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2022年10月の記事

2022年10月31日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・254

ジャズの裾野は広い。一昨日、ご紹介した様な、最新のジャズ・エレクトロニカもあれば、ハードバップ時代の隠れ名盤もある。どちらも、聴いて楽しい「ジャズ」であり、どちらも、個人的嗜好においては好き嫌いはあるだろうが、客観的に見て、優劣を付けることの出来ない。歴史上、どちらも内容の優れた「ジャズ」である。

Eddie "Lockjaw" Davis & Johnny Griffin『The Tenor Scene』(写真左)。1961年1月6日、NYのミントンズ・プレイハウスでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Eddie "Lockjaw" Davis (ts), Johnny Griffin (ts), Junior Mance (p), Larry Gales (b), Ben Riley (ds)。

豪快なテキサス・テナーのスタイリストの一人、エディー・ロックジョー・デイヴィスと、テナー・リトル・ジャイアント、ジョニー・グリフィンとの2管フロントのクインテット編成。

このライヴ盤、ジャズ盤紹介本やジャズ雑誌の推薦盤に、そのタイトルが挙がることが無いのだが、聴けば、何と実にハードバップらしい、ハードバップの良いところ満載の隠れ好盤である。1961年のライヴ録音なんだが、内容的には、完璧なまでのハードバップな演奏が展開されていて、聴いていて、バリバリにジャズを実感出来て、とても楽しい。
 

Eddie-22lockjaw22-davis-johnny-griffinth

 
テキサス・テナー・スタイルのロックジョー、リトル・ジャイアントと呼ばれたグリフィン、二人の豪快なテナーがなんとも素敵な響き。そして、この豪快な二人のテナーの「ユニゾン&ハーモニー」そして「テナー・バトル」が凄く良い雰囲気。

これぞ、ハードバップ時代のテナー、って感じの、豪快で迫力抜群、大らかでテクニカル、歌心溢れエモーショナル豊かなテナー。良い。難しい理屈抜きに直感的に「良い」。

バックのリズム・セクションも好調で良い感じ。特に、ピアノのジュニア・マンスが、躍動的でファンキーなピアノをガンガンに弾きまくっている。さすがライヴやなあ。マンスがこれだけバリバリ弾きまくるとは思わなかった。このマンスのピアノに煽られて、鼓舞されて、ロックジョーとグリフィンがテナーを更に吹きまくる。熱気溢れるライヴである。

このライヴ盤、ジャズを聴き始めて、20年目に出会った。ジャズの裾野は広い。長くジャズ盤を探索し、聴けば聴くほど、小粋な盤、隠れ好盤に出会う。そして、それが30年になり、40年になり、ジャズ盤の探索は終わりが無い。全く、ジャズの裾野は広い。いつまた、小粋な盤、隠れ好盤に出会うか判らない。よって、ジャズ盤の探索は止められない。
 
 

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  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

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   ・遠い昔、懐かしの『地底探検』

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2022.03.13 更新。

   ・四人囃子の『Golden Picnics』
 
 
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2022年10月30日 (日曜日)

イエロージャケッツの最新作です

思えば、このフュージョン・バンド、イエロー・ジャケッツとても息が長い。1977年、ラッセル・フェランテを中心に結成され、1981年のフュージョン・ブームの最盛期にメジャー・デビュー、昨年メジャー・デビュー40周年を迎えている。レコード会社も幾つか変わり、メンバーも、リーダーのラッセル・フェランテ以外は全て入れ替わっているが、このフュージョン・バンドの音志向は40年以上、大きな変化は無い。

Yellowjackets『Parallel Motion』(写真)。2021年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Russell Ferrante (key), Bob Mintzer (sax), Dane Alderson (el-b, MIDI sequencing), Will Kennedy (ds), guest: Jean Baylor (Vo) track 8。1ヶ月に及ぶ久々の欧州ツアーの終了後、スタジオに入り、録音されたもの。前作より、ベースがデイン・アルダーソンにチェンジしている。

まことに上質のフュージョン・ジャズである。演奏テクニックは高く、フレーズを奏でる「歌心」も十分。アーバンでポップな曲作りは健在。スムース・ジャズの様な、耳当たりの良いイージーリスニング風の音作りでは無い、しっかりとリズム&ビートが効いて、フレーズの展開についても、テクニック的に随所に工夫が見られ、聴いていて飽きることは無い。
 

Yellowjacketsparallel-motion

 
ユッタリ目の曲が全編に渡って続くが、これが、イエロージャケッツの音志向なので戸惑うことも無い。各曲共に、メンバーそれぞれの持ち味が発揮され、フレーズの展開もバリエーション豊かで、マンネリに陥ることは無い。8曲目「If You Believe」でのジーン・ベイラーのヴォーカルもいいアクセント。ボーカル曲がこの1曲に留めていて、演奏のバリエーション不足をボーカルで誤魔化すことの無いところに、イエロージャケッツの矜持を感じる。

パフォーマンスについては、バンドメンバー各人、それぞれの個性を発揮していて高いレベルを維持しているが、特に、リーダーのラッセル・フェンテのキーボードが好調。これまた好調のミンツァーのサックスと併せて、キャッチャーで耽美的で躍動感のあるソロを聴かせてくれる。そして、アルダーソンのベースも魅力的なラインを供給していて良い感じ。このアルダーソンのベースラインが演奏全体を引き締め、演奏自体を印象的なものにしている。

イエロージャケッツのフュージョン・ジャズの良いところは、演奏自体が人間っぽくて血が通った音だ、というところ。現代のフュージョン・ジャズだからといって、打ち込みに頼ること無く、メンバーそれぞれの血の通った演奏で展開されているという、1970年代後半のフュージョン全盛期のフュージョン・ジャズの良いところをしっかりと継承しているところが実に良い。この新作も暫く、ヘビロテになりそうだ。
 
 

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2022年10月29日 (土曜日)

Z世代のジャズデュオの出現!

ジャズは常に「深化」している。新しい演奏スタイルや演奏トレンドが出ることはまず無い時代になったが、新しい他ジャンルの音楽との融合とか、新しいテクノロジーの採用とか、今までのジャズをよりバリエーション豊かに、多様化に拍車をかける様な、新しい響きが芳しいジャズが、今でも時折、出現する。

そして、そういうジャズは、しっかりとジャズの「肝」である即興演奏を展開する。これがまた、今までに聴いたことの無い展開だったりして、これはこれで楽しめる。過去の、旧来のジャズ盤を聴き直すのも良いとは思うが、それではジャズは骨董品化してしまう気がして、それはそれで好きだが、逆に、努めて、今の最新のジャズの音は必ず聴く様にしている。

Domi & JD Beck『NOT TiGHT』(写真左)。2022年7月、ブルーノート・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Domi Louna (key), JD Beck (ds)。さすがはブルーノート、最新のジャズ・エレクトロニカ、現代のジャズ・エレクトロニカの秀作。アルバムのキャッチーコピーは「Z世代のジャズデュオ Domi & JD Beck、待望のデビューアルバム」。
 

Domi-jd-becknot-tight

 
演奏を聴いてみて「驚愕」。なんだこれ、超絶技巧の限りを尽くした様な演奏。加えて、この若さと小悪魔的可愛さのなりで、ハービー・ハンコックやアンダーソン・パーク、サンダーキャット、フライング・ロータス、ルイス・コール、ザ・ルーツなど名だたるアーティストと共演。ポップでキャッチャーで、適度なテンションの中、意外と迫力のあるビートの効いたジャズ・エレクトロニカが展開されている。

1970年代前半のマイルスのエレ・ファンクを、最新の機材・楽器をベースに、エレクトロニカに落とし込んだような、ライトだが質感溢れるファンキーなリズム&ビート。ローファイ新世代独特の無機質なファンクネスと躍動感溢れるグルーヴ。このビートとグルーヴ感が癖になる。演奏の底に流れているのは「アーバンなジャジーな雰囲気」で、演奏の展開は「即興演奏の妙」を伴ったジャズを感じる。

スペイシーでメロウで浮遊感溢れる、限りなく自由度の高いフレーズは、まるで「モーダルなエレクトロニカ」。いやはや、恐るべき才能が現れ出でた。これってジャズなのか、と訝しく思われるジャズ者の方々もおられるだろうが、1970年代以降のエレ・マイルスに違和感を持たないジャズ者の方々はすんなり受け入れられるジャズ・エレクトロニカの秀作だと思います。しっかりチャレンジして下さい。
 
 

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2022年10月26日 (水曜日)

80年代のモード・ジャズの創造

ジャズ・ドラマーがリーダーのアルバムを色々聴き直しているのだが、今回はエルヴィン・ジョーンズに戻る。

エルヴィンは1960年代、ジョン・コルトレーンの伝説のカルテットに在籍したこともあって、エルヴィン単独になっても「コルトレーン・ミュージックの継承者」とか、「コルトレーン・ジャズのスピリッツの伝承者」とか、特に我が国のジャズ評論家の方たちが、こぞって、そんな「レッテル」を張るので、エルヴィン独自のソロ・リーダー作はかなり誤解されながら、その評価が世の中のジャズ者の方々に伝わっていたのだと思う。

Elvin Jones-McCoy Tyner Quintet『Love And Peace』(写真左)。1982年4月13&14日、Rudy Van Gelder Studioでの録音。Trioレコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Elvin Jones (ds), McCoy Tyner (p), Richard Davis (b), Pharoah Sanders (ts), Jean-Paul Bourelly (g)。ファラオ・サンダースのテナーとジャン=ポール・ブレリーのギターがフロントのクインテット編成。
 
リーダーのエルヴィンがドラム、マッコイ・タイナーがピアノ、サックスにファラオ・サンダース、そして、タイトルに「Love」が入っていて、これが「A Love Supreme(至上の愛)」を想起するらしく、この盤「すわ、コルトレーン・ミュージックの再現」と思われる傾向がとても強い。

当時のLP評やCDリイシュー時の評を見ると「コルトレーン・ジャズのスピリットを80年代によみがえらせた」とか「コルトレーンのスピリッツを踏襲した傑作」とか、安直にコルトレーンと結びつけて終わり、という、少しイージーな評価ばかりである。
 

Elvin-jonesmccoy-tyner-quintetlove-and-p

 
しかし、この盤をよくよく聴いてみると、コルトレーン・ミュージックとの共通点は「モード・ジャズである」ということだけだと思う。フレーズの組立てとか、ユニゾン&ハーモニーとか、リズム&ビートとか、コルトレーンの時代とは異なる、より深化したモード・ジャズが展開されていて、コルトレーン・ジャズを踏襲しているところは殆ど見当たらない。

ウィントン・マルサリス一派が標榜した様な「1960年代のモード・ジャズの難度を飛躍的に上げて再現する」様なアプローチでは無く、あくまで、1960〜70年代のモード・ジャズをより深化させた、1980年代のモード・ジャズを具現化するアプローチを志向していると僕は思う。

サンダースのサックスだって、音がストレートなところが共通点だけで、コルトレーンとは似ても似つかぬブロウに終始していると思う。リーダーのエルヴィンだって、ピアノのタイナーだって、ベースのデイヴィスだって、1960年代のコルトレーンの伝説カルテットのリズム・セクションとは異なる、より深化した、モーダルなリズム&ビートを供給している。

