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2022年8月の記事

2022年8月31日 (水曜日)

ピム・ヤコブスの「この一枚」

「小粋なジャズ」を求めて、ピアノ・トリオをネットで漁っていたら、懐かしいピアノ・トリオ盤に遭遇した。ちょうど、僕がジャズを本格的に聴き始め13年目。ジャズの良し悪しや特徴が自力で理解出来る様になった頃、とあるレコード屋で、このピアノ・トリオ盤を発見した。確か、Philips原盤の日本フォノグラムから発売された日本盤だったと記憶する。ちょっと試聴させて貰って、即ゲットでだった。

Pim Jacobs『Come Fly With Me』(写真左)。1982年の録音。ちなみにパーソネルは、Pim Jacobs (p), Ruud Jacobs (b), Peter Ypma (ds)。オランダの有名ジャズ・ピアニスト、ピム・ヤコブスがリーダーのピアノ・トリオ編成。ちなみに、ベースのルード・ヤコブスは、ピム・ヤコブスの弟。ドラムのピーター・イプマもオランダ出身のジャズ・ドラマー。オール・オランダのピアノ・トリオである。

ピム・ヤコブスは、1934年10月、オランダのヒルフェルスム生まれ。1996年7月に、61歳で鬼籍に入っている。オランダでは有名なジャズ・ピアニストで、傍らで、ラジオおよびテレビ番組のプロデューサーとして働いたり、音楽番組の司会を務めたりしている。ネットで経歴を振り返ってみて、リーダー作は多く無い。サイドマンとしてのレコーディング参加もさほど多く無い。
 

Pim-jacobscome-fly-with-me

 
しかし、このピアノ・トリオ盤『Come Fly With Me』は、突出して、その出来が素晴らしい。まず、ピム・ヤコブスのピアノが良い。端正でテクニック優秀、歯切れが良くて、メリハリがキッチリ効いた、優等生的なハードバップなピアノである。フレーズもハードバップ時代のコードに沿った、判り易いフレーズをメインにしていて、とにかく、聴き易く判り易い。

オランダのジャズ・ピアノなので、当然、ファンクネスは皆無。しかし、そこが欧州ジャズらしくて良い。変に粘ったり、アーシーになったりしない、端正で歯切れの良い、どこかクラシック・ピアノの雰囲気を想起させる弾き回しは健康的。ベースとドラムのリズム隊は、決して前に出ず、ピム・ヤコブスのピアノを支え、引き立てる役に徹していて清々しい。

ピアノ・トリオ演奏の教科書の様なパフォーマンスがこの盤にギッシリ詰まっている。選曲もスタンダード曲がメインで、とにかく聴き易い。それでいて、ジャジーでブルージーな「ツボ」はしっかり押さえていて、スインギーな弾き回しと合わせて、しっかり、純ジャズしているところがこのトリオ盤の「肝」。難しいこと考えずに、歯切れ良くスインギーなピアノ・トリオを楽しむのに最適な盤。ピム・ヤコブスは、この一枚のトリオ盤の存在だけで、僕の記憶の中にその名を留めている。
 
 

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2022年8月30日 (火曜日)

ベニー・グリーンの初トリオ盤

1988年の2月にクインテット編成で、初リーダー作を録音した、ピアニストのベニー・グリーン(Benny Green)。ピアニストにとって、個性が露わになる「ピアノ・トリオ」の演奏は次のリーダー作に申し送られた訳だが、その次のリーダー作は、初リーダー作の10ヶ月後、早々に録音されている。

Benny Green Trio『In This Direction』(写真左)。1988年12月29日、1989年1月2日の録音。ちなみにパーソネルは、Benny Green (p), Buster Williams (b), Lewis Nash (ds)。初リーダー作のクインテットでは、リズム・セクションのパートナーとして、Peter Washington (b), Tony Reedus (ds) を選んでいたが、今回のトリオ盤については、ベース、ドラムをガラッと入れ替えている。

冒頭の「In This Direction」を聴けば、ベニー・グリーンのピアノの個性が良く判る。ビ・バップ・ピアノ、モダン・ジャズ・ピアノの祖であるバド・パウエル作の曲を、グリーンの個性でモーダルに解釈している。これがとても面白い。

セロニアス・モンク作のバップ曲「Trinkle Tinkle」を自分なりのハイテクニックな弾き方で、モンクの弾きかたの「癖」をモーダルに料理していくところなど「豪気」ですらある。

純ジャズ復古の後、1988年、新伝承派が1960年代のモード・ジャズを下敷きにした、モード・ジャズの深化形を世に問うていた訳だが、ベニー・グリーンのアプローチは、新伝承派のアプローチとは全く異なる。

バド・パウエル作の「In This Direction」、いわゆる、バップ・ピアノな曲にモーダルな解釈を施して、新しい響きのハードバップ・ピアノを表現している。モンク作の「Trinkle Tinkle」についても同様なことが言える。これが実にユニークなのだ。
 

Benny-green-trioin-this-direction

 
ベニー・グリーンのモーダルな展開は、明るく判り易く、どこかポップで判り易い。新伝承派のモーダルな展開は難解さが伴う。この違いはなんだろう。思うに、新伝承派は1960年代のモード・ジャズをベースに深化させている。グリーンは、ベースは何であれ、グリーンのモーダルな解釈をベースに新しいモード・ジャズを志向している。

つまり、新伝承派のモード・ジャズは、国語の世界で言うと「旧仮名遣い」が混じっている感じで、グリーンのモードジャズは「新仮名遣い」な感じがする。1960年代のモード・ジャズは、1960年代として最新の音だったが、1988年のモード・ジャズは、クロスオーバー&フュージョン・ジャズの大流行を経験して、その遺伝子がしっかりと残っている。

1960年代のモード・ジャズは、シビアで硬派でストイックな、ちょっと難解なジャズだったと感じているが、これをベースにモード・ジャズを深化させたら、その「難解さ」はしっかり残る。グリーンのアプローチは、1960年代のモード・ジャズをあまり意識していない様なので、新伝承派が持つ「難解さ」は無い。

超絶技巧に近いテクニックでモーダルなフレーズを弾き回すので、難解なモーダルなフレーズが「流麗」かつ「端正」に聴こえるところも、グリーンのピアノならではの個性だろう。

加えて、トリオのパートナー、ベースのバスター・ウィリアムスとドラムのルイス・ナッシュのサポートが絶妙。このリズム隊に恵まれて、グリーンは心おきなく、自分なりのモーダルなフレーズを自由奔放に弾き回している。

覇気溢れる、ファンキーでモーダルな、高テクニックなピアノ。これだけ聴けば「さぞ五月蠅い、粘っこい」ピアノかな、と思うのだが、グリーンのピアノは、爽快感溢れ、どこかポップな感覚が漂う「聴き易い」ピアノ。この盤は、録音年から10年ほど経った頃、初めて聴いたのだが、「面白いモード・ピアニストがいたもんだ」と嬉しくなったのを覚えている。
 
 

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2022年8月29日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・248

「小粋なジャズ」盤を探索していたら、アーネット・コブ(Arnett Cobb)の名にぶち当たった。久しく、このテナーマンの名前を忘れていた。コブは1918年8月生まれ、米国テキサス州出身のテナーマン。1989年3月、70歳で鬼籍に入っている。ファンキーで渋い、スイング・スタイルがメインの、歌心溢れるモダンなテナーを吹くところが個性。その存在は地味ではあるが、聴けば「ファンネス溢れる、スインギーで小粋な」優れたテナーであることがよく判る。

Arnett Cobb『Smooth Sailing』(写真左)。February 27, 1959年2月27日、Hackensack, NJの「Van Gelder Studio」での録音。プレスティッジ・レーベルからのリリースで、PRLP 7184番。ちなみにパーソネルは、Arnett Cobb (ts), Buster Cooper (tb), Austin Mitchell (org), George Duvivier (b), Osie Johnson (ds)。

リーダーのコブのテナーとクーパーのトロンボーンがフロント2管、ピアノの代わりにオルガンを採用、ここではオルガンがベースも兼ねず、オルガン+ベース+ドラムがリズム・セクションのクインテット編成になる。テナーのフロント管のパートナーがトロンボーン、そして、リズム・セクションには、ピアノの代わりにオルガンが入るという、こってこてファンクネス滴るクインテット編成になっている。
 

Arnett-cobbsmooth-sailing

 
フロント管にトロンボーン、ピアノの代わりにオルガン、なので、こってこてファンキーなジャズが展開されることが想像に難くない訳だが、この盤はその期待通り、こってこてファンキーな、少しスイングが入った、オールドスタイルなハードバップが展開されている。情感溢れるスインギーでグルーヴィーなコブのテナーのフレーズが絶品である。

特にバラードやスロー&ミッドテンポなブルースのコブのテナーの吹き回しが実に「小粋」。特に突出したテクニックがある訳では無く、速吹きやフリーキーな、当時流行の吹き回しについては「まったく無縁」。悠然と朗々と、スインギーでグルーヴィーなテナーを吹いていくコブは魅力満点。ああ、これがジャズなんやな〜、なんて、しみじみ思ってしまうブルージーでジャジーなフレーズにドップリ填まってしまう。

ファンキーでスインギーでオールドスタイルなテナーにはオルガンが良く似合う。この盤、このオルガンが入っているところが「ミソ」で、独特のファンクネスとグルーヴ感を醸し出している。何故か程良く抑制されたテナーとトロンボーンに、オルガンの音色がよく合う。プレスティッジには珍しく、丁寧な仕上がりになっていて、聴き応えがある。録音もヴァンゲルダー印でグッド。隠れ名盤です。
 
 

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2022年8月28日 (日曜日)

土曜日の「Super Guitar Trio」

1981年のリリースで、アル・ディ・メオラ、ジョン・マクラフリン、パコ・デ・ルシアという3人のギタリストによる、アコースティック・ギター3本だけの演奏を収録したライヴ盤があった。

超絶技巧なフュージョン系ギタリスト二人と、超絶技巧なフラメンコ・ギターの雄、3人でのライヴ・パフォーマンス。この3人の名前を見ただけでも「フュージョン(融合)」な取り合わせを感じて、今の耳で聴いても、素晴らしいライヴ・パフォーマンスの記録である。

そのライヴの記録とは『Friday Night In San Francisco(邦題:スーパー・ギター・トリオ・ライヴ !)』(写真右)。 超絶技巧の限りを尽くした、目眩くアコギの弾きまくり。それが1人では無く、3人がかりでやるのだから、そのパフォーマンスたるや、それはそれは、ど迫力で呆れるばかりのハイテクニックの嵐。

1981年と言えば「フュージョン・ジャズ」の全盛期のピーク。もともと、フュージョン・ジャズはギターが人気で、そのギターは超絶技巧、目眩く速弾きフレーズの弾きまくりが「目玉」。そんなフュージョン・ギターの最高峰の演奏が、この『スーパー・ギター・トリオ・ライヴ !』であり、そんなライヴ盤が、フュージョン・ジャズの全盛期のピークにリリースされ、人気を博した。ジャズの歴史の中で、象徴的なライヴ盤だった様な気がする。

Al Di Meola, John McLaughlin, Paco De Lucia『Saturday Night in San Francisco』(写真左)。1980年12月6日、米国サンフランシスコのウォーフィールド劇場でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Al Di Meola, John McLaughlin, Paco De Lucia (g)。超絶技巧ギタリスト3人のライヴ・パフォーマンスの記録になる。
 

Saturday-night-in-san-francisco_1

 
先にご紹介した『Friday Night In San Francisco(邦題:スーパー・ギター・トリオ・ライヴ !)』は、このライヴ盤が録音された前日のライヴ音源。録音場所は同じ「米国サンフランシスコのウォーフィールド劇場」。今回リリースされたライヴ音源は、既出の『スーパー・ギター・トリオ・ライヴ !』の収録日の翌日、全く同じメンバー・会場でのライヴ録音の音源になる。

しかし、こんな音源が21世紀になって発掘されるとは驚きである。この6日の公演はこれまで録音されていないと思われていたのだが、アル・ディ・メオラ所有の16トラックのテープを見直し、12月6日の公演から未発表の8曲を見つけ出した、のこと。なんせ、12月5日の公演で演奏した当の本人達も、第二夜を演奏したことを覚えてなかったらしい。よく発掘したもんだ。

