« 2022年2月 | トップページ | 2022年4月 »

2022年3月の記事

2022年3月31日 (木曜日)

ユッコの『Colorful Drops』

jazzLife誌の「Disc Grand Prix 年間グランプリ」の記事を読んでいて、久し振りに「ユッコ・ミラー」の名前に出会った。当音楽喫茶『松和』でも、2019年10月27日の記事で、この人の3rdアルバムを取り上げたことを思い出した。

このサックス奏者が出てきた時は、「我が国もここまできたか」とビックリするやら嬉しいやら。キャンディー・ダルファーを知った時、「ジャズもここまできたか」とビックリしたのだが、このユッコ・ミラー、和製キャンディー・ダルファーと形容するのがピッタリな、コンテンポラリーなジャズ・ロック&ジャズ・ファンクを得意としている。

そもそも「ユッコ・ミラー」とは何者か、である。エリック・マリエンサル、川嶋哲郎、河田健に師事。19歳でプロデビュー。 2016年9月、キングレコードからファーストアルバム「YUCCO MILLER」を発表し、メジャーデビュー。「サックスYouTuber」としても爆発的な人気を誇る、実力派サックス奏者である。確かに、彼女のサックスは正統派なもの。テクニックもブロウも確かなもの。決して、ヴィジュアル指向ではない。

ユッコ・ミラー(Yucco Miller)『Colorful Drops』(写真左)。2021年10月のリリース。ちなみにパーソネルは、ユッコ・ミラー (as, ss, vo, ewi), 岡聡志 (g), 半田彬倫 (key, vln, program), 須藤満, 岡田治郎 (b), 則竹裕之, 渡邊シン (ds)。ユッコ・ミラーの 4thアルバムである。ジャケットを見て引いてはいけない。正統派な、現代のジャズ・ロックとジャズ・ファンクがギッシリと詰まっている好盤である。
 

Colorful-drops_yucco-miller

 
冒頭のジャズ・ファンク「Smoky Light」を聴けば、ユッコ・ミラーは素姓確かなサックス奏者であることが良く判る。続く「New Experience」はアップテンポの難曲なのだが、ユッコ・ミラーは元気一杯の明るいブロウを披露する。これが実に良い。3曲目のスローなファンク・チューン「Be Myself」では、大らかな吹き回しの中に、そこはかとなく漂う哀愁感に耳が引かれる。

ユッコ・ミラーのサックスは、音がしっかり出て淀みが無い。速いフレーズは流麗に、ゆったりしたフレーズは情感豊かに吹き上げる。聴いていて耳に付かない、聴き心地の良い音はしっかりと印象に残る。ジャズ・ファンクの中にそこはかとなく漂う「マイナーな哀愁感」は、ユッコ・ミラー独特の個性。僕は「日本人らしいなあ」としみじみと聴いた。

6曲目の「Stream」のユッコと半田のピアノとのデュエットも哀愁メロディー・オンリーで訴求し、8曲目のジャズ・スタンダード曲「Fly Me to the Moon」のボサノバ基調のカヴァーも秀逸。ユッコのボーカルも味があって良い。

先に書いたが「ジャケットを見て引いてはいけない」。正統派な、現代のジャズ・ロックとジャズ・ファンクがギッシリと詰まっている好盤である。フュージョン・ジャズ者の方々には一聴をお勧めしたい盤ですね。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2022.03.13 更新。

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2022.03.13 更新。

  ・遠い昔、懐かしの『地底探検』

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2022.03.13 更新。

  ・四人囃子の『Golden Picnics』

 
Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から11年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4

2022年3月30日 (水曜日)

今の耳には優秀なハードバップ

1960年代前半のジャズ・シーンって、面白かったんだろうな、と思う。ハードバップが成熟し、その成熟したハードバップを基に「ジャズの多様化」の時代になったのが1960年代前半。コマーシャルな面に力点を置いたのが「ファンキー・ジャズ」「ソウル・ジャズ」で、LPやEP(ジュークボックス)での売上に貢献した。アーティステックな面に力点を置いたのが「モード・ジャズ」「フリー・ジャズ」で、様々な「実験的なチャレンジ」が行われていた。

『Jackie Mclean Quintet (Blue Note)』(写真左)。1962年6月14日の録音。 ブルーノートの4116番。ちなみにパーソネルは、Jackie McLean (as), Kenny Dorham (tp), Sonny Clark (p), Butch Warren (b), Billy Higgins (ds)。リーダーのマクリーンのアルト・サックスとケニー・ドーハムのトランペットがフロント2管のクインテット編成。

実はこの盤、ブルーノートお得意の「内容が良いのに何故かお蔵入りになった」盤の一枚である。4116番というカタログ番号まで用意されていたのに、録音当時はお蔵入り、その後、BN-LAのシリーズで、1967年の未発表と併せて『Hipnosis』(写真右)というタイトルの2枚組の中で発表されている。パーソネルを見渡すと「聴いてみたい」と触手が伸びる面子で、再発され、その後、順調にCDりいしゅーされたことを素直に喜びたい。
 

Jackie-mclean-quintet-blue-note

 
内容的には「成熟したハードバップ」である。フロントのマクリーンもドーハムも好調。長年、手慣れた「ハードバップ」のマナーの中で、バリバリ吹きまくっている。ソニー・クラーク以下のリズム隊もフロントのブロウに合わせて、「成熟したハードバップ」風のリズム&ビートを供給する。ファンキーでも無ければ、モードでも無い。ひたすら「ハードバップ」な演奏を繰り広げる。

そんな中で、ピアノのソニー・クラーク(以下、ソニクラと略す)が良い味を出している。このひたすら「ハードバップ」な演奏の中に、そこはかとなくマイナーでファンキーな雰囲気を醸し出しているのが、ソニクラのピアノだ。転がる様な流麗な右手が、フロントの2管を刺激する。負けずに流麗で疾走感溢れるブロウが、ソニクラのピアノに引き出される。

1960年代前半は「ジャズの多様化」の時代。セールスを追求するなら、モード・ジャズ(新主流派)やジャズ・ロック、ファンキー&ソウル・ジャズのいずれかでないと厳しかった時代。リアルタイムでこの「成熟したハードバップ」風の好盤をリリースするには、セールス的に厳しい、という判断があったのでは無いか。今の耳には優秀な「成熟したハードバップ」盤。1990年代、単独リイシューされて良かったと思う。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2022.03.13 更新。

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2022.03.13 更新。

  ・遠い昔、懐かしの『地底探検』

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2022.03.13 更新。

  ・四人囃子の『Golden Picnics』

 
Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から11年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4

2022年3月29日 (火曜日)

ハバードの「隠れ名盤」の一枚

適度に抑制され、余裕のある、ゆったりと吹き上げるハバードのトランペットは無敵だ。この盤の冒頭の「You're My Everything」を聴けば、この盤でのハバードは「当たり」なのを確信する。バラードチックなユッタリとしたテンポの「You're My Everything」をシッカリ抑制したトランペットで、余裕を持って悠々と吹き上げていくハバード。これは良い。聴き応え抜群のバラード・プレイである。

Freddie Hubbard『Hub-Tones』(写真左)。1962年10月10日の録音。ブルーノートの4115番。ちなみにパーソネルは、Freddie Hubbard (tp), James Spaulding (as, fl), Herbie Hancock (p), Reggie Workman (b), Clifford Jarvis (ds)。リーダーのハバードのトランペットと、スポルディングのアルト・サックスがフロント2管のクインテット編成。

この盤の録音時、ハバードは24歳。フロントの相方、スポルディングは1937年生まれの25歳。ピアノのハンコックは22歳。ベースのワークマンは25歳。ドラムのジャーヴィスは21歳。録音メンバーは、ハバードと同世代。1つ年上か、ハンコックとジャーヴィスは年下。こういうメンバーでのハバードは何故か、他のメンバーの音をしっかり聴きつつ、抑制したトランペットじっくり吹き上げる傾向にあると睨んでいる。
 