この盤、日本のレーベルである「トリオ・レコード」の制作なのが余計に誤解を生むのだろうが、トリオ・レコードの名誉の為に言うと、この盤、決して、コルトレーン・ミュージックの焼き直しでも無ければ、コルトレーン・ジャズの再現でも無い。

トリオ・レコードは、エルヴィン以下のクインテットのメンバーに、1980年代のモード・ジャズの創造を要求している様に感じる。そして、クインテットはそれにしっかり応えている。ちゃんと聴けば、この盤、1980年代のモード・ジャズの傑作の1枚だと思う。
 
 

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2022年10月25日 (火曜日)

ウエストコースト・ジャズの頂点

シェリー・マンは、米国ウエストコースト・ジャズの代表的ドラマーであったと同時に、ウエストコースト・サウンドの体現者でもあった。ドラマーとしても超一流だが、バンド・サウンドのプロデュース&コントロールについても優れた実績を残している。シェリー・マンのリーダー作を聴くと、米国ウェストコースト・ジャズの音が、たちどころに判る、と言っても良い。

Shelly Manne and His Men『Vol.4・Swinging Sounds』(写真左)。1956年1ー2月の録音。ちなみにパーソネルは、Shelly Manne (ds), Stu Williamson (tp, valve-tb), Charlie Mariano (as), Russ Freeman (p), Leroy Vinnegar (b)。ウィリアムソンのトランペット&トロンボーン、マリアーノのアルト・サックスのフロント2管、リーダーのマン、ピアノのフリーマン、ベースのヴィネガーのリズム・セクションのクインテット編成。

収録全曲、とてもウエストコースト・ジャズらしいアレンジが施されている。フロント2管のユニゾン&ハーモニーの響きだけで、この盤はウエストコースト・ジャズの盤だということが判るくらいの、典型的なウエストコースト・ジャズのアレンジ。この盤を聴くだけで、ウエストコースト・ジャズのアレンジの特徴と個性が把握できる。
 

Shelly-manne-and-his-menvol4swinging-sou

 
バド・パウエルのビ・バップの名曲「Un Poco Loco」まで、ウエストコースト・ジャズのアレンジで染められて、フロント2管のユニゾン&ハーモニーで「Un Poco Loco」のテーマを奏でると、「Un Poco Loco」の持つ素晴らしいフレーズがグッと浮き出てくる。「聴かせる」、さすが「聴いて楽しむ」、ウエストコースト・ジャズの面目躍如である。

演奏メンバーのパフォーマンスもそれぞれ好調で聴き応えがある。そんな中でも、やはり、リーダーのマンのドラミングが傑出している。相当に高いテクニックと「歌心」を感じさせるドラミングは、ジャズの歴代のドラマーの中でも「指折り」だろう。特に、この盤でのマンのドラミングは素晴らしい。

このマンのリーダー作を聴くと、録音年の1958年、ウエストコースト・ジャズは、更なる進化の「のりしろ」が見当たらないくらい、完全に成熟していたことが良く判る。ウエストコースト・ジャズのアーティステックな頂点を捉えた名盤だろう。
 
 

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2022年10月24日 (月曜日)

ミッチェルの「お蔵入り」盤です

ファンキーで流麗で明快なトランペッターのブルー・ミッチェル。彼って、ブルーノート・レーベル専属になって初めてのリーダー作が「お蔵入り」になった、気の毒なトランペッターでもある。その「お蔵入り」のジャケットも、ブルーノートのジャケットの平均レベルからすると、明らかに「イケてない」ジャケットで、とにかく気の毒の極みである。

Blue Mitchell『Step Lightly』(写真)。1963年8月の録音。ブルーノートの4142番。ちなみにパーソネルは、Blue Mitchell (tp), Leo Wright (as), Joe Henderson (ts), Herbie Hancock (p), Gene Taylor (b), Roy Brooks (ds)。リーダーのブルー・ミッチェルのトランペット、レオ・ライトのアルト、ジョー・ヘンダーソンのテナーがフロント3管、ハンコックをピアノに据えたリズム・セクションのセクステット編成。

リーダーのミッチェルとベースのテイラー、ドラムのブルックスが、元祖ファンキー・ジャズのホレス・シルヴァー・クインテットの出身。残りの他の3人がどちらかと言えば、モーダルなジャズの推進者で、ファンキー・ジャズとモード・ジャズの混成部隊での演奏になる。恐らく、レーベル側は、ファンキーとモードの「化学反応」を期待したんだろう。が、この盤では、ファンキーとモードが分離している様に聴こえる。
 

Blue-mitchellstep-lightly

 
とにかく、全編、ヘンダーソンのモードに捻れたフレーズが目立つ。そして、ハンコックのピアノとライトのアルトがそれに引き摺られるように、モーダルな音志向に傾いていく。リーダーのミッチェルとベースのテイラー、ドラムのブルックスは、完璧にファンキー・ジャズな音志向でバリバリやりまくるので、ファンキー・ジャズが前面に出れば出るほど、ヘンダーソン、ハンコック、ライトのモードなフレーズが目立ってしまう。

ボーッと聴いていると、ヘンダーソンのリーダー作なのか、と誤解してしまうくらいに、ヘンダーソンのテナーが目立ちに目立つので、ブルー・ミッチェルのファンキーで流麗で明快なトランペットの影が薄くなってしまう。ハンコックもハンコックで、こってこてファンキーなフレーズも弾けるだろうに、ヘンダーソンに合わせがちになるって、ちょっとこれは確かに、僕がプロデューサーでも、この盤は「お蔵入り」にしたくなるなぁ。

ミッチェルのトランペットは好調で申し分無いのに勿体ない録音である。このミッチェルの「ブルーノートでの初リーダー作」は、見事にブルーノートお得意の、カタログ番号もジャケットも確定しているのに「お蔵入り」、になってしまい、初めて世に出たのは、1980年になってからである。ただ、この盤は、聴いていて、当時「お蔵入り」になったのが何となく判る盤ではある。まあ、ヘンダーソンにファンキーなテナーを吹かせる、というのは無謀なんだろうな。とにかく、気の毒な「幻のブルーノートでの初リーダー作」である。
 
 

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2022年10月23日 (日曜日)

聴いて楽しく、体が揺れる盤

ブルーノート・レーベル時代のブルー・ミッチェルのリーダー作って、ファンキー・ジャズというよりは、その先、ジャズロックやソウル・ジャズを志向していたと思うのだ。聴いて楽しい、聴いて踊れるジャズ。そんなエンタテイメント志向のジャズを目指していたように思うし、それをしっかり実現していた。

Blue Mitchell『Down with It!』(写真左)。1965年7月14日の録音。ちなみにパーソネルは、Blue Mitchell (tp), Junior Cook (ts), Chick Corea (p), Gene Taylor (b), Al Foster (ds)。昨日ご紹介した前リーダー作『The Thing to Do』と同じメンバーでの演奏。前作が1964年7月の録音だから、約1年後の同一メンバーでの録音になる。

いきなり、ジャズロック風の「Fungii Mama」で幕を開ける。これが、演奏自体のかなり充実していて、曲の良さもあって、聴き応えのある演奏になっている。この1曲だけでも、この盤は「買い」だと思わせるくらいの、典型的なジャズロック。

うへ〜と思っていたら、2曲目は、ちょっとモーダルなファンキー・ジャズ「Mona's Mood」になって、グッとクールでアーバンな雰囲気にガラッと変わる。でも、演奏の底に濃厚に漂っているのは、軽快でカラッとした「ファンクネス」。ミッチェル&クックのフロント2管のファンキーなユニゾン&ハーモニーが、そのファンクネスを更に深める。
 

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3曲目は素敵なモーダルなバラード「Alone, Alone and Alone」。我が国のトランペットの第一人者、日野皓正作の名バラードである。間と音の拡がりを活かした、いかにも「和ジャズ」風なモーダルなバラード。ミッチェルのトランペットに哀愁感が漂い、ブリリアントで柔和な吹き上げと共に、映えに映える。

4曲目「March On Selma」以降は、ミッドテンポの落ち着いた雰囲気の、クールでアーバンなファンキー・ジャズ〜ジャズロックな曲が続いて、来ていて、思わず体が揺れるし、無意識に足でリズムを取っていたりする。

このバンド・メンバーの、特にリズム・セクションのノリが凄く良い。チックのファンキーな躍動感溢れるピアノも良いし、とりわけ、アル・フォスターのドラミングがジャズロックにばっちりフィットしている。ジーン・テイラーのファンキー・ベースが、このバンドの演奏の「底」をガッチリと押さえている。

名盤という類の盤では無いが、聴いて楽しい、聴いて体が揺れる、クールでアーバンなファンキー・ジャズ〜ジャズロック盤である。楽しむジャズとして良い雰囲気をしていて、聴き込んで、1965年のジャズの流行スタイルがとても良く判る。好盤である。
 
 

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2022年10月22日 (土曜日)

ミッチェルの初ブルーノート盤

ブルー・ミッチェルのリーダー作は、ポップでキャッチャーな、明るく乗りの良いファンキー・ジャズ〜ジャズ・ファンクがメイン。特に、ブルーノート・レーベルに残したリーダー作に、その良いところが余すこと無く記録されている。ファンキーで円やかで流麗なトランペッターの個性をしっかり着目し、録音に残しているところは、さすが、ブルーノートの総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオンである。

Blue Mitchell『The Thing to Do』(写真左)。1964年7月30日の録音。ちなみにパーソネルは、Blue Mitchell (tp), Junior Cook (ts), Chick Corea (p), Gene Taylor (b), Al Foster (ds)。録音日で見ると『Step Lightly』が初ブルーノート盤に見えるが、実はこの『Step Lightly』は当時、お蔵入り。発売されたのが1980年になってから。今回ご紹介する『The Thing to Do』は1965年の発売なので、当時の初ブルーノート盤になる。

リーダーのブルー・ミッチェルのトランペットと、ジュニア・クックのテナーの2管フロント。当時のホレス・シルヴァー・クインテットのフロント管の2人である。アルバム全体の雰囲気は、ソウル・ジャズの一歩手前、成熟したノリノリなファンキー・ジャズである。

バックのリズム・セクションの人選が面白い。ピアノに若き日のチック・コリア。モンゴ・サンタマリアのバンドで頭角を現し始めた頃のチックをいち早く、ブルーノートは採用している。さすがである。ブルー・ミッチェルの下で、ファンキーなピアノを弾くチックは堂々としたもの。ファンキーなフレーズを難なくこなしている。チックはファンキーなピアノも上手い。この盤で再認識である。

ベースが、これまた当時のホレス・シルヴァー・クインテットのベーシストであった、ジーン・テイラー。ミッチェル&クックのフロント2管との呼吸はピッタリ、ファンキーなベースラインをブンブンに弾き進めている。
 

Blue-mitchellthe-thing-to-do

 
そして、一番ユニークなのが、ドラムのアル・フォスター。エレ・マイルスのドラマーとして有名だったアルだが、ファンキーなドラムを叩かせたら上手いのだ。マイルスの下で、エレ・ファンクなビートを刻んでいたアルだが、ファンクネス濃厚なドラミングはお手のものだった、ということがこの盤を聴けば良く判る。しかし、アルフレッド・ライオンって、よくアル・フォスターをブルー・ミッチェルのリーダ作に持って来たもんだ。その豪腕、恐るべしである。