さて、内容的にはどうか、と聴けば、12月5日の『Friday Night In San Francisco』の伝説的パフォーマンスと勝るとも劣らない、素晴らしいパフォーマンスが展開されてるから、二度驚き、である。

曲のレベルも遜色無い。例えば、「金曜日版」の出だしが「Mediterranean Sundance」に対して、この「土曜日版」の出だしが「Splendido Sundance」と、全曲、同じハイレベルの楽曲が並んでいる。

特に、この「土曜日バージョン」は、3人それぞれのソロ・パフォーマンス、無伴奏のソロ曲が3曲、記録されている。しかし、3人のギター・テクニックの凄まじさたるや、感動を通り超して、呆れるほどの超絶技巧さ。しかも、歌心が溢れ、即興性の高いインタープレイは見事という他は無い。
 
 

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2022年8月27日 (土曜日)

パティトゥッチの初リーダー作

管楽器やピアノに比べると、その総数は少ないが、優秀なジャズ・ベーシストは、どの時代にも存在する。僕が最初に認識したジャズ・ベーシストは「ロン・カーター」。

そして、歴史を遡って「チャールズ・ミンガス」と「ポール・チェンバース」。ジャズを聴き始めてから、第一線の登場してきたベーシストも沢山いる。そんな中で、印象に残っている1人が「ジョン・ジョン・パティトゥッチ(John Patitucci)」。

『John Patitucci』(写真左)。1987年の作品。邦題『ジョン・パティトゥッチ・デビュー!』。ちなみにパーソネルは、John Patitucci (b), Michael Brecker (sax), hick Corea (p), John Beasley, Dave Whitham (syn), Dave Weckl, Vinnie Colaiuta, Peter Erskine (ds)。チック・コリアの「チック・コリア・エレクトリック・バンド」のメンバーだった時に制作されたパティトゥッチの初リーダー作。

ジョン・パティトゥッチは1959年12月生まれ。今年で63歳のベテランの域に達したジャズ・ベーシストである。アコースティック、エレクトリックのどちらのベースについても、超絶技巧なテクニックを駆使して、流麗なフレーズとビート感溢れるベースラインを弾き回す。特に、エレクトリックの6弦エレベのパフォーマンスは、エレギのパフォーマンスと間違えられるほどだった。

そんな超絶技巧で流麗でビート感溢れるパティトゥッチのベースが、心ゆくまで楽しめるのが、この『ジョン・パティトゥッチ・デビュー!』。音の雰囲気は、チック・コリア・エレクトリック・バンドを踏襲しているが、端正でメロディアスな楽曲をメインに、パティとウィッチの流麗なベース・ソロと、躍動感溢れるベース・ラインが全面に押し出されていて、なかなか聴き応えのあるフュージョン・ジャズ盤に仕立て上げられている。
 

John-patitucci-album

 
フロント楽器については、マイケル・ブレッカーのサックスとチック・コリアのキーボードがメインだが、マイケルとチックのバックに回った時のパティトゥッチのエレベは、超絶技巧なベースラインでありながら、しっかりとフロント楽器を支え、フロント楽器を引き立て、フロント楽器を鼓舞する。

リズム・セクションに回った時のそのベーシストとしての能力の高さは相当に高いものがる。当時、チックが、自らのバンドのベース担当として白羽の矢を立てた訳が良く判る。特に、管楽器や鍵盤楽器と同等の、高速なアドリブフレーズを駆使したインタープレイは、バンド・サウンドに新しい可能性を感じさせてくれる。

個性に乏しいとか、いろいろ言われた初リーダー作であるが、ベーシストとして、リズム・セクションに回った時の卓越した能力の高さ、テクニックの超絶技巧さはこのデビュー盤を通じて、とても良く理解出来る。

フレーズの弾き方とか、音色とか、音の大きさとか、明確な個性を求める向きも判らないわけではないが、リズム・セクションを構成する主要楽器のひとつであるベースに関しては、リズム・セクションに回った時の、しっかりとフロント楽器を支え、フロント楽器を引き立て、フロント楽器を鼓舞する、そんな卓越した能力の高さが、まずは一番注目される能力だろう。

そういう点では、このパティトゥッチの初デビュー作は合格点。パティトゥッチのベースの特徴が良く判って、意外と聴き応えがある。
 
 

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2022年8月26日 (金曜日)

Benny Greenというピアニスト

1990年代半ば辺りから、ベニー・グリーン(Benny Green)というピアニストをずっと追いかけている。いわゆる「お気に入りのピアニスト」の1人である。1963年4月生まれ。今年で59歳のベテランの域に達したピアニストである。

1963年生まれで、初リーダー作が1988年、25歳の頃なので、ウィントン率いる「新伝承派」か、それに相対する「M-BESE派」のピアニストか、と思うのだが、彼のピアノを聴いてみると判るのだが、新伝承派でも無ければ、M-BASE派でも無い。どちらかと言えば、21世紀に入ってからの「ネオ・ハードバップ」なピアノの個性が独特である。

Benny Green『Prelude』(写真左)。1988年2月22日の録音。ちなみにパーソネルは、Benny Green (p), Terence Blanchard (tp), Javon Jackson (ts), Peter Washington (b), Tony Reedus (ds)。ブランチャードのトランペットとジャクソンのテナーがフロント2管のクインテット編成。メンバー全員、アート・ブレイキーとの共演の経歴を持つ。

メンバー皆、同じ世代なので、新伝承派の音になりそうなんだが、これがならない。新伝承派は、1960年代のマイルス・クインテットのモーダルな演奏を下敷きに、テクニックを向上させ、展開の難度を高めた、1960年代のモード・ジャズの改良イメージなんだが、ベニー・グリーンの初リーダー作の音は「それ」では無い。

モード・ジャズはモード・ジャズなんだが、過去のモード・ジャズな演奏を下敷きにしていない。響きがまるで違うのだ。グリーンのモーダルな展開は、明るく判り易く、どこかポップ。
 

Benny-green-prelude

 
テクニックは優秀、バリバリ高速な弾き回しもOKなんだが、とても流麗で堅実で、難解には聴こえない。ピアノの弾き回しの印象は、マッコイ・タイナー風、セロニアス・モンク風、オスカー・ピーターソン風な雰囲気が見え隠れするが、基本的には、ベニー・グリーン流のバップ・ピアノ。

モードなピアノではあるが、弾き回しの雰囲気が、モード以前のタイナー風であったり、モードとは無縁のモンク風であったり、ピーターソン風であったりするので、1960年代の優れたモード・ジャズの演奏を想起する「切っ掛け」が皆無。

モーダルな弾き回しは弾き回しなんだが、ファンクネスは薄め、1970年代のECMを中心とする「ニュー・ジャズ」の中のモード・ジャズな響きもあり、21世紀の「ネオ・ハードバップ」なモード・ジャズに近しい雰囲気である。その辺が「新伝承派」と大きく異なる部分。世代が世代なので、新伝承派の影響をモロに受けても不思議は無いのだが、ベニー・グリーンは独自の響きを持ったモード・ジャズを展開しているところがユニーク。

初リーダー作をリリースした1988年は、新伝承派の活動が活発だった頃。グリーンは、アレンジャー&コンポーザーの力量とフロント楽器をサポートし鼓舞する「伴奏上手」なピアノを世に問うべく、管楽器がフロントのカルテット、クインテット編成が米国ではウケが良いことも考慮に入れて、まずはクインテット編成で、初リーダー作を打って出ている。意外と「グリーン」は戦略家。

グリーンのピアノの個性が露わになる「ピアノ・トリオ」の演奏は、この初リーダー作のすぐ後、セカンド盤『In This Direction』でお披露目される。ネオ・ハードバップのバップ・ピアノを先取りしたグリーンのピアノは、このセカンド盤で楽しむ事が出来る。
 
 

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1966年のバルカン・ジャズ

欧州ジャズは欧州ジャズで独自の進化、深化を続けている。ファンクネス濃厚、ばりばりスインギーで、ブルージーな米国ジャズの熱烈なファンからは、欧州ジャズは疎まれる傾向にあるが、欧州ジャズは欧州ジャズで立派な「ジャズ」である。北欧ジャズから始まって、英、仏、独、蘭などを中心に、欧州各国に、それぞれの国の個性を反映したジャズが根付いている。

特にベルリンの壁崩壊後は、東欧諸国のジャズの情報が入る様になり、特にネットの時代に入ってからは、東欧諸国のジャズもアルバムの聴き易くなった。今では、この東欧ジャズが、欧州ジャズの「主要なサブジャンル」の1つとなって、堅実にジャズを深化させている。東欧ジャズはそれぞれの国の民俗音楽などの個性がダイレクトに反映されているものが多く、聴いていてとても楽しい。

Dusko Gojkovic『Belgrade Blues』(写真)。1966年5月19日の録音。ちなみにパーソネルは、Dusko Gojkovic (tp,flh), Sal Nistico (ts), Carl Fontana (tb), Nat Pierce (p), Mike Moore (b), Ronnie Zito (ds)。米国のジャズマン、カール・フォンタナとサル・ニスティコが、リーダーのゴイコヴィッチと3管フロントを組んだ、セクステット編成。

ベオグラードで開催されたフェスティバルに参加したウディ・ハーマン楽団、そのウディ・ハーマン楽団の腕利きメンバーが、ゴイコヴィッチのレコーディングに協力したらしい。その腕利きメンバーが、カール・フォンタナであり、サル・ニスティコである。そして、リズム・セクションも、と調べて見たら、やはり楽団メンバーであった。
 

Dusko-gojkovicbelgrade-blues

 
数時間で録音は完了したとのことだが、そんな即席なセクステットの演奏とは思えない、しっかりとアレンジされた、端正でジャジーでスインギーな演奏に仕上がっている。ほんと、皆、良い音だしているのだが、面白いのは、米国ジャズの特徴がこの盤にはほとんど感じられない。音の雰囲気は欧州ジャズであり、旧ユーゴスラヴィアのバルカン・ジャズである。一流ジャズマンの表現力というのは、我々が想像しているよりも凄いのだ。

さすが周りを米国ジャズの一流どころで固めているので、ゴイコヴィッチのトランペットの「ノリ」と「張り」が違う。明朗に躍動的にスイングするゴイコヴィッチのトランペットは聴きものだ。当然、出てくるフレーズのここかしこに「バルカン」な雰囲気が散りばめられていて、米国ジャズとは違う、バルカン・ジャズの雰囲気が耳に新しく響く。

この盤、もともとは10インチ盤でリリースされたもので、オリジナルはジャズLP最難関といわれる超レア盤らしい。ゴイコヴィッチが、1961年に吹き込んだ初リーダー作『The International Jazz Octet』と1966年に吹き込んだ『Belgrade Blues』、この2枚の10インチ盤をカップリングにして、1973年、12インチ盤でリイシューされている。僕が聴いた盤は、この12インチ盤を紙ジャケットで完全復刻したCDである。

盤のタイトルが『ベオグラード・ブルース』。1966年にして、このタイトルで旧ユーゴスラヴィアで録音され、リリースされている。まだ「鉄のカーテン」が存在した時代。それだけ、東欧でもジャズのマーケットがしっかりと存在していたことが想像出来る。
 
 

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2022年8月24日 (水曜日)

ジャズ喫茶で流したい・247

アラン・ブロードベントはジャズ・ピアニスト。1947年生まれ、ニュージーランド、オークランド出身。今年で75歳のレジェンド級のピアニスト。

どこかで聴いたことがある名前やな、と思って調べてみたら、ナタリー コールのアルバム『Unforgettable... with Love』のレコーディングに参加していたピアニストであり、チャーリー・ヘイデンのアルバム『Quartet West』にピアニストとして参加、ポール・マッカートニーのアルバム『Kisses on the Bottom』には、オーケストラのアレンジャー&指揮者として参加している。

