« 正統派オルガン・トリオの好盤 | トップページ | 真摯でポジティヴなピアノ盤です »

2022年5月21日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・234

21世紀に入ってからだろうか。ジャズマンの「多国籍化」が進んでいるように感じる。20世紀は、米国が中心。米国ジャズがそのまま飛び火して、欧州ジャズとして進化し、和ジャズとして進化した。21世紀はアジアでの広がりは鈍いのだが、欧州での、特に東欧諸国とイスラエル中心に「多国籍化」が進んでいる。

Tigran Hamasyan『StandArt』(写真左)。2022年4月のリリース。ちなみにパーソネルは、Tigran Hamasyan (p), Matt Brewer (b), Justin Brown (ds) のトリオがメイン。ゲストとして、フロント管の Mark Turner (sax, track 3), Joshua Redman (sax, track 4), Ambrose Akinmusire (tp, tracks 7, 8) が参加している。

リーダーのピアニスト、ティグラン・ハマシアンは、アルメニア出身。1987年生まれなので、今年で35歳。若手の時代を経て、いよいよ中堅の時代に入らんとする年頃。ハマシアンの作曲はアルメニアの民俗伝統に強く影響されているのだが、今回の新盤は、ハマシアンの自作曲は1曲のみ。他は、グレイト・アメリカン・ソングブックからとジャズマンによる「ミュージシャンズ・チューン」のスタンダード曲で占められている。
 

Tigran-hamasyanstandart

 
ハマシアンのスタンダード曲の演奏が興味深い。ハマシアンの作曲の「癖」が無い、他のジャズマンが演奏してきた、グレイト・アメリカン・ソングブックからとジャズマンによる「ミュージシャンズ・チューン」のスタンダード曲の演奏を聴くことによって、ハマシアンのピアノの音の個性がハッキリ判るのだ。ワールド・ミュージック・ジャズの雰囲気が薄まって、先進的なネオ・ハードバップ志向のピアノが前面に押し出ている。

まず、バド・パウエルやビル・エヴァンスといった、ジャズ・ピアノの「第1世代」からの直接の影響は感じられない。どちらかと言えば、チック・コリア、ハービー・ハンコックといった「第2世代」からの影響を強く感じる。コンテンポラリーな音の響きは、ブラッド・メルドーと同質のものと感じた。当然、コピーでは無く、そういった影響を基に、ワールド・ミュージック・ジャズ志向な個性をしっかり出しているから立派だ。

過去のジャズ・ピアノのスタイルをしっかり踏まえて、ハマシアンなりの、現代の最先端を行くジャズ・ピアノの個性とスタイルを確立しているのを、この新盤を聴いて強く感じる。ハマシアンのピアノが、アルメニアの民族伝統に依存している訳では無いこと、モダン・ジャズ・ピアノの正統な後継者の1人である、ということが、この新盤を通じて明確になった。アーティスティックな響きを湛えた優秀盤である。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2022.03.13 更新。

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2022.03.13 更新。

  ・遠い昔、懐かしの『地底探検』

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2022.03.13 更新。

  ・四人囃子の『Golden Picnics』

 
Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から11年2ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 
 

« 正統派オルガン・トリオの好盤 | トップページ | 真摯でポジティヴなピアノ盤です »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 正統派オルガン・トリオの好盤 | トップページ | 真摯でポジティヴなピアノ盤です »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  
2022年8月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

カテゴリー