いきなり、カリプソ調の明るく楽しい曲「Fungii Mama」から始まる。これが、あっけらかんとしていて明るくて、リズミカルな演奏。体が自然に動き、足でリズムを取り始める。特に、チックを始めとするリズム・セクションの躍動感が心地良い。

続くファンキーで小粋でスローな「Mona's Mood」も良い雰囲気。イントロのミッチェル&クックのフロント2管のユニゾン&ハーモニーなんて「ファンキー・ジャズ」そのもの。スローでファンクネス濃厚に漂う雰囲気の中、流麗で明快なミッチェルのトランペットが伸びの良いフレーズを吹き上げていく。

3曲目の「The Thing to Do」は、ハードボイルドなジャズロック風、4曲目の「Step Lightly」は、スローで硬派なファンキー・ジャズ。そして、ラストの「Chick's Tune」は、ファンクネス濃厚だが、切れ味の良いモード・ジャズ。ファンキー・ジャズの担い手、ホレス・シルヴァー・クインテット出身の3人を含め、メンバー全員、魅力的な、ファンキーでモーダルなフレーズを連発している。覇気溢れる、爽快溢れるモード・ジャズである。

ハードバップ全盛期に、内容の濃い、成熟したファンキー・ジャズ盤。リーダーのブルー・ミッチェルも、実に楽しそうにトランペットを吹きまくっていて、聴いていて気持ちが良い。若き日のチック・コリアがピアニストとして、参加しているのも見逃せない。とにかく、聴いていてとても楽しいアルバムである。
 
 

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2022年10月21日 (金曜日)

ミッチェルの成熟ファンキー盤

ジャズの世界では、歴史に名を残すイノベーターばかりで無く、歴史を変えたり、新しい演奏トレンドを生み出すことは無いが、その個性と演奏スタイルから、人気ジャズマンとして名を残しているジャズマンが沢山いる。

トランペッターでは、僕は真っ先に「ブルー・ミッチェル(Blue Mitchell)」の名前が浮かぶ。彼は、ジャズにおいて、イノベーターでも無ければ、キーマンでも無い。ファンキーで円やかで流麗なトランペッターという個性で、ジャズの歴史上に名を残している。

Blue Mitchell『Out of the Blue』(写真左)。1959年1月5日の録音。リヴァーサイド・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、ちなみにパーソネルは、Blue Mitchell (tp), Benny Golson (ts), Wynton Kelly (p), Paul Chambers (b, tracks 2 & 5,6), Sam Jones (b, tracks 1,3 & 4), Art Blakey (ds)。今回はややこしいので、CDリイシュー時のボートラ(7曲目)はオミットしてコメントしている。
 

Blue-mitchellout-of-the-blue

 
ブルー・ミッチェルの2枚目のリーダー作になる。テナーにベニー・ゴルソンが、ドラムにアート・ブレイキーが、ピアノにウィントン・ケリーがいる。これだけでも、ファンキー・ジャズが基本の演奏になっているのかな、と想像出来る。フロントの相棒とリズム隊がファンキー・ジャズの担い手達なのだから、ミッチェルもさぞ、吹きやすかったと思われる。

ライトで流麗なファンキー・ジャズが全編に流れる。ブリリアントにファンキーに流麗に、ミッチェルのトランペットが映えに映える。フロントのゴルソンのテナーも何時になく好調に飛ばしているし、リズム隊も絶好調。ケリーも健康優良児的なファンキー・ピアノを弾きまくっていて清々しい。

ネジのアップのジャケットは「?」で、僕は最初、この盤は、プレスティッジ・レーベルの盤かと思った(笑)。リヴァーサイド・レーベルのジャケって、まあまあのものが多いのだが、このジャケは「?」。それでも、内容的には優れていて、メンバー全員が好調の「成熟したファンキー・ジャズ」がこの盤に詰まっている。
 
 

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2022年10月20日 (木曜日)

カナダのジャズ・バンドの異色盤

The Cookers Quintetは、カナダ出身のジャズ・バンド。演奏の基本は「ハードバップ、もしくはファンキー・ジャズ」。21世紀に入ってからの演奏トレンド「ネオ・ハードバップ」とは異なる、どちらかと言えば、1950年代後半の古き良き時代の「ハードバップ」。

そして、もう1つの演奏の基本が「モード・ジャズ」。これも、21世紀に入ってからの演奏トレンド「ネオ・モード」とは違う、1980年代後半からの「新伝承派のモード・ジャズ」とも違う、1950年代後半から1960年代前半のマイルスやコルトレーンがやっていた「モード・ジャズ」。

The Cookers Quintetの演奏は、古き良き時代のハードバップ、もしくはファンキー・ジャズであり、モード・ジャズである。だから聴いていて「あれっ」と思う。しかし、録音が新しいので、再び「あれっ」と思う。実に整った元祖ハードバップであり、元祖ファンキー・ジャズであり、実に良く練られた元祖モード・ジャズである。このジャズの化石のような演奏が、意外と聴いていて面白いのだから、ジャズって判らない(笑)。

The Cookers Quintet『The Path』(写真左)。2021年10月23義、カナダのバンクーバーでの録音。ちなみにパーソネルは、Ryan Oliver (ts), Tim Hamel (tp), Bernie Senensky (p), Alex Coleman (b), Joe Poole (ds)。ハード・バップ~モード・ジャズの魅力を今に伝えるカナダのジャズ・グループ、ザ・クッカーズ・クインテットの通算4作目。
 

The-cookers-quintetthe-path

 
収録曲は全て、バンドのオリジナル曲なんだが、フロント楽器の吹き上げるフレーズを聴いていると、どこか、コルトレーンを想起したり、ホレス・シルヴァーを想起したり、デクスター・ゴードンを想起したり、ウェイン・ショーターを想起したり。まだ、リズム隊のベースを聴いていると、レイ・ブラウンを想起したり、チェンバースを想起したり。

しかし、オリジナルの演奏に比べると、洗練さと繊細さが加味されているところが「ミソ」。21世紀に入ってからの演奏なので当然といえば当然なんだが、古き良き時代のハードバップ、もしくはファンキー・ジャズ、モード・ジャズが、現在において、洗練されて、新しいオリジナル曲となって、リニューアルされているところが、このバンド演奏の面白さ。

洗練さと繊細さが実に趣味良く、実に小粋に反映されているところが無ければ、単なる古き良き時代のジャズのコピー・バンドとして無視されるところである。すれすれのところで、この盤は、現代ジャズの好盤として評価できる。

古き良き時代のハードバップ、もしくはファンキー・ジャズ、モード・ジャズを、現代のジャズ・シーンに、雰囲気そのままに甦らせる。カナダ出身のジャズ・バンドだから出来る、良い意味での「暴挙」(笑)。
 
 

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2022年10月19日 (水曜日)

アヴィシャイのピアノ・トリオ盤

ベースやドラムは「リーダーの担当楽器」として前面に押し出すのが難しく、いきおい、ベーシストやドラマーがリーダーのアルバムは少ない。特にベーシストがリーダー作はかなり数が限られる。

ジャズ・ベーシストのリーダー作は幾つかのケースに分かれるが、リーダーとして自分の音世界をプロデューサーの様に創造していくケースが一番多い。自らはその音世界の創造を支える側に回って、自らのベースはあまり前面に出ることは無い。それでも、その音世界の表現が素晴らしい、つまり、ベーシストのセルフ・プロデュースの能力が優れていると、ジャズ・ベーシストのリーダー作として成立する。

Avishai Cohen『Shifting Sands』(写真左)。2021年8月の録音。ちなみにパーソネルは、Avishai Cohen (b), Elchin Shirinov (p), Roni Kaspi (ds)。イスラエル出身天才ベーシスト、アヴィシャイ・コーエンのリーダー作。前作はオーケストラを率いた重厚な盤だったが、今回は、シンプルにピアノ・トリオな編成でまとめている。収録されている曲は、パンデミック中にエルサレム近郊の自宅でアヴィシャイ・コーエンがピアノで作曲したもの、とのこと。

内容的には、いわゆる「イスラエル・ジャズなピアノ・トリオ」である。フレーズの中に、イスラエルをメインとするルーツ音楽やクラシック音楽の「音要素」が、そこかしこに感じられる。全体の音志向は「哀愁を帯びたイスラエルな独特の響きと多様性を感じるクールなビート」を核とした、現代のネオ・モーダルなジャズである。
 

Avishai-cohenshifting-sands

 
まず、アゼルバイジャン出身のピアニスト、エルチン・シリノフの独特なタッチに耳を奪われる。「誰だ、これ」と思わず思うくらい、独特なタッチ。恐らく、イスラエルをメインとするルーツ音楽やクラシック音楽の「音要素」の影響だろう、シリノフのフレージングも独特。欧州ジャズにも米国ジャズにも無いピアノ。独特の哀愁感が豊かなエコーによって増幅されて、固くて幽玄な音世界がこれまた独特。

新加入の若手の女性ドラマー、ロニ・カスピのドラミングも個性的。伸び伸び元気よく小気味良いドラミングを披露する。そう小気味が良いのだ。力感溢れるドドドンな迫力満点なドラミングでは無い。切れ味良く、ピッチが正確で、とにかく小気味の良いドラミング。これが、哀愁感溢れる固くて幽玄なシリノフのピアノと対照的で、双方の相乗効果で、唯一無二のインタープレイを展開する。

アヴィシャイのベースは、そんな2人のパフォーマンスの底をガッチリと支え、リードする。アビシャイの弾き出すフレーズも独特なもので、これも、恐らく、イスラエルをメインとするルーツ音楽やクラシック音楽の「音要素」の影響だろう。しかも、アヴィシャイのベースは硬質で切れ味良く、胴鳴りが良い。良い意味で、もっと騒がれても良い、優れた現代ジャズ・ベースである。

現代イスラエル・ジャズをベースとしたピアノ・トリオ演奏の代表盤の1枚として、もはや無視出来るレベルでは無い。しっかりと認知して、しっかり聴き込んで頂きたいアヴィシャイのピアノ・トリオ盤である。
 
 

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2022年10月18日 (火曜日)

チックの考えるエレ・マイルス

チック・コリアのリーダー作の振り返り。リーダー作の第3弾。前リーダー作『Now He Sings, Now He Sobs』で、録音当時、ピアノ・トリオの最先端を行くパフォーマンスを披露したチック・コリア。次作では、いきなり「フリー・ジャズ」に接近する。

Chick Corea『Is』(写真左)。1969年5月11–13日の録音。ちなみにパーソネルは、Chick Corea (ac-p, el-p), Woody Shaw (tp), Bennie Maupin (ts), Hubert Laws (fl, piccolo-fl), Dave Holland (b), Jack DeJohnette, Horace Arnold (ds)。

チック・コリアがリーダー。ショウのトランペット、モウピンのテナー、ロウズのフルートがフロント3管。チックのキーボードに、ホランドのベース、そして、デジョネットとアーノルドのダブル・ドラム。

今の目で見ると、明らかに当時のマイルス・デイヴィスのバンドの編成を意識していることが判る。このパーソネルに上がったメンバーが全員で集って演奏することは無い。曲によって、メンバーを選別している。これもマイルス流のプロデュースのやり方を踏襲していることが判る。

それもそのはずで、チックが録音した時期は、チックがマイルス・バンドに参加していて、アグレッシヴでエモーショナルなローズをブイブイ弾き回していた頃。それでやっと合点がいった。この盤は、チックの考える「当時のエレ・マイルス」である。それで、この盤の内容がやっと理解出来る様になった。