Alan Broadbent Trio『New York Notes』(写真左)。2018年4月と11月の録音。ちなみにパーソネルは、Alan Broadbent (p), Harvie S (Harvie Swartz) (b), Billy Mintz (ds)。リーダーは、ピアノのアラン・ブロードベント。リーダー作は生涯20作を優に超えているいるが、この盤は、そんなブロードベントの最新作。73歳での録音になる。

本作はブロードベントの自宅にあるプライベート・スタジオ(RVS Studio)で、2018年に録音された音源とのこと。ベースのハービー S は、ボストンのバークリー音楽大学時代からの友人。ドラムのビリー・ミンツは、LA時代に一緒にプレイしていた気心知れたドラマー。演奏を聴けば判るが、トリオの3者、息がピッタリ合った、素敵なインタープレイを聴かせてくれる。
 

Alan-broadbent-trionew-york-notes

 
トリオ演奏の雰囲気は、現代のバップなピアノ。ネオ・バップ・ピアノとでも形容出来る、コンテンポラリーなバップ・ピアノである。バップ・ピアノと言えば、バド・パウエルから始まり、トミー・フラナガンやケニー・ドリュー、デューク・ジョーダンらの名前が浮かぶが、そんな旧来のバップ・ピアノとは、音の切れ味、音の透明度、フレーズ展開のテクニック、どれもが全く異なる。異なるというか、全ての面で深化している。

冒頭の「Clifford Notes」は、タイトル通り、伝説の早逝の天才トランペッター、クリフォード・ブラウンに捧げた曲。軽快な4ビートのトリオ演奏がまさに「バップ」。続く「Minority」は、ジジ・グライスの曲だが、どこかで聴いたことが、と思って記憶を辿ったら、ビル・エヴァンスの初期の名盤『Everybody Digs Bill Evans』のオープニングを飾った曲。ライトでエヴァンス風のバップ・ピアノが映える。

バラード曲の「 I Fall in Love Too Easily」や「On a Misty Night」も、バップ・ピアノのマナーで弾き進めるが、実に「流麗」で「端正」。まるで唄うが如くのフレーズの連続で、弾きまくるだけでは無い、歌心をしっかり忍ばせた、ブロードベントならではのバップ・ピアノ・バラードを聴かせてくれる。

こういう現代のバップ・ピアノ・トリオの好盤があるとは知らなかった。ネットでのレコメンド情報さまさまである。ちょっとバップなピアノ・トリオを聴きたい、と思った時に、意外と繰り返し手にするトリオ盤になっている。
 
 

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  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

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   ・遠い昔、懐かしの『地底探検』

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2022.03.13 更新。

   ・四人囃子の『Golden Picnics』
 
 
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2022年8月23日 (火曜日)

クラブ・ジャズの先取りな内容

デューク・ピアソン(Duke Pearson)を久し振りに聴き直し始めたら、止まらなくなった。もともと、ジャズ者初心者の頃から、「インテリジェンス溢れる粋なフレーズ、タッチのリリカルな響き」が個性のピアソンがお気に入り。当然、聴き直し始めたら、お気に入りなんで、やっぱりほぼ全リーダー作を聴き直してしまうなあ。

Duke Pearson『The Phantom』(写真左)。1968年6月と9月の録音。ブルーノートの4293番。ちなみにパーソネルは、Duke Pearson (p), Jerry Dodgion (fl), Bobby Hutcherson (vib), Sam Brown, Al Gafa (g), Bob Cranshaw (b), Mickey Roker (ds), Victor Pantoja (congas), Carlos 'Patato' Valdés (conga, güiro)。

ジェリー・ダジオンのフルート、ハッチャーソンのヴァイブ、ブラウン&ガファのギターの4人でフロントを固め、リズム・セクションは、ピアソン+クランショウ+ローカーの定番トリオ。コンガが2人追加されていて、リズム・セクションのグルーヴ感が増している。なんでかな〜、と思って盤を聴いたら、なるほど、全体的にはブラジリアン・フレイヴァーの曲が多いのね。
 

Duke-pearsonthe-phantom

 
冒頭タイトル曲「Phantom」を聴けば、プログレッシヴなハッチャーソンのヴァイブが大活躍する、硬派でちょっと難解、モーダルでミステリアスでアシッド「怪しい」雰囲気に、思わず、この盤は硬派で実験的なモード・ジャズ盤か、と思いきや、次の「Blues for Alvina」の軽快で明るいブルースにホッとする。パーカッシブな演奏が実にポップに響く。

そして、続く軽快なブラジリアン・チューン「Bunda Amerela (Little Yellow Streetcar) 」と小粋なボサノヴァ「Los Ojos Alegres (The Happy Eyes) 」が秀逸な出来。どちらの曲も、プログレッシヴなハッチャーソンのヴァイブが「ソフト&メロウ」に響いて、ダジオンのフルートが爽やかに流れて、とてもポップで警戒でブラジルちっくな演奏に仕上がっているのは見事。

「Say You're Mine」のリリカルなピアソンのピアノも良い。「Moana Surf」はクラブ・ジャズな響きが興味深い。この盤、クラブ・ジャズ好きには欠かせない1枚らしくて、確かに、20年後辺りに来る「クラブ・ジャズ」を先取りしている雰囲気がプンプンする。1968年の録音だけど、当時としては「斬新」な内容だったと思料。ジャケットもそんなジャケットしてるしね(笑)。好盤です。
 
 

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2022年8月22日 (月曜日)

ブルーノートのポップなジャズ

それまでのブルーノート・レーベルに無い「ポップ&イージーリスニング志向」。1960年代後半、この「ポップ&イージーリスニング志向」な盤は売れ筋ではあるので、今までのブルーノートに無い「大衆迎合」志向の盤を、敢えて,ブルーノートの総帥ディレクター、アルフレッド・ライオンは制作したのだと思う。そんなライオンの想いに対して、ピアソンはその優れたアレンジ・テクニックでバッチリ応えている。

Duke Pearson『Sweet Honey Bee』(写真左)。1966年12月7日の録音。ブルーノートの4252番。ちなみにパーソネルは、Duke Pearson (p), Joe Henderson (ts), Freddie Hubbard (tp), James Spaulding (fl, as), Ron Carter (b), Mickey Roker (ds)。ヘンダーソンのテナー、ハバードのトランペット、スポルディングのフルート&アルト・サックスがフロント3管のセクステット編成。

とてもポップなファンキー・ジャズ仕立ての「イージーリスニング・ジャズ」な盤である。冒頭の「Sweet Honey Bee」の出だしを聴いていると、思わず、クリード・テイラーのCTIフュージョンかと思ってしまうほどのポップ&イージーリスニング志向。

出てくるフロント楽器が、スポルディングのフルートなので、これはCTIサウンドでは無いと思う。それにしても、見事なまでの「ポップ&イージーリスニング志向」のピアソンのアレンジであり、それにバッチリ乗ったスポルディングのフルートは「ソフト&メロウ」そのもので、既に「フュージョン・ジャズ」な雰囲気を先取りしている。
 

Sweet-honey-bee

 
そんなピアソンのアレンジに、フロント3管はこれまたバッチリ応える。バカテク&吹きまくりのハバードが抑制されたトランペットで、ポップでメロディアスなフレーズを吹き上げる。もともとテクニックが相当に高いレベルにあるハバードである。キャッチャーで耽美的なメロディーを流麗に吹き上げ、ファンキーなフレーズは、モーダルに流れる様に吹き進める。

モード・テナーの申し子の様なヘンダーソンが、これまた、ポップでメロディアスなフレーズをばりばりモーダルなテナーで吹き上げていく。しかし、これが程良く抑制され、ウォームな音色で吹き上げるので、モード・ジャズにつきものの「難解さ」が皆無。判り易く、ラウンドなトーンで、モーダルなフレーズをイージーリスニング風に聴かせてくれる。

ポップ&イージーリスニング志向な演奏の中に「Big Bertha」の様な、硬派でストレートアヘッドなファンキー・ジャズがちゃっかり挿入されていて、ポップ&イージーリスニング志向な演奏になれ始めた耳に「ガツン」と渇が入る。硬派でストレートアヘッドなファンキー・ジャズだが、それぞれの演奏は、程良く抑制され、端正なパフォーマンスになっているので、とても整ったお洒落でアーバンなファンキー・ジャズになっていて、これはこれで聴き味抜群。この辺に、往年のブルーノートの矜持を感じる。

イージー・リスニング志向のジャズ盤ではあるが、フュージョンを先取りした「ソフト&メロウ」な演奏あり、程良く抑制された、硬派でストレートアヘッドなファンキー・ジャズな演奏あり、それぞれのソロ・パフォーマンスも、易きに流れず、しっかりと個性溢れる、バップなフレーズ、モーダルなフレーズを演奏しまくっているのだから、意外と「痛快」なアルバムである。
 
 

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2022年8月21日 (日曜日)

ファンキー&モード・ジャズの好盤

デューク・ピアソン(Duke Pearson)は、1932年生まれで、1980年に47歳で早逝している。1980年に亡くなったということは、僕がジャズを本格的に聴き始めて、数年しか経っていない「ジャズ者初心者」の頃に亡くなった訳だが、当時はしっかり、ジャズ雑誌も精読していたのだが、全く印象に無い。

ピアソンのピアノがお気に入りになったのは、ブルーノートの諸盤がカタログ順にCDリイシューされた時、『Tender Feelin's』というピアノ・トリオの秀作に出会ってからである。

ピアソンのピアノは「インテリジェンス溢れる粋なフレーズ、タッチのリリカルな響き」。まず、これが良い。そして、ピアソンはアレンジャー&コンポーザーの才能にも優れたものがある。自身のピアノ、作曲、アレンジ、3拍子揃った優れたジャズ・ピアニストであった。

Duke Pearson『Wahoo!』(写真左)。1964年11月21日の録音。ブルーノートの4191番。ちなみにパーソネルは、Duke Pearson (p), Donald Byrd (tp), James Spaulding (as, fl), Joe Henderson (ts), Bob Cranshaw (b), Mickey Roker (ds)。バードのトランペット、スポルディングのアルト・サックスとフルート、ヘンダーソンのテナー・サックスがフロント3管のセクステット編成。

録音メンバーを見渡すと、テナーのヘンダーソンとアルトのスポルティングはモーダルなジャズの名手。ベースのクランショウとドラムのローカーはモーダルなジャズに適応するプログレッシブなリズム隊。トランペットのバードはビ・バップからの強者だが、新しいモーダルな演奏にも順応する優れたジャズマン。
 

Duke-pearsonwahoo

 
こんなメンバーで固めると、この盤、ばりばりモーダルで難解なジャズが展開されているのか、と思いきや、そうでは無いから、この盤は一筋縄ではいかない。

ピアソン以下、メンバーは皆、アドリブ展開の時には、モーダルなフレーズを連発しているのだが、アルバム全体の雰囲気は、ピアソンの優れたアレンジによって、小粋で聴き味の良い、アーバンでお洒落なファンキー・ジャズに仕立て上げられている。ピアソンのアレンジ能力の高さが窺い知れる。

加えて、フロント3管のユニゾン&ハーモニーをベースとしたアレンジが、ファンクネスを強く感じさせて、モード・ジャズの難解さを中和している。といって、こってこてファンキーなジャズにはならない。モードの響きをしっかりと残して、ジャズとして、アーティスティックな響きを醸し出している。所謂「俗っぽいジャズ」になっていないのだ。何処か気品漂うジャズに仕立て上げられているのは、ピアソンのアレンジャー&コンポーザーの才能の「賜」だろう。

ピアソンのピアノは音数が厳選されていてリリカル。バードとスポルディングの2管はファンクネス漂う吹き回しで「さすが」。ヘンダーソンのテナーはモーダルに捻れて素敵なパフォーマンスを連発。クランショウのベースはモーダルなベース・ラインをウネウネと弾き出し、ロッカーのドラミングはプログレッシブ。

そんなモーダルな演奏が、小粋で聴き味の良い、アーバンでお洒落なファンキー・ジャズ風にアレンジされているのだから、聴き応えは十分である。意外と注目度が低いピアソン盤だが内容は良好。ファンキー&モーダルなジャズの好盤です。
 
 

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2022年8月20日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・247