Hubtones

 
思いっ切り吹きまくることなく、抑制しつつじっくり吹き上げるハバードのトランペットは無敵である。逆にアルト・サックスのスポルディングの方が手数が多くて賑やかな位だ。こういうサイドマンが挑みかかって来る様なブロウを仕掛けると、ハバードはそれを受けて、負けずに吹きまくる傾向があるのだが、この盤ではそうならない。スポルディングに好きに吹かせながら、ハバードは、あくまで「適度に抑制され、余裕のあるトランペットをゆったりと吹き上げる。

ハバードが余裕あるブロウを繰り広げると、他のメンバーがその実力を遺憾なく発揮するから不思議だ。全編に渡って、ハンコックのピアノのバッキングが見事。モーダルな速いフレーズを弾かせても、何時になくエモーショナルに弾きまくる。ジャーヴィスも臆せず、熱いドラミングを披露するし、ワークマンのベースは安定したビートを供給し、メロディアスなフレージングを披露する。

同年代、および、年下のメンバーと組むと、ハバードは真の才能を発揮する。恐らく、ブルーノートの総帥プロデューサーのアルフレッド・ライオンもそれに気がついていたのであろう、この盤でのサイドマンの人選は素晴らしい。ジャケットもブルーノートらしい秀逸なデザインで「良し」。この『Hub-Tones』、ハバードの名盤の一枚として、もっと評価されても良いと思う。バリバリ、大きな音で速いフレーズを弾きまくるばかりが「天才」では無い。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2022.03.13 更新。

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2022.03.13 更新。

  ・遠い昔、懐かしの『地底探検』

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2022.03.13 更新。

  ・四人囃子の『Golden Picnics』

 
Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から11年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4

2022年3月28日 (月曜日)

ベテランと若手が噛み合う好盤

21世紀に入っても、ジャズ界はコンスタントに将来有望な新人が出てくるし、20世紀の時代から活躍しているベテラン〜レジェンド級のジャズマンも充実した活動を継続している。

そういう環境の中、最近、目に付いたのが「Dave Liebman(ディヴ・リーブマン)」。1946年9月4日生まれなので、現在75歳。レジェンド級のサックス奏者。もともとはコルトレーンのフォロワーな存在だったが、マイルスのバンドに参加して、リーブマン独自の個性を身につける。現在では、コルトレーン・ライクなストレートな奏法ではあるが、どこか温もりと流麗さを兼ね備えた、正統派テナーのレジェンドとして活躍を続けている。

Dave Liebman『IS SEEING BELIEVING?』(写真左)。2016年の作品。ちなみにパーソネルは、Dave Liebman (ss, ts, fl), Ricardo Pinheiro (g), Eric Ineke (ds), Mario Laginha (p), Massimo Cavalli (b) 。フロントがリーダーでテナーのリーブマン、ギターのリカルド・ピニェイロがフロント2管。オランダの正統派ドラマー、エリック・イネケ、そしてポルトガル、イタリア出身の若いプレイヤーを迎えたクインテット編成。録音当時70歳のリーブマンのリーダー作である。
 

Is-seeing-believing_dave-liebman

 
リーブマンがインタヴューで「メロディの大切さ」を語っている。大切なのは「不要な装飾を取り払い、物事の本質を突く演奏」だと。この盤では、そんなリーブマンが目指すパフォーマンスをしっかり具現化している様に感じる。適度にリラックスした、それでいて芯のしっかりした、オリジナリティー溢れるストレートで装飾の無いブロウ。フリーキーに走ることも無く、引用に走ることも無い。温もりと流麗さを兼ね備えた、大らかで力感溢れるテナーが素晴らしい。

冒頭の6/8拍子のテーマと4ビートのソロの間での「リズム&ビートのチェンジ」が小粋で見事な「Old Folks」を聴けば、それが良く判る。暖かく流麗な、それでいてテクニック確かで力感溢れるテナーを、リーブマンが気持ちよさそうに吹き上げていく。「Rainy Sunday」や「Ditto」などのメンバーのオリジナル、「Coraçao Vagabundo」「Beatriz」といったブラジリアン・ナンバーもポジティヴにリラックスした演奏で、聴いていてとても心地良い。

こういった20世紀の時代から活躍しているベテラン〜レジェンド級のジャズマンの充実したリーダー作を聴くと、いや〜、ジャズって懐が深いなあ、裾野が広いなあ、と改めて思う。レジェンド級のリーダー、そして若手有望なメンバーがガッチリ噛み合った、優秀な内容のコンテンポラリーな純ジャズ盤です。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2022.03.13 更新。

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2022.03.13 更新。

  ・遠い昔、懐かしの『地底探検』

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2022.03.13 更新。

  ・四人囃子の『Golden Picnics』

 
Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から11年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4

2022年3月27日 (日曜日)

グリーンが奏でるラテン・ジャズ

ジャズ・ギタリストの中で、グラント・グリーンは「知る人ぞ知る」、マニアックな存在のギタリストである。パッキパキなシングル・トーンで、ファンキーなギター。シングル・トーンがメインなので、ちょっとだけ聴くと「なんか下手くそ」な感じがするんだが、どうして、テクニックは一流。

どっぷりファンキーなフレーズは、グリーン独特のトーン。僕にとって、グラント・グリーンは「フェイバリット・ギタリスト」の1人である。だが、我が国では、何故だか判らないが、意外とグラント・グリーンが「好きなギタリスト」として名前が挙がることが少なかった。1990年代のブルーノートの全面再発で、やっとその名前が再認識され始めたみたいだ。

Grant Green『The Latin Bit』(写真左)。1962年4月と9月の録音。ブルーノートの4111番。ちなみにパーソネルは、Grant Green (g), John Adriano Acea (p), Wendell Marshall (b), Willie Bobo (ds), Carlos "Patato" Valdes (conga), Garvin Masseaux (chekere)。CDのボートラのみ、Ike Quebec (ts), Sonny Clark (p)。
 

The-latin-bit

 
ファンクネスだだ漏れのギタリスト、グラント・グリーンが「ラテン・ジャズ」にアプローチした企画盤である。パーソネルを見渡すと、パーカッション中心に「ラテン・ジャズ」系のメンバーが参加している。ドラムのウイリー・ボボと、コンガのパタート・バルデスが叩き出すリズム&ビートが、完全に「ラテン・ジャズ」している中で、グリーンは楽しそうに、唄うが如く、ラテン・ジャズなフレーズを弾きまくる。

聴いていて面白いのは、ラテン・ジャズ志向なジャズをやっている中で、グラント・グリーンのギターは、意外と相変わらず、パッキパキなシングル・トーンで、ファンキーなギターのままであること。ラテン・フレーズの中に、しっかりとブルージー&スウィンギーな要素を織り込んでいるところが、いかにも「ブレないグラント・グリーン」らしいです。

アフロ・キューバン・ジャズの名曲「Mambo Inn」のリラックスしたギターや、メキシコ発のラテンな名曲「Besame Mucho」やブラジル名曲「Aquarela Do Brasil」のカヴァーなど、楽しく寛いでスインギーなグリーンのギターがとても魅力的です。ラテンな衣装に身を包んでギターを抱えてポーズする楽しそうなグリーンのジャケットもなかなか良好。聴き心地の良い「ラテン・ジャズ」盤です。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2022.03.13 更新。

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2022.03.13 更新。

  ・遠い昔、懐かしの『地底探検』

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2022.03.13 更新。

  ・四人囃子の『Golden Picnics』

 
Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から11年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4

2022年3月26日 (土曜日)

