オーストラリア出身のカルテット
ベツレヘム・レーベルのアルバムを、Bethlehem 6000 series (12 inch LP)」のカタログから、カタログ番号順に聴き直すと、このレーベル独特のグループやジャズ・ミュージシャンの名前に出くわすので、思わず面食らう。
ベツレヘム・レーベルの創始者、ガス・ウィルディは、他社とは違うことをやらなければ、レコード・ビジネスで勝負していけない、と思っていたそうで、そういう面から、他の有名ジャズ・レーベルとは異なる、ユニークなジャズ・ミュージシャンやグループ、そして、将来有望そうな新人をチョイスしては、リーダー作を録音させている。すると、ジャズ者の我々からすると「こんなジャズ・ミュージシャン、グループ名って聞いたことがない」と反応して、思わず敬遠してしまうのだ。
『The Australian Jazz Quartet』(写真左)。1955年10月、NYでの録音。ベツレヘムのBCP-6003番。ちなみにパーソネルは、Errol Buddle (ts, bassoon), Dick Healey (ts, as, fl, piccolo fl, cl, b), Bryce Rohde (p), Jack Brokensha (vib, ds), Nick Stabulas (ds)。
オーストラリア出身のグループ、オーストラリアン・ジャズ・カルテット(AJQ)のデビュー盤である。AJQはオーストラリア人3名、米国人1名が基本構成。このグループは、従来のジャズ楽器であるサックス、ピアノ、ベース、ドラムに加えて、バズーン、フルート、ビブラフォンをフィーチャーしていたという点で珍しい存在。活動期間は1954〜58年と短いが、室内楽的な味わいが魅力で、米国では当時、結構、人気のカルテットだったみたい。
この盤はタイトルは「カルテット」だが、中身はカルテット演奏とクインテット演奏がチャンポンしているが、音の志向は変わらない。聴けば、興味深いサウンドで、演奏の基本はハードバップなんだが、ジャジー&ファンキーな雰囲気は希薄、といって、聴き手を意識したアレンジとアンサンブルを基本としている訳でも無い。つまり、当時の東海岸ジャズでも無ければ、西海岸ジャズでも無い。といって、クラシックな雰囲気を宿した欧州ジャズでも無い。いわゆる当時の「第三世界」でのジャズである。
個々の演奏者の個性は薄い。バズーン、フルート、ビブラフォンを交えたジャズ演奏が耳新しく響く。室内楽的ではあるが、モダン・ジャズ・カルテットの様に、クラシックの技法を積極的に導入した本格的なものでは無い。黒人ジャズに無い、クラシック音楽で使用されている、ジャズでは珍しい楽器が入ったジャズとして、当時は米国ではウケたのだろう。
ジャズとして聴くと、ファンクネスは希薄、演奏の形態はハードバップ、アレンジはそこそこでラウンジ風、メンバーはいずれも音楽関係の学校で正規な教育を受けていることから、音楽的には整然とまとまったカルテット&クインテットの演奏。佇まいを正して演奏と対峙する様な、ストイックでシビアな演奏では無い。どちらかと言えば「ながら聴き」に向くジャズだろうか。
ベツレヘム・レーベルは、ジャケット・デザインも良い、と聞くが、この盤のカンガルー4匹横並びのジャケットはちょっと「引く」(笑)。このジャケだと、AJQの存在を知らないジャズ者の方々は、絶対に触手は伸びないだろう(笑)。でも、中身については、東海岸でも西海岸でも無い「第三世界」のジャズの音が詰まっていて、一聴には値する。
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