ゴンサロ・ルバルカバ(Gonzalo Rubalcaba) は「キューバの至宝」と呼ばれるジャズ・ピアニスト。1963年5月、キューバはハバナの生まれ。今年で59歳、来年は還暦。もはや、キャリア的にはベテランからレジェンドの域に差し掛かっている。僕がゴンサロの出会ったのは、1990年『Discovery: Live at Montreux』を手にした時。あの頃、ゴンサロは弱冠27歳。あれから30年以上、ゴンサロのピアノの志向はブレていない。

ゴンサロのピアノは超絶技巧ではあるが、リリカルでメロディアス、そこはかとなくアーシーでワールド・ミュージック的な雰囲気が漂い、カリプソな雰囲気も見え隠れする。回りくどいことは無く、判りやすい光速のパッセージでアプローチは意外と直線的。ビ・バップ・マナーの超絶技巧な高速ピアノと、間を活かした印象派マナーの耽美的でリリカルなピアノの双方を両立させた個性が特徴。

Gonzalo Rubalcaba Trio『Skyline』(写真左)。2021年の作品。ちなみにパーソネルは、Gonzalo Rubalcaba (p), Ron Carter (b), Jack DeJohnette (ds)。ゴンサロが若き日に師事したジャズメンと再会したいという長年の希望を受けて実現した再会セッションの記録。現代のアコベのレジェンド、ロン・カーターと、現代のポリリズミックなドラマーのレジェンド、ジャック・デジョネットがリズム隊で参入している。
 

Gonzalo-rubalcaba-trioskyline

 
ゴンサロのピアノの個性をしっかり記録しつつ、ゴンサロのピアノの成熟を聴いて取れる、内容の濃いピアノ・トリオ盤である。相変わらずの超絶技巧であるが、若かりし頃の「どうだ、凄いでしょ」的な大向こうを張った弾き回しでは無く、硬軟自在、緩急自在、音とリズムをしっかりと選びつつ、機微溢れる、クールでブルージーでモーダルなピアノをじっくり聴かせてくれる。弾きまくるゴンサロ、内省的なゴンサロ、ゴンサロのピアノの良いところがこの盤にしっかり記録されている。

ゴンサロの成熟したピアノの良いところをグイグイと引き出しているのが、ロンのベースとデジョネットのドラム。ロンのべースは、ゴンサロのモーダルなピアノの底をしっかりと支えて安定感抜群。デジョネットのポリリスミックなドラミングは、ゴンサロのピアノに推進力と変化のタイミングを与え続ける。素晴らしいインタープレイの応酬。ゴンサロのピアノが映えに映える。

ゴンサロ健在。ロンも健在、デジョネットも健在。凄まじく、内容濃く、新しい響きを湛えたインタープレイを繰り広げるレジェンド級のピアノ・トリオ。その演奏の数々は凄みが感じられるほど、硬派で切れ味の良いもので、まだまだ若手ピアノ・トリオには及ばない、様々な「粋」なアプローチと弾き回しは、後に名盤と呼ばれるに相応しい内容ではないかと感じて、聴いていて何だか「嬉しく」なりました。
 
 

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2022年8月19日 (金曜日)

ブランフォードの東京録音盤

最近、ブランフォード・マルサリス(Branford Marsalis)の活動の噂を聞かない。リーダー作も「The Secret Between the Shadow and the Soul」(2019年)以降、出ていない。確か、1960年8月生まれなので、今年で62歳。コロナ禍もあるし、体調を崩したりしていなければ良いが、何だか心配な今日この頃である。

Branford Marsalis『Random Abstract』(写真左)。1987年8月12ー13日、東京の「Sound City Studios」での録音。ちなみにパーソネルは、Branford Marsalis (sax), Kenny Kirkland (p), Lewis Nash (ds), Delbert Felix (b)。弟のデルフィーヨ・マルサリスがプロデュース。ブランフォード・マルサリスのワンホーン・カルテットになる。

真摯で硬派なネオ・ハードバップな音が満ちている。基本はモード・ジャズ。確かに、マルサリス兄弟は、当時、新伝承派のリーダー格とされたので、ジャズは「1960年代のハードバップ、いわゆるアコースティックなモード・ジャズが一番良い」として、モード・ジャズをやるのは判るが、ブランフォードは、モード・ジャズの焼き直しで留まっていないことが、この盤を聴けば良く判る。

全てが成功しているかどうかは別として、この盤のモーダルな演奏は、1960年代の流行を踏襲していない。一工夫も二工夫もして、1987年時点で「新しい」モード・ジャズを表現している。ブランフォードのモード・ジャズは、いつ聴いても、1960年代の,モード・ジャズを想起することは無い。聴いて「おっ、これは面白いアプローチやな」とか「これは新しいアレンジやな」とか、1960〜70年代のモード・ジャズには無かった「響き」がそこかしこに満ちあふれている。
 

Branford-marsalisrandom-abstract

 
加えて、ブランフォードのサックスは「上手い」。テクニックは上々、歌心もあり、ピッチもリズム感もバッチリ合っている。歴代のテナー・タイタンである、ロリンズ、コルトレーン、ショーター等と比較しても、勝るとも劣らないサックス。アレンジや曲想とバッチリ合った時のブランフォードのサックスは、それはそれは見事にフレーズを吹き上げる。

バックのリズム・セクションも、ブランフォードの考えるモード・ジャズを十分に理解し、素晴らしいサポートを繰り広げる。特に。ケニー・カークランドのピアノが素晴らしい。ブランフォードの吹き上げる個性的でモーダルなフレーズを受けて、そのモーダルな展開のイメージを踏襲しつつ、その別のバリエーションのモーダルなフレーズを叩き出す。ブランフォードの「影」の様な存在が、カークランドのピアノである。

曲によってはチャレンジが成功していたり、スベったりしているが、この辺がブランフォードらしいと言えば、ブランフォードらしい。しかしながら、この盤のセッションが、来日公演の「ついで」の東京録音で、ほぼ一発録りに近いイメージなので、この盤の「負」のイメージについては敢えて追求しない。

この盤、ジックリ腰を据えて、演奏をしっかりと「推敲」しながら、良いイメージの演奏だけで固めていたら、後世に残る名盤になっていたかもしれない。そんな「伸びしろ」をしっかり感じさせてくれる好盤である。
 
 

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2022年8月18日 (木曜日)

小粋な Band of Other Brothers

フュージョン・ジャズは時代の徒花だった、あれは間違いだった、という声もあったが、現代のジャズをグローバルに俯瞰してみると、クロスオーバー&フュージョン・ジャズは、今も深化を続けている。新しいイノベーションが生まれる訳では無いが、演奏内容の精度や内容が「深まっている」。米国でも英国でも、クロスオーバー&フュージョン・ジャズはまだまだ「存命」である。

Band of Other Brothers『Look Up!』(写真左)。2021年8月のリリース。ちなみにパーソネルは、Will Lee (b), Keith Carlock (ds), Nir Felder (g) , Jeff Babko (key), Jeff Coffin (sax)。今年70歳。衰え知らずのフュージョン界のレジェンド・ベーシスト、ウィル・リーを筆頭に、LAやNYを拠点に活動するフュージョン畑の名手が集結。小粋なクロスオーバー&フュージョン・ジャズを繰り広げている。

バンド名が「Band of Other Brothers」。ドラムにキース・カーロックは、スティーリー・ダンのドラム担当で有名。ニア・フィルダーはコンテンポラリーな中堅ギタリスト。キーボードのジェフ・バブコはマーク・ジュリアナ’s BEAT MUSIC出身の鬼才。サックスのジェフ・コフィンはベラ・フレック&ザ・フレックトーンズの元メンバー。しかし、フュージョン畑の曲者ばかり集めていると感じる。

これだけの曲者の集まりだと、1つの「音の志向」にまとめるのが大変だと思うのだが、リーダー格のウィル・リーは、そこを上手くやっている様に感じる。とにかく、音のまとまりが素晴らしい。メンバー全員が1つの「音の志向」を見ていてブレが無い。よって、演奏には迷いやダレたところや手慣れたところが無く、適度なテンションの下、しっかりアレンジされ、しっかりまとまりのあるサウンドに仕上がっている。
 

Band-of-other-brotherslook-up

 
音の志向は、基本的には、仄かにファンクネスを感じる、アーバンでアダルトなフュージョン・ジャズ。音の雰囲気は、バブコのキーボードがリードしている。エレピ、アコピ共に、バブコ独特の音を出していて、これが、このバンドの「音の志向」作りに貢献している。とにかく、バブコのキーボードが目立つ。以前のフュージョン・ジャズの時代には無かった個性的な音だけに、このバンドのフュージョンな音作りは「新しく」感じる。

リズム&ビートは、ウィル・リーのベースとキース・カーロックのドラムの「賜」。ジャズ、ファンク、ブーガルーなグルーブを柔軟に適用し、心地良く8ビートにスイングする。カーロックのドラムがビートの前面に出る時は、音の雰囲気は「Steely Dan」っぽくなり、リーのベースがビートの前面に出る時は、音の雰囲気は「Crystal Green」っぽくなるから面白い。

メンバーそれぞれが「匠」の技を繰り出して演奏しているので、それぞれの収録曲の演奏は素晴らしく充実している。アレンジもこの曲者メンバーの集まりに見事に決まり、メンバーそれぞれの演奏がくっきり浮かび上がり、それがまた素晴らしい。かなり高いレベルのフュージョン・ジャズであり、フュージョン・ファンクである。

我が国では、あまり話題に上らなかった「Band of Other Brothers」の新盤であるが、 内容は素晴らしいので、フュージョン・ジャズ者の方々には是非お勧め。ながら聴きのフュージョン・ジャズ盤としてお勧めの優秀盤だと思います。そもそも「Band of Other Brothers」というバンド名も我が国では全く浸透していない。困ったもんです。
 
 
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2022年8月17日 (水曜日)

優れた「現代のネオ・モード盤」

スティーヴ・デイヴィス(Steve Davis)。1967年4月生まれ、米国マサチューセッツ州出身。今年で55歳。ベテランの域に達したトロンボーン奏者である。リーダー作は1994年以来、平均1〜2年に一枚のペースでリーダー作をリリースし続けている。

1989年には、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズに加入している。若かりし頃からの有望なトロンボーン奏者だったことが判る。サイドマンとしてのアルバム参加も多く、人気のトロンボーン奏者である。が、我が国では、ほとんど無名。Criss Crossレーベルの殆ど専属状態だったので、日本のレコード会社が扱うことも無く、CDショップも直輸入するには、無名であるが故、リスクが高かったのだろう。

僕は、Chick Corea+Originの『Live at The Blue Note』で、サイドマンとして参加している、スティーヴ・デイヴィスを知った。テクニックが確かなトロンボーンで、複雑なモーダル・フレーズを多種多彩に吹き上げるトロンボーンに、ちょっとビックリした思い出がある。また、1997年に結成された「ネオ・ハードバップ」専門のグループ「One for All」のメンバーとしてのプレイも度々耳にしている。

Steve Davis『Bluesthetic』(写真左)。2022年2月、NYでの録音。Smoke Sessions Recordsからのリリース。ちなみにパーソネルは、Steve Davis (tb), Peter Bernstein (g), Steve Nelson (vib), Geoffrey Keezer (p), Christian McBride (b), Willie Jones III (ds)。トロンボーン+ギター+ヴァイブがフロント3管のセクステット編成。管はスティーヴ・デイヴィスのトロンボーンのみ。あくまで、リーダーのディヴィスのトロンボーンが前面に出るラインナップ。
 

Steve-davisbluesthetic

 
冒頭の「Encouragement」を聴くだけで、これは優れたモード・ジャズの演奏がメインだと判る。前奏の雰囲気などは、1960年代の新主流派の音世界を彷彿とさせるもの。いかにも「モード・ジャズ」的なフレーズの積み重ねで、モード好きの僕などは、この1曲だけでワクワクしてしまう。

確かに、1960年代の新主流派のモーダルな音世界が下敷きにあるのだが、アドリブ・フレーズの展開は「新しい」現代のモード・ジャズ風。ネオ・ハードバップならぬ「ネオ・モード」と言って良い位、新しい響きに満ちている。それでいて、難解なところは無く、スムーズでスインギーで判り易い。全曲、デイヴィスのオリジナル曲で固められているのだが、ディヴィスの作曲の才にも感心する。