狭間の考えるセロニアス・モンク

このところ、挾間美帆に注目している。特に、ビッグバンドやラージ・アンサンブルと呼ばれる分野での「作曲&アレンジ」の才能が凄い。バンドの指揮者としての才覚もあり、今までの日本人にまず無い、あるとしたら唯一、今を去ること40数年前、秋吉敏子=ルー・タバキン・ビッグバンドでの、穐吉敏子さんくらいだろう。

2012年にジャズ作曲家としてメジャー・デビュー。2016年、米ダウンビート誌「未来を担う25人のジャズ・アーティスト」に選出。自身のジャズ室内楽団 m_unit の3作目『Dancer in Nowhere』は、2019年、米ニューヨーク・タイムズ「ジャズ・アルバム・ベストテン」に選ばれ、2020年の米グラミー賞「Best Large Jazz Ensemble Album」部門ノミネートされている。

Miho Hazama Metropole Orkest Big Band『THE MONK : Live at Bimhuis』(写真)。2017年10月の録音。挾間美帆がアレンジと指揮を担当、メトロポール・オーケストラ・ビッグバンドとの共演盤である。メトロポール・オーケストラは、オランダのポップスとジャズを基調とした、世界で最も規模が大きい全合奏団、混成オーケストラ。そのオーケストラのメンバーで、ジャズ・ビッグバンドを編成している。
 

The-monk-live-at-bimhuis

 
2017年はセロニアス・モンク生誕100周年の年。この盤は、セロニアス・モンクの曲をカバーしたトリビュート・ライブ・アルバムである。全7曲。「Thelonious」「Ruby, My Dear」「Friday the 13th」「Hackensack」「Round Midnight」「Epistrophy」「Crepuscule with Nellie」。モンクの楽曲のうち、旋律がキャッチャーで美しく、かつユニークな楽曲を特に選んでいる様に見える。

モンク・トリビュートのビッグバンド盤と聞いて、モンクのあの独特のタイム感覚はどうやって、ビッグバンド化するのかなあ、と思って聴いてみたら、タイム感覚は横に置いて、モンクの「旋律がキャッチャーで美しく、かつユニークな楽曲」に焦点を絞って、モンクの楽曲が持つ、色彩豊かな音の重なり、音の流れを際立たせる秀逸なアレンジ、に力点を置いている。アンサンブルがクリアで躍動感があり、音の重なりが正統でゴージャズ。バリサクを効果的に使用した低音域の強調は「ギル・エヴァンス」を想起させる。

モンクの楽曲って、こんなに「キャッチャーで美しく、かつユニーク」やったんやなあ、って再認識。狭間の「目的をしっかり絞り込んだ」優秀なアレンジが、モンクの楽曲の魅力を更に引き立たせ、モンクの楽曲の持つ「躍動感」を前面に押し出している。そして、ビッグバンド自体の音がかなり優秀。狭間の注文に的確に応答し、狭間のコンダクトに反応している。この優秀なビッグバンドがあってこそ、狭間のアレンジが引き立つ。良いビッグバンド盤だと思います。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2022.03.13 更新。

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2022.03.13 更新。

  ・遠い昔、懐かしの『地底探検』

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2022.03.13 更新。

  ・四人囃子の『Golden Picnics』

 
Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から11年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4

2022年3月25日 (金曜日)

ホレスの「日本贔屓 (びいき)」盤

Horace Silver(ホレス・シルヴァー)ほど、ファンキーなピアノを弾き続けたピアニストはいないだろう。ファンキーなピアノというよりは、もはや「ホレス節」というほどの、マイナーでファンキーでダンサフルなピアノを弾きまくる訳で、ホレスのピアノは1曲聴けば「ああ、これはホレス・シルヴァー」のピアノと判る位に個性的なもの。これが「ホレス者(ホレス・シルヴァーのファン)」にとっては堪らないのだ。

Horace Silver『The Tokyo Blues』(写真左)。1962年7月13–14日の録音。ブルーノートの4110番。ちなみにパーソネルは、Horace Silver (p), Blue Mitchell (tp), Junior Cook (ts), Gene Taylor (b), Joe Harris (ds)。ミッチェルのトランペット、クックのテナー・サックスが2管フロントのクインテット編成。ホレス・シルヴァー・クインテットの黄金時代の一枚である。

ホレスは1962年1月、初来日公演を敢行、全国19もの会場で大成功を収め、以降、すっかり「日本贔屓(びいき)」になったらしい。この盤はその初来日公演の半年後の録音なので、その興奮冷めやらぬまま、タイトルも明確に「東京ブルース」。収録曲も「Too Much Sake(日本酒が過ぎる)」「Sayonara Blues(さよならブルース)」「The Tokyo Blues(東京ブルース)」「Cherry Blossom(桜)」「Ah! So(あっそう)」と日本を想起させるタイトルばかり。
 

The-tokyo-blues_horace-silver

 
洒脱なファンキー・ジャズが良い感じに響いている。「The Tokyo Blues」のエキゾティックな響きも良い感じだし、どの曲も大胆な展開をしつつも、要所要所は繊細にキメているところがこの盤の特徴的なところ。ホレス・シルヴァー・クインテットの演奏のレベルが一段上がった様な感じがする。曲のラストに、そこはかとなく「オリエンタルなフレーズ」が出てきたりするが、これがまったく違和感が無いところがホレスの作曲&アレンジの優れたところ。

ホレスの優れた作曲&アレンジによって、フロントのミッチェルのトランペット、クックのテナー・サックスも実に気持ち良く、吹きまくっている。溌剌として明るくて、それでいて、しっかりキメるとことはキメる、テクニック良く、メリハリの効いたブロウが実に良い感じ。ジーン・テイラーのベース、ジョー・ハリスのドラムのリズム隊も、ファンキーなリズム&ビートをキメにキメていて、とても良い感じのファンキー・ジャズ盤に仕上がっている。

1962年1月、初訪日した印象をホレスならではの解釈で、鯔背に粋にファンキーにキメてくれている盤。ジャケット写真も思いっ切り「日本風」に、しかもカラーでキメている。この盤、ホレスの初来日時の「感謝」をそこはかとなく感じるなあ。ちなみに、ジャケット写真の左側の女性は、出光佐三の四女で映像作家の出光真子さんです。NYの日本庭園での撮影とのこと。良いジャケットですね。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2022.03.13 更新。

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2022.03.13 更新。

  ・遠い昔、懐かしの『地底探検』

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2022.03.13 更新。

  ・四人囃子の『Golden Picnics』

 
Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から11年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4

2022年3月24日 (木曜日)

ジョーダンの曲の良さを愛でる

ハードバップ時代、ジャズ曲の作曲の名手というのが幾人かいる。デューク・ジョーダンなどは、そんな名手の1人。「Jordu」「No Problem(危険な関係のブルース)」など、完全にスタンダード曲化した名曲は数知れず。どっぷりマイナーで哀愁滲む泣き節フレーズがてんこ盛りのジョーダンの自作曲の数々は、とにかく「ジャズらしい」のだ。

Duke Jordan『Duke's Delight』(写真)。1975年11月18日、NYの「C. I. Recording Studios」での録音。スティープルチェイス・レーベルの1046番。ちなみにパーソネルは、Duke Jordan (p), Richard Williams (tp), Charlie Rouse (ts), Sam Jones (b), Al Foster (ds)。リチャード・ウィリアムスのトランペットと、チャーリー・ラウズのテナー・サックスがフロント2管のクインテット編成。

