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2022年10月24日 (月曜日)

ミッチェルの「お蔵入り」盤です

ファンキーで流麗で明快なトランペッターのブルー・ミッチェル。彼って、ブルーノート・レーベル専属になって初めてのリーダー作が「お蔵入り」になった、気の毒なトランペッターでもある。その「お蔵入り」のジャケットも、ブルーノートのジャケットの平均レベルからすると、明らかに「イケてない」ジャケットで、とにかく気の毒の極みである。

Blue Mitchell『Step Lightly』(写真)。1963年8月の録音。ブルーノートの4142番。ちなみにパーソネルは、Blue Mitchell (tp), Leo Wright (as), Joe Henderson (ts), Herbie Hancock (p), Gene Taylor (b), Roy Brooks (ds)。リーダーのブルー・ミッチェルのトランペット、レオ・ライトのアルト、ジョー・ヘンダーソンのテナーがフロント3管、ハンコックをピアノに据えたリズム・セクションのセクステット編成。

リーダーのミッチェルとベースのテイラー、ドラムのブルックスが、元祖ファンキー・ジャズのホレス・シルヴァー・クインテットの出身。残りの他の3人がどちらかと言えば、モーダルなジャズの推進者で、ファンキー・ジャズとモード・ジャズの混成部隊での演奏になる。恐らく、レーベル側は、ファンキーとモードの「化学反応」を期待したんだろう。が、この盤では、ファンキーとモードが分離している様に聴こえる。
 

Blue-mitchellstep-lightly

 
とにかく、全編、ヘンダーソンのモードに捻れたフレーズが目立つ。そして、ハンコックのピアノとライトのアルトがそれに引き摺られるように、モーダルな音志向に傾いていく。リーダーのミッチェルとベースのテイラー、ドラムのブルックスは、完璧にファンキー・ジャズな音志向でバリバリやりまくるので、ファンキー・ジャズが前面に出れば出るほど、ヘンダーソン、ハンコック、ライトのモードなフレーズが目立ってしまう。

ボーッと聴いていると、ヘンダーソンのリーダー作なのか、と誤解してしまうくらいに、ヘンダーソンのテナーが目立ちに目立つので、ブルー・ミッチェルのファンキーで流麗で明快なトランペットの影が薄くなってしまう。ハンコックもハンコックで、こってこてファンキーなフレーズも弾けるだろうに、ヘンダーソンに合わせがちになるって、ちょっとこれは確かに、僕がプロデューサーでも、この盤は「お蔵入り」にしたくなるなぁ。

ミッチェルのトランペットは好調で申し分無いのに勿体ない録音である。このミッチェルの「ブルーノートでの初リーダー作」は、見事にブルーノートお得意の、カタログ番号もジャケットも確定しているのに「お蔵入り」、になってしまい、初めて世に出たのは、1980年になってからである。ただ、この盤は、聴いていて、当時「お蔵入り」になったのが何となく判る盤ではある。まあ、ヘンダーソンにファンキーなテナーを吹かせる、というのは無謀なんだろうな。とにかく、気の毒な「幻のブルーノートでの初リーダー作」である。
 
 

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