏怖」を表明し、エリントン・ミュージックを効果的に借用する。

Charles Mingus『Jazz Portraits: Mingus in Wonderland』(写真左)。1959年1月16日、NYの「Nonagon Art Gallery」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Charles Mingus (b), John Handy (as), Booker Ervin (ts), Richard Wyands (p), Dannie Richmond (ds)。

ジョン・カサベテスの映画処女作「アメリカの影」のために書かれた曲(「Nostalgia in Times Square」と「Alice's Wonderland」)などをミンガス流にアレンジしてライヴ録音したもの。フロント2管+リズム・セクションのクインテット編成。わずか5人で演奏しているとは思えないほど、演奏される音は「分厚く迫力がある」。
 

Jazz-portraits-mingus-in-wonderland

 
フロント2管のユニゾン&ハーモニーに厚みがあって、リズム隊のピアノとドラムの低音が効果的に重なって、その底に「超重量級」のミンガスのブンブン・ベースが鳴り響いて、分厚い音圧の高い演奏が耳に飛び込んでくる。これが、ミンガス・ミュージックの真骨頂。ミンガスのアレンジの成せる技である。

ジョン・ハンディのアルト、ブッカー・アーヴィンのテナー2管が好調で、特に、ジョン・ハンディが絶好調。ミンガスはフロント管のメンバーのスカウトに長けているが、この二人も、ミンガス・ミュージックの「分厚い音圧の高い」音世界に大きく貢献している。このフロント2管が活き活きと吹き回している様が実に「ジャズしている」。

このライヴ・パフォーマンスは、バンド全体が適度なテンションの中、良い意味でリラックスして、演奏を楽しんでいる様子が良く判る。そんな良い雰囲気の中、ミンガス御大もリラックスした、伸び伸び自由なベースラインをブンブン、低音を鳴り響かせながら、弾きまくっている。ほんと、全編、楽しそうに演奏している。

このライヴ盤では「ミンガス流のジャングル・ミュージック」をしっかりと感じ取れる。アルバム全体の収録時間はちょっと短くて物足りなさは残るが内容は良い。
 
 

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2023年1月13日 (金曜日)

ロウズ=B.ジェームスのライヴ盤

ふと、フュージョン・ジャズが聴きたくなる時がある。僕がジャズを本格的に聴き始めた頃は、フュージョン・ジャズの全盛期。フュージョン・ジャズについては全く拘りは無い。良い音楽と悪い音楽、という話があるが、純ジャズだろうが、フュージョン・ジャズだろうが「良い音楽」と感じればそれでいい、と思っている。

Hubert Laws『The San Francisco Concert』(写真左)。1975年10月4日、オークランドの「Paramount Theatre」でのライヴ録音。CTIレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Hubert Laws (fl), Bob James (el-p, arr, cond), Glen Deardorff (g), Gary King (b), Harvey Mason (ds) のクインテットがメイン、バックにオーケストラが付く。

全編に渡って、ヒューバート・ロウズのフルートが堪能出来る。オーケストラを従えた豪華な伴奏をバックにしながら、ロウズのフルートがしっかりと前面に出て、素晴らしいパフォーマンスを披露している。フルートの音は音が丸くて、線が細い印象があるのだが、ロウズのフルートは音は丸いが、太くて力強くてシャープ。切れ味の良いフレーズでグイグイ吹きまくる。
 

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フュージョン・ジャズのロウズにはボブ・ジェームスのエレピとアレンジが欠かせないが、このライヴ盤でもボブ・ジェームスがエレピとアレンジ、そして指揮を担当している。そして、演奏される曲も「Feel Like Making Love」(『Bob James I』収録)、「Farandole」(『Bob James II』収録)と、ボブ・ジェームスのアルバムの中で、印象的なロウズのフルートが映える曲を選んでいる。

当時、リアルタイムでボブ・ジェームスのフュージョン盤を聴いていた僕達にとっては、このFeel Like Making Love」と「Farandole」でのロウズのフルートはしっかりと耳に残っている。「Scheherazade」も内容は充実していて、クラシックにも精通するロウズの面目躍如的フルートが堪能出来る。

クラシックとジャズの融合(フュージョン)という切り口で、このロウズ=ボブ・ジェームスのコラボは数々の印象的なパフォーマンスを残しているが、それが、この盤ではライヴ音源で聴けるのだから、フュージョン者にとっては、このライヴ盤は価値がある。ブラス・セクションのアレンジ、オーケストラのアレンジもボブ・ジェームス節炸裂で充実している。なかなか聴き応えのあるフュージョン盤である。
 
 

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2023年1月12日 (木曜日)