2曲目の「(In My) Solitude」のみ、スタンダード曲であり、ジョーダンのピアノのソロ演奏。その他全て、デューク・ジョーダンの作曲。このジョーダンの自作曲の出来が非常に良い。同じ編成の名盤、ブルーノートの『Flight to Jordan』もそうだったが、ジョーダンの手になる曲は、どれもが内容があって素晴らしい。マイナー調で攻めまくり、哀愁感だだ漏れ、それでいて、フレーズは凛としていてキャッチャー。思わず引き込まれてしまうほどのブルージーでジャジーな旋律。
 

Dukes-delight_duke-jordan

 
そう、ジョーダンの書く曲はどれもが「ジャズらしい」のだ。これぞ「ジャズ曲」という雰囲気が濃厚に漂う、ジョーダンの自作曲。ジョーダンのリーダー作には、ジョーダンの書く曲が一番フィットする。当然、ジョーダンのピアノは、ジョーダン曲にピッタリとマッチする(当たり前か)。ジョーダンの端正で骨太なタッチに、ジョーダン作の凛としてキャッチャーな楽曲が良く似合う。

ジョーダン作の曲のフレーズが美しいので、恐らく、それを吹いたらきっと楽しいんだろう。リチャード・ウィリアムスのトランペットと、チャーリー・ラウズのテナー・サックスのフロント2管は活き活きとして、実に楽しそうに吹きまくっている。特に「隠れ名手」のリチャード・ウィリアムスのトランペットが、流麗かつ凛とした音色で活き活きと吹きまくっているのが印象的。

そうそう、渋う渋いテナー・マンのチャーリー・ラウズも何時になく楽しげにサックスを吹き上げてます。サム・ジョーンズも何時になくモダンなベースをブンブン弾きまくってるし、アル・フォスターのドラムもジャジーの極み。そう、このアルバム、ジョーダンの自作曲を渋い渋いパーソネルでの演奏によって思いっ切り引き立たせ、ジョーダン作曲の曲の良さを思いっ切り愛でまくることが出来る、そんなアルバムです。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2022.03.13 更新。

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2022.03.13 更新。

  ・遠い昔、懐かしの『地底探検』

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2022.03.13 更新。

  ・四人囃子の『Golden Picnics』

 
Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から11年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4

2022年3月23日 (水曜日)

パスクァーレ・グラッソとは?

Pasquale Grasso(パスクァーレ・グラッソ)。「ジャズライフ・ディスク・グランプリ 2021年」の記事をボーッと見ていて、この人の名前に気がついた。誰だ、これ。ということで、ネットでググってみたら「ジャズ界に現れた驚異の才能」とある。パスクァーレ・グラッソはギタリストで、その「とてつもない超絶技巧」が大変な話題となっているらしい。

Pasquale Grasso『Pasquale Plays Duke』(写真左)。2021年9月のリリース。ちなみにパーソネルは、Pasquale Grasso (g), Ari Roland (b), Keith Balla (ds)。ゲスト参加として、Samara Joy, Sheila Jordan (vo)。ピアノレスのギター・トリオにボーカル2人がゲスト参加というシンプルな編成。パスクァーレ・グラッソのギターの凄さが心ゆくまで堪能出来る編成でもある。

この盤は、パスクァーレ・グラッソのギターに焦点を当てていて、パスクァーレ・グラッソのギターのソロ演奏、ギターとベースのデュオ演奏、サマラ・ジョイとシーラ・ジョーダンがそれぞれヴォーカル参加した曲など、バラエティーに富んだ編成の曲がバランス良く収録されていて、パスクァーレ・グラッソのギターの全てが十分に理解出来る盤に仕上がっている。  
 

Pasquale-plays-duke_pasquale-grasso

 
この盤はタイトルの通り、デューク・エリントンのトリビュート盤である。冒頭の「It Don't Mean a Thing(スウィングしなけりゃ意味がない)」、聴き慣れたデューク曲を聴けば、パスクァーレ・グラッソのギターのテクニックの凄さが判る。「流麗」をそのまま、ギターのプレイに置き換えた様な、美しいフレーズが延々と流れ続ける。とにかく上手い。凄いテクニックだ。

アルバム全体がトラディショナルな「バップな演奏」。淀みのない、流麗で疾走感のあるスインギーなギター・インプロビゼーション。古いようで新しいギターの音色と弾き回しのアドリブ・フレーズのユニークさ。現代ジャズの最先端を行く「バップなジャズ・ギター」。デュークの有名曲が新しい響きに満ちている。

さすが、ウエス・モンゴメリー国際コンペティション(2015年)で優勝した注目株。『Solo Masterpieces』、『Solo Ballad』、『Solo Standard』、『Solo Bud Powell』など、ソロ演奏ばかりを世の問うてきたが、今回は、意欲的な「ピアノレス・トリオ」でのエリントン・トリビュート盤。この盤は恐らく、パスクァーレ・グラッソの「ジャイアント・ステップ」な盤となると思う。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2022.03.13 更新。

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2022.03.13 更新。

  ・遠い昔、懐かしの『地底探検』

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2022.03.13 更新。

  ・四人囃子の『Golden Picnics』

 
Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から11年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2022年3月22日 (火曜日)

リトルの考える「新しいジャズ」

Twitterで定期的に呟いている「今日のスタート」で、夭折のトランペッター、ブッカー・リトルのリーダー作を特集しているのだが、リトルのリーダー作の中で、当ブログにアルバム・レビューをアップし忘れているものがあったので、ここでフォローしたいと思う次第。

Booker Little and his Quintet Featuring Max Roach『Out Front』(写真左)。1961年3月17日と4月4日の録音。ちなみにパーソネルは、Booker Little (tp), Julian Priester (tb), Eric Dolphy (as, b-cl, fl), Don Friedman (p), Art Davis (b, tracks 1, 3 & 7), Ron Carter (b, tracks 2 & 4-6), Max Roach (ds, timpani, vib)。

このリーダー作、スタジオ録音で、エリック・ドルフィーとの共演が実現している。他のメンバーを見渡しても、ピアノにドン・フリードマン、ベースにアート・デイヴィスとロン・カーター、トロンボーンにジュリアン・プリースター、と当時の最先端のジャズ、新主流派の若き担い手達が参加している。ドラムだけは、リトルの保護者は私だ、と言わんばかりに、相変わらずマックス・ローチが担当している(笑)。
 

Out-front-booker-little

 
マックス・ローチはともかく、このリトルのリーダー作は、パーソネルからも判る様に、新しいハードバップな響きに満ちている。まだ、完全モーダルな世界でも無いし、フリーなフレーズは出てくるにせよ、内容はフリーでは無い。しかし、個々のインプロビゼーションの自由度は高く、コードの解釈もユニークなもの。来たるべき「ジャズの多様性の時代」を体験できる、実にアーティスティックな内容に驚く。

そんな中で、リトルとドルフィーが傑出している。リトルはとっても良いトランペットの音で、モーダルな展開をメインに流麗かつエモーショナルなブロウを繰り広げる。そして、ドルフィーはドルフィーで、ポジティヴに捻れた、怪しくエモーショナル、かつ、アブストラクト寸前で滑らかな、思いっ切りユニークなフレーズを吹きまくる。とりわけ、バスクラの音が「怪しい」(笑)。

ハードバップに続く、来たるべき「新しいジャズ」を十分に予感させる、創造的かつ個性的なモダン・ジャズがこの盤に詰まっている。まだ、洗練されていない部分や熟れていない部分があるにせよ、この盤に詰まっているジャズは「新しい」。しかし、リーダーのリトルはこの盤の録音の半年後に夭折する。リトルの「この盤の次のジャズ」を聴きたかった。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2022.03.13 更新。

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2022.03.13 更新。

  ・遠い昔、懐かしの『地底探検』

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2022.03.13 更新。

  ・四人囃子の『Golden Picnics』

 
Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から11年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2022年3月21日 (月曜日)