以前は、この盤を聴いて「チックがフリー・ジャズに走った」と思って、しばらく敬遠していたのだが、改めて聴いてみて、そもそも、これって、フリー・ジャズでは無い。
 

Chick-corea-is
 

インプロビゼーションの進め方を統制する「リズム&ビート」が、演奏の底に流れていて、その「リズム&ビート」を決して外すこと無く、限りなく自由度の高い、アグレッシヴでクリエイディヴなモード・ジャズをやっている。

当時のマイルス・バンドとの違いは「ファンクネスの濃度」。「ジャズの即興性への飽くなき追求」と「クールでヒップなフレーズとビートの創造」については、マイルス・バンドと志向は同じ。

コリアのキーボード、ショウのトランペット、モウピンのテナー、ロウズのフルート。フロント楽器はいずれもハイテクニックでフレーズが尖りに尖っている。それでいて、フレーズのトーンはクールで革新的。切れ味良く、ダレたところは全く無い。

そして、要の「リズム&ビート」を担うのは、ホランドのベースと、デジョネット&アーノルドのドラム。ホランドのベースは、限りなく自由度の高いフロントのパフォーマンスの底を、負けずに自由度の高い、クリエイティヴなベースラインでガッチリ支える。デジョネット&アーノルドは、これまた自由度の高い、ポリリズミックなドラミングでフロントと対峙する。

やっとこの『Is』という盤の凄さが理解出来た気がする。現在では、このアルバム『Is』の演奏は『The Complete "Is" Sessions』で聴くことが出来るが、やはり、このオリジナル・アルバムの曲数と曲順、「Is」「Jamala」「This」「It」の順で聴くのが一番。オリジナル・アルバムの意図と志向が良く判るのでお勧め。

この『Is』の音志向は、チックの考える「当時のエレ・マイルス」。やっとこの『Is』について決着が付いた気分である。
 
 

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2022年10月17日 (月曜日)

粋なオールド・スタイル・テナー

スイング時代からビ・バップを経験すること無く、中間派を経由して、ハードバップ期に至るまでの期間、三大テナーマンとして君臨したのが、コールマン・ホーキンス、ベン・ウエブスター、レスター・ヤング。この3人は、ロリンズとコルトレーンが新しいスタイルのモダン・テナーを流行らせるまで、テナー・サックスの吹奏スタイルを代表する3人だった。

今では「オールド・スタイル」と形容される、テナー・サックスの吹奏スタイルで、濃厚なビブラート、音のしゃくり、様々な装飾音、サブトーンの多用などが特徴。吹奏のテンポはスロー〜ミッドテンポで、高速フレーズは基本的に吹かない。この「三大テナーマン」は、この「オールド・スタイル」な吹奏で一世を風靡したのだ。

『Coleman Hawkins Encounters Ben Webster』(写真左)。1957年10月16日、LAでの録音。ちなみにパーソネルは、Coleman Hawkins, Ben Webster (ts), Oscar Peterson (p), Herb Ellis (g), Ray Brown (b), Alvin Stoller (ds)。そんな三大テナーマンのうちの2人、コールマン・ホーキンス、ベン・ウエブスターが共演した素敵なアルバム。

この盤のホーキンスとウエブスターのテナーを聴けば、オールド・スタイルと呼ばれる吹奏スタイルが良く判る。モダンだのモードだの全く眼中に無し。そこにあるのは「ジャズ・テナーの基本」。粋なジャズ・テナーである。

音が基本的に大きい。表現力は半端なく、歌心は豊か。吹奏テクニックはレベルが高く、ビブラート、しゃくり、装飾、サブトーン、どのテクニックも難なくこなす。そんな「ジャズ・テナーの基本」がこの盤に詰まっている。

吹奏のテンポもスロー〜ミッドテンポで固められ、2人のテナーを楽しむ、2人のテナーをじっくり聴く、いわゆる「聴かせるジャズ」が展開される。アドリブ・フレーズもバリエーション豊か。たまに「引用」などもかましながら、粋なジャズ・テナーを展開していく。
 

Coleman-hawkins-encounters-ben-webster_1

 
ヴァーヴは大手レーベルなので、実験的、先進的なジャズを追求すること無く、一般大衆に向けた「聴き心地の良いジャズ」をプロデュースする傾向にある。それが、この盤にバッチリ反映されている。

1つ間違えば「イージーリスニング的な軽音楽」に陥りそうなオールド・スタイルの吹奏だが、ホーキンスとウエブスターの卓越したテクニックと豊かな歌心を兼ね備えたテナーが聴き応え満点で、最後までじっくりと聴き込んでしまう。まるで唄うが如くのテナーで、一流のジャズ・ボーカルを聴き込んでいる錯覚に陥る様な、そんな感じがとても心地良い。

リズム・セクションの要、ドラムにアルヴィン・ストーラーを起用しているのも合点がいく。ストーラーは、フランク・シナトラをはじめ、シンガー御用達ドラマー。フロント2管、まるで唄うが如くのホーキンスとウエブスターのテナーをしっかりとサポートし、しっかりと鼓舞している。

バックに控えるリズム・セクションもふるっていて、当時、ヴァーヴ専属だった、ピアノの達人のピーターソン、燻し銀ギターのエリス、ベース職人ブラウンの、当時の「オスカー・ピーターソン。トリオをまるまる起用している。さすが、当時の大手ジャズ・レーベルのヴァーヴ。リズム・セクションにも一流どころをしっかりと起用して、全く手を抜かない。

1957年、ハードバップ成熟期の中での、オールド・スタイルのテナー盤。内容としてどうだろう、当時の流行だったモードやファンキーに迎合していないか、不安だったが、それは全くの杞憂であった。モダンやモード、ファンキーなど全く眼中に無し。自分達のスタイルである「オールド・スタイル」そのままに、モダンなジャズを展開している。いやはや豪気である。
 
 

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2022年10月16日 (日曜日)

ロイド「Trio of Trios」の第一弾

1960年代後半から1970年代前半にかけて、チャールス・ロイドは売れた。ロイドのテナーは「こじんまりしたコルトレーン」、言い換えれば「期待を裏切らない、予想を外さないコルトレーン」。アブストラクトにも振る舞うんだが、徹底的に、ということは無く「安全運転のコルトレーン」。

どうにもコルトレーンのコピーのイメージがつきまとう。当時のジャズ者の方々は、ロイドに「判り易いコルトレーン」を求めていた様に思う。ロイドもそれに応えた。しかし、人気を獲得したのもいきなりだったが、飽きられるのも早かった。1970年代後半以降、ほぼ忘れ去られた状態のテナーマンであった。

が、1989年、ECMレーベルに出会って復活。テナーの音志向は「北欧ジャズ」。しかし、テナーの音は、北欧ジャズの「クリスタルな切れの良い」音よりも暖かでエッジが丸い。加えて、米国ジャズ譲りの、クールな熱気をはらんだテナーは、欧州のテナーマンには無い独特の個性だった。21世紀に入って顕著になった、米国ジャズの「欧州ジャズへの接近」を先取りしていたと言える。

そして、2015年、ECMレーベルを離れて、ブルーノート・レーベルに移籍。欧州ジャズ志向のロイドのテナーはどうなるんだ、と思っていたら、当時、流行始めていた「静的でクールなスピリチュアル・ジャズ」に音の志向を大きく変えていた。

1960年代後半の「判り易いコルトレーン」、ECM時代の「欧州ジャズへの接近」、そして、現在の「静的でクールなスピリチュアル・ジャズ」と、それぞれの時代の「流行」をよく読んで、音の志向を変えている。機を見て敏なる、というか、意外と変わり身の早いテナーマンである。まあ、それぞれの音の志向が、水準以上のパフォーマンスを持って表現されるのだから、テナーマンとしての実力は一流である。
 

Charles-lloydtrios-chapel

 
Charles Lloyd『Trios: Chapel』(写真左)。2018年12月4日、テキサス州サンアントニオのコーツ・チャペルでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Charles Lloyd (ts, Alto-fl), Bill Frisell (g), Thomas Morgan (b)。資料によると、3つのトリオによる3枚のアルバムからなる新プロジェクト「トリオ・オブ・トリオズ」の第一弾、とのこと。

この「トリオ・オブ・トリオズ」の第一弾は、ドラムレス、テナー、ギター、ベースの変則トリオ編成。ギターは、捻れスピリチュアル・エレギの達人、ビル・フリゼール。ベースは、フリゼールとの共演実績もある若手ベーシスト、トーマス・モーガン。コーツ・チャペルという、会場の礼拝堂の音響特性上、ドラムやパーカッションは排除したらしい。

ビリー・ストレイホーン作曲の「Blood Count」で始まるのだが、演奏の志向は「静的でクールなスピリチュアル・ジャズ」。ストレイホーンの楽曲を静的なスピリチュアル・ジャズにアレンジするところなどは、良い意味で実に「あざとい」。キューバのシンガーソングライター、ボラ・デ・ニエベの「Ay Amor」も、感情豊かにテナーを吹き上げて、スピリチュアルな響きが濃厚。アルト・フルートで演奏するオリジナル「Beyond Darkness」も、フルートの音色が聴き手の感情を揺さぶる。

限りなく自由度の高い、3人三様のインタープレイが素晴らしい。フリゼールのエレギの音はもともとスピリチュアルだし、トーマス・モーガンのベースは、自由度高く、スピリチュアルに展開するロイドとフリゼールをガッチリ受け止め、しっかりと的確なビートを提供している。適度なテンションの下、発想豊かで歌心溢れるインタープレイは、このトリオ3人の相性の良さが窺い知れる。

今から「トリオ・オブ・トリオズ」の第二弾が楽しみである。良い意味であざとくもあるが、「静的でクールなスピリチュアル・ジャズ」なロイドは充実している。このライヴ盤も、現代のモダン・ジャズとして一聴すべき好盤だろう。
 
 

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2022年10月15日 (土曜日)

ピエラヌンツィのクインテット盤

最近、やたら、エンリコ・ピエラヌンツィ(Enrico Pieranunzi)のリーダー作が目に付く。コロナ禍にも負けず、ピエラヌンツィの活動は充実しているのだろう。加えて、ピエラヌンツィは現代ジャズ・ピアノ、特に欧州ジャズ、伊ジャズにおけるピアニストの第一人者の1人として、その実力がジャズ界で認められているからだろう、と思っている。

Enrico Pieranunzi Quintet『The Extra Something』(写真左)。2016年1月13, 14日、NYの「The Village Vanguard」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Enrico Pieranunzi (p), Diego Urcola (tp, tb), Seamus Blake (ts), Ben Street (b), Adam Cruz (ds)。トランペット or トロンボーンとテナー・サックスのフロント2管のクインテット編成。

ピエラヌンツィは、フロント楽器としてのピアノのテクニックも素晴らしいが、カルテットやクインテット編成の中で、リズム・セクションに回った時の伴奏楽器としてのピアノのテクニックも卓越したものがある。このライヴでは、現代のネオ・モードな演奏がメインで、限りなく自由度を追求した、柔軟で硬派なモード・ジャズが展開されている。
 

Enrico-pieranunzi-quintetthe-extra-somet

 
モードをやらせてもピエラヌンツィのピアノは素晴らしいのだが、このライヴ盤では、バリバリにアグレッシヴに弾きまくっていて、とにかく爽快である。弾きまくるのだが、フロントを差し置いて、独りよがりにバリバリ弾くのでは無い、フロント楽器のフレーズを引き立て鼓舞する、実に小粋な弾き回しをしているのには感心する。とにかく、モーダルなピアノを弾かせたら上手い。