明るくライトなメッセンジャーズ

昨日「柔道着のブレイキー(Art Blakey & The Jazz Messengers『Golden Boy』)」について語ったついでに、Art Blakey and The Jazz Messengers(ジャズ・メッセンジャーズ)盤の落ち穂拾いを再開。

ブレイキーはジャズ・メッセンジャーズも含めて、とにかく多作のジャズ・レジェンド。しかも、凡作駄作の類は殆ど無い。全てのリーダー作を聴いて、その感想を記事にするにはかなりの労力と時間がかかる。故に、まだまだ全てのリーダー作を網羅するには至っていない。

ブレイキーは、ブルーノート・レーベルのお抱えドラマー的ポジションにいたので、ブルーノートにリーダー作が集中している。が、他のジャズ・レーベル、それも傍系のマイナーなレーベルにもリーダー作を残していたりして、全リーダー作の音源を押さえるのに骨が折れる。

Art Blakey and The Jazz Messengers『Soul Finger』(写真左)。1965年5月12, 13日、NYでの録音。Limelightレーベル(Mercury Records傘下の傍系レーベル)からのリリース。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Freddie Hubbard, Lee Morgan (tp), Gary Bartz (as), Lucky Thompson (ss), John Hicks (p), Victor Sproles (b)。いやはや、曲者揃いのパーソネル。

パーソネルだけ見ると、どんな音が出てくるのか、想像するのが困難。まず、トランペットが2本、それも、ハバードとモーガンである。前へ出すぎるハバードに頭にきて喧嘩しないのだろうか、心配になる(笑)。
 

Soul-finger

 
ベテランの曲者リード奏者トンプソンがソプラノを吹き、新進気鋭のゲイリー・バーツがアルト・サックスを吹く。新旧まぜこぜになって、ユニゾン&ハーモニーは大丈夫なんだろうか。ベースのスプロールズは1950年代半ばから1960年代まで活動したマイナーなベーシスト。リズム・セクションは大丈夫なのか。

で、出てくる音を聴くと、この盤も例の「柔道着のブレイキー(Art Blakey & The Jazz Messengers『Golden Boy』」と同傾向の音の志向で、当時の3管フロントのジャズ・メッセンジャーズの音の雰囲気を踏襲した、ファンキーで小粋で、この盤ではとてもリラックスした展開が印象的。全体的な音のトーンは「明るくライトでポップ」。

ソフト&メロウなユニゾン&ハーモニー、流麗で優しいアドリブ展開。曲者揃いのパーソネルなのに、これだけソフト&メロウなファンキー・ジャズに仕上がってのが不思議。さすが、ブレイキー御大のリーダーシップの成せる技だろう。曲者揃いのパーソネルでありながら、キッチリと「ジャズ・メッセンジャーズの音」に仕上げている。

バンド演奏全体で、リフ、ユニゾン&ハーモニーをビシッと決めて、ブレイキーならではのドラム・ロールが、ソフト&メロウなファンキー・ジャズをビシッと締める。参加メンバーが大きく代わっても、ジャズ・メッセンジャーズの音志向は変わらない。
 
 

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2023年1月11日 (水曜日)

柔道着を着たブレイキー御大

ブルーノート・レーベルやECMレーベル、スティープルチェイス・レーベルのお陰か、ジャズ盤のジャケット・デザインは優れている、とされる向きがある。が、よくよく見直してみると、優れたデザインが約半分、残りの半分の3割がどっちつかずの平凡なデザイン、そして、後の2割はどうしてこうなるのか理解に苦しむ、どうみても「トホホ」なデザインである。

Art Blakey & The Jazz Messengers『Golden Boy』(写真左)。1963年の録音。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Freddie Hubbard, Lee Morgan (tp), Curtis Fuller (tb), Charles Davis (bs), Wayne Shorter (ts), James Spaulding (as), Cedar Walton (p), Reggie Workman (b), Julius Watkins (French horn), Bill Barber (tuba)。フロント6管+リズム・セクションの9人編成(ノネット)がメイン。

パーソネルを見渡すと、この11人編成の大所帯が面白い楽器構成になっている。フロント管がトランペット2本、トロンボーン1本、バリトン、テナー、アルトのサックスで計3本、ジャズ・メッセンジャーズとしては珍しいのだが、ここにフレンチホルンとチューバが加わる。誰のアイデアだったのだろうか。

リズム・セクションは、ブレイキー御大のドラムに、ピアノ、ベースのオーソドックスなもの。アレンジに、テナーのショーター、トロンボーンのフラー、ピアノのウォルトンの3人がそれぞれ分担して腕を振るっている。
 