これって重要なことで、モードを採用しているので、硬派な純ジャズ風に聴こえるが、フレーズの展開は「流麗」そのもの。それだけ取り出せば、スムース・ジャズと言っても通用するくらいの「滑らかさ」。丸みを帯びて、柔らかい拡がりのある、それでいて音の芯がしっかりとしたトロンボーンの音色。その流麗さについては、ディヴィスのトロンボーンの特徴的な音色が貢献している。

現代のモード・ジャズ、今のモード・ジャズの優れた演奏がこの盤に詰まっている。モーダルなフレーズが芳しいジェフ・キーザーのピアノをメインとしたリズム・セクションも良い演奏で、バンド全体の音を支え、盛り立てている。ギターとヴァイブは、あくまで、ディヴィスのトロンボーンの引き立て役に徹していて清々しい。優れた内容の「現代のモード・ジャズ盤」である。
 
 

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2022年8月16日 (火曜日)

硬派な欧州のモード・ジャズ

ダスコ・ゴイコヴィッチ(Dusko Goykovich)は1931年生まれ、旧ユーゴスラビア(現ボスニア・ヘルツェゴビナ)出身のトランペット、フリューゲルホーン奏者。「バルカン〜ヨーロッパ的哀愁に満ちたフレーズ」と「テクニック優秀+力強く高速なフレーズ」とが融合した、東欧出身でありながら、正統なバップ・トランペットの名手である。

僕はこのゴイコヴィッチには、今を去ること40年ほど前、ジャズを聴き始めた頃に出会っている。大学近くの「秘密の喫茶店」だった。この喫茶店、不思議な喫茶店で、1980年前後で、スティープルチェイス・レーベルやエンヤ・レーベルのLPが結構あって、まだジャズ者初心者ワッペンほやほやの僕に、欧州ジャズの名盤を積極的に聴かせてくれた。感謝である。

Dusko Goykovich『It's About Blues Time』(写真)。1971年11月8日、スペイン・バルセロナでの録音。エンヤ・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Dusko Goykovich (tp), Ferdinand Powell (ts), Tete Montoliu (p), Robert Langereis (b), Joe Nay (ds)。リーダーのゴイコヴィッチのトランペット、ポヴェルのテナーがフロント2管のクインテット編成。

このクインテット、トランペットのゴイコヴィッチが旧ユーゴスラビア、テナーのポヴェルがオランダ、ピアノのモントリューがスペイン・カタルーニャ出身、ベースのラングレイスはオランダ出身、ドラムのネイはドイツ出身。オール欧州のクインテットである。

で、この完璧なオール欧州のクインテットが、バリバリ硬派なメンストリーム志向の純ジャズをやるのだから、ビックリである。この盤を初めて聴いたのは、1990年代だが、最初は「内容のある硬派なモード・ジャズやなあ」と思ったが、ファンクネスが皆無なのが気になった。
 

Dusko-goykovichits-about-blues-time

 
日本のジャズでも乾いたファンクネスは仄かに漂うのだが、と思って、レーベルを見たら「Enja」とある。この硬派なモード・ジャズが欧州ジャズ出身なのか、と驚いた。録音当時の欧州ジャズのレベルの高さを再認識した。名盤『アフター・アワーズ』(2021年1月3日のブログ参照)と同じ1971年にスペインで録音された姉妹盤的な内容である。納得である。

本場米国のモード・ジャズよりも端正で硬質。恐らく、クラシック音楽や現代音楽の影響が、米国よりも欧州の方が強いのだろう。それもそのはずで、かなりの確率で、欧州のジャズマンは、何らかの形でクラシック音楽に関わっている。欧州のジャズマンは、基本的に演奏テクニックが半端ないのだ。

ゴイコヴィッチのトランペットがバルカン〜ヨーロッパ的哀愁に満ちたフレーズをモーダルに吹きまくる。「Old Folks」のミュート・プレイも絶品。「Bosna Calling」はエキゾチックなバルカン的哀愁なフレーズが個性的。バップ・ナンバー「The End Of Love」でのハードバッパーな吹きっぷり。

テテ・モントリューのピアノが、様々なバリエーションのモーダルなフレーズを叩き出す。このテテのパフォーマンスが見事。チック、若しくはキースに匹敵するモードなフレーズの弾き回しの多彩さに驚き、その確かさに感心する。凄いピアニストが欧州のスペインにいる。欧州ジャズの奥の深さを感じて、1990年代以降、僕は欧州ジャズにもどっぷり填まっていく。

ファンクネス皆無の硬派な欧州のモード・ジャズ。どの演奏もモーダルでスインギー。そんな欧州ジャズの優れた演奏が、このゴイコヴィッチのリーダー作にてんこ盛り。これが、1971年の演奏である。当時の欧州ジャズのレベルの高さとモダン・ジャズに対する人気の高さを改めて再認識する。
 
 

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2022年8月14日 (日曜日)

1960年代前半のジャマルの音

アーマッド・ジャマル(Ahmad Jamal)についての有名なエピソード、マイルスが麻薬禍から立ち直り、新しいクインテットを立ち上げる際、ピアニストとして、アーマッド・ジャマルに白羽の矢を立てたのは有名な話。結局、飛行機に乗るのが嫌で、マイルスの誘いを断った訳だが、この様に、ジャマルは米国では、デビューの頃から評価の高いピアニストだった。

しかし、我が国では人気のあるピアニストでは無い。ジャズ盤紹介本でも、ジャマルのリーダー作として挙がるのは『But Not For Me』(1958年)がほとんど。他にも優秀なリーダー作は沢山あるのだが、我が国での「アーマッド・ジャマル」の扱いは本当に小さい。しかし、米国では、コンスタントにリーダー作をリリースし続け、70枚超のリーダー作を世に送り出している。

Ahmad Jamal『At The Blackhawk』(写真左)。1961年11月、サンフランシスコのナイトクラブ「ブラックホーク」でのライヴ録音。Argoレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Ahmad Jamal (p), Israel Crosby (b), Vernel Fournier (ds)。リーダーのジャマルとベースのクロスビーはシカゴ出身。ドラムのフォーニアは、ニューオリンズ出身でシカゴ在住。オール・シカゴのピアノ・トリオ。

ジャマルは「年代によって異なる顔を持つ」ジャズ・ピアニスト。1950年代は「間」を活かし、弾く音を限りなく厳選し、シンプルな右手のフレーズと合いの手の様に入る左手のブロックコードが特徴のジャマルのピアノ。1960年代の終わり〜1970年代の作品は、アーシーで豪快なメリハリのあるサウンドに変化。
 

Ahmad-jamalat-the-blackhawk
 

この『At The Blackhawk』、1961年11月のライヴ音源を聴いて判るのは、「間」を活かし、弾く音を限りなく厳選したシンプルな弾き回しから、シンプルな弾き回しながら、メリハリを強くつけた奏法に変化しつつあるジャマルをしっかりと捉えている。1950年代のラウンジ・ピアノっぽい雰囲気から、ダイナミックでファンキーなジャズ・ピアノに変化している。

この変化にはちょっと驚いた。1960年代の終わりには、アーシーで豪快なメリハリのあるサウンドへの変化は捉えられているが、1950年代のシンプルな弾き回しから、どうやって、アーシーで豪快なメリハリのあるサウンドに変化したのか、良く判らなかったが、今回、「いきなり」の変化では無く、こういった、ダイナミックでファンキーなジャズ・ピアノを経由しているのが、この『At The Blackhawk』を聴いて良く判った。

ジャマルのピアノについては、テクニックに優れ、メリハリを強く付けるが、流麗なフレーズには、しっかりと「歌心」が宿っていて、強いタッチのフレーズも全く耳障りでは無い。これだけダイナミックにメリハリを付けたファンキーなピアノは、他に例が無い。この時代のジャマル独特の個性と言って良いかと思う。

1960年代前半のジャマルのリーダー作は、Argoレーベルに集中しているのだが、以前は入手が難しい盤ばかりだった記憶があるのだが、最近、Argoレーベルのオリジナル盤が結構、まとまってアップされている様で、ストリーミングで聴くことが出来るようだ。この機会を捉えて、一気に聴いてみたいと思っている。
 
 

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2022年8月13日 (土曜日)

『Time Out』のアウトテイク集

僕がジャズを聴き始めた頃、今から50年以上になるが、デイブ・ブルーベックというジャズ・ピアニストは、米国本国では人気のピアニストなんだが、我が国では人気がイマイチだった。

当時のジャズ評論家の方々がこぞって「スイングしないピアニスト」だの「ファンクネスが無い」だの「白人だからジャズじゃない」だのケチョンケチョンに書くものだから、本当に我が国では人気がイマイチだった。気の毒なことであった。

不思議なのは、デイブ・ブルーベック・カルテットの『Time Out』というアルバムだけが、一般のジャズ者の方々から人気があって、それは、このアルバムに収録されている「Take Five」という「4分の5拍子」という珍しい変則拍子で構成された曲の人気が抜群だからだろう。この『Time Out』というアルバムは、変則拍子を採用した楽曲中心に構成された名盤なのだ。

Dave Brubeck Quartet『Time Outtakes』(写真左)。2021年12月のリリース。ちなみにパーソネルは、Dave Brubeck (p), Paul Desmond (as), Eugene Wright (b), Joe Morello (ds)。変則拍子の名盤『Time Out』と同一メンバー。

昨年、デイヴ・ブルーベックの生誕100年を記念して、この『Time Out』のアウトテイク集がリリースされた。非常に唐突なリリースなのだが、その触れ込みが、名曲「Take Five」の初期テイクを収録、とある。僕にとっては、デイブ・ブルーベックがお気に入りピアニストの1人なので、これはゲットしなければ、である。

1曲目の「Blue Rondo à la Turk」から、「Strange Meadow Lark」「Take Five」「Three to Get Ready」「Kathy's Waltz」の5曲が、正式盤『Time Out』の同一曲のテイク違い。これが実に興味深い。特に、有名な変則拍子の楽曲の別テイクは聴いていて面白いことこの上無い。
 

Dave-brubeck-quartettime-outtakes

 
触れ込みどおり、有名曲「Take Five」の初期テイクが一番、興味深い。この変則拍子の名曲のリズムの鍵を握っているのが、ジョー・モレロのドラミングなんだが、この初期テイクでのモレロのドラミングが凄い。出だしは「手探り」状態で、恐る恐るビートを刻むが、ブルーベックのピアノが入って来る頃には、キッチリと「4分の5拍子」を叩き出している。

そして、途中出てくるモレロのソロが絶品。「Take Five」のマスター・テイクとは全く違うが、マスター・テイクのソロの上を行く内容には驚いた。この初期テイクのモレロのドラミングがあまりに鋭いので、マスター・テイクでは「デグレード」した様だ。

それもそのはず、初期テイクでは、この「4分の5拍子」に、デスモンドのアルトはかなり苦戦している。逆に、ユージン・ライトのベースは、変則拍子に十分適用している。変則拍子のベースラインを弾くのに、あまり苦にはならないようだ。

リーダーのブルーベックのピアノはさすがで、苦も無く「4分の5拍子」を叩き出している。アドリブも「4分の5拍子」にしっかりと乗っていて、ブルーベックのテクニックの確かさと柔軟さがここに現れている。そして、彼の名誉の為に、改めて言いたいが、ブルーベックのピアノは「4分の5拍子」に乗って、魅力的にスイングしている。

他のアウトテイクについても、モレロの変則拍子ドラミングの鋭さが突出している。次いで、ブルーベックの変則拍子に乗った、スインギーなピアノ。そして、変則拍子に揺るがず、堅実なベースラインを刻むライト。逆にデスモンドのアルトは変則拍子に大苦戦。変則拍子のアドリブはかなり勝手が違うようだ。

そんな『Time Out』の収録曲の初期テイクを聴くと、あの変則拍子の名盤『Time Out』が一朝一夕に出来たものでは無い、ということが良く判る。ブルーベックのフォロワーであれば、絶対に聴くべきアウトテイク集である。また、名盤『Time Out』を知らなくても、単体でも十分に楽しめる、内容充実のアウトテイク集である。
 
