正統派オルガン・トリオの好盤
コロナ禍になって、エンタテインメントの類が全て「自粛」の嵐に見舞われ、ジャズについても「もう暫くはジャズの新盤は出ないのではないか」と心配になった時期があった。もう新しいジャズは聴けないのでは、なんて悲観的になったこともあったが、昨年の半ば辺りから、感染防止対策を施した「新しい録音環境」が整備されて、徐々にジャズの新盤が出てくる様になった。
コロナ禍の中で、コロナに感染して命を落としたジャズマンもいた。かなり有名なジャズマンもいたりして、びっくりした。しかし、中堅からベテランのジャズマンも積極的に、コロナ禍がまだ残る中、感染防止をしっかりしながら、録音活動やライブ活動を再開している。心強い限りだ。有事にはエンタテインメントは不要、なんて酷い意見もあるが、有事にこそ、エンタテインメントは必要だと僕は思うのだ。
Larry Goldings, Peter Bernstein, Bill Stewart『Perpetual Pendulum』(写真左)。2021年7月の録音。ちなみにパーソネルは、Larry Goldings (org), Peter Bernstein (g), Bill Stewart (ds)。
ニューヨークにて、2度目のパンデミックが回復の兆しを見せはじめ、人々に希望が満ちつつある時期に録音された、「オルガン+ギター+ドラム」の正統派オルガン・トリオでの作品。
オルガン担当のラリー・ゴールディングスは1968年生まれで、録音時は53歳。ギター担当のピーター・バーンスタインは1967年生まれで、録音時は54歳。ドラム担当のビル・スチュアートは1966年生まれで、録音時は55歳。大ベテランの域に達しつつある、同年代でのトリオ演奏。このオルガン・トリオ、そう言う意味で、バランスがとても良い。
洒脱で軽快なスチュワートのドラミングに先導&扇動され、オーバースイングぎりぎりに、思いっ切りスイングするギター、クールに熱気溢れる弾きっぷりのオルガン。この大ベテランの入口に立つ3人が、スリリングにダイナミックに「インタープレイ」を披露する。ネオ・ハードバップな「真っ直ぐ・ど真ん中」な、ストイックで正統派なメインストリーム・ジャズ。クールで熱いバトル。
収録曲は11曲。3人のオリジナルもバランス良く収録されていて聴いていて楽しい。スタンダード&ミュージシャンズ・チューンについても、ウエイン・ショーターのオリジナル曲「United」や、ゲイリ−・バーツの「Libra」、ジョン・ルイスの有名曲「ジャンゴ」や有名スタンダード「Come Rain or Come Shine」など、なかなか「小粋な」選曲。
この『Perpetual Pendulum』、現代ネオ・ハードバップの、正統派オルガン・トリオの好盤である。
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