ボシレフスキ・トリオの新作

2017年以降、キース・ジャレットが引退状態になってから、既に5年が経つ。2018年に脳卒中を2回発症して麻痺状態となり、まだ左半身が部分的に麻痺しており、ピアノ演奏に復帰できる可能性が低いとのこと。実に残念なことではあるが、ジャズは生きている。キースのフォロワーなジャズ・ピアニストが幾人か現れ出でて、とても内容のあるリーダー作をリリースしている。

Marcin Wasilewski(マルチン・ボシレフスキ)。1975年生まれ。ポーランド出身のピアニスト。今年47歳の中堅ピアニスト。13歳の時に手に入れたキース・ジャレットのアルバムに感銘し、強い影響を受ける、とある。確かに、ボシレフスキのピアノはキースの影響が感じられる。しかし、それだけでは無い。彼は彼なりの独特の個性がある。僕はそこに惹かれている。

Marcin Wasilewski『En attendant』(写真左)。2019年8月の録音。ちなみにパーソネルは、Marcin Wasilewski (p), Slawomir Kurkiewicz (b), Michal Miskiewicz (ds)。ECMレーベルの7枚目。とてもECMレーベルらしいトリオ盤。ECMレーベル独特のエコーと残響が、ボシレフスキのピアノの音を引き立てる。クルキエヴィッツのベース音とミスキエヴィッチのドラミングが、ECMエコーに映えて、クールな躍動感を演出する。
 

En-attendant_marcin-wasilewski

 
このポーランドのトリオの表現はより多面的に、より広範囲な志向のトリオ演奏を実現している。ボシレフスキのピアノは、ベースは「キース・ジャレット」。しかし、キースの様な鋭角でアブストラクトな面は希薄、より耽美的でリリカルな、丸みを帯びたフレーズがボシレフスキの独特の個性。どこかキースかな、と思えるところが微笑ましい。さすが、良い意味でキースのフォロワーである。
 
収録曲は全部で7曲。ピアノ・トリオへのアレンジが素晴らしい、カーラ・ブレイの名曲「Vashkar」、そしてバッハの「Goldberg Variations」からのセレクト。また、ボシレフスキのどこかゴスペルチックな「Glimmer of Hope」、ドアーズの「Riders On The Storm」の秀逸なカヴァーなど、ボシレフスキの耽美的でリリカルで、丸みを帯びたフレーズが個性のピアノが「映える」選曲とアレンジが実に粋だ。

耽美的でリリカルに留まらず、時に「ゴスペル」風に仄かな躍動感を伴ってインタープレイを展開するマルチン・ボシレフスキ・トリオは魅力的だ。このトリオの持つ「透明感」は欧州ジャズならではのもの。現代の欧州のピアノ・トリオを代表する存在になってきたなあ、と感慨深さを感じる、マルチン・ボシレフスキ・トリオの新作である。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2022.03.13 更新。

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2022.03.13 更新。

  ・遠い昔、懐かしの『地底探検』

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2022.03.13 更新。

  ・四人囃子の『Golden Picnics』

 
Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から11年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2022年3月20日 (日曜日)

躍動感溢れるブレイクの新盤

コロナ禍の時代に入ってから、一時、ジャズ盤のレコーディングが途絶えた時期があったが、2021年に入ってから、感染対策をとりつつ、レコーディングを再開したとの報は、明るいニュースだった。特に、2021年の下半期は、コロナ禍以前と同じ様な量とタイミングで、ジャズ盤のニュー・リリースされるようになってきた様で、なかなか内容のある新盤が目白押しである。

Johnathan Blake『Homeward Bound』(写真左)。2021年11月のリリース。ちなみにパーソネルは、Johnathan Blake (ds), Immanuel Wilkins (as), Joel Ross (vib), David Virelles (p, rhodes, mini-moog), Dezron Douglas (b)。ドラマーのジョナサン・ブレイクがリーダー。フロントにウィルキンスのアルト・サックスと、ロスのヴァイブがフロントを務めるクインテット編成(5重奏団)。

米国人ジャズ・ドラマー、ジョナサン・ブレイクのブルー・ノート第一作になる。ブレイクは1976年7月の生まれなので、録音当時46歳。中堅ジャズマンとして、特にサイドマンとして引っ張りだこ。ドラマーがリーダーのアルバムになるので、この盤には「ジョナサン・ブレイクが考えるコンテンポラリーな純ジャズ」が詰まっている。
 

Homeward-bound_johnathan-blake

 
アルバム全体が「躍動感溢れるコンテンポラリーな純ジャズ」志向の演奏。リーダーなので当然だが、全編に渡って、ブレイクのドラミングが見事である。このブレイクの見事なドラミングがアルバム全体に漲る躍動感を生み出している。そんな躍動感溢れるリズム&ビートに乗って、ジョエル・ロスのヴァイブとイマニュエル・ウィルキンスのアルト・サックスが活き活きとしたパフォーマンスを披露する。

それから、ダヴィ・ヴィレージェスのキーボード、特にフェンダー・ローズの弾きっぷりが見事である。フロントに出て旋律を弾きこなすにも、バックに回って、リズム・セクションに徹する時も、ローズの使い方、音色がバグツンに良い。こんなに流麗に多彩は表現を聴かせてくれるローズは久し振り。そして、そんな躍動感溢れる演奏の底、ベースを支え、コントロールするのが、デズロン・ダグラスの堅実ベース。

内容充実の躍動感溢れる演奏には、どこかスピリチュアルな音も見え隠れして、躍動感に精神性も加味して、一味違う、今の時代の「コンテンポラリーな純ジャズ」を表現している。この盤に詰まっている音が「ジョナサン・ブレイクが考えるコンテンポラリーな純ジャズ」なんだろうなあ、と感心することしきり。トータル四十数分の演奏があっと言う間。最近の新盤の中でも「特に好盤」と言えるでしょう。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2022.03.13 更新。

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2022.03.13 更新。

  ・遠い昔、懐かしの『地底探検』

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2022.03.13 更新。

  ・四人囃子の『Golden Picnics』

 
Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から11年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2022年3月19日 (土曜日)

ベイシーのジャム・セッション盤

何故だか判らないのだが、パブロ・レーベルのカタログを見渡していると、モントルー・ジャズ・フェスティヴァルのライヴ音源が結構あって、それも、1975年と1977年に集中している。何かモントルー・ジャズ・フェスとパブロ・レーベルの間に、ライヴ・レコーディングの専属契約でもあったのだろうか。どのライヴ盤も充実した内容で、録音状態もとても良いばかりである。

このライヴ盤を聴かない手は無い。それぞれのライヴ盤の内容を見ても、パーソネルはそれぞれ、ベテラン〜中堅の一流ジャズマンで固められ、モントルー・ジャズ・フェスという伝統的な、由緒正しきジャズ・フェスでのライブ演奏なので、内容的にも、伝統的なスイング〜ハードバップな演奏がメインで、それぞれが充実したものばかり。

『Count Basie Jam Session At the Montreux Jazz Festival 1975』(写真)。1975年7月19日、スイスはモントルーのジャズ・フェスティヴァルでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Count Basie (p), Roy Eldridge (tp), Johnny Griffin (ts), Milt Jackson (vib), Niels-Henning Ørsted Pedersen (b), Louis Bellson (ds)。伝説のジャズバンドの総帥、カウント・ベイシーがピアノを担当、エルトリッジのトランペットとグリフィンのテナー、ミルトのヴァイブがフロントを張るセクステット編成(6重奏団)。
 

Count-basie-jam-session-at-the-montreux-

 
1975年時点での、このパーソネルを見れば、このライヴ演奏には絶対に触手が伸びる。ベイシーがビッグバンドを離れて「ピアニスト」として参加、スイング時代からの人気トランペットである、エルトリッジがフロントを担当、同じくスイング時代からの人気ドラマー、ルイ・ベルソンがドラムを担当していること、そして、このスイング時代からの人気ベテラン・ジャズメン達が、ハードバップの中核を担うメンバーと合流して、思いっ切りハードバップなジャム・セッションを繰り広げているのだ。

