クラブ・ジャズの先取りな内容
デューク・ピアソン(Duke Pearson)を久し振りに聴き直し始めたら、止まらなくなった。もともと、ジャズ者初心者の頃から、「インテリジェンス溢れる粋なフレーズ、タッチのリリカルな響き」が個性のピアソンがお気に入り。当然、聴き直し始めたら、お気に入りなんで、やっぱりほぼ全リーダー作を聴き直してしまうなあ。
Duke Pearson『The Phantom』(写真左)。1968年6月と9月の録音。ブルーノートの4293番。ちなみにパーソネルは、Duke Pearson (p), Jerry Dodgion (fl), Bobby Hutcherson (vib), Sam Brown, Al Gafa (g), Bob Cranshaw (b), Mickey Roker (ds), Victor Pantoja (congas), Carlos 'Patato' Valdés (conga, güiro)。
ジェリー・ダジオンのフルート、ハッチャーソンのヴァイブ、ブラウン&ガファのギターの4人でフロントを固め、リズム・セクションは、ピアソン+クランショウ+ローカーの定番トリオ。コンガが2人追加されていて、リズム・セクションのグルーヴ感が増している。なんでかな〜、と思って盤を聴いたら、なるほど、全体的にはブラジリアン・フレイヴァーの曲が多いのね。
冒頭タイトル曲「Phantom」を聴けば、プログレッシヴなハッチャーソンのヴァイブが大活躍する、硬派でちょっと難解、モーダルでミステリアスでアシッド「怪しい」雰囲気に、思わず、この盤は硬派で実験的なモード・ジャズ盤か、と思いきや、次の「Blues for Alvina」の軽快で明るいブルースにホッとする。パーカッシブな演奏が実にポップに響く。
そして、続く軽快なブラジリアン・チューン「Bunda Amerela (Little Yellow Streetcar) 」と小粋なボサノヴァ「Los Ojos Alegres (The Happy Eyes) 」が秀逸な出来。どちらの曲も、プログレッシヴなハッチャーソンのヴァイブが「ソフト&メロウ」に響いて、ダジオンのフルートが爽やかに流れて、とてもポップで警戒でブラジルちっくな演奏に仕上がっているのは見事。
「Say You're Mine」のリリカルなピアソンのピアノも良い。「Moana Surf」はクラブ・ジャズな響きが興味深い。この盤、クラブ・ジャズ好きには欠かせない1枚らしくて、確かに、20年後辺りに来る「クラブ・ジャズ」を先取りしている雰囲気がプンプンする。1968年の録音だけど、当時としては「斬新」な内容だったと思料。ジャケットもそんなジャケットしてるしね(笑)。好盤です。
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