 

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2022年8月12日 (金曜日)

Evans-Eubanks の素敵なデュオ

「小粋なジャズ」盤というのは、昔の、そう、ハードバップ時代のアルバムばかりが対象では無い。現代のメインストリーム・ジャズの新盤の中にも、聴き応えのある「小粋なジャズ」盤は、結構、耳にすることが出来る。ジャズの歴史100年の中で培われた「小粋なフレーズ」や「小粋な展開」を十分に踏まえて、新しいジャズを創造していることが良く判る。

Evans-Eubanks Experience『EEE』(写真左)。2022年3月のリリース。ちなみにパーソネルは、Orrin Evans (p), Kevin Eubanks (g)。今年47歳の中堅ピアニスト、オリン・エヴァンス。そして、今年64歳のベテラン・ギタリスト、ケヴィン・ユーバンクス。年齢差が17、フィラデルフィア繋がりのデュオ・パフォーマンス。

冒頭のジャズ・ファンクとボサノバのグルーヴが融合した様な、ユーバンクス作の「Novice Bounce」を聴けば、このデュオ・パフォーマンスがただものではないことが良く判るかと思う。時にダイナミックにメリハリのある展開を、そして、時にジェントルで流麗なギター。切れ味良く、硬質だがメロディアスなフレーズのピアノ。このギターとピアノが絶妙にユニゾンし、ハーモニーし、対峙する。上質のデュオ演奏。
 

Evanseubanks-experienceeee

 
バラード曲の「Dreams of Lovin' You」や「Dawn Marie」では、適度なテンションを保ちながら、息を吹きかける様な繊細さを伴ったユッタリとしたフレーズで、エヴァンスとユーバンクスが絶妙のインタープレイを繰り広げる。フレーズの拡がりと奥行き、そして、アップダウン。ピッタリと息の合った、スリリングで心地の良いデュオ・パフォーマンスは聴きどころ満載。

即興演奏がメインの「I Don't Know」は、ほとんどフリーでモーダルな掛け合いは実にスリリング。エヴァンスとユーバンクスのテクニックの高さを存分に活かしたインタープレイには、思わず息を吞むほどだ。音域の幅を十分に活かして、ブルージーな即興フレーズが次々に浮かんでは消えていく。このデュオの実力の高さを再認識する。

ジャズのデュオ演奏については、ジャズの歴史上、優れたパフォーマンスが多く存在するが、この2022年のエヴァンスとユーバンクスのデュオ演奏は、ジャズの歴史上の他の優れたパフォーマンスに匹敵する内容だと僕は思う。こういう優れた内容のデュオ盤が、さりげなくリリースされるとは、まだまだジャズは深化し続けている、ということを強く実感するのだ。 
 

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2022年8月11日 (木曜日)

欧州時代のデックスに外れ無し

「小粋なジャズ」を探索していて、今まで聴いたことが無かった「小粋なジャズ」盤は、意外と欧州ジャズにゴロゴロしている。

もともと、我が国では、欧州ジャズ盤の入手が容易では無かったので、そもそも、手にすることの出来る盤の数が少なかったこと。そして、21世紀のネットの時代になって、ストリーミングで聴くことが出来る欧州ジャズ盤の数が飛躍的に増えたのが主要因だと思っている。

Dexter Gordon, Sonny Grey & Georges Arvanitas Trio『Parisian Concert』(写真左)。1973年2月16日、パリの「L'Ecole Normale Supérieure」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Dexter Gordon (ts), Sonny Grey (tp, track: 1, 2, 5 to 7), Georges Arvanitas (p), Jacky Samson (b), Charles Saudrais (ds)。

バックのリズム・セクションは、オール・フランス。フロント2管のうち、テナーのデクスター・ゴードン(デックス)は米国出身、トランペットのソニー・グレイはジャマイカ出身。デックスが欧州に移住していた頃のパリでのライヴ録音。聴衆の熱狂ぶりから、デックスの人気が欧州では高いものがあったことが良く判る。
 

Parisian-concert

 
欧州時代のデックス盤は、どれもが良好な内容で「外れ」が無い。このライヴ盤も例に漏れず、で、まず、デックスのテナーが好調。大らかに唄うが如くの悠然としたブロウは魅力満点。モダン・ジャズのテナーって、かくあるべし、という感じの、ジャジーでブルージーでアーバンなテナーの響きが心地良い。

デックスお得意の「Fried Bananas」、コルトレーンの「Some Other Blues」やソニー・グレイのモーダルな「No Matter How」など、小粋な選曲も良い感じ。1970年代前半のデックス、モーダルなパフォーマンスについても、苦も無く、流麗に対応しているのは立派である。

オール・フランスのリズム・セクションも堅調で、盤全体、良い雰囲気のメインストリームな純ジャズに溢れている。取り立てて突出した優秀点は無いのだが、聴いていて、ビンビンにジャズを感じる演奏には、ついつい引き込まれる。しばらく、CDでは入手困難だったが、今回、僕はストリーミングで聴くことが出来ました。ネット時代の恩恵さまさまです。
 
 

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2022年8月10日 (水曜日)

ジャズ喫茶で流したい・246

「小粋なジャズ」盤を探索している中で、昔から、その存在は知ってはいたが、聴いたことが無かった盤に出会うことが、ちょくちょくある。

特に、ネットの情報、それも、ジャズ評論家の方々などの「ジャズの専門家」では無く、一般のジャズを聴くのが趣味の、いわゆる「ジャズ者」の方々の記事やツイートがとても参考になっている。特に「小粋なジャズ」盤の探索については、ネットの「ジャズ者」の方々の情報やツイートに結構お世話になっている。

J.R. Monterose『In Action』(写真左)。1964年の録音。ちなみにパーソネルは、J.R. Monterose (ts), Dale Oehler (p), Gary Allen (b), Joe Abodeely (ds)。玄人好みの知る人ぞ知るテナー・マン、モンテローズのイリノイ州の小都市で吹き込んだ作品。オリジナルLPは数百枚現存するかどうかと言われた「幻の名盤」である。

J.R. Monterose(J.R.モンテローズ)は1927年生まれ。1950年代は、気力体力充実なミュージシャンとして、一番溌剌とした年頃で、ブルノート・レーベルとジャロ・レーベルに秀作を残している。モンテローズのサックスのパフォーマンスと作曲家としての実績は一定の評価を得ていて、彼のテナーは、他のテナーマンの影響を受けているとはいえ、十分に個性的なものだった。

但し、モンテローズは自分自身をアンダーグラウンドなジャズマンと思っていた節があり、1960年代以降は、米国のローカル都市(アイオワ州シーダーラピッズ)や、オランダ、デンマークでの長期滞在(1960 年代後半から 1970 年代半ばまで)での小クラブでのセッションが主な活動だったようだ。
 

Jr-monterosein-action

 
モンテローズのテナーの個性は、スタッカートの多用、高音の独特の節回し、太くて疾走感溢れる低音。速いフレーズは少したどたどしく(ちょっと「ヘタウマ」)、スローなフレーズはゴツゴツしている。そんなモンテローズの個性が、この『In Action』では明確に現れていて、聴き応えがある。

冒頭のモンテローズのオリジナル曲「Waltz For Claire」に思いっ切り「やられる」。どこか切ない、独特の哀愁感を漂わせながら、ゴリゴリ、ブリブリ、重低音なブラスの響きを振り撒きながら、悠然とワルツなフレーズを吹き上げていく。

これが堪らない。1950年代のブルーノート盤やジャロ盤のパフォーマンスに比べて、ほど成熟していて、テクニックも向上、味のある、モンテローズならではの個性的なテナーをブイブイ聴かせてくれる。

続く2曲目の「I Should Care」、5曲目の「Lover Man」、も絶品である。情感タップリに、ユッタリとしたテンポで、哀愁感を振り撒きながらのバラード演奏には、思わずしみじみと聴き入ってしまう。

この盤の録音時、モンテローズは37歳。ジャズマンとしては中堅の年頃で、モンテローズは中堅テナー・マン。自らの個性を十分に理解し、ミッド〜スロー・テンポの演奏に絞って、成熟した、モンテローズとして完成されたテナーを聴かせてくれる。何も、テクニカルに速いフレーズを吹きまくるだけが、ジャズ・テナーでは無い。

こういった、昔の「幻の名盤」が、ダウンロードした音源で聴くことが出来るとは、いい世の中になったもんだと思う(笑)。CDでもリイシューされたらしいが、お目にかかったことが無かったから、今回、良い体験をさせて貰ったと喜んでいる。これだから「小粋なジャズ」盤の探索は止められないのだ。
 
 

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2022年8月 9日 (火曜日)

スティックス・フーパーの新盤

1970年代、フュージョン・ジャズの中で一世を風靡したジャズ・ファンクなバンドが「クルセイダーズ(The Crusaders)」。ポップでファンキーなフュージョン・ジャズが素敵なバンドで、僕は大好きだった。

オリジナル・メンバーは、テキサス州のハイスクールで同級生だったウェイン・ヘンダーソン(トロンボーン)、ウィルトン・フェルダー (テナー・サックス)、ジョー・サンプル(キーボード)、スティックス・フーパー (ドラム)の4人。ベーシストはゲストだった。

このオリジナル・メンバーのうち、ドラム担当のスティックス・フーパー以外、既に逝去してしまった。スティックス・フーパーも、1938年8月生まれなので、今年で84歳になる。ここ10年以上、フーパーの名前を聞かないので、クルセイダーズ・サウンドって、もう歴史的な音になってしまったなあ、と思っていたら、スティックス・フーパーが突然、2010年以来、12年振りにリーダー作をリリースした。これはもう「ポチッとな」である(笑)。

Stix Hooper『Orchestrally Speaking』(写真左)。今年4月のリリース。ちなみにパーソネルは、お馴染みのレジェンド Hubert Laws (fl), ロシア出身のEugene Maslov (p), スウェーデン出身のAndreas Oberg (g), 米国ニューオリンズ出身のJamelle Adisa (tp), 米国NY出身のScott Mayo (sax), 米国ロス出身のDel Atkins (b)。インターナショナルなボーダーレスのメンバー選定。
 

Stix-hooperorchestrally-speaking

 
大ベテランがリーダー作を録音する際にありがちな、旧知の仲良しメンバーが集ったセッションでは無く、インターナショナルなメンバー選定というところに、フーパーの「やる気」を強く感じる。

さて、出てくる音といえば、クルセイダーズ・サウンドからファンクネスを薄めて、フュージョン・ジャズではなく、スムース・ジャズ寄りのアレンジを加えた感じの音世界。それでも、ファンクネス漂うグルーヴ感は一貫して、それぞれの演奏の底にあって、このグルーヴ感こそが、クルセイダーズ・サウンドのグルーヴ感に通じるもので、それは、取りも直さず、フーパーのドラミングが醸し出しているのだ。

フーパーのドラミングは、スムース・ジャズっぽくなってはいるが、その叩き方、リズム&ビートの傾向は、クルセイダーズ時代の頃と変わらない。フーパーが1983年に脱退して以来、20年弱が経過しているが、クルセイダーズのフーパーのリズム&ビートは健在である。多国籍なバック・バンドの演奏も内容の濃い、素敵な演奏で、リーダーのフーパーの標榜する「スムース・ジャズなクルセイダーズ」な音をしっかりと現実のものとしている。

今年4月のリリースなんだけど、ネットを見渡すと、ワールドワイドで、このスティックス・フーパーの新盤は話題になっていない。フーパーって過去の人扱いなのかな。でも、知らないジャズマンのリーダー作だったとしても、この新盤を聴くと、この盤、意外といける、って感じること請け合い。クルセイダーズのファンだった方々には、特に一聴をお勧めしたい「小粋なスムース・ジャズ」盤です。
 
 

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2022年8月 8日 (月曜日)

トロンボーンの「小粋なジャズ」

「小粋なジャズ」盤を求めて、色々と探索している。色々な切り口から「小粋なジャズ」盤の情報を収集しているのだが、Twitterのジャズ盤に関するツイートは貴重な情報源だったりする。時々、こんな盤があるのか、と感じて、音源を検索したりして「小粋なジャズ」盤をゲットしている。