メンバー全員ノリノリのジャムセッションが繰り広げられる。収録曲はパーカー作の「Billie's Bounce」、メンバー全員の即席ナンバー「Festival Blues」、そして、レスター・ヤング作の「Lester Leaps In」の、たった3曲だが、どの曲も10分以上の長い収録時間の演奏で、メンバーそれぞれの長尺のアドリブ演奏心ゆくまで堪能できる。

破綻が全く無く、テクニックにも優れた「ハードバップなジャム・セッション」が繰り広げられていて、爽快ですらある。ミルト・ジャクソンのヴァイブがこれほどまで、ジャム・セッションに適応するとは思わなかったし、ベイシーのピアノがハードバップ演奏のリズム・セクションの一端を担うなんてことも思いもしなかった。しかし、メンバー6人とも好調な演奏で、ハードバップなジャム・セッションを心から楽しんでいる雰囲気がビンビンに伝わってくる。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2022.03.13 更新。

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2022.03.13 更新。

  ・遠い昔、懐かしの『地底探検』

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2022.03.13 更新。

  ・四人囃子の『Golden Picnics』

 
Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から11年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2022年3月18日 (金曜日)

ジャズ喫茶で流したい・232

パブロ・レコード(Pablo Records)は1973年にノーマン・グランツによって設立されたジャズ・レコード・レーベル。ビ・バップ期以降のレジェンド〜ベテラン級のジャズマンをメインにセッションをセットアップし、1970年代、フュージョン・ジャズ全盛期にありながら、純ジャズに特化したアルバムを多数リリースしたレーベルである。

このパブロ・レーベルのカタログの特色の1つが「モントルー・ジャズ・フェスティヴァル」のライヴ録音盤が多くあるということ。しかも、フェスティヴァルの催し物の中でも「目玉」のひとつである「ジャム・セッション」のライヴ盤が多数出ている。

レジェンド〜ベテラン級のジャズマン達のジャム・セッションがメインという先入観があって、口の悪いジャズ者の方々は、聴く前から「予定調和で定型的な、旧来のハードバップっぽい、お決まり展開のジャム・セッションなんでしょ」と散々なのだが、これが聴いてみると意外と「イケる」のだ。フェスティヴァルのジャム・セッションの記録なので「臨場感」も半端ないところも「イケる」のだ。

The Dizzy Gillespie Big 7『At the Montreux Jazz Festival 1975』(写真)。1975年7月16日、モントルー・ジャズ・フェスティヴァルでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Dizzy Gillespie (tp), Eddie "Lockjaw" Davis, Johnny Griffin (ts), Milt Jackson (vib), Tommy Flanagan (p), Niels-Henning Ørsted Pedersen (b), Mickey Roker (ds)。フロント3管+ヴァイブ+リズム隊の「セプテット(七重奏団)」編成。
 

The-dizzy-gillespie-big-7at-the-montreux

 
パーソネルを見渡すと、このセプテットって「昔の名前で出ています的なロートル・ジャズマン」の集まりでは無い。暫定リーダーのガレスピーですら当時58歳。ロックジョーで53歳。この2人がメンバーの中で最古参と思われるが、この年齢だとすると「ベテラン」の域を出ていない。残りの5人は、当時の純ジャズの中核メンバーばかり。このメンバーで「予定調和な定型的なジャム・セッション」は無いだろう。

フロント3管が好調。ガレスピー、ロックジョーはバップなトランペットを鳴り響かせ、グリフィンのハードバップなテナーは、モダンで骨太でブルージー。ミルトのヴァイブは流麗かつ躍動的。トミフラのピアノが率いる、ペデルセンのベース、ロッカーのリズム隊は、すこぶるハードバップで切れ味の良い、力感溢れ、そこはかとなくファンクネス漂う、上質のリズム&ビートを供給する。

収録曲はジャム・セッションの記録(括弧内は収録時間)なので、LP時代は以下の2曲のみ「Lover, Come Back to Me」(16:43), 「I'll Remember April」(16:02)。 CDリイシュー時、ボートラとして以下の2曲「What's New?」(12:13), 「Cherokee」(11:01) が追加されて、全4曲構成となっている。

この追加されたボートラの内容もかなり充実していて、LP時代の2曲だけではちょっと聴き足りない気分になるだが、追加の2曲が加わって、このジャム・セッションが如何に充実していたか、をしっかり体感出来る様になっている。このボートラの追加は「正解」である。このジャム・セッションの記録の価値がさらに上がった、と言える。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2022.03.13 更新。

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2022.03.13 更新。

  ・遠い昔、懐かしの『地底探検』

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2022.03.13 更新。

  ・四人囃子の『Golden Picnics』

 
Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から11年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2022年3月17日 (木曜日)

デイヴィッド・ベノワの新作です

ここバーチャル音楽喫茶『松和』は、ジャズのアルバム鑑賞がメインなんだが、ジャズの演奏ジャンルについては、全方向OKが個性。1970年代半ばから1980年代前半に大流行したフュージョン・ジャズもしっかりと守備範囲に入っている。意外と年配の硬派なジャズ評論家からは忌み嫌われるフュージョン・ジャズだが、ちゃんと聴いてみると、テクニック、アレンジ、演奏内容、どれもが一流のものが多くある。

ジャズのどこに重きを置いて鑑賞するかによって、フュージョン・ジャズの評価は変わるのだろうが、 フュージョン・ジャズは「商業ジャズ」で、ジャズのスピリッツが宿っていないなどという変な論理で、フュージョン・ジャズ盤を十把一絡げに「聴くに及ばず」とするのはちょっと乱暴だろう。事実、1970年代半ばから1980年代前半には、一般大衆から支持され、大いに聴かれたのだから、なにか響くものがあったはずである。

David Benoit『A Midnight Rendezvous』(写真左)。2022年2月のリリース。ちなみにパーソネルは、David Benoit (p), Eric Marienthal, Sal Lozano (as), Gordon Goodwin (ts), Jay Mason (bs), Wayne Bergeron, Dan Fornero, Dan Rosenblum (tp), Francisco Torres (tb), Charlie Morillas (b-tb), Roberto Vally (b), Dan Schnelle (ds)。フュージョン〜スムース・ジャズを代表するピアニスト、デヴィッド・ベノワの最新作になる。
 

A-midnight-rendezvous_david-benoit

 
冒頭の「A Midnight Rendezvous」から、ベノワ節が全開。リリカルで耽美的。タッチは確かで流麗。ファンクネスは意外と希薄で、どこか米国の自然の風景を、原風景をイメージするような、ネイチャーな響きとフレーズが特徴。決して、アーバンでアダルトでは無い。この「ベノワ節」が僕は大好きなんです。そして、この盤には、ラストの「Cabin Fever」まで、ベノワ節満載。金太郎飴的、と言ってしまえばそれまでですが、ここまで熟達した個性であれば、これはこれでアーティスティックだと思います。

基本は、フュージョン〜スムース・ジャズ基調のビッグバンド仕立て。オフビートではあるが、ファンクネスは薄い。耽美的で流麗なフレーズが基本だが、グルーヴ感は強い。ビートがしっかり効いている分、どの曲にもメリハリが効いていて、聴いていて飽きることは無い。それより、ベノワの紡ぎ出す印象的なフレーズが、しっかりと耳に残って、聴いていてとても心地良い。