Art-blakey-the-jazz-messengersgolden-boy

 
ブロードウェイのミュージカル『Golden Boy』での楽曲を元に、Colpixというレーベルからリリースされた企画盤。ミュージカルからの楽曲のジャズ化なので、曲の粒は揃っていてアルバム全体の構成は充実している。フロント6管+リズム・セクションの9人編成+リズム・セクションにフレンチ・ホルン、チューバが加わるので、しっかりとしたアレンジが施されている様子が良く判る。

フロント管のユニゾン&ハーモニーは、当時の3管フロントのジャズ・メッセンジャーズの音の雰囲気を踏襲した、ファンキーで小粋で迫力と覇気溢れるもの。3管フロントにトランペット、アルト・サックス、バリトン・サックスをそれぞれ1本、さらにフレンチ・ホルンとチューバを加えているので、音の彩りが華やかになり、迫力と音圧が増していて、豊かで豪華な音作りが良い感じ。

加えて、ハバード、モーガン、フラー、スポルディングのソロイストのパフォーマンスが好調で聴き応えがある。リズム・セクションも優れたバッキングでフロント管を支えている。我が国では馴染みのないミュージカルからの楽曲のジャズ化なので、馴染みが全く無いが、アルバム全体、当時の3管フロントのジャズ・メッセンジャーズの音志向をしっかり引き継いでいて、内容的に充実している。

ただし、である。このジャケットはなあ(笑)。柔道着を着こなしたブレイキー御大が腕組みをして仁王立ちのアップ。これだけ見たら、このアルバム、ジャズのアルバムとは思わないでしょうねえ(笑)。でも内容は良い感じのファンキー・ジャズであり、当時充実の3管フロントのジャズ・メッセンジャーズの音が堪らない好盤。このジャケに怯むこと無く聴いて欲しい好盤です。
 
 

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2023年1月10日 (火曜日)

1955年のミンガス・コンボ

ジャズ・ベーシストのリーダー作を整理している。ジャズの歴史上に名を残している一流ベーシストについては、リーダー作の殆どは押さえておきたい。そう思って整理していると、まだ、しっかりと聴いていなくて、このブログに感想記事をアップしていないアルバムが結構ある。

そもそも、他の楽器に比べて、ジャズの歴史上に名を残している一流ベーシストの数が少ない。チャールズ・ミンガス、レイ・ブラウン、ロン・カーター、ポール・チェンバース、ジミー・ギャリソン、パーシー・ヒース、チャーリー・ヘイデン、最近では、クリスチャン・マクブライド、ジャコ・パストリアス、マーカス・ミラー、と、これくらいしか浮かばない。

ぼやきはさておき、先ず手始めに「チャールズ・ミンガス(Charles Mingus)」の整理。意外と聴きかじったままのリーダー作が沢山ある。ディスコグラフィーを確認していて、かの有名な1956年の『Pithecanthropus Erectus(直立猿人)』以前のリーダー作については、聴いたことが無いリーダー作もあることが判明。これはいけない、ということで、早速、真剣に聴き直し。

Charles Mingus『Mingus at the Bohemia』(写真左)。1955年12月23日、NYのカフェ・ボヘミアでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Charles Mingus (b, cello), George Barrow (ts), Eddie Bert (tb), Mal Waldron (p), Willie Jones (ds), Max Roach (ds, on "Percussion Discussion" only)。名盤『直立猿人』(1956年)リリース前年のライブ録音になる。
 

Charles-mingusmingus-at-the-bohemia

 
この頃のミンガスといえば『Pithecanthropus Erectus(直立猿人)』ばかりがクローズアップされるが、どうして、このカフェ・ボヘミアのライヴのパフォーマンスも「直立猿人」に勝るとも劣らない内容。もうこの頃、既に「ミンガス・ミュージック」は確立されていたことが良く判る。

冒頭の「Jump Monk」は、後の「直立猿人」に似た構造をした秀曲。初めて聴いた時は「直立猿人」かと思いましたぜ。よく聴くとちょっと違う。でも、ベースのオスティナートから始まり、2管のアンサンブルが被さり、シンコペーションで進み、テーマをバーッと展開して、後はブレイキング・コーラスからアドリブというところなんぞ、雰囲気はそっくり。

他の曲、特にスタンダード曲の「Serenade in Blue」「Septemberly」「All The Things You C#」のアレンジと演奏が秀逸。他のハードバップなアレンジとは一味もふた味も違う、ミンガス・オリジナルなアレンジが見事。ミンガスはリーダー作をオリジナル曲で固めることが多いが、スタンダード曲を扱わせても「超一級品」。この盤でもその才能を遺憾なく発揮している。

ダニー・リッチモンド、ジミー・ネッパー、エリック・ドルフィーといった強烈な曲者ジャズマンを従えたミンガスの「黄金のコンボ」以前のパフォーマンスなんだが、その「黄金のコンボ」には及ばないにせよ、予想外に充実しているのには感心した。マイルス同様、当時のミンガス周りのジャズのレベルは高い。
 