ピエラヌンツィ以外の4人のメンバーも、NYジャズの精鋭達で、ピエラヌンツィのピアノに鼓舞されて、新鮮なネオ・,モードなフレーズをバンバン吹きまくる。しっかりとパフォーマンスの必要最低限の規律を守りつつ、限りなく自由にクリエイティヴにアドリブ展開する様は迫力満点。即興演奏を旨とするジャズの良いところが、このライヴ盤に満載。

そして、このライヴ盤、音が良い。とっても良いライヴ録音で、まるで、ヴィレッジ・ヴァンガードの最前列に陣取って、聴いているような、目の前で楽器が鳴っている様な、生々しい音が魅力的。ピエラヌンツィのクインテット盤、トリオ盤とはまた違ったピエラヌンツィのピアノの魅力が満載で、聴いていて飽きることが無い。
 
 

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2022年10月14日 (金曜日)

ズートをリラックスして堪能

ズート・シムスは我が国では、あまり人気の無いテナーマンだった。レコード会社にとって、コマーシャルなところが少なくて、売れない、と踏まれたのだろう。でも、ズートの名盤を聴いたジャズ者の多くが、ズートのテナーのファンになる。

歌心溢れ、スインギーで小粋。そんなズートのテナーって、東海岸ジャズ志向でも無く、西海岸ジャズ志向でも無い独特なテナーで、扱いに困るところがあるんだろうなあ。でも、良いものは良い。そんなズートのテナーである。

Zoot Sims『Cookin'!』(写真)。1961年11月13〜15日、ロンドンの「Ronnie Scott Club」でのライヴ録音。ちなみに、Zoot Sims (ts), Stan Tracy (p), Kenny Napper (b), Jackie Dougan (ds)。

UKフォンタナ・レーベルに残されたズート・シムズの傑作ライヴ盤。ラストの「Desperation」だけが、トランペットで客演した Jimmy Deuchar (tp) のオリジナルだが、他はジャズ・スタンダード曲で固められている。歌心溢れ、スインギーで小粋なズートのテナーには、ジャズ・スタンダード曲が良く似合う。
 

Zoot-simscookin

 
「Desperation」1曲だけズートのテナーとドーチャーのトランペットの2管フロントだが、他はズートのテナー1管フロントの「ワンホーン・カルテット」の演奏なので、ズートのテナーが心ゆくまで楽しめる。ズートのテナーはワンホーンが良い。

「Stompin' At The Savoy」「Love For Sale」「Somebody Loves Me」「Gone With The Wind」「Autumn Leaves」と超有名スタンダード曲のオンパレード。どの曲も流麗でキャッチャーなメロディーを持つ佳曲ばかりで、ズートのテナーの歌心とスイング感が映えに映える。

バックのリズム隊は、皆、英国出身の「地元ジャズマン」。ズートのスインギーなテナー・サックスを精一杯サポートしている雰囲気が素敵で破綻が無い。皆、精一杯、健闘している。

このライヴ盤が録音された1961年。ハードバップは成熟し、多様化の時代、ポップ化の時代に入った時期。そんな時期に、成熟したハードバップなリズム隊をバックに、歌心溢れ、スインギーで小粋なテナーを吹き上げるズート。気軽にリラックスして、ズートのテナーが心ゆくまで堪能出来る佳作である。
 
 

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2022年10月13日 (木曜日)

米国西海岸ジャズのお手本

米国西海岸ジャズを代表するドラマーと言えば、シェリー・マン(Shelly Manne)。というか、シェリー・マンしか浮かばないほど、シェリー・マンのドラマーとしての存在は突出している。

Shelly Manne and His Men『Vol.1 : The West Coast Sound』(写真左)。1953年4月, 7月, 9月の3つのセッションの寄せ集め。シェリー・マンの2枚目のリーダー作。フロントは、トロンボーン、バリサク、テナー、アルトの4管フロント。リズム隊はスタンダードな「ピアノ・ベース・ドラム」。全部合わせて、セプテット(七重奏団)構成。米国西海岸ジャズお得意の「アレンジ」が映える大人数の編成である。

ちなみにパーソネルは、Shelly Manne (ds), Bob Enevoldsen (valve-tb), Jimmy Giuffre (bs) の3人は3つのセッションに全参加。セッション毎の参加については、1953年4月と7月の2セッション参加は、Bob Cooper (ts), Marty Paich (p)。1953年4月のみは、Art Pepper (as), Curtis Counce (b)。1953年7月のみは、Bud Shank (as), Joe Mondragon (b)。1953年9月はガラッと変わって、Joe Maini (as), Bill Holman (ts), Russ Freeman (p), Ralph Peña (b)。

米国西海岸ジャズらしく、アレンジは6人が分担して担当している。が、このシェリー・マンの3つのセッションについては。6人のアレンジ担当が分担しているにも関わらず、当時の米国西海岸ジャズの音の傾向をしっかり踏まえた、バラツキの無い、一貫性のあるアレンジになっているのには感心する。
 

Vol1-the-west-coast-sound

 
いわゆる、小粋で洒落たアレンジを施し、演奏者の高テクニックと豊かな歌心による、「聴かせる」ジャズ &「鑑賞する」ジャズ。そんな米国西海岸ジャズのお手本の様なジャズが、このアルバムの中にギッシリ詰まっている。

しかも「聴かせる」ジャズに必須アイテムのスタンダード曲が、アルバム全12曲中、半分の6曲。残りの6曲は、セッション参加メンバーのオリジナル曲なんだが、これがなかなかの出来。スタンダード曲の中に混じりながら、メンバーのオリジナル曲に違和感が無い。洒落たアレンジを施されて、スタンダード曲と並べて遜色の無い、メロディアスでキャッチャーなフレーズを持った佳曲の数々。

3セッションの参加メンバーは、何れも米国西海岸ジャズの名手揃い。この盤が録音されたのは1953年。この1953年で、米国西海岸ジャズの「音の志向」は確立されていたことが良く判る。「小粋で洒落たアレンジ」と「演奏者の高テクニックと豊かな歌心」。この2要素が、米国西海岸ジャズにおいて重要であることが、この盤を聴いていて良く判る。

名手シェリー・マンのドラミングについては申し分無い。米国西海岸ジャズにおける、ドラマーの第一人者であることが良く判る。演奏全体の出来も米国西海岸ジャズらしくて良し、リーダーのマンのドラミングも良し。申し分無い、マンの2枚目のリーダー作である。
 
 

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2022年10月12日 (水曜日)

ジャズ喫茶で流したい・253

ズート・シムス(Zoot Sims)は、玄人好みのサックス奏者である。というのも、コマーシャルなところ、キャッチャーなところが無いので、内容の良いリーダー作についても、ジャズ盤紹介本やジャズ雑誌にその名が上がることが少ない。恐らく、日本のレコード会社のプロモーションの乗りそびれたのだと思われる。

確かに、ハードバップ期から第一線で活躍しているが、ハードバップ以降、ジャズの多様化の時代にも、ズートは自分のテナーのスタイルや演奏志向を変えたことが無い。ずっと、ハードバップ時代のズートで居続けている。これが、売る方からすると「コマーシャルなところ、キャッチャーなところが無い」ということになるのだろう。

Zoot Sims『The Modern Art of Jazz』(写真左)。1956年1月11&18日、NYでの録音。“幻”のレーベルといわれるDAWNレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Zoot Sims (ts), Bob Brookmeyer (valve-tb), John Williams (p), Milt Hinton (b), Gus Johnson (ds)。リーダーのズートのテナーと、ブルックマイヤーのバルブ・トロンボーンのフロント2管のクインテット編成。

1956年にNYでの録音だが、音の雰囲気は「米国ウエストコースト・ジャズ」。フロントのズートのテナーとブルックマイヤーのトロンボーンのフロント2管のスインギーな「チェイス、ユニゾン、ハーモニー」が実に心地良く響く。アルバム全曲、優れたアレンジで「聴かせる」ジャズを展開している。
 

Zoot-simsthe-modern-art-of-jazz

 
当時の東海岸ジャズの熱気溢れる「ジャム・セッション」でも「熱いインタープレイ」でも無い。クールに流麗に、優れたアレンジに乗って、演奏テクニック、そして歌心を駆使して、聴いて楽しいハードバップ・ジャズを展開している。収録全8曲中、半分の4曲がスタンダード曲だが、このスタンダード曲のアレンジと解釈が、とりわけ「聴きもの」なのだ。

とりわけ冒頭の3曲のスタンダード曲、「September in the Rain」〜「Down at the Loft」〜「Ghost of a Chance」の演奏には「参った」。特に歌心溢れるズートとブルックマイヤーの演奏が群を抜く。3曲目のバラード曲「Ghost of a Chance」における情感溢れるズートのテナーと抱擁感溢れるブルックマイヤーのトロンボーンが絶品である。

ジョン・ウィリアムスのピアノ、ミルト・ヒントンのベース、ガス・ジョンソンのドラムのリズム隊も、ズートとブルックマイヤーの演奏にならって、ポジティヴで明るくてスインギーなサポートを展開していて、ズート&ブルックマイヤーのフロント隊との相性抜群である。ほんと良いサポートである。

ジャケも雰囲気があってグッド。LP時代は「幻の名盤」の誉れ高い逸品。CDでリイシューされ、今ではストリーミングでも聴くことが出来る様になった。ズートは玄人好みのテナーマンと言われるが、もっともっと、一般のジャズ者の方々に聴いて貰いたい。聴けば判るが、小粋で味わい深く判り易い、ハードバップなテナーマンである。
 
 

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2022年10月11日 (火曜日)

ブロンバーグのベース・ソロ盤

ベーシストがリーダーのアルバムには、テクニックを重視した、その特徴的な演奏テクニックを全面に押し出した内容のものも多くあるのだが、ベース・ソロだけのアルバムは殆ど無い。

その理由として、ベースの場合、速いフレーズのソロを取りにくいこと、そして、リズム&ビートを醸し出すのが、基本的に難しいこと、その2点が上げられるだろう。

Brian Bromberg『Hands』(写真)。2008年7月録音。ちなみにパーソネルは、Brian Bromberg (ac-b)のみ。副題の「Solo Acoustic Bass」とある。 2009年4月にリリースされた、ブライアン・ブロンバーグのアコベのソロ盤。全編、風呂バーグのベース・ソロのみの演奏が収録されている。

ブライアン・ブロンバーグ(Brian Bromberg)は、米国アリゾナ州ツーソン出身。1960年生まれなので、今年で62歳になるベテランのベーシスト。1986年にスムース・ジャズのジャンルで初リーダー作。僕は21世紀に入るまで、ブロンバーグの存在を知らなかった。ブロンバーグの存在を知ったのは、神保彰とのプロジェクト、JBプロジェクトを通じてで、つい最近である。

ブロンバーグのベースは、相当に高いテクニックと豊かなスイング感、骨太でソリッドな切れ味の良い重低音、存在感抜群のベースである。そんなアコベらしいアコベで、ソロ・パフォーマンスを展開するのだから、聴く方としては興味津々。

