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2022年3月 8日 (火曜日)

ジャズ喫茶で流したい・231

今からかれこれ、もう15年も前になるのか。2007年当時、ITunesストアでジャズ盤が販売され、ネット経由で手軽にジャズ盤の音源データがダウンロード出来る様になっていた。それも、CDショップで見ることの無いアルバムがアップされていて、その盤の素姓を調べるのが大変だった。

ジャケットは違うがオリジナルの音源と内容は同じものとか、市場に恒常的に出回っているブート盤とか、見たことの無いジャケットだからといって、今まで聴いたことの無い盤と判断するのには問題が多かった。この盤もジャケットを見ただけでは、どこかブート盤っぽい感じが怪しくて、素姓が明確になるまで、手に取ることが出来なかった盤である。

『What Happens?... - Art Farmer - Phil Woods Together』(写真左)。1968年10月12日、ローマでの録音。リリースは1977年。ちなみにパーソネルは、Art Farmer (tp), Phil Woods (as), Martial Solal (p), Henry Textier (b), Daniel Humair (ds)。アート・ファーマーのトラペット、フィル・ウッズのアルト・サックスがフロント2管のクインテット編成。

アルバムの素姓は判ったので、入手と相成ったが、その主な動機は「安い」。確か500円程度でダウンロード出来たのではないか。輸入盤CDと比べても半額程度の安さだったので、内容が悪くても仕方が無い、と割り切って購入した思い出がある(笑)。しかし、聴いてみたら「あらら」。なかなかにエッジの立った、疾走感溢れる、エネルギッシュなハード・バップで、聴き応え満載。

そもそも、ウッズとファーマーがフロントで共演するのも珍しいし、ベースとドラムは、フィル・ウッズ主宰の「ヨーロピアン・リズムマシーン」在籍。加えて、ピアノがマーシャル・ソラール。ピアノが、ジョルジュ・グルンツだったら「ヨーロピアン・リズムマシーン」with アート・ファーマーだったな(笑)。しかし、このピアノのソラールがむっちゃ良かったりするのだ。
 

What-happens

 
録音はイタリアのローマだったらしいので、この盤は欧州ジャズの範疇で語られるべき好盤であろう。リリース当時、1977年はフュージョン・ジャズの大ブーム真っ只中。この盤の様な上質のハードバップは欧州のマーケットに限られていたように思う。逆にさすがイタリアである。良く、この面子でハードバップな演奏をやらせたなあ、と感心することしきり、である。

冒頭のタイトル曲、ミシェル・ルグラン作曲の「What Happens?」を聴けば、この盤の良さが判る。ウッズのアルトが良く鳴っている。そして、ファーマーのフリューゲルホーンが気合い十分で熱いブロウ。バックのソラールのピアノが率いるリズム・セクションが、素晴らしいバッキングで応酬する。3曲目のドーハム作曲の「Blue Bossa」でも、ウッズのアルトは充実、ファーマーのトランペットは何時になく熱い。

2曲目のストレイホーン作の「Chelsea Bridge」は、ウッズのアルトのワンホーン。5曲目の「The Day After」は、ファーマーのトランペットのワンホーン。どちらも、ワンホーンでも素晴らしいパフォーマンスを披露する。特に、ファーマーのバラード演奏、かなり熱が入っていて聴き応えがある。

この盤の聴きどころは、ウッズのアルトの充実、ファーマーの熱い、気合いの入ったトランペット。そして、ウッズの「充実」とファーマーの「熱さ」を引き出したのが、マーシャル・ソラールのピアノが率いるリズム・セクション。特に、ダニエル・ユメールのドラミングが、ウッズとファーマーを熱く効果的に鼓舞している。

「幻の名盤」とは言い過ぎですが、なかなかにエッジの立った、疾走感溢れる、エネルギッシュなハード・バップが楽しめる「ウラ名盤」だと思います。久し振りに聴きましたが、しばらく「息の長いヘビロテ盤」になりそうです。
 
 

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