Lawrence Brown『Slide Trombone』(写真左)。1955年1月26日と9月14日の2セッションの録音になる。

ちなみにパーソネルは、1月26日の録音は、Lawrence Brown (tb, arr), Sam Taylor (ts), Leroy Lovett (p), Lloyd Trotman (b), Louis Bellson (ds)。9月14日の録音は、Lawrence Brown (tb), Ralph Burns (ar), Alvin Cohn , Arthur Clarke (ts), Daniel Bank (bs), Ernie Royal , Phillip Sunkel (tp), Hank Jones (p),Wendell Marshall (b), Jo Jones (ds)。

Verveレーベルらしいオールスター・ジャムセッションの様なメンバー編成。ただ、ミュージシャンの名前を見渡すと、9月14日の録音のリズム隊に、ハンク・ジョーンズ、ウェンデル・マーシャル、ジョー・ジョーンズという「馴染みの名前」があるが、その他は、ビ・バップ以降のいわゆる「モダン・ジャズ」を賑わせた名手達では無い。

他は1920年前半生まれのメンバーが多数なので、スイング・ジャズ世代のジャズマン達ということになる。ということで、この盤の演奏の雰囲気は「スイングもしくは中間派」なジャズの音である。
 

Lawrence-brownslide-trombone

 
しかし、モダン・ジャズに親しんだ「ジャズ耳」にも違和感は無い。4ビートのスインギーな聴いて楽しいジャズがてんこ盛りである。スタイルが古かろうが、楽しいジャズには変わりは無い。聴いていて、自然と足でリズムを取って、体が4ビートに横揺れする。

リーダーのローレンス・ブラウンのトロンボーンは個性的。ゴリゴリ、ブリブリな太くて丸い、とても重厚なトロンボーンらしい音で、流麗なフレーズを吹きまくる。あまりに流麗なので、バルブ・トロンボーンかと思うが、タイトルにドーンと「スライド・トロンボーン」とあるので、スライドである(笑)。

スライドでこれだけ速いフレーズを流麗に吹き切るテクニックは相当、高いものがある。加えて、トロンボーンの音色は肉声に近いものがあるが、ローレンス・ブラウンのトロンボーンは歌心も兼ね備えている。唄う様なアドリブ・フレーズは聴いていて、とても心地良い。

バックのメンバーもそれぞれ、質の高い演奏を繰り広げていて、「スイングもしくは中間派」なジャズであるが、ジャズの楽しさの基本をしっかり押さえていて、聴き応えがある。さすが、この時期のVerveレーベルのジャズ盤は、少し古いスタイルのジャズでも質が高い演奏ばかりである。

実は、僕はこの盤を知らなかった。Twitterのジャズ盤に関するツイート「さまさま」である。ジャケットのイラスト(写真左)も、古き良きジャズを彷彿とさせ、ジャジーな趣きがあって良い。そう、この盤、「ジャケ買い」盤でもある。

ツイートを見て「こんな盤、あったんや」と思って、ジャケを見て「これは良さそう」と思い、ゲットして聴いて「これは良い」。「小粋なジャズ」との出会いはいつも突然である。
 
 

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2022年8月 7日 (日曜日)

ミンガス・ミュージックの確立

Charles Mingus(チャールズ・ミンガス)。モダン・ジャズにおける希有のベーシストである以上に、バンド・リーダーとして、アレンジャー&コンポーザーとしての実力が突出していると僕は感じる。何時の時代でも、ミンガス・バンドの構成力、演奏力、展開力は非常似高いレベルを維持しているのは立派だ。

Charles Mingus『The Clown』(写真左)。邦題『道化師』。1957年2月13日と3月12日の録音。ちなみにパーソネルは、Charles Mingus (b), Shafi Hadi (as, ts), Jimmy Knepper (tb), Wade Legge (p), Dannie Richmond (ds), Jean Shepherd (narration, track 4)。

1956年の名盤『Pithecanthropus Erectus(直立猿人)』の次のリーダー作。パーソネルを見渡すと、前作からガラッとメンバーを入れ替えている。前作のパーソネルとの大きな違いは、この「道化師」は、あまり有名で無いメンバーが採用されている、ということ。この盤以降、ミンガス・バンドのリズム&ビートと預かるドラムのリッチモンドと、トロンボーンの盟友ネッパー以外は、有名どころのメンバーは見当たらない。

しかし、そんなちょっと地味なメンバーなので、この盤、前作の『直立猿人』と比べて、内容は劣るのだろうだろうと思いきや、前作の『直立猿人』の内容を上回るレベルの、ミンガス・バンド史上、ベスト5に入る位の内容の充実度を誇るのだから、ミンガスのバンド・リーダーとしてのバンド・サウンド作りの手腕の凄さ、そして、何より、メンバーの演奏力と個性を最大限に発揮させる、アレンジャー&コンポーザー賭しての実力の高さを実感する。
 

Charles-mingusthe-clown

 
この『道化師』というアルバム、ミンガス・ミュージックの個性と特徴の全てが反映されている、といって良い位の内容の充実度高さ。バンド・サウンドのアレンジの基本は「エリントン・ミュージック」ということは判るが、ミンガスのアレンジは、エリントン・ミュージックを更に発展させ、ミンガス独特の音の重ね方と響かせ方、そして、それぞれの楽器のアドリブ展開のスペースの絶妙な配置を施して、独特で唯一無二な「ミンガス・ミュージック」を確立させている。

アンサンブルの「音の塊」が整然と重厚に響き、ドラマチックな展開を増幅させる。整然としたジャジーでブルージーな響きは、否が応でも「ジャズ」を強烈に感じさせる。そして、特徴的なのは、ユニゾン&ハーモニー、アンサンブルが画一化せず、自由度が高く、バリエーションに富んでいるところ。サウンドのパーツそれぞれがカラフルなのは、ユニゾン&ハーモニー、そして、アンサンブルの自由度が高く、バリエーションに富んでいるからだろう。

そんな「確立されたミンガス・ミュージック」がこの『道化師』にギッシリ詰まっている。前作『直立猿人』よりも旋律が美しく、展開がドラマチックで聴き易い。ミンガスのブンブン鳴り響く重低音ベースも心おきなく堪能出来る。

「ミンガス・ミュージック」は何たるか、を感じるには絶好の一枚が、この『道化師』。かなり重厚な内容のモダン・ジャズなので、その迫力に押されるかもしれないが、これが「ジャズ」である。スピーカーの前で、そこそこの音量で、この「ミンガス・ミュージック」を体で受け止めていただきたい。
 
 

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2022年8月 6日 (土曜日)

ボーダーレスなジャズの一端

今年で設立53年を迎えた、ドイツの老舗ジャズ・レーベルECMからリリースされた、21世紀の注目アーティストをラインナップした「21世紀のECM」キャンペーンが展開されている。対象アルバムは全20タイトルなんだが、1990年以降に活動をスタートさせた注目アーティストをボーダーレスに選定している。これが意外に、21世紀の「今」のジャズのトレンドの大きな幾つかの切り口を示唆していて、実に興味深い。

その注目のアーティストの中に、ヴィジェイ・アイヤー(Vijay Iyer)がいる。アイヤーは、1971年10月米国生まれ。今年で51歳の中堅ピアニスト。リーダー作は、1995年の初リーダー作以来、20枚以上を数える。2014年からはECMレーベルからのリリースに絞っている。もともと、アイヤーのピアノは、耽美的でリリカルなピアノが個性なので、ECMレーベルの「音のカラー」にはピッタリのピアニストではある。

Vijay Iyer『Break Stuff』(写真左)。2014年6月、NYでの録音。ちなみにパーソネルは、Vijay Iyer (p), Stephan Crump (b), Marcus Gilmore (ds)。スティーヴ・キューン、キース・ジャレットなどの「耽美的でリリカルで現代音楽風なジャズ・ピアノ」の系譜をしっかりと受け継いだヴィジェイ・アイヤーのトリオ盤。メンバー全員が米国出身のジャズマンで固められている。

最初、耽美的でリリカル、オリエンタルな雰囲気が仄かに漂う個性的なピアノ・トリオのパフォーマンスが印象的だった。てっきり、アイヤーはイスラエル〜東欧辺りの出身かな、と思ったんだが、米国出身だった。
 

Vijay-iyerbreak-stuff

 
ベースもドラムも米国出身。オール・アメリカンなピアノ・トリオなんだが、出てくる音は、米国ジャズから一番遠かった、ECMレーベルの代表的な音そのものの限りなく欧州的な耽美的でリリカルな音。

ファンクネスは皆無、スインギーな4ビートとは無縁。それでいて、ジャジーなリズム&ビートの下、目眩く即興演奏の数々。ほの暗く重厚なユッタリとした「Starlings」から始まり、ダイナミックな展開の「Chorale」など、アイヤーの自作曲はどれもが白眉の出来。

しかし、アイヤーのピアノの個性は、ミュージシャンズ・チューンなスタンダード曲で顕著になる。セロニアス・モンク作の「Work」は、幾何学模様的にフレーズがリリカルに展開し、コルトレーン作の「Countdown」は、耽美的でリリカルなフレーズでモーダルな展開を表現する。そして、アイヤーのピアノ・ソロで静謐に奏でるストレイホーン作の「Blood Count」は、アイヤーのピアノの個性の象徴的なソロ・パフォーマンスだ。

しかし、この耽美的でリリカルで現代音楽風のピアノ・トリオが、オール・アメリカンなピアノ・トリオで演奏されているのを知った時には、かなりビックリした。21世紀のジャズは「ボーダレスな時代になる」と思った。

そのボーダーレスなジャズが、ECMレーベルの下に集結しつつある。北欧、東欧、イスラエル、米国、日本などの「多国籍」なジャズが、ECMレーベルの音世界の下に集結している。そんなボーダーレスなジャズの一端が、このアイヤーのピアノ・トリオ盤で実感出来るのだ。
 
 

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2022年8月 5日 (金曜日)

ジャズ喫茶で流したい・245

ジャズには「ジャケ買い」という言葉がある。ジャケットのデザインが優秀なジャズ盤に「外れ」は無い、という格言みたいなもの。僕の場合、ジャズを聴き始めて40数年、この「ジャケ買い」については、年平均10枚ほどあって、確かに、優れたジャケットのジャズ盤には「外れ」が無い、という確率はかなり高い。

今回のこのジャケットもそうだった。パッと見て『The Other Side of Benny Golson』やLee Morgan『The Rumproller』のロゴタイプの部分を思い出した。いや〜小粋なジャケットである。「今」のジャズ盤でも「ジャケ買い」はある。この盤については思わず「ポチッとな」である。ゲットして、誰のリーダー作かなぁと思って見たら「Walter Smith iii & Matthew Stevens」とある。あれ〜、これって、前に当ブログで扱ったことのある(2020年9月3日のブログ)2人のリーダーの名前ではないか。

Walter Smith iii & Matthew Stevens『In Common III』(写真左)。2021年6月の録音。ちなみにパーソネルは、Walter Smith III (sax), Matt Stevens (g), Kris Davis (p), Dave Holland (b), Terri Lyne Carrington (ds)。テナーのウォルター・スミス3世、ギターのマシュー・スティーヴンスの双頭リーダーのバンド「In Common」の3枚目のアルバムである。
 

Walter-smith-iii-matthew-stevensin-commo

 
1枚目から2枚目のアルバムについてもそうだったが、双頭リーダーの2人以外、リズム・セクション3人が新しいメンバーに総入れ替えである。ピアノのクリス・デイビスは41歳(録音当時)、大ベテランのベースのデイブ・ホランドは74歳、ドラムのテリ・リン・キャリントンは56歳と、中堅〜大ベテランのリズム・セクションで、このリズム・セクションがこの盤の演奏の自由度の高さとアンサンブルの見事さをガッチリと支えている。

音的には「欧州のニュー・ジャズ」っぽい。エコーが控えめな分、欧州度は緩やかだが、双頭リーダー二人のアンサンブルやインタープレイは、非4ビートで流麗な自由度の高い即興フレーズで、ニュー・ジャズの響きが濃厚。空間の拡がり活かした、枯れた雰囲気の、やや幽玄で淡々としたフレーズの紡ぎは実に個性的。懐かしい様な、レトロなサックスとギターの響きにしみじみとする。