これまでに、ブロンバーグはリーダー作の中で、ベース・ソロのアルバムを何枚か出している。どれもが優れた出来ばかりなので、どの盤から聴き始めても良いのだが、僕はこの『Hands』の収録曲のユニークさに惹かれる。
 

Brian-bromberghands

 
レッド・ツェッペリン(以降、Zepと略)の「Black Dog」、ビートルズのメドレー「Day Tripper-Yesterday-Eleanor Rigby」、スティングの「King of Pain」とロック畑の曲を選んでいる。スタンダード曲も沢山あって聴きどころ満載。そして、エレベのイノベーター、ジャコ・パストリアスの名曲「Teen Town」をアコベでカヴァーしている。

特に、Zepの「Black Dog」はハードロックの名曲で、速くて難度の高いフレーズがてんこ盛りなんだが、このややこしい曲をアコベ一本で弾き切っている。ベース一本でロックンロールのビートは「どうするんじゃぃ」と半信半疑で聴いたが、これが見事で、弾き進めるフレーズに強弱のビートを付けて、ロックなオフビートを出しているのだ。これ、テクとセンスが無いと出来ない技である。

そして、ジャコの「Teen Town」。ジャコのベース・ソロはエレベだった。弦の響きを電気的に増幅するので、速いフレーズも弾けた訳だが、これをブロンバーグはアコベでやっている。アコベは弦の電気的な増幅が出来ないので、手でしっかりと弦を弾かなければならない。当然、しっかり弾く分、速いフレーズは苦手なはずだが、ブロンバーグはほぼジャコの様に、アコベで「Teen Town」をカヴァーしている。いやはや素晴らしいテクニックだ。

ロックな曲も、ジャコの曲も、スタンダード曲もし全てアコベ一本で弾き切る。どの曲も、リズム&ビートは、フレーズを弾き進める際、フレーズに強弱を付け、「ため」を織り込むことで、フレーズを弾き進める中で、リズム&ビートを同時供給している。これ、結構、難しいテクニックのはずで、これだけ見事に、フレーズを弾き進める中でリズム&ビートを同時供給するベースを僕は余り知らない。

全編、アコベのソロだけ、なんだが、そんな高度なテクニックを駆使して、歌心よろしく、リズム&ビートをソロ・フレーズと同時供給していく奏法が功を奏して、全編、全く飽きが来ない。録音状態も良く、ブロンバーグの生々しいアコベの低音が生々しく耳に迫ってくる。

ジャズ・ベースが好きなジャズ者の方々にお勧め。特に、実際にベースを弾いたことがあるジャズ者の方に聴いて頂きたい、ブロンバーグのソロ盤である。
 
 

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2022年10月10日 (月曜日)

Roland Hanna Trio『Glove』

ローランド・ハナ(Roland Hanna)のピアノは、端正でタッチが堅実、そして、典雅なフレーズ、典雅なアドリブが個性のピアニストである。リーダー作は常に平均点以上の出来をキープし、破綻が無い。逆に、個性的な手癖や弾き回しがある訳では無い。いわゆる「総合力で勝負するタイプ」のジャズ・ピアニストの1人。

ハナは米国デトロイト出身。1932年生まれ、2002年11月に70歳で鬼籍に入っている。ハードバップ期に若手ジャズ・ピアニストとして活躍したはずなのだが、リーダー作は2作しかない。リーダー作を量産し始めたのは、1970年代に入ってから。ジャズはマニアックな音楽ジャンルに追いやられ、ジャズとしては辛い時代だったのだが、ハナはいきなりリーダー作を量産し始める。

Roland Hanna Trio『Glove』(写真左)。1977年10月15日、日本(東京・青山ビクタースタジオ)での録音。トリオ・レコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Roland Hanna (p), George Mraz (b), Motohiko Hino (ds)。ベースに名手ムラーツ、ドラムに我が国の日野元彦を配したトリオ編成。ハナの1970年代量産リーダー作の1枚である。
 

Roland-hanna-trioglove

 
我が国のトリオ・レコードの制作。良好なプロデュースの下、ハナのピアノの個性をしっかりと捉えた好盤である。ハナは「総合力で勝負するタイプ」のジャズ・ピアニストの中でも、タッチが力強く、ダイナミックでドライブ感が豊か。スタンダード曲を、ハイ・テクニックのアレンジに乗って、破綻の無い、典雅で硬質なタッチで、事も無げに弾き進めていく。

ベースのムラーツが良い。ハナのハイ・テクニックな弾き回しを骨太なブンブン・ベースでガッチリとサポートする。そして、日野元彦のドラミングがこれまた良い。ムラーツのベースラインに寄り添うように、柔軟で堅実なリズム&ビートを供給する。このリズム隊があってのハナのパフォーマンスであることが、この盤を聴いていて良く判る。

良きリズム隊を得て、ハナのピアノが心地良く乱舞する。確か、この盤は当時流行の「ダイレクト・カッティング録音」の盤だったと記憶する。ピアノの音、アコベの音、ドラムの音、どれもが生々しく活き活きとした鮮やかな音で捉えられていて、聴いていてとても気持ちが良い。演奏良し、録音良し。ハナの1970年代リーダー作の代表的な1枚である。
 
 

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2022年10月 9日 (日曜日)

シェリー・マンの初リーダー作

最近、ドラマーがリーダーのアルバムを聴き直している。特に、エルヴィン・ジョーンズ、ロイ・ヘインズを中心に聴き直していて、今の耳で聴くと、以前、若かりし頃に聴いた印象とは異なる音、もしくは、若かりし頃には気が付かなかった音が聴けて面白い。

そんな中、まだ、有名なジャズ・ドラマーを忘れているぞ、と思って、ライブラリーを見渡したら、米国ウエストコースト・ジャズのレジェンド・ドラマーであるシェリー・マンのリーダー作をしばらく、聴き直していないのに気がついた。これはこれは、大物ドラマーを見落としていた。即、ライブラリーからリーダー作をチョイスして、聴き直しを始めた。

Shelly Manne『The Three & The Two』(写真左)。"The Three" が 1954年9月10日、"The Two" が 同年9月14日の録音。ちなみにパーソネルは、"The Three" が、Shelly Manne (ds), Jimmy Giuffre (cl, ts, bs), Shorty Rogers (tp)。"The Two" が、Shelly Manne (ds), Russ Freeman (p)。リリース順でいくと、シェリー・マンの初リーダー作になる。

かなり変則な編成である。"The Three" が、リーダーのドラムに、クラリネット&サックス、トランペットの変則トリオ。"The Two" が、リーダーのドラムにピアノのデュオ編成。メンバーそれぞれの演奏力がとても高く、アレンジが優れているので、各曲の演奏それぞれが凄く充実している。
 

Shelly-mannethe-three-the-two

 
演奏の密度、演奏の充実度、演奏のレベル、どれもがかなり「高い」。トリオ演奏、デュオ演奏とは思えないほどである。特に「Autumn in New York」や「Steeplechase」「Everything Happens to Me」「With A Song In My Heart」など、スタンダード曲に、そんな「演奏の妙」が炸裂している。

リーダーがドラマーである。そして、ウエストコース・ジャズ全盛期の録音である。当時のウエストコースト・ジャズの大きな特徴である「優れて洒落たアレンジ」が、シェリー・マンのドラミングを引き立たせ、シェリー・マンのドラミングの妙を前面に押し出している。そして、演奏メンバーそれぞれが、そんな「優れて洒落たアレンジ」に、余裕を持って応えている。

そんな演奏の中、シェリー・マンのドラミングのテクニックは素晴らしいものがある。硬軟自在、変幻自在、緩急自在、シンバルワークのテクニックから、叩き出すリズム&ビートの洗練度合いまで、ウエストコースト・ジャズ独特の個性を反映した「聴かせるドラミング」がアルバムにギッシリ詰まっている。

採用理由は判らないが、異色のペンギンのイラスト・ジャケットが印象深い。可愛いジャケットだが、中身は硬派なハードバップ。ベースレス&ピアノレスの変則トリオ編成とドラムとピアノという異質なデュオ編成。実験的アプローチ満載のシェリー・マンの、とってもウエストコースト・ジャズらしい初リーダー作。名盤である。
 
 

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2022年10月 8日 (土曜日)

Miles Davis『Rubberband』

最近、マイルス・デイヴィスの発掘ライヴ盤が幾枚かリリースされている。しかし、マイルスの未発表音源って、まだまだあるんやな、と感心する。

ピアノでは、ビル・エヴァンスの未発表音源が未だにチョロチョロと出るんだが、マイルスも負けずにチョロチョロ出てくる。これは当然「需要」があるからで、確かに、ビルにせよ、マイルスにせよ、発掘音源が出れば「ゲット」である(笑)。

Miles Davis『Rubberband』(写真左)。1985年10月〜1986年1月の録音。2019年9月のリリース。ちなみにパーソネルというか、録音のコア・メンバーが、Miles Davis (tp, key, syn), Randy Hall (g, prog), Attala Zane Giles (g, b, drum prog, key), Vince Wilburn, Jr. (ds), Adam Holzman (key), Neil Larsen (key), Michael Paulo (sax), Glenn Burris (sax), Steve Reid (per) 辺りと思われる。

かなり以前からその存在が知られており、長らく伝説と伝えられていた、この「ラバーバンド・セッション」。それが、今回、全貌を現したということになるが、リリースに際して、オリジナルのままでのリリースは不適切と判断、今の時代に相応しい音源としてリニューアルしたのが、今回リリースされたもの。それだったら、オリジナル音源とリニューアル後の音源と、2つの音源をカップリングして出すべきだろう。

これでは、この音源の良し悪しが判断出来ない。マイルスのトランペットだけは触っていないとのことだが(当たり前だろ・笑)、バックの演奏については、どこまでオリジナルを残して、どれをどうやって取り直したのかが全く判らない。ただ、少なくとも、それぞれの曲の持つコンセプトや志向については触っていないらしいので、当時、このセッションで、マイルスが何を目指していたかは判るのかな、とは思う。
 

Miles-davisrubberband

 
当時のマイルスのコンセプトと志向を踏まえた演奏だが、明らかにマイルスは先を見据えていたことが良く判る。マイルスが長年在籍していたColumbiaを離れ、Warner Bros.への移籍を決断した時期の録音で、『You're Under Arrest』と『Tutu』との間を埋めるセッションである。

今の耳で聴くと「おっ、こりゃ凄いわ」と身を乗り出して、聴き耳をたてるくらいだが、当時の最先端のR&Bやファンクのエッセンスの大量注入と先鋭的なヒップホップ志向の音作りは、当時として、かなり「過激」で、当時、この音源が出ていたら、かなりショックを受けていたのでは、と思うくらい尖っている。ちょっと聴いただけで、これマイルスでしょ、と判るくらいに過激に尖っている。

曲毎の詳細については、既にネットに大量に出ているので、そちらを参照されたい。一言でいうと、収録曲全11曲、どれもが「マイルス・オリジナル」。音的に全て「メイド・バイ・マイルス」だし、リズム&ビートだって、どう聴いても「マイルスのグルーヴ」。冒頭の「Rubberband of Life」なんて、ちょっと聞いただけで直ぐに判る「マイルスの合図」で始まる。く〜っ格好良い。

「復活前エレ・ファンクのコンテンポラリー化&リニューアル」と、「ジャズとして、より多様性を目指した融合の深化」の2点が、奇跡の復活以降のマイルスの音作りの狙いだったと思うのだが、その進行形がこの未発表音源にリアルに息づいている。現代においてでも、この内容に匹敵するコンテンポラリーなエレ・ジャズをクリエイトできるジャズマンは数える程しかいないんじゃないか。

