« 最近出会った小粋なジャズ盤・6 | トップページ | コンテンポラリーなデュオ演奏 »

2022年4月 8日 (金曜日)

最近出会った小粋なジャズ盤・7

ジャズとビートルズとの関係は深い。もともとジャズは、その時代時代に流行った音楽のカヴァーや要素の取り込みが上手で、例えば「ラテン・ジャズ」「ボサノバ・ジャズ」などがその好例だと思う。

そして、ロック/ポップス史上最大のイノベーションだった「ビートルズ」についても同様で、ジャズはこぞって、タイムリーにビートルズの楽曲をカヴァーし、その音楽の要素を上手に取り込んだ。

よって、ジャズのニュー・スタンダード化したビートルズ曲も多数ある。「Norwegian Wood(ノルウェーの森)」「A Day in the Life」「A Day in the Life」「Yesterday」などが、ほぼスタンダード化していると思う。

しかし、ビートルズの楽曲って、キー進行が独特で、ブルーノートを踏襲していないので、ジャジーなアドリブを展開するのがなかなかに難しく、なかなかジャズらしい演奏にならない。アドリブ展開を含めた優れたアレンジが全て、といったところかな。

John Pizzarelli『Midnight McCartney』(写真左)。ちなみにパーソネルは、John Pizzarelli (g) をメインに、多くのコンテンポラリー・ジャズ畑のミュージシャンが参加。メインボーカルは、Michael McDonald。加えて、オーケストラがバックに入っている。演奏のアレンジはJohn Pizzarelli(ジョン・ピザレリ)自身が担当、オーケストラのアレンジは Don Sebesky(ドン・セベスキー)が担当している。

タイトルから判る通り、この盤は「ポール・マッカートニー」トリビュートの企画盤。全曲、ポール・マッカートニーがソロになってからの、ポール作の楽曲で占められている。ビートルズでは無い、アフター・ビートルズのポールの楽曲に焦点を当てたところ、これがユニーク。
 

Midnight-mccartney_john-pizzarelli

 
但し、ポールの楽曲の特徴は、≒ビートルズなので、やはり、単純にジャズにはなりにくい。よって、やはりここも「アドリブ展開を含めた優れたアレンジが全て」がポイントになる。アレンジ担当は、リーダーでギタリストのビザレリが担当。さて、その手腕やいかに。

結論から言うと「大成功」。冒頭の「Silly Love Songs」、4曲目「Coming Up」、7曲目「Hi, Hi, Hi」、10曲目「Let 'Em In」等々、基本的に収録曲全曲、しっかりと「ジャズ化」されている。

主旋律のメロディーはアレンジするにせよ崩すこと無く、ポールの曲の主旋律の良さをしっかりと出し、アドリブ部に入って、ポールの楽曲の持つコード進行を捻ったり、裏返したりしながら、原曲の持つコード進行の妙を維持しつつ、ジャズらしいアドリブ展開を実現している。このアレンジには「まいった」。バラード曲でのセベスキーのアレンジもジャジーで良好。

『McCartney II』収録の「Coming Up」や、シングルでヒットした「Hi, Hi, Hi」がジャズになるなんて思いもしなかった。

やはり、ビートルズ関連の楽曲のジャズによるカヴァーはアレンジが勝負。ポールの楽曲も同様で、テーマがあって、アドリブがあって、テーマに戻る。そういった、ジャズとして当たり前のルーチンが実現してこそ、正統なカヴァーと言えるのではないか。

そういう点で、このピザレリの『Midnight McCartney』は大成功の部類。とにかく、小粋なアレンジが素晴らしい「ポール・マッカートニー」トリビュート盤です。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2022.03.13 更新。

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2022.03.13 更新。

  ・遠い昔、懐かしの『地底探検』

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2022.03.13 更新。

  ・四人囃子の『Golden Picnics』

 
Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から11年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4

« 最近出会った小粋なジャズ盤・6 | トップページ | コンテンポラリーなデュオ演奏 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 最近出会った小粋なジャズ盤・6 | トップページ | コンテンポラリーなデュオ演奏 »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  
2022年8月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

カテゴリー