『Oscar Peterson Plays George Gershwin』
オスカー・ピーターソンは、ジャズ・ピアニストの代表格。その卓越したテクニック、スイング感、ダイナミズム、そして歌心。恐らく、他のピアニストに比して、テクニックはアート・テイタムと同等、スイング感は筆頭、ダイナミズムはバド・パウエルと同等、歌心はビル・エヴァンスに比肩する。それ故、彼についたニックネームが「鍵盤の皇帝」。
あまりに上手すぎて、あまりにスイングして、あまりにダイナミックな弾きっぷりが完璧すぎて一部で「嫌われる」、不世出なピアニストである。しかし、完璧すぎて嫌われ、スイングして「スイングの権化」と揶揄され、いやはや、我が国では、ちょっと可哀相なピアニストである。が、僕は、ピーターソンのピアノ、概ね好きですね〜。
『Oscar Peterson Plays George Gershwin』(写真左)。1952年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Oscar Peterson (p), Ray Brown (b), Barney Kessel (g)。ソングブック・シリーズの第2作目。ジャズの愛されたクラシック&ポップスの作曲家、ジョージ・ガーシュウィンとアイラ・ガーシュウィンが書いた人気曲をカヴァーした楽曲集。
後に1985年にリイシューされた『OscarPeterson The George Gershwin Songbook』(写真右)の原盤になる。演奏はトリオ形式。ドラムレスの「ピアノ・ベース・ギター」のオールドスタイルのピアノ・トリオでの演奏になる。これが、意外と洒落ていて、ガーシュインの小粋な楽曲を演奏するには最適の演奏フォーマットではないか、と思ってしまう位である。
加えて、アレンジが良い。どの曲にも、こうくるだろう、という予想を覆す、嬉しい「小粋なアレンジ」が施されていて、聴いていてとても楽しい。この小粋なアレンジ、ガーシュインの持つ楽曲の可愛さ、美しさを引き立たせる様で、歌心溢れるピーターソンのピアノと相まって、どの曲も楽しく美しいトリオ演奏になっていて、聴き応えがある。
リズム隊も良い感じ。後に長年のパートナーを務める、レイ・ブラウンのベースが演奏のベースラインをしっかり捉えて、安定したビートを維持する。バーニー・ケッセルのギターは、リズム・キープの役割をしっかり果たしつつ、時に、ピアノと小粋なユニゾン&ハーモニーを奏でて、とっても良い感じの、歌心溢れるフレーズを展開する。
ジャズにおいて、ガーシュインのソングブックって、かなりの種類のアルバムが出ているが、このピーターソンのソングブックはアレンジが唯一無二と言って良い位、ユニークで優れたアレンジを施している。このアレンジがこの盤の最大の「ウリ」。ピーターソンのピアノの優秀性を横に置いても、ピーターソンのピアノの「歌心」が突出する、傾聴に値する「ガーシュイン楽曲集」である。
オスカー・ピーターソンのリーダー作と構えること無く、気軽に聴いて欲しいですね。この「ガーシュイン楽曲集」のピアノはとにかく「イケて」ます。
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