大向こうを張った劇的な展開は無いが、じっくり小粋でノスタルジックな響きの演奏の数々は「中毒性」があって、ずっと聴いていたくなる。どこかアンビエント&スピリチュアルな雰囲気もあり、じっくりと聴き応えのある、ニュー・ジャズな雰囲気のアルバムです。
 
 

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2022年8月 4日 (木曜日)

ジャズテットの魅力を再認識する

僕にとって、ベスト3に入るトランペッター、アート・ファーマー。意外と、当ブログで記事にしたリーダー作が残っている。主要なリーダー作だけで十分満足出来るトランペッターで、なかなか、ディスコグラフィーに上がっている「小粋なリーダー作」や「隠れ名盤」の類に手が回っていない状況。これは「イカン」ということで、しっかり、ファーマーのリーダー作の「落ち穂拾い」をやっている。

Art Farmer & Benny Golson『The Jazztet : Big City Sounds』(写真左)。1960年9月の録音。ちなみにパーソネルは、Art Farmer (tp), Benny Golson (ts). Tom McIntosh (tb), Cedar Walton (p), Tommy Williams (b), Albert Heath (ds)。いわゆるファーマーとゴルソンの双頭リーダーのバンド、「ジャステット」ものである。メンバーは粒ぞろい。趣味の良いファンキー・ジャズが展開されている。

全9曲中、ゴルソン作が5曲、スタンダード曲が4曲。どの曲にも「ジャズテット」ならではの、ベニー・ゴルソンの手になる、ゴルソン・ハーモニーをメインとした、ファンキーでキャッチャーなアレンジが施されている。これが聴いていてとても心地良い。かつ、アレンジのレベルが均一なので、アルバム全体に統一感があって、聴いていてとても楽しい。前作のバンドとしてのデビュー作『Meet the Jazztet』よりも、バンドの演奏の一体感が更に高まっている。
 

Art-farmer-benny-golsonthe-jazztet-big-c

 
タイトル通り、都会的でジャジーな演奏がてんこ盛り。ファーマーの「力感溢れ端正でブレが無く流麗でウォーム、ブリリアントで聴き心地の良いトランペット」は絶好調。ゴルソンのテナーも絶好調。骨太で大らかな力感溢れるブロウで、ファーマーとの2管フロントを取り仕切る。こうやって聴いていると、ファーマーのトランペットとゴルソンのテナーって相性抜群なんですね〜。まあ、双頭リーダーでバンドを組むくらいだから当然と言えば当然か。

前任者カーティス・フラーに代わって入った、新メンバーのトム・マッキントッシュが結構健闘している。堅実で切れ味の良いトロンボーンを聴かせてくれる。同じく、前任者マッコイ・タイナーの後に加入したシダー・ウォルトンが、自由度の高い、モード風のインテリジェンス溢れるプレイで、ジャズテットに新しい音の響きを付加している。

長年、CDで入手するのに苦労する環境が続いたのですが、最近では、サブスク・サイトにも音源がアップされているようで、気軽に聴ける環境になったことは実に喜ばしい。我が国では意外と人気の薄い「ジャズテット」ですが、バンドとしてのデビュー作『Meet the Jazztet』と併せて、当アルバムを聴けば、「ジャズテット」の魅力的なファンキー・ジャズの世界を再認識すること請け合いです。
 
 

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2022年8月 3日 (水曜日)

オズ・ノイの新盤は「推し」です

酷暑の日が続く。午前中でも、用事があって外を歩いていると、5分も経たないうちに、被っている帽子の表面が暑くなってくるのが判る。10分も日なたを歩いていると、両腕の皮膚がジリジリ焼けてくるのを感じる。これは確かに「危険な暑さ」だ。こういう酷暑の日は、エアコンをつけた部屋でジッとしているのが良い。そして、ジャズを聴くのが良い。

Oz Noy, Ugonna Okegwo, Ray Marchica『Riverside』(写真左)。ちなみにパーソネルは、Oz Noy (g), Ugonna Okegwo (b), Ray Marchica (ds)。現代のシングルトーン&ファンキーなギタリスト、オズ・ノイがリーダーのバリバリ硬派なギター・トリオ編成。定番の有名スタンダード曲を多く取り上げた「小粋なジャズ盤」。

オズ・ノイ(Oz Noy)は、1971年、イスラエル生まれ。今年で51歳になる。イスラエルでトップ・ミュージシャンとなり、1996年にNYへ移住。人気、実力ともにトップクラスのギタリストとなる。2003年、初リーダー作をリリースして以来、コンスタントにリーダー作を発表し続け、本作はリーダー作として12作目になる。
 

Oz-noyriverside

 
オズ・ノイのギターは、グラント・グリーンやパット・マルティーノの様な、流麗でファンキーなシングル・トーンが身上。ピッキングはエッジは円やかだが力強いもの。ブルース・フィーリングが見え隠れするところが独特の個性。対位法的フレーズもユニークで、聴けばすぐ判るくらい個性的なギター。この魅惑的なシングル・トーンで、往年の有名スタンダード曲をやると、とにかく「映える」。

冒頭の「All The Things You Are」、続くビ・バップの名曲「Anthropology」を聴くだけで、この盤は「只者では無い」ことが実感出来る。続く「Have You Met Miss Jones」でもうメロメロ、これもビ・バップの名曲「Billie's Bounce」で、オズ・ノイに「最敬礼」である。しかも、これら有名スタンダード曲を、あまり今までに聴いたこともないアレンジとフレーズで弾き回すから、この盤には「新しさ」が溢れているのだ。

このオズ・ノイのギター・トリオ、コロナ禍による都市封鎖の中、ハドソン川を見下ろす公園でジャム・セッションを重ね、演奏の精度を上げて、スタジオ録音に臨んだとのこと。確かに、良くリハーサルされた、精度の良い演奏であることが聴いていて良く判る。それほどまでに出来の良い、内容の濃い、現代のギター・トリオ盤。今年のジャズ・ギター盤の中で「推し」の一枚です。
 
 

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2022年8月 2日 (火曜日)

ファーマーのハードバップの成熟

ジャズ・トランペッターについては、一に「マイルス・デイヴィス(Miles Davis)」、二に「アート・ファーマー(Art Farmer)」、三に「リー・モーガン(Lee Morgan)」。マイルスは別格として、アート・ファーマーが、ジャズ・トランペッターの「お気に入りの上位」である。

ジャズを聴き始めた頃、『Modern Art』に出会って、アート・ファーマーの「力感溢れ端正でブレが無く流麗でウォーム、エッジがラウンドしていて聴き心地の良いトランペット」が好きになった。歌心も十分、そこはかとなくファンクネス香る、知的なトランペットに「填まった」。以来、今までずっと、40年以上、ファーマーのトランペットを聴き続けている。

Art Farmer『Farmer's Market』(社員左)。1956年11月23日の録音。ちなみにパーソネルは、Art Farmer (tp), Hank Mobley (ts), Kenny Drew (p), Addison Farmer (b), Elvin Jones (ds)。アート・ファーマーの初期、6枚目のリーダー作になる。ベース担当の「アディソン・ファーマー」は、アート・ファーマーの双子の兄弟。

メンバー個々のそれぞれの楽器演奏や斬新なアドリブ展開を楽しむ、というよりは、盤全体のハードバップな雰囲気をまるごと楽しむ盤である。
 

Art-farmerfarmers-market

 
メンバーはそれぞれ、ハードバップ時代の名手ばかりなので、ユニゾン&ハーモニー、インタープレイ、アドリブ展開、どれをとっても、お手本の様な「ハードバップな演奏」がギッシリ詰まっている。そこかしこに「手慣れた感」が漂うのは、この時期、ハードバップ・ジャズが成熟していた証であろう。

リーダーのアート・ファーマーのトランペットが絶好調。端正でブレの無い、ブリリアントで流麗でウォームなトランペットが疾走する。そして、ピアノのケニー・ドリューがとっても良い。切れ味の良い、端正なファンキー・ピアノを弾きまくっている。

テナーのモブレーは、ちょっと迷いやミスが見え隠れするが、何とか他のメンバーのレベルに合わせていくところは、さすがである。双子の兄弟、アディソン・ファーマーのベースとエルヴィンのドラムが、がっちりとリズム&ビートを支え、フロント2管をピアノ・ソロを鼓舞する。

ルディ・ヴァン・ゲルダーの手になる、鮮度と切れ味の良い録音で、アート・ファーマーの「ハードバップの成熟」を記録している。音も良く、個々の演奏も良く、グループ・サウンズとしての完成度も高く、とても良く出来た「ハードバップ盤」である。意外と我が国では人気が無いのが不思議でならない。もう一度言うが「ハードバップの優秀盤」です。
 
 

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2022年8月 1日 (月曜日)

「マッケンナ」を知っていますか

「小粋なジャズ」をピックアップしては聴いている。最近は酷暑の日々。フリー・ジャズはもとより、複雑なモード・ジャズなど、難しいジャズはいけない。暑苦しく感じて息が詰まる。「小粋なジャズ」の中でも「判り易くて爽快感のある」盤を探しては、涼を求めている毎日である。

Dave Mckenna『The Piano Scene of Dave Mckenna』(写真左)。1958年の録音。ちなみにパーソネルは、Dave McKenna (p), John Drew (b), Osie Johnson (ds)。「Three-hand effect(3本の手)」の使い手、知る人ぞ知る白人ピアニスト、デイブ・マッケンナの2枚目のリーダー作になる。

デイブ・マッケンナは1930年、米国生まれで、1950年代半ばから活躍をしたピアニスト。2008年10月に逝去。「Three-hand effect(3本の手)」を基にしたスイング・スタイルが特徴で、一般的な知名度の低さの割に、ジャズ・ピアノの進化の上では重要な人物の1人とされる。確かに、マッケンナのピアノを聴いていると、他のピアニストの弾き回しの響きと明らかに異なることが良く判る。

Three-hand effect(3本の手)」とは、「右手・左手単独の演奏に加え両手の主に親指を組み合わせてあたかも3本目の手があるかのような演奏を行う」(Wikipediaより)こと。クラシック・ピアノの有名なテクニックの1つで、このクラシックのテクニックをジャズに応用して、デイブ・マッケンナは、個性的なピアノ・パフォーマンスを展開している。
 

The-piano-scene-of-dave-mckenna_1

 
この『The Piano Scene of Dave Mckenna』においても、クラシック・ピアノの様に端正で流麗な、そして、良い意味で、とても賑やかなパフォーマンスが特徴。ガンガンに弾きまくっているのだが、耳触りにはならない。フレーズの弾き回しがスインギーで、とても整ったバップ・ピアノに聴こえる。故に、ラウンジ・ピアノっぽくはならない。但し、ファンクネスは希薄。

例えて言うなら「アート・テイタムに、テクニックを最高から一段落として、バップなピアノを弾かせた様な」、バリバリ弾きまくるのだが、タッチが流麗で正確な為、耳触りに響くことが無い。「Fools Rush In」「I Should Care」などのスタンダード曲から、当時のポップス曲のドリス・ディの「Secret Love」、そして、マッケンナのオリジナル曲まで、良い塩梅でバランス良く収録された全12曲。聴いていて心地良く楽しく響くピアノである。

この盤では、とにかく、マッケンナが弾きまくる。数カ所、短いベース・ソロが入るが、基本的にベースとドラムはリズム・キープに徹している。とにかく、マッケンナが全編に渡って、端正でハイテクニックでスインギーなピアノを弾きまくっている。歯切れが良いタッチ。間違いや淀みの無いアドリブ・フレーズ。聴いていて、とにかく爽快である。

ピアノを模したカラフルなジャケットが印象的。ジャケ良し、内容良し、聴いていた「ホホゥ」と思わず感嘆する「小粋なジャズ」の優秀盤。ほんと、久し振りに「再会」した盤でしたが、聴いてみると、初めて聴いた印象と全く変わらない音が、この盤に詰まっていて、ちょっと感動しました。
 
 

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