僕なりのジャズ超名盤研究・15
バド・パウエルは、モダン・ジャズ・ピアノの祖であり、ピアノ・トリオ・スタイルを確立させた、つまり「ピアノ+ベース+ドラム」の現代のピアノ・トリオ編成を定着させたピアニスト。ジャズ・ピアノを知る上では避けては通れないピアニストであり、パウエルのピアノを理解しておかないと、他のピアニストの個性や特徴が判らなくなる。
といって、パウエルのどのアルバムを聴けば良いのか、迷うところではある。ルーストの『バド・パウエルの芸術』が一番だが、これは内容が非常に尖っていて、ジャズ者初心者にとっては荷が重い。ブルーノートの『The Amazing Bud Powell Vol.1』だって、冒頭の「Un Poco Loco」の3連発には「ひく」。パウエルのピアノが嫌いになっては元も子もないので、まずはパウエルのピアノに親しむことが出来るアルバムを選ぶことになる。
Bud Powell『The Scene Changes : The Amazing Bud Powell Vol.5』(写真左)。1958年12月29日の録音。ブルーノートの4009番。ちなみにパーソネルは、Bud Powell (p), Paul Chambers (b), Art Taylor (ds)。パウエルの米国での正式リーダー作の最終盤である。編成は「ピアノ+ベース+ドラム」のピアノ・トリオ編成。
冒頭の「Cleopatra's Dream(クレオパトラの夢)」が、我が国では異常に人気があって、僕がジャズを聴き始めた頃は、この曲をジャズ喫茶でリクエストするのは「ジャズのトーシロ(素人)」とされた(笑)。それほど、人気があって、判り易い内容なのだが、パウエルのピアノの弾きっぷりはかなり個性的であることが判る。全盛期はまだまだこんなものではないが、パウエルのピアノの先鋭的なところがしっかり捉えられている。
2曲目以降の演奏についても、パウエルはトリオ演奏であっても、ベース、ドラムに関しては「我関せず」。1人ピアノをバリバリ弾いて突っ走るタイプなのだが、この盤ではしっかりとベース、ドラムの音を聴きながら、バップなピアノを弾き進めている様子が良く判る。いわゆる「パウエルだけが尖った」ところがこの盤には無い。パウエルのピアノがとても聴き易いのはそのせいだろう。
この盤は、バド・パウエル入門盤として最適、というか、この盤しかない、と思う。確かにこの盤は、バド・パウエルの全盛期を捉えた演奏では無い。しかし、当時として革新的なジャズピアノとしての、右手・左手の使い方が実に良く判る、パウエルの個性を理解するのに十分な内容を維持している。ゴスペルチックな「Borderick」、カリプソチックな「Comin' Up」など、当時のパウエルが「過去の人」になっていないことが良く判る。
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