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2022年9月12日 (月曜日)

当時の流行を捉えたエルヴィン盤

ドラマーがリーダーのアルバムって、とても融通が利くと思っている。ジャズには様々なスタイルの奏法や流行(トレンド)があるが、リーダーのドラマーが「うん」と言えば、様々なスタイルの奏法や流行に則った演奏が可能になる。

何故なら、ジャズにおける様々なスタイルや流行は「フロント楽器ドリブン」が殆どで、ドラマーにとっては、その奏法や流行に従って、如何に効果的なリズム&ビートを供給するか、が重要な役割になるからだ。

Elvin Jones『Midnight Walk』(写真左)。March 23 & 24, 1966年3月23日、NYでの録音。ちなみにパーソネルは、Elvin Jones (ds), Thad Jones (tp), Hank Mobley (ts), Dollar Brand (p), Stephen James (el-p), Don Moore (b), George Abend (perc)。ドラムのエルヴィン・ジョーンズがリーダーの、フロント2管のクインテット編成が基本。曲によって、エレピとパーカッションがサポートに入っている。

昨日ご紹介した『And Then Again』は、ジョーンズ3兄弟、トロンボーンの大御所、J.J.ジョンソンや、モダン・テナーのベテラン、フランク・ウエスがいたりで、1950年代後半に立ち戻ったハードバップな演奏が詰まっていた。

が、その次作のこの『Midnight Walk』では、内容はガラッと変わって、当時のスタンダードな演奏スタイルであったモーダルなジャズと、アフリカン・ネイティヴなワールド・ミュージックの響きを宿したアーシーでファンクなジャズとが混在した、当時の流行をタイムリーに捉えた内容に変化している。これが、いわゆる「ドラマーがリーダーのアルバム」の役得ってもんだろう。
 

Elvin-jonesmidnight-walk

 
モーダルなジャズについては、フロントの2管、モブレーとサドが一手に引き受けている。特にモブレーはモーダルなフレーズを吹きまくっていて、これがモブレーの個性を色濃く反映したモーダルなフレーズで、それまでに無い響きがユニーク。サドのトランペットはそんなモブレーを、しっかりとフロント管のパートナーとして、がっちりサポートしている。

アフリカン・ネイティヴなワールド・ミュージックの響きを宿したアーシーでファンクなジャズについては、これはもう、3曲目の「 Tintiyana」のピアノを聴けば一発で判るんですが、ダラー・ブランド(現・アブドゥーラ・イブラヒム)のピアノが全体の雰囲気をリードする。「Lycra Too?」でのステファン・ジェームスのエレピが、後の「ジャズ・ファンク」の雰囲気を先取りしていて面白い。

こうやって改めて聴いてみて、その内容は意外と面白い。モブレーのモーダルなフレーズも面白いし、ダラー・ブランドの「アフリカン・ネイティヴなワールド・ミュージックの響きを宿したアーシーでファンクな」ピアノのフレーズも面白い。

当然、この当時の流行をタイムリーに捉えた、新しい響きのジャズをしっかり掌握し、しっかりとコントロールしているのは、エルヴィンのドラムである。要所要所でエルヴィンのポリリズミックなドラミングが炸裂する。モーダルなジャズとアーシーなジャズの両方で、エリヴンのドラミングが見事に映える。

エルヴィンのリーダー作として、あまり人気のある盤では無いのだが、聞き直してみて、意外に楽しめた。ジャケがイマイチなので、かなり損をしているが、意外と好盤である。
 
 

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