« エロール・ガーナーのソロ盤 | トップページ | 僕なりのジャズ超名盤研究・14 »

2022年7月18日 (月曜日)

パスのストーンズのカヴァー盤

ジャズ盤をいろいろ聴いていると、たまに「これ何」と聴き耳を立てる異色盤が出てくる。特に、1960年代後半、ジャズがポップス&ロックの潮流に押されて、人気のポップ音楽から聴き手を限定するマニアックな音楽になりつつあった頃、何とか、ポップス&ロックのファンに訴求する「カヴァー・ジャズ」が流行した。

つまり、当時流行っていたポップス曲やロック曲をジャズにカヴァーしてアルバム化する訳だが、ポップス曲やロック曲のコード進行はジャズのコード進行の標準とは違うものも沢山あって(特にレノン=マッカートニーの楽曲はジャズ化し難かった)、なかなか上手くいかない。加えて、アレンジのスキルにも問題があって、上手くカヴァー出来ないケースが続出した。

Joe Pass『The Stones Jazz』(写真左)。1966年7月20日の録音。Joe Pass (g), Bill Perkins (ts), Bob Florence (p, arr, cond), Ray Brown (b), John Guerin (ds), Victor Feldman (perc)、ここに、トロンボーンが3本、ギターが2本入って、スモールコンボ形式での演奏になる。

タイトルから類推出来る様に、この盤は、ローリング・ストーンズのヒット曲のカヴァー集。当時、ビートルズと人気を二分していたストーンズの有名曲をジャズ化している。もともと、ストーンズの楽曲はブルースを基調としていて、ビートルズの楽曲よりはジャズ化し易かったはず。確かに目の付け所は良かったと思う。
 

Joe-passthe-stones-jazz

 
が、リーダーのジョー・パスは、バリバリ純ジャズ・ギターの「ヴァーチュオーゾ」。イージーリスニング・ジャズよろしく、耳当たり良くポップに、ストーンズの楽曲を弾き回すかと思いきや、これがまあ、徹頭徹尾「純ジャズ」なギターの弾き回し。テーマの旋律ですら、原曲をよく聴いていないと、ストーンズのヒット曲とはほとんど判らない(笑)。

しかし、このジョー・パスのギターの弾き回しについては、純ジャズとして聴く分には上質でハイテクニックなジャズ・ギターとして成立しているのだから面白い。つまりは、パスはこのストーンズのカヴァー盤で、ポップス&ロックのファンに訴求しようとは思っていなかった様で、ストーンズの楽曲の個性を上手くピックアックして、純ジャズなギターで、素敵なアドリブ・パフォーマンスを展開している。

演奏全体のアレンジは旧態依然としたスモール・バンドのアレンジで、ユニゾン&ハーモニーなども旧式の音作りで、これではポップス&ロックのファンに訴求する「カヴァー・ジャズ」としては成立しない。そんなパスのストーンズのカヴァー盤だが、違った側面の「不思議な魅力」があるから、ジャズは面白い。

まずは、ジョー・パスは根っからのジャズ・ギターのヴァーチュオーゾだということ再認識出来ること、そして、ストーンズの楽曲は意外とジャズ化するのに意欲が湧くものだと言うこと。しかしながら、この後、ストーンズの楽曲のジャズ・カヴァーがほとんど無かったのが意外。

ジャケットも当時のサイケデリック&ラヴ・アンド・ピースの流行を踏襲した「これがジャズ盤のジャケか」と戸惑うばかりのユニークなもの。それでも、パスのギターは「純ジャズ」しているのだから、この盤は面白い。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて        【New】 2022.03.13 更新。

      ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2022.03.13 更新。

  ・遠い昔、懐かしの『地底探検』
 
 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2022.03.13 更新。

  ・四人囃子の『Golden Picnics』

 
Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から11年4ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4
 

« エロール・ガーナーのソロ盤 | トップページ | 僕なりのジャズ超名盤研究・14 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« エロール・ガーナーのソロ盤 | トップページ | 僕なりのジャズ超名盤研究・14 »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  
2022年11月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30      

カテゴリー