フュージョン〜スムース・ジャズの好盤です。テクニック、アレンジ、演奏内容、いずれも充実しているので、しっかりと聴き込むのも良し、何かをしながらの「ながら聴き」するのも良し、フュージョン〜スムース・ジャズ畑のベテラン・ミュージシャンが紡ぎ出す珠玉の10曲。純粋に音楽として聴くと、意外と「フュージョン〜スムース・ジャズもええなあ」と思ってしまうかもしれません。
 
 
 
《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2022.03.13 更新。

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2022.03.13 更新。

  ・遠い昔、懐かしの『地底探検』

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2022.03.13 更新。

  ・四人囃子の『Golden Picnics』

 
Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から11年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2022年3月16日 (水曜日)

Brown and Roach 5 の最終盤

最近、クリフォード・ブラウン(Clifford Brown・愛称 : ブラウニー)関連のアルバムを聴き直している。当ブログでも、ブラウニー関連のアルバムのレビューについては、主要なリーダー作については、ほぼアップした、と思っていたら、幾つか「抜け」があったので、今回はそれを補填していきたい。

『Clifford Brown and Max Roach at Basin Street』(写真左)。1956年1月4日、2月16ー17日の録音。ちなみにパーソネルは、Clifford Brown (tp), Sonny Rollins (ts), Richie Powell (p, celesta), George Morrow (b), Max Roach (ds)。テナー・サックスが、旗揚げ盤の『Clifford Brown & Max Roach』から『Study in Brown』まで、ハロルド・ランドだったのだが、当盤ではソニー・ロリンズに交代している。

1956年6月26日に、ブラウニーは交通事故にて急死しているので、この盤は「Brown and Roach クインテット」での最終作となってしまっている。1956年3月22日には、同一メンバーで、ソニー・ロリンズ名義の『Sonny Rollins Plus 4』を録音しており、「Brown and Roach クインテット」へのロリンズの加入は正式に決まっていたのだろう。
 

At-basin-street

 
さすがに、ソニー・ロリンズの加入の効果は大きい。もともと、Brown and Roach クインテットは「バップで流麗な長尺演奏と熱気溢れるインタープレイ」がグループ・サウンドの個性なのだが、この個性がロリンズの加入で、より一層、確固たるものに、かつ、スリリングなものになっている。

ロリンズとしても、アレンジや奏法に工夫を凝らしたハードバップよりも、個々のジャズマンのパフォーマンスがメインのインタープレイが基本のバンド・サウンドの方が、自分の個性を発揮し易い。ブラウニーにしても、ロリンズにしても、ローチにしても、個々のジャズマンのパフォーマンスを尊重したインタープレイは願ったり叶ったりだったろうから、この『at Basin Street』の内容はとても充実している。

これほど、ブラウニーとロリンズがフロント・パートナーとしての相性が良いとは思わなかったので、ブラウニーの急死によって、この編成でのバンド活動が終了してしまったのは実に惜しいことであった。もともと、ブルーノート盤『バードランドの夜』で始まった「バップで流麗な長尺演奏と熱気溢れるインタープレイ」を、より具体化し、より洗練していった成果がこの盤に溢れている。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2022.03.13 更新。

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2022.03.13 更新。

  ・遠い昔、懐かしの『地底探検』

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2022.03.13 更新。

  ・四人囃子の『Golden Picnics』

 
Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から11年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2022年3月15日 (火曜日)

聴いて楽しい「踊れる」ジャズ

ブルーノート60周年を記念して1998年から始まった、ルディ・ヴァン・ゲルダーの手による24ビット・リマスター・シリーズ「RVG Edition」は、今まで、聴いたことが無かった、見たことが無かったアルバムも復刻されていて、CDコレクターとしては、貴重な復刻シリーズだった。この復刻を切っ掛けに、ブルーノートの1500番台、4000〜4200番台のアルバム・コレクションをコンプリートしたのも、今となっては懐かしい思い出だ。

Don Wilkerson『Preach Brother!』(写真左)。1962年6月18日の録音。ブルーノートの4107番。ちなみにパーソネルは、Don Wilkerson (ts, tambourine), Sonny Clark (p), Grant Green (g), Butch Warren (b), Billy Higgins (ds), Jual Curtis (tambourine, tracks 3-4)。アルバムのキャッチ・フレーズは、“テキサス・テナー”の雄、ドン・ウィルカーソンによる「踊れる」ジャズ・アルバム。

ドン・ウィルカーソン。僕はこのサックス奏者の名前を全く知らなかった。1998年から始まった一連の復刻の中で、初めて、ドン・ウィルカーソンの名前を知った。こういう時にはライナーノーツが役に立つ。ウィルカーソンは、1950年代後半、レイ・チャールズ (p,vo)との共演で注目された、ソウル・ミュージック畑のサックス奏者。
 

Preach_brother_1

 
このウィルカーソンのサックスがとてもソウルフル。加えて、ソウル・ビートが利いていて、グルーヴ感が半端ない。収録されたどの演奏も実にダンサフル。聴いていると、自然と足でリズムを取り始め、上半身が左右に動き始める。それもそのはず、全編を通して、リーダーのウィルカーソンをはじめ、メンバー全員が心から「ソウルフル」なプレイを楽しんでいるのが、ビンビンに伝わってくるのだ。

バックのリズム隊がこれまた「ソウルフル」。見れば、ハードバップの精鋭達なんだが、思いっ切りソウルフルでグルーヴ感溢れる演奏で、ウィルカーソンのソウルフルなテナーをサポートし鼓舞する。ソニー・クラークが、グラント・グリーンが、ファンキーでソウルフルでダンサフルなフレーズを叩き出せば、ワーレンとヒギンスが、ソウルフルなリズム&ビートを叩き出す。

とにかく聴いて楽しい「踊れる」ジャズ。「聴いていて体が動いてこないとしたら、それは良質なジャズではない」と言ったのはアート・ブレイキー。そういう切り口では、この盤の演奏は「ジャズ」だろう。聴いて楽しいからといって、敬遠すべき「俗っぽい」ジャズでは無い。内容的にはテクニック、アレンジ、共にしっかりした、硬派で楽しいジャズ盤である。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2022.03.13 更新。

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2022.03.13 更新。

  ・遠い昔、懐かしの『地底探検』

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2022.03.13 更新。

  ・四人囃子の『Golden Picnics』

 
Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から11年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 
 

2022年3月14日 (月曜日)

マクリーン独特のモード&フリー

ジャキー・マクリーン(Jackie Mclean)は進化するジャズマンだった。1950年代前半にNYに出てきて、いきなり、マイルスらにいじられ、鍛えられ、ハードバップ時代を代表するアルト・サックス奏者の1人になった訳だが、マクリーンはハードバップに安住すること無く、コマーシャルに走ること無く、当時のジャズの先進的な演奏スタイルに敢然と挑戦していった。

Jackie Mclean『Let Freedom Ring』(写真左)。ブルーノートの4106番。1962年3月19日の録音。ちなみにパーソネルは、Jackie McLean (as), Walter Davis, Jr. (p), Herbie Lewis (b), Billy Higgins (ds)。マクリーンのアルト・サックスがフロント1管の「ワン・ホーン・カルテット」。マクリーンのアルト・サックスのパフォーマンスが堪能出来る演奏編成。

前作『A Fickle Sonance』で、部分的に「少しフリーキーで自由度の高いモーダルな吹奏」にチャレンジしていたのだが、今回の『Let Freedom Ring』では、全面的に、時々フリーに、時々アブストラクトに傾きつつ、限りなく自由度の高いモーダルな演奏にチャレンジいている。マクリーンの吹奏には迷いが無く、確信に満ちた「フリー若しくはモーダル」な演奏は爽快である。
 

Let-freedom-ring

 
冒頭の「Melody for Melonae」を聴けば、それが良く判る。いきなり、アブストラクトにモーダルに力強くアルト・サックスを吹きまくるマクリーン。良く聴けば、コルトレーンのモード、オーネット・コールマンのフリーを上手く吸収して、マクリーンならではの「モード&フリー」な演奏を繰り広げている。