他ジャンルとの「融合」、他ジャンルの音要素の「取り込み」は、ジャズの重要な要素のひとつ。そういう観点からも、このマイルスの『Rubberband』は「アリ」である。現代のジャズ・シーンの中でも十分通用する先進的な「融合」の音作りは、聴いていてとてもワクワクするし、クールでヒップである。さすが、マイルスとしか言い様がない。
 
 

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2022年10月 7日 (金曜日)

マックス・ローチの隠れ名盤

マックス・ローチと言えば、主にビ・バップ時代からハードバップ時代に、活躍したレジェンド級のジャズ・ドラマー。

典型的なバップ・ドラミングで、テクニックもずば抜けて優秀なのだが、ハードバップ後期、ジャズの多様化の時代において、モード・ジャズやフリー・ジャズなど、従来とは異なる、新しいスタイルが登場したが、ローチは一貫してバップ・ドラミングを貫いている。

『Max Roach + 4』(写真)。1956年9月17, 19 & 20日の録音。ちなみにパーソネルは、Max Roach (ds), Kenny Dorham (tp), Sonny Rollins (ts), Ray Bryant (p), George Morrow (b)。CDリイシュー時は全9曲だが、もともとのオリジナルは全6曲。後半の7〜9曲目はピアニストが異なるボートラで、通して聴くと違和感があるので、僕は無視して聴くことにしている。

とにかく元気一杯のハードバップである。フロントはケニー・ドーハムのトランペットと、テナー・サックスのソニー・ロリンズの2管フロント。この2管フロントが元気溌剌、全編に渡って、バリバリ吹きまくっている。

好不調の波が心配なトランペットのドーハムだが、この盤では元気溌剌、バリバリ吹いている。好調時のドーハムは、一流のハードバッパーとして、溌剌とブリリアントに、ミス無くヨレずに、しっかりとしたトランペットを吹く。ブラスの響きも芳しい素敵なトランペット。

そして、テナー・サックスのソニー・ロリンズ。録音当時は26歳。若きテナー・タイタンとして貫禄十分、スケールの大きい、テクニック確かなテナーを吹きまくっている。
 

Max-roach-4

 
ブラスの輝く様なブリブリとした響きが耳にしっかり伝わってくる。ロリンズのハードバップ期の代表的名演に上げても良いくらい、ロリンズは絶好調である。逆に、ロリンズの代表的名演のひとつに上げられていないことが不思議なくらい、この盤のロリンズは優秀。

そして、リーダーのマックス・ローチのドラミングも見事。高度なテクニックを駆使して、好調の2管フロントをサポートし鼓舞する。ローチのドラミングは、とにかく目立たないと気が済まないらしく、フロント2管のバックで、様々なテクニックを駆使して、複雑なドラミングを展開していて、思わず苦笑い。

ドラム・ソロもふんだんにあって、ここでも、とにかく目立つ目立つドラミングを披露する。それでも、テクニックが圧倒的に優秀なので「耳に付かない」ところがローチのドラミングの凄いところ。この盤でのローチは絶好調で、ローチのドラミングの個性が手に取るように判る。

ピアノとベースのリズム隊も好調。ブライアントのピアノはファンキーでブルージーなピアノ。堅実なタッチで、しっかりとフロントにリズム&ビートを供給している。

そして、今回、見直したのは、ジョージ・モローのベース。ブラウン=ローチ・クインテットで聴いてはいたが、こんなに骨太でソリッドな「ブンブン・ベース」を弾きまくるベーシストという印象が無かっただけに、この盤のモローのベースは「凄いなあ〜」と感心することしきり、である。

あまりマックス・ローチの代表盤として、この盤の名前が上がることが少ないが、内容は一級品。マックス・ローチのハードバップ期の隠れ名盤、として良いと思う。政治的な音楽志向に傾く前の、純粋なバップ・ドラマーとしてのマックス・ローチのドラミングが堪能出来る。
 
 

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2022年10月 6日 (木曜日)

ハンクのリーダー作の第3弾。

ハンク・ジョーンズのデビュー盤から10枚ほどを久々に聴き直している。昨日は初リーダー作について語った訳だが、初リーダー作にして「典雅でブルージーで、そこはかとなくファンクネス漂い、タッチが明快で流麗」なピアノの個性を手に入れていたことが良く判る初リーダー作だった。

『Hank Jones Quartet & Quintet』(写真左)。1955年11月1日の録音。サヴォイ・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Hank Jones (p), Donald Byrd (tp), Eddie Jones (b), Kenny Clarke (ds), Matty Dice (tp, tracks 2&3)。典雅で小粋なバップ・ピアノのレジェンド、ハンク・ジョーンズの3枚目のリーダー作。

トランペットがワンホーンのカルテット編成。2曲目「An Evening at Papa Joe's」と3曲目「And Then Some」の2曲がマティ・ダイス、残りの3曲がドナルド・バードのトランペットになる。特にドナルド・バードのトランペットがとっても溌剌としていてブリリアント。引き摺られるように、マティ・ダイスのトランペットも大健闘。2人のトランペットが分担しているが、違和感無く、バランスの取れた無い様になっている。
 

Hank-jones-quartet-quintet

 
主役のリーダー、ハンク・ジョーンズのピアノといえば、バックのリズム・セクションに回った時の「伴奏上手」なハンクのピアノがとても良い。選曲はスタンダード曲ばかりで、アレンジを含めて、カルテット演奏におけるピアノの弾き回しがとても「粋」に響く。バップなピアノだが、フロントの前に出ることは絶対に無い。流麗で典雅なフレーズで、フロントのトランペットをしっかりとサポートする。

典型的なハードバップな演奏に仕上がっている。そんな中、ドナルド・バードのトランペットのフレーズはどことなく「新しい響き」を感じるし、ハンクのピアノは他のピアニストに無い「上品なファンクネスとフレーズの典雅さ」が個性的。パーソネル的には「新旧メンバー織り交ぜて」ではあるが、味のある小粋なハードバップ演奏に仕上がっているのは流石である。

音も良い。資料を見てみると、Van Gelder Studioでの録音である。ヴァン・ゲルダー渾身の好録音。ハンクのピアノも活き活きとした、ピンとタッチの立った音で録音されていて、ハンクのピアノが、伴奏に回ってようが、ソロを取る為、前面に立ってようが、しっかりと聴き取れる。サヴォイからのリリースなので、ジャケは「トホホ」だが、これはご愛嬌(笑)。
 
 

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2022年10月 5日 (水曜日)

ハンクの初リーダー作である。

Twitterで、Hank Jones(ハンク・ジョーンズ)の優秀盤について呟いていて、ハンク・ジョーンズのデビューの頃って、どんなんだったんだっけ、確か、デビューは1947年だから、ビ・バップなピアノだったかなあ、と思いながら、デビュー盤から10枚ほどを久々に聴き直している。

さすがに、デビュー盤から2〜3枚のリーダー作を聴くと、ハンク・ジョーンズのピアノの個性が明確に判る。ジャズマンとしてのデビューは1947年になるので、ハンクのピアノは、さぞやビ・バップしているかと思いきや、バップなピアノではあるが、典雅でブルージーで、そこはかとなくファンクネス漂い、タッチが明快で流麗。

Hank Jones『Urbanity』(写真左)。1947年9〜10月(tracks 5-10)、1953年9月4日(tracks 1-4)の2つの録音に分かれる。ちなみにパーソネルは、Hank Jones (p), Johnny Smith (g, tracks 1-4 & 11-17), Ray Brown (b, tracks 1-4 & 11-17)。

整理すると、アルバム全17曲中、LPでの最初のリリース時の収録曲は前半の10曲。CDリイシュー盤の11曲目以降はボートラ。このボートラの存在が良く判らない無い様なので、この盤を聴くときは、11曲目以降は滅多に聴かない。
 

Hank-jonesurbanity

 
ハンク・ジョーンズのピアノの個性が良く判る初リーダー作。1947年9〜10月の初録音は、ハンク・ジョーンズのソロ・ピアノ。これが絶品。1947年という、ビ・バップ時代の後期、まだまだ、ジャズ・ピアニストはこぞって、ビ・バップな弾き回しをやっていた頃。そんな時期に、なんて典雅で流麗でブルージーなピアノなんだろう。

1950年代のハードバップ期のジャズ・ピアノを先取りした様な、テクニックに優れ、クールに聴かせるピアノ。そんな小粋なハンクのピアノの個性は、デビュー当時で既に確立されている。1953年録音のジョニー・スミスのギター入りのカルテットの演奏については、スミスのギターのバックに回った時の「伴奏上手」なハンクのピアノがこれまた絶品。

ハンク・ジョーンズは1918年生まれなので、デビュー時は29歳。決して早くないデビューだったと思うのだが、それだけに、初リーダー作のソロ・ピアノでは、成熟したハンクならではの個性的なピアノを聴かせてくれる。

ハンクは30歳を前にして、既にベテランの域に匹敵する「典雅でブルージーで、そこはかとなくファンクネス漂い、タッチが明快で流麗」なピアノの個性を手に入れていたことが、この初リーダー作を聴いていて、とても良く判る。
 
 

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2022年10月 4日 (火曜日)

ロベンとエヴァンスのコラボ

9月は僕の好きなジャズマンの新盤が結構出たみたいで、聴き通すのにとても忙しい毎日である。特に今年は夏が蒸し暑くて、ジャズを聴くのに辛い気候だったのだが、有り難いことに、僕の好きなジャズマンの新譜はほとんど無かった。が、ちょっと涼しくなってきて、一気にドッと出た感じで、嬉しいやら忙しいやら(笑)。

Robben Ford & Bill Evans『Common Ground』(写真左)。2022年9月のリリース。ちなみにパーソネルは、Robben Ford (g), Bill Evans (sax), Darryl Jones (b), Keith Carlock (ds)。ロックの様にジャズ・ギターを弾く男、ロベン・フォード、そして、ロック・ビートに乗った、切れ味の良いサックスを吹く男、ビル・エヴァンスが双頭リーダー。

ベースには、ローリング・ストーンズのサポート・メンバー、ダリル・ジョーンズ。そして、ドラムには、スティーリー・ダンなどで叩いていた、ロックな職人ドラマー、キース・カーロック。ロックの様なエレ・ジャズが出来る4人が集まった、現代のジャジーな「エレ・ファンク」な演奏がてんこ盛り。
 

Robben-ford-bill-evanscommon-ground

 
ロベン・フォードとビル・エヴァンスは、元マイルス・ディヴィスのバンドの経験者。ロベンは1986年、エヴァンスは1980~84年に在籍していた。双方、共演してはいないのだが、1981年にカムバックしたマイルス・デイヴィスのバンドは、一貫して、クールでヒップな「エレ・ファンク」志向。この盤の雰囲気も現代のジャジーな「エレ・ファンク」。

確かに、マイルス・バンドの「エレ・ファンク」の音世界を想起する音がする。マイルスのエレ・ファンクのビートを軽くして、フレーズをシンプルにした様な音がする。ロベンとエヴァンスはマイルス・スクールの門下生、ダリルのベースとカーロックのドラムはもともと筋金入りのロック畑。しかし、このロック畑の2人が、完璧な「エレ・ファンク」なリズム&ビートを叩きだしているので、聴いていてとても気持ちが良い。