 

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2023年1月 9日 (月曜日)

耳に優しいマイナーなトリオ盤

チックとブラックストンの「サークル」のアルバムを全部聴き直していて、さすがに耳がちょっと疲れた。耳に優しいピアノ・トリオなんぞが聴きたいなあ、という気分になって、ちょっとネットを彷徨ってみた。そうしたら、実に渋いレトロなジャケットが目に入った。あれっ、このジャケ、見たことある、と思わず、久し振りに聴き始めた。

Graham Forbes『The Martini Set』(写真)。1960年の作品。ちなみにパーソネルは。Graham Forbes (p), Bill Halfacre (b), Buddy Jett (ds)。グラハム・フォーブスは、スイング・スタイルのピアニスト。1930年代から、ウッディー・ハーマンなどの有名バンドを渡り歩き、戦後、フランク・シナトラにも重用されたピアニスト。様々なビッグバンドや歌伴をこなしたオール・ラウンダーなピアニストである。しかし、このフォーブス、今では無名、知る人ぞ知るマイナーなピアニストである。

そんなオール・ラウンダーな力量を遺憾なく発揮した、実にお洒落で小粋なピアノ・トリオ演奏である。トリオ演奏の全体の雰囲気は「ラウンジ・ジャズ」。1960年の作品とは言いながら、ハードバップにも、ファンキー・ジャズにも、当然、モードにも全く無縁。フォーブスのピアノのスタイルは「スイングから中間派」。
 

Graham-forbesthe-martini-set

 
しかし、全くラウンジ・ジャズな演奏だが、フォーブスのピアノはさすが実力派。ラウンジ・ジャズな演奏だが、決して、イージーリスニングな雰囲気にはならない。ピアノにしっかりと芯が通っていて、右手のフレーズの小洒落たドライブ感は見事。左手のブロック・コードは趣味良くリズミカル。いわゆる「職人肌な、聴かせるピアノ」である。聴き応えがある。

スイングからバラード、なんでも弾き回す。身を入れた聴く類のピアノでは無いが、聴き心地が良いので、リラックスして聴き流すには最適なピアノ。歴史を揺るがすようなプレイでもなければ、当時のジャズのトレンドとはかけ離れた「スイングから中間派」なピアノなんだが、さすが職人肌な器用で卒のないピアノなので、不思議と最後まで聴き通してしまう。

まあ、フォーブス唯一のリーダー作&トリオ盤でレコード自体は珍しい「コレクターズ・アイテム」。辛口の硬派なジャズ・ピアノ者の方々からすると、とるに足らない、時代遅れのラウンジ・ピアノかも知れない。でも、何故か心地良いピアノ・トリオなんですよね、これが。僕にとっては、シビアなジャズを聴き続けた後、ちょっとした耳休めに最適なジャズ盤の1枚なんですよね〜。
 
 

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2023年1月 8日 (日曜日)

チックの「フリーへの最接近」3

チックがブラックストンと出会って結成した「Circle(サークル)」というクインテット。僕がジャズ者初心者の頃のジャズ盤紹介本では「チックがフリーに走って失敗したバンド」なんて書いていたが、よくよく聴くと失敗バンドなんてとんでもないと思う。まあ1年足らずで解散したバンドなので「失敗バンド」なイメージが湧くのだろうが、ジャズの世界では、そもそも長く続くパーマネントなバンドは数が少ない。

即興演奏をメインとするジャズである。メンバーを固定して、バンドの音志向を固定したら、マンネリに陥るリクスは高まるだろうし、ジャズマンも人間である、飽きも来るだろう。即興演奏をイマージネーション豊かにやるには、まず演奏を楽しく、モチベーション豊かであることが大切だと思うので、そういう意味で、そもそも長く続くパーマネントなバンドは数が少ないのだろう。

Circle『Paris Concert』(写真)。1971年2月21日、パリでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Chick Corea (p), Anthony Braxton (reeds, perc), Dave Holland (b, cello), Barry Altschul (ds, perc)。アンソニー・ブラックストンが1管フロントのカルテット編成。

CDの時代になって、Ciecleの諸作はリイシューされる機会が僅少で、何とか入手出来る音源はこのライヴ盤しか無かった時期が長く続いた。このライヴ盤でチックの伝説のバンド「Circle(サークル)」を体験する訳だが、これがジャズ評論家の方々が言う「チックのフリー・ジャズ」として聴くと「???」。確かにところどころでフリー・ジャズっぽい展開はあるにはあるが、良く聴くとこれはフリー・ジャズじゃない。

フリー・ジャズって、①音階(キー)から、②コードあるいはコード進行から、③ハーモニーから、④リズムから、の束縛から逃れる、いわゆる「フリー」になって演奏するジャズ演奏の事。