マクリーンの「モード&フリー」は、あくまで、軸足をハードバップに残しつつ、限りなく自由度の高い演奏を求めて「モード&フリー」な展開にチャレンジしている。この「軸足をハードバップに残しつつ」の部分が、マクリーン独特の感覚で、この『Let Freedom Ring』の4曲には、そのマクリーン独特の「モード&フリー」な演奏が詰まっていて、しかもそれが成功している。

バックのリズム隊、特に、ウォルター・ビショップJrのピアノの、マクリーン独特の「モード&フリー」な演奏に対する適応力にはちょっとビックリ。もともと能力に高いピアニストである。バックに回った時のサポートには、その能力の高さを再認識する。このリズム隊の健闘も含め、バンド全体が、マクリーン独特の「モード&フリー」な演奏に邁進している様は聴き応え十分である。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2022.03.13 更新。

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2022.03.13 更新。

  ・遠い昔、懐かしの『地底探検』

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2022.03.13 更新。

  ・四人囃子の『Golden Picnics』

 
Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から11年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 
 

2022年3月13日 (日曜日)

アイク・ケベックの『春の如く』

先週の後半から、やっと気温が3月らしくなった。ここ千葉県北西部地方は、毎年、3月に入ってもなかなか寒気が去ることは無く、奈良の東大寺二月堂のお水取りが始まっても、まだ寒い日が続くのが通例。しかし、一昨日辺りからやっと気温が上がってきて、まだ少し肌寒さは残るが、仄かに春めいてきた。

Ike Quebec『It Might As Well Be Spring』(写真左)。邦題『春の如く』。ブルーノートの4105番。1961年12月9日の録音。ちなみにパーソネルは、Ike Quebec (ts), Freddie Roach (org), Milt Hinton (b), Al Harewood (ds)。中間派の渋い渋いテナー・マン、アイク・ケベックがワン・ホーンのカルテット編成。キーボードはピアノでは無く、オルガンが入っている。

実に雰囲気のある演奏の数々。特に冒頭の「It Might As Well Be Spring(春の如く)」なんか、今の季節にピッタリの、ほんわか優しく、それでいて、ジャジーで「骨太な」渋いケベックのテナーがいきなり耳を引く。そして、何と言っても、フレディー・ローチのオルガンが良い。ケベックの優しく渋いテナーを包むように、引き立てる様に寄り添っている。
 

It-might-as-well-be-spring

 
ケベックのテナーにローチのオルガンを充てたのが、この盤の大成功なところ。ブルーノートの総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオンからして「してやったり」の気分だっただろう。テクニックやアイデアで度肝を抜くような派手さは無いが、ソウルフルで歌心溢れる、スインギーなケベックのテナーがこの盤全体に充満している。

この盤は、ケベックのテナーを愛でるべき盤だろう。1曲目の「It Might As Well Be Spring」もさることながら、4曲目の「Lover Man」でも、ケベックのほんわか優しく、それでいて、ジャジーで「骨太な」渋いテナーが堪能できる。5曲目の「Ol' Man River」の圧倒的なスイング感も特筆すべきもの。ケベックのゆったりとしたグルーブ感はたまりませんね。

タイトルの「It Might As Well Be Spring(春の如く)」も良いし、ケベックが公園の芝生の上で日なたぼっこをしている、緑色基調のジャケットも凄く良い。タイトル良し、ジャケット良し、演奏良し、この盤は、ケベックの代表作と言っても良い、普遍的なジャズが詰まった名盤だと思います。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2022.03.13 更新。

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2022.03.13 更新。

  ・遠い昔、懐かしの『地底探検』

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2022.03.13 更新。

  ・四人囃子の『Golden Picnics』

 
Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から11年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2022年3月12日 (土曜日)

川崎燎の硬派なエレ・ジャズ盤

1970年代以降に活躍した、我が国出身のジャズ・ギタリストと言えば、渡辺香津美、増尾好秋、それから・・・。渡辺、増尾ときて、後が続かないのだが、僕は「川崎燎(かわさき りょう)」の名前を覚えている。

川崎燎は学生時代から、プロのジャズ・ギタリストとして活躍。1973年、単身にて米国に渡り、ニューヨークを拠点に活動を展開。ギル・エヴァンス・オーケストラ、エルヴィン・ジョーンズ、チコ・ハミルトン、テッド・カーソンといった有名ジャズマンのバンドに起用され、アルバム&ツアーに活躍。僕がジャズを本格的に聴き始めた、1970年代の終わり頃には、結構、人気のクロスオーバー系のギタリストだった記憶がある。

しかし、それ以降、川崎の名前はフェードアウトし、そう言えばどこへいったのか、と思っていたら、ジャズ・バレエの音楽監督を依頼されたことがきっかけで、バルト三国のエストニアに移住、首都タリンをベースに活動しているとのこと。あまりリーダー作を出しているほうでは無いので、川崎のエレギに触れる機会が少ないのが残念な現状である。

川崎燎『Nature's Revenge』(写真)。1978年3月の録音。ちなみにパーソネルは、川崎燎 (g), Dave Liebman (ts, ss), Alex Blake (el-b). Buddy Williams (ds, perc)。川崎のギターとディヴ・リーヴマンのサックスがフロントのピアノレス・カルテット編成。川崎燎の、独MPSレーベルに吹き込まれた優秀盤である。

録音された時期がフュージョン全盛期なので、フュージョン・ジャズかな、とも思ったんだが、録音したレーベルがバリバリ硬派なジャズ・レーベル「MPS」なので、そんなことは無いか、と思って聴いたら、やっぱり、硬派でコンテンポラリーな純ジャズ志向のエレクトリック・ジャズだった。
 

Natures-revenge

 
加えて「MPS」はドイツのレーベル、演奏の雰囲気は「欧州的」。日本人ジャズらしく、ファンクネス薄めでアーティスティックな雰囲気を色濃く持つ秀作である。

川崎のギターは「ペンタトニックを基調とした」個性的なフレーズが魅力。個性的な音は一度聴いたら忘れられない位に独特。激しいアブストラクトに傾くフレーズは「大人しいジミヘン」、ソフト&メロウなフュージョン風の演奏は「ファンクネスを薄めたベンソン若しくはウエス」、8ビートで疾走する演奏は「和風ラリカル」。それでいて、仄かに捻れて音が濁るところが、如何にもジャズらしい。

バックのメンバーも好演に次ぐ好演なんだが、やはり、特に、デイヴ・リーヴマンのサックスが冴え渡っている。とにかく良い音で鳴っている。ストレートに伸びたブロウ、テクニックに優れた速吹き、情感溢れるバラード演奏。この盤でのリーヴマンは絶好調。スラップなブレイクのエレベも端正でソリッドなベース音が心地良く、タイトでロック・テイストなウィリアムスのドラミングも見事である。

さすが欧州はドイツの硬派なジャズ・レーベル「MPS」での録音、当時流行の「ソフト&メロウ」な聴き心地の良いフュージョンな演奏に留まっていないのが素晴らしい。内容的には、コンテンポラリーな純ジャズ志向のエレクトリック・ジャズ。

欧州ジャスの環境がそうさせるのだろう、ファンクネス薄めで、乾いたグルーヴ感が気持ち良い、上質のオフビートが印象的。日本人によるコンテンポラリーな純ジャズ志向のエレ・ジャズの秀作として、一聴をお勧めしたい好盤です。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2021.08.11 更新。

  ・The Brothers Johnson『Light Up the Night』&『Winners』

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2021.08.11 更新。

  ・『ヘンリー8世と6人の妻』を聴く

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2021.08.11 更新。

  ・伝説の和製プログレ『四