タイトルが「Common Ground」=「共通点」。双頭リーダーのロベンとエヴァンスの共通点はと言えば「マイルスのエレ・ファンク」だろう。違うかなあ。でも、僕はこのロベンとエヴァンスは、忠実にマイルスの教えを守って、自分達なりの「エレ・ファンク」を展開しているように聴いた。そして、この現代のジャジーな「エレ・ファンク」はご機嫌で爽快でヒップである。
 
 

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2022年10月 3日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・252

ジャズは、大衆音楽の側面と芸術音楽の側面、2つの側面を持つ。ポップス同様、大衆向けの音楽として、キャッチャーで判り易い、耳当たりの良い演奏と、しっかりとした音楽理論の下、確かなテクニックと理論的な演奏手法を基に、芸術性を前面に押し出した演奏、2つの側面を持つ、ユニークな音楽ジャンルである。

John Lewis『Private Concert』(写真左)。1990年9月10〜12日、NYでの録音。仏PolyGramレコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、John Lewis (p) 1人。Modern Jazz Quartet(MJQ)のリーダー&ピアニストのジョン・ルイスのピアノ・ソロである。

ジョン・ルイスは、一流のジャズ・ピアニストであり、クラシックの様々な音楽理論にも精通した、アーティステックな音楽家である。Modern Jazz Quartetでは、弦楽四重奏的な演奏手法を取り込み、対位法を用いた楽曲を作曲&演奏したり、バッハのジャズ化にチャレンジしたり。ジョン・ルイスは、芸術性を前面に押し出したジャズ・ミュージシャンの代表格であった。

で、このソロ・ピアノであるが、冒頭の「Saint-Germain-Des-Prés」を聴いて、ジャズの「クラシックに匹敵する芸術性」を改めて認識した。流麗で軽やかでアーティスティック。小粋なフレーズがどんどん湧いて出てきて、思わず、じっくりと聴き耳を立ててしまう。まるで、クラシックの様なピアノ演奏だが、出てくるフレーズはしっかりとジャズしている。
 

John-lewisprivate-concert

 
「Saint-Germain-Des-Prés」=サンジェルマン・デ・プレはパリ6区に位置する「知性と文化を代弁する」エリア。いわゆる「アーティスティック」な街。その街の名を曲名にした冒頭の魅力的な1曲が、このソロ・ピアノ盤の音志向を決定付けている。つまり、確かなテクニックと理論的な演奏手法を基に、芸術性を前面に押し出した演奏が詰まっている。

同様に、パリを題材にしたジョン・ルイスの自作曲が全部で4曲。どれもが、流麗で軽やかでアーティスティック。小粋なフレーズが印象的な楽曲ばかりで、ちょっと洒落ている雰囲気が実に良い。

アーティスティックな面を押し出しているからといって、堅苦しくは全く無い。バッハの曲も2曲「The Opening Bid」「Down Two Spades」でカヴァーされているが、しっかりとジャズ化していて、和音の重ね方もビートも「ジャズ」である。

スタンダード曲の「Don't Blame Me」と「'Round Midnight」は、大衆ジャズっぽくアレンジせず、あくまでアーティスティックに格調高くアレンジされている。それでも、底のビートはジャズなんだから、ジョン・ルイスの演奏能力の高さは定評通り。そこはかとなくファンクネスも漂う弾きっぷりは、確かに芸術的である。

この盤、たまたまネットを徘徊していてピックアップ出来たのだが、こんなジョン・ルイスのソロ・ピアノ盤が、1990年にリリースされていたとは知らなかった。しかし、たまたまピックアップ出来て良かった。ジョン・ルイスのアーティスティックな側面を強烈に感じる盤はそうそう無い。ジョン・ルイスのピアノを感じるに最適のソロ・ライヴ盤だと思う。
 
 

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2022年10月 2日 (日曜日)

今の耳に『Heavy Weather』

さて、Weather Report(以下、WRと略す)のアルバムを今の耳で聴き直すシリーズ。いよいよ佳境である。前作『Black Market』で、エレベのイノベーター、ジャコ・パストリアスを発見し、正式メンバーとした。そして次作。あのWRの大ヒットしたアルバムの登場である。

Weather Report『Heavy Weather』(写真)。1977年の作品。ちなみにパーソネルは、Joe Zawinul (key), Wayne Shorter (sax), Jaco Pastorius (b, ds : Teen Town), Alex Acuña (ds), Manolo Badrena (perc)。 前作で課題だった「ドラマー問題」は解決しておらず、前作でパーカッションを担当していたアレックス・アクーナがドラムを担当している。この盤でもドラムについてはウィーク・ポイントになっているが次作を待つしか無い。

前作では「エスニック&ユートピア」志向のザヴィヌル、「黒魔術的な音世界」志向のショーター、「ファンキー&パンク」志向のジャコと3者の音志向のバランスが取れ始めていたが、この『Heavy Weather』では、この3者の良きバランスが見事に定着している。が、盤全体の雰囲気は「フュージョン・ジャズ」。耳当たりの良いキャッチャーな、聴き味の良いフレーズ満載の「ソフト&メロウ」な楽曲が目白押し。

冒頭の「Birdland」は、ザヴィヌルの「エスニック&ユートピア」志向の楽曲で、ビートの効いた、明るくポジティブでキャッチャーなフレーズ満載の傑作。即興演奏の妙は皆無。フュージョン・ジャズの強烈な味付け。続く「A Remark You Made」は、珍しい、ショーターの「フュージョン・バラード」。この曲も即興演奏の妙は無く、フュージョン系のイージーリスニング・ジャズな趣き。この2曲を聴いて判る通り、この盤は、ザヴィヌル&ショーターからすれば「売りたい」盤だったことが窺い知れる。
 

Weather-reportheavy-weather

 
1人気を吐いているのがジャコ。3曲目の「Teen Town」でのエレベの即興は見事。ドラムについても、アクーナのドラムを排除して自らがドラムを叩く気合いの入れよう。この曲はジャコの代表的パフォーマンスの1曲。ラストの「Havona」も、変に捻れたテーマを持つ不思議な雰囲気を持つ曲。ストレート・アヘッドなエレ・ジャズ。この「Havona」でのバンドのテンションは凄い。これぞ、ウェザー・リポートの真骨頂だ。

5曲目の「Rumba Mamá」の存在は今もって全く理解不能。アフリカンな打楽器メインの短いパフォーマンス。このフュージョン志向のWR盤に、この曲が何故入っているのか、未だに理解出来ない。打楽器担当にもスポットライトを当てたかったのかもしれないが、この曲は、この『Heavy Weather』の音志向からすると、全くの「不要な曲」だろう。

この盤は、ザヴィヌルとジャコの共同プロデュース。ジャコはプロデュース面で、ザヴィヌル&ショーターの「この盤を売りたい」という意向に協調している。「売れる」為のプロデュース。この面でも、ジャコの加入の貢献度は高い。

そして、どの曲においても、ジャコのエレベのベースラインが突出している。実に独創性の高い、実にテクニカルなベースラインをガンガン供給する。フレットレス・エレベの粘りのビートがビンビンに効いている。ソフト&メロウなフュージョン志向の楽曲を質の良いジャズに留めているのは、ひとえにこのジャコの天才的なベースラインのお陰だろう。

この盤は、どちらかと言えば、WRのバンドの音志向からすると、ちょっと外れた「異質のアルバム」だと思う。言い換えると、一番、フュージョン・ジャズに接近した盤と言えるだろう。バンドの課題であった「打楽器隊」も解決には至っておらず、この盤は、エレ・ジャズの「名盤」とするには、ちょっと疑問符が付く。ただ、この盤は売れに売れた。WRとして、大ヒットした「佳作」と僕は評価した。
 
 

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2022年10月 1日 (土曜日)

硬派で正統派なオルガニスト

現代の現代ジャズ・オルガニストの代表的存在の1人、Joey Defrancesco(ジョーイ・デフランセスコ)が、今年の8月25日に急逝して以来、ちょくちょく、彼のリーダー作を聴き直している。

生涯、リーダー作は約40枚。確か、デフランセスコは51歳で亡くなっている。17歳でリーダー作を録音してるので、34年間の活動期間でリーダー作が40枚。1年に1枚のペースでリーダー作をリリースしていたことになる。米国では如何に人気のオルガニストであったかが窺い知れる。

なんせ、デビュー作がいきなりメジャーのColumbiaレコードからのリリースなんで、デビュー作=メジャー・デビューという、いわゆる「早熟の天才」レベルのオルガニストだった訳である。我が国での人気はイマイチだったけど。

Joey DeFrancesco『Reboppin'』(写真左)。1992年の作品。ちなみにパーソネルは、Joey DeFrancesco (org, tp, g), Paul Bollenback (g), Tony Malaby (ts), Jim Henry (tp), Byron Landham (ds), Paul Bollenback (Kalimba), Byron Landham (Wind Chimes)。リーダーのデフランセスコは、オルガンの他にトランペットも吹いているし、ギターも弾いている(ギタリストがいるのにね・笑)。

デフランセスコの4枚目のリーダー作になる。初リーダー作が1989年だから、毎年1枚のペースでリーダー作をリリースしていたことになる。これって、実力と人気が無いと出来ないこと。しかも、メジャーのColumbiaレコードからのリリースだから、なおのこと「凄い」。

で、この4枚目のリーダー作、収録曲を見渡すと面白い。デフランセスコや録音メンバーの自作曲に挟まれて、バリバリ、ファンキー・ジャズな名曲があれば、ジャズでよく取りあげられるディズニーの名曲あり、モード・ジャズの名曲あり、セロニアス・モンクの名曲あり、コルトレーンの名曲あり、ジャズ・スタンダード曲あり。
 

Joey-defrancescoreboppin

 
どうも、1950年代後半から1960年代中盤くらいまでの「ハードバップ時代」の様々なスタイルの曲をチョイスしているようなのだ。デフランセスコのオルガンも「バップ」な感じの弾き回しだしね。

しかし、オルガンでファンキー・ジャズの名曲、ホレス・シルヴァー作の「Sister Sadie」をジャズ・オルガンでやるのは良くあるパターンだけど、難曲であろう、マイルスのモード・ジャズの名曲「ESP」や、モンクの名曲「Evidence」、コルトレーンの「Naima」なんか、ジャズ・オルガンで弾くか、とビックリ。

しかし、そのマイルスなモード、モンク、コルトレーンの名曲が、アグレッシブ&プログレッシヴな弾き回しで、極上のオルガン・ジャズ演奏として成立しているから、デフランセスコのテクニックとセンスは素晴らしいものがある。

オルガン・ジャズだと、どうしても「イージーリスニング・ジャズ」志向のポップな演奏になりがちなんだが、デフランセスコはそうはならない。こういうところが、デフランセスコは「只者では無い」とつくづくおもうのだ。デフランセスコはかなり硬派なで正統派な、メインストリーム志向のジャズ・オルガニストだった。

しかし、ジャケットの若き日のデフランセスコの写真、イケメンでシュッとした「オルガンの貴公子」然としているんだが(写真右は1991年の頃のデフランセスコらしい)、後年の、丸々と太った「キャノンボール」なデフランセスコとは似ても似つかない。後年のイメージしか頭になかったので、この盤のジャケを見て、最初は同一人物とは思わなかった(笑)。
 
 

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    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  
2022年11月
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