このチックの「Circle(サークル)」サウンドって「限りなく自由度の高いモード・ジャズ」がメインで、フリー・ジャズに走る時は、どちらかといえば「前衛音楽のマナーを踏襲した即興演奏」で純粋なフリー・ジャズでは無いと感じている。
 

Circle-paris-concert

 
そして、ブラックストンのリード楽器だけが、フリー・ジャズの前提を踏襲していて、チック率いるリズム・セクションが奏でる「前衛音楽のマナーを踏襲した即興演奏」とは、全く噛み合わない。この噛み合わないところに「張りつめた様な緊張感を生んでいる」とされ、「スリリングな演奏」とされた訳だが、それはちょっと、聴き手側の勝手な解釈なんでは、と思ってしまう。

ブラックストンからすると「皆、フリー・ジャズやってよ」なんだろうし、チック率いるリズム・セクションからすると「あれれ、フリー・ジャズと前衛音楽って、似て非なるものやったんや〜」なんだったと思う。ブラックストンは現代音楽の影響を強く受けたフリー・ジャズなリード奏者とされるが、実は根っからのフリー・ジャズ志向のリード奏者だったことがこのライヴ盤を聴いていて良く判る。

恐らく、チックもブラックストンも「フリー・ジャズと前衛音楽って、根っこは同じ」と思ったんだろうし、お互い「現代音楽の影響を強く受けている」と思ったんだろうし、「Circle(サークル)」結成当初は「イケる」と感じていたんではないか、と思う。しかし、やってみて、限りなく自由度の高いモーダルな演奏と完全フリーな演奏との混在は想像以上に無理があった、ということが実際に判ったのだろう、と想像している。

そう解釈すれば、この『Paris Concert』というライヴ盤、チック率いるリズム・セクションの「限りなく自由度の高いモード・ジャズ」がメインで、モード・ジャズの自由度を最大限に追求して突き詰めていったら「前衛音楽のマナーを踏襲した即興演奏」に展開するのが一番当たりが良い、という演奏志向を前提としたインプロビゼーションの素晴らしさを心ゆくまで愛でることの出来る盤だということになる。

ブラックストンには悪いが、モード・ジャズを突き詰め、前衛音楽マナーのフリーな展開をバリバリ弾きまくる、若き尖ったチックは魅力的。そして、それに追従するホランドの重量感溢れるベースと、限りなく自由でポリリズミックなアルトシュルのドラムも実に良い。ということで、このライヴ盤は、チック率いる、尖ったリズム・セクションを愛でる盤、という結論になる。

何度も言うが、ブラックストンには悪いと思っている。ブラックストンは、この「Circle(サークル)」の後、優れた完全フリー・ジャズなリーダー作を何枚もリリースしているので、ブラックストンについては、こちらを聴いて、彼の優れた資質と個性を愛でている。
 
 

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2023年1月 7日 (土曜日)

チックの「フリーへの最接近」2

チック・コリアのリーダー作の振り返り。チックが限りなく自由度の高いモード・ジャズからフリー・ジャズへと接近した時代のリーダー作の聴き直しの続き。20年振りくらいの聴き直しになるのだが、20年前に聴いた時に感じ無かった音を今の耳で感じる。これが意外に面白い。

チックは、1970年〜71年に活動した「Circle(サークル)」というバンドを結成している。このバンドは「自由度の高いモード・ジャズからフリー・ジャズ」を基本とした、アヴァンギャルド志向のバンドだった。チックは前衛音楽にも適応していたので、このアヴァンギャルド志向というのも理解出来るのだが、後の活動の音志向を考えると、チックのキャリアの中では「異質」なバンド志向だったと思う。

Circle『Circle 2: Gathering』(写真左)。1971年5月17日、NYのUpsurge Studioでの録音。ちなみにパーソネルは、Chick Corea (p, bamboo fl, perc), Anthony Braxton (reeds, perc), Dave Holland (b, cello, guiter, perc), Barry Altschul (ds, finger piano, perc)。アンソニー・ブラックストンが1管フロントのカルテット編成。

サークル唯一のスタジオ録音。演奏の展開はライヴ同様、限りなく自由度の高いモーダルな演奏の中で、フリー・ジャズに展開する場面がある、といった演奏展開は変わらないのだが、基本が「限りなく自由度の高いモーダルな」調性音楽なので、そこにいきなりブラックストンが入ってくると、いきなりフリー・ジャズに展開するという「突発性や偶発性」が希薄で、フリー・ジャズと呼ぶには「予定調和」な雰囲気が漂う、

サークルというバンドにはスタジオ録音は必要が無かったのでは無いかと思う。限りなく自由度の高いモーダルな演奏の中で、フリー・ジャズに展開する場面がある、という展開が「ウリ」なので、モーダルな演奏が、いきなりフリー・ジャズに展開する瞬間が、いかにも即興性が高く、いかにもフリー・ジャズらしいので、その「突発性や偶発性」がスタジオ録音では薄れるのだろう。
 

Circlecircle2-gathering_2

 
限りなく自由度の高いモーダルな演奏が続く中で、いきなり「悪役プロレスラー」の如く、ブラックストンのリード楽器が乱入し暴れる、そして、それまでモードを演奏していたリズム隊がフリー・ジャズに激変するという、そのタイミングがブラックストンの「観念性」に委ねられているのであれば、即興演奏としての「突発性や偶発性」は担保されるのだろうが、ライヴ演奏であれば、ウケ狙いのライヴ・パフォーマンスとして「アリ」だとは思うが、スタジオ録音ではあまり意味が無いように思える。

このスタジオ録音盤でも、チック以下のリズム・セクションの「限りなく自由度の高いモーダルな演奏」が見事で、そこには、純粋フリー・ジャズなブラックストンのリード楽器の存在は異質であり、フィットしない。当時のチックのトリオに純粋フリー・ジャズなブラックストンをフロント管に据えた「サークル」は上手くいかなかった理由はここにあるのだろう。

チックは前衛音楽にも適応していたので、「サークル」を完全フリー・ジャズな演奏志向なバンドにすることも出来たのだろうがそれはやらなかったし、ブラックストンが、限りなく自由度の高いモーダルな演奏に転換すれば、まだ違ったバンド展開もあったのだろうが、ブラックストンもそれはやらなかった。

翌年以降のブラックストンのリーダー作の中で、ベースのホランド、ドラムのアルトシュルと演奏した純粋フリー・ジャズな演奏があるが(例えば『Town Hall 1972』など)、これを聴くと、非常に優れたフリー・ジャズが展開されているので、「サークル」が上手くいかなかったのは、ブラックストンの存在では無く、限りなく自由度の高いモーダルな演奏と完全フリーな演奏との混在に無理があった、というか、効果的では無かったということだろう。

この「サークル」のスタジオ録音を今の耳で聴き直すと、新しい感じ方、新しい発見があって面白い。この「サークル」のチャレンジを「失敗」とするのは短絡的過ぎると僕は思う。この「サークル」は、限りなく自由度の高いモーダルな演奏と完全フリーな演奏との混在は想像以上に無理があった、ということが実際にやってみて判った「偉大なるチャレンジ」だったと僕は思っている。
 
 

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2023年1月 6日 (金曜日)

チックの「フリーへの最接近」1

チック・コリアのリーダー作の振り返り。チックが限りなく自由度の高いモード・ジャズからフリー・ジャズへと接近した時代のリーダー作を久し振りに聴き直している。本当に久し振り。恐らく20年振りくらいではなかろうか、と思う。

チックのフリー・ジャズというのが、どうもイメージが湧かなくて、このチックが結成した「サークル(Circle)」のアルバムがCDでリイシューされたものを入手したのだが、あまり真剣に聴かなかった思い出がある。

Circle『Circle-1 Live In German Concert』(写真)。1970年11月28日、当時の西ドイツでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Chick Corea (p), Anthony Braxton (as, ss, fl, b-cl, perc), Dave Holland (b, cello), Barry Altschul (ds, perc)。アンソニー・ブラックストンが1管フロントのカルテット編成。

冒頭、チックのメロディアスで流麗なフレーズが流れてくるので、あれれ、と思う。以降、暫く聴いていて感じるのは「これは純粋なフリー・ジャズじゃ無い」ということ。メンバーそれぞれが、相当自由にインタープレイを繰り広げるので、これはフリー・ジャズか、と思うのだが、よくよく聴くと、これは限りなく自由度の高いモード・ジャズじゃなかろうか、と思い始める。

確かに、ブラックストンのリード楽器、フルートが入ってくると、演奏全体は「フリー・ジャズ」に突入する。そもそも、ブラックストンの演奏自体が実に観念的。チック率いるリズム・セクションの音は全く聴いていないか如く、本能のおもむくまま、自分の頭の中に浮かんだ自由なフレーズをブワーッと吹きまくる。
 

Circlecircle1-live-in-german-concert

 
すると、限りなく自由度の高いモーダルな演奏を繰り広げていたチック率いるリズム・セクションが一気にフリー・ジャズに突入する。そして、ブラックストンが抜けると、また、限りなく自由度の高いモーダルな演奏に戻るといった、実にユニークな展開。

これって、どこかで聴いた事のある展開やなあ、と感じていたが、そうそう、マイルスの1960年代黄金のクインテットでの『The Complete Live At The Plugged Nickel 1965』で聴くことが出来る雰囲気に良く似ている。

このマイルスのライヴ盤では、マイルスが吹いている時は、他のメンバーは、限りなく自由度の高いモーダルな演奏に集中しているが、マイルスが抜けると、途端にフリーな演奏に突入する。そして、マイルスが戻ってくると、限りなく自由度の高いモーダルな演奏に戻るといった展開。フロント管の役割が逆だが、この展開に良く似ている。

どうも、このサークルの演奏、純粋なフリー・ジャズの演奏では無い。限りなく自由度の高いモーダルな演奏の中で、フリー・ジャズに展開する場面がある、といった感じかな。モーダルな調性音楽的な演奏がメインで、時々フリーな無調音楽的な演奏に展開する、という「演奏展開の志向」がサークルの個性だと感じている。

この「サークル」のライブ盤、今の耳で聴くと、限りなく自由度の高いモーダルな演奏の部分が素晴らしい。さすがはチックと感心する。そういう観点このライヴ盤を聴き直すと、ブラックストンが入ってきた時のフリー・ジャズへの展開は必要なのか、と思ってしまう。どうも、その辺りが、この「サークル」というグループの弱点だった様な気がする。
 
 

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素敵なエレ・ジャズ・ファンク

ジャズといっても、なにも1950年代から60年代にかけての「ハード・バップ」が全てでは無い。ハード・バップは現代モダン・ジャズの源と言っても良いが全てでは無い。ハード・バップから、モード、ファンキー、ソウル、フリー、スピリチュアル、そして、電気楽器を活用したクロスオーバー、フュージョンなど、様々なバリエーションのジャズが派生している。

ジャズの好盤と言っても、なにもジャズ盤紹介本やジャズ雑誌の名盤紹介にタイトルが上がるアルバムだけが好盤では無い。確かに、ジャズ盤紹介本や雑誌の名盤紹介に上がるジャズ盤は基本的に間違いが無い。

しかし、それらが全てでは無い。最近ではネットでのジャズ関連のブログやtwitterのツイートに上がるジャズ盤にも好盤、名盤の類がごまんとある。

ジャズに使用する楽器だって、なにもアコースティックな楽器だけが良い訳では無い。エレクトリックな楽器だって、良好なジャズは演奏出来る。以前は硬派なジャズ者の方々が「アコ楽器が全て、エレ楽器なんて認めない」なんて言いまくるもんだから、素直なジャズ者初心者の方々は、アコ楽器のみのジャズ盤を聴き漁る傾向にあるが、ジャズという音楽ジャンルは、楽器についても懐が深い。ジャズは基本的に楽器を選ばない。
 
Gene Harris『Nexus』(写真左)。1975年5月〜6月の録音。ブルーノート・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Gene Harris (key), Al Aarons (tp), George Bohanon (tb), Mike Altschul, Fred Jackson, Jr. (reeds), Lee Ritenour (g), John Rowin (g, el-b), Chuck Rainey (el-b), Kenneth Rice (ds), Ronaldo N. Jackson, Gerald Steinholtz (perc)。
 

Gene-harrisnexus

 
いわゆる「エレクトリック・ソウル・ジャズ」から「エレクトリック・ジャズ・ファンク」。エレピ、シンセ大活躍。ゴスペルを基本に、ソウル、ソフト&メロウ、コズミックな音要素がごった煮の、こってこてドープなエレ・ジャズ。ファンクネスだだ漏れ、それでいて俗っぽくなく、ちょっと品が良くてスマートでアーバン。

ゴスペルの要素が強く出て、パーカッションがファンクネスを掻き立て、コズミックな音要素が面白い「エレクトリック・ジャズ・ファンク」。R&Bなコーラスが魂を揺さぶり、ソフト&メロウな音世界が心を和ませる「エレクトリック・ソウル・ジャズ」。

1950年代から60年代前半は、ブルーノートのお抱えジャズ・トリオ「スリー・サウンズ」で、正統派ファンキー・ジャズなピアノで有名になったジーン・ハリス。1970年代は、様々なエレクトリック・キーボードを趣味良く駆使し、正統派なモダン・ジャズ・ピアノのリリカルな響きを覗かせつつ、フュージョン・ジャズの音要素と上手く同化しながらの「エレクトリック・ソウル・ジャズ」から「エレクトリック・ジャズ・ファンク」が見事。

確かに、この盤でのジーン・ハリスのキーボードの使い方は趣味が良く、センスがある。当時のキーボード使いの中でもトップレベルの使いこなし。これが我が国では殆ど注目されず、殆どスルーされていた訳だから、当時の我が国の「ハードバップ偏重、アコ楽器偏重」も度が過ぎていたんやなあ、と妙に感心する。

今の耳で聴けば、とても内容の濃い、上質の「エレクトリック・ソウル・ジャズ」から「エレクトリック・ジャズ・ファンク」。これも素敵なジャズである。
 
 

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2023年1月 4日 (水曜日)

僕なりのジャズ超名盤研究・22

ジャズ・ピアノの「最高のスタイリスト」ビル・エヴァンスは、1958年にマイルス・デイヴィスのバンドに短期間加わり、約1年弱、録音とツアーを行っている。その最大の成果が、Miles Davis『Kind of Blue』。マイルスと協働し、ハード・バップ的な頻繁なコード・チェンジではなく、モードを基にしたアドリブ展開を、このアルバムで実現している。

その後、1959年にエヴァンスはドラマーのポール・モチアンとベーシストのスコット・ラファロをメンバーに、自らがリーダーのパーマネントなトリオを初めて結成する。このトリオは、ピアノ・ベース・ドラムスの、各自の創造的な三者三様のインプロを展開する「インタープレイ」を実現した初めてのトリオであり、以降、他のピアノ・トリオ演奏に新しい方向性を与えている。

その最初のスタジオ録音の成果が、Bill Evans『Explorations』であり、Bill Evans『Portrait in Jazz』である。そして、ライヴ録音の成果が以下の2枚である。特に、このライヴ録音の2枚は、このライヴ録音の11日後、ラファロが交通事故で急逝してしまったので、当時から劇的な印象を残している。

Bill Evans『Sunday at the Village Vanguard』(写真左)、Bill Evans『Waltz for Debby』(写真右)の2枚が、そのライヴ録音の成果である。1961年6月25日の録音。ちなみにパーソネルは、Bill Evans (p), Scott LaFaro (b), Paul Motian (ds)。NYの老舗ライヴハウス、ヴィレッジヴァンバードでのライブ録音。

天才ベーシスト、スコット・ラファロが11日後に急逝しているので、ラファロへの感情移入が激しいこの2枚のライヴ盤であるが、冷静になって聴き直してみる。

まず、『Sunday at the Village Vanguard』は、僕は、ピアノ・ベース・ドラムスの、各自の創造的な三者三様のインプロを展開する「インタープレイ」のライヴの記録だと理解している。
 

Sunday-at-the-village-vanguard_waltz-for

 
ラファロのベースばかりがクローズアップされた評価が目に付くが、エヴァンスのピアノも、モチアンのドラムも充実している。これだけ自由度の高いインタープレイは、当時としては唯一無二。適度なテンションの下、三者三様の創造的なインタープレイはそれはそれは見事で、そんな中でもラファロのベースが特に目立つ。

『Waltz for Debby』については、エヴァンスのピアノの「耽美的でリリカルで静的」な面がクローズアップされた、とされるアルバムだが、これについては、僕は、マイルスの下で「ものにした」モード奏法をこの「伝説のトリオ」で実現した唯一のライヴの記録だと理解している。

もともと、エヴァンスは「明確なタッチのバップなピアノ」が持ち味で、「耽美的でリリカルで静的なピアノ」が持ち味では無い。この盤での「耽美的でリリカルで静的」な響きが溢れる演奏でも、エヴァンスのタッチは明確で鋭い。決して、響きを重視した耽美的なタッチでは無い。

この『Waltz for Debby』における「耽美的でリリカルで静的」な雰囲気は、マイルスの『Kind of Blue』のラスト「Blue in Green」に通じる響きだと理解していて、モーダルな演奏の特徴、ビルがマイルスの『Kind of Blue』のライナーノーツで日本古来の水墨画を例に表現した「モード奏法を基にした即興の個の表現」を、この「伝説のトリオ」で表現したものではないか、と思っている。

最後にまとめると、このビルの「伝説のトリオ」のスタジオ録音『Portrait in Jazz』『Explorations』の2枚で表現した、ピアノ・ベース・ドラムスが創造的な三者三様のインプロを展開する「インタープレイ」と、マイルスの下でものにした「モード奏法」をライヴで実現した傑作、と僕は評価している。一期一会の即興演奏であり「ライヴ演奏」であるが故に、この2枚は、後世のピアノ・トリオ演奏に新しい方向性を与えている、と理解している。
 
 

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2023年1月 1日 (日曜日)

今年もよろしくお願いします

明けましておめでとうございます。今年も「ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログ」をよろしくお願いします。

今年もジャズ、70年代ロック、70年代Jポップを聴き直していきます。そうそう、新盤も新リイシュー盤も見逃さずに聴いていこうと思ってます。

記事のアップの再開は、1月4日を予定していますので、よろしくお願いします。

それでは、今年もよろしくお願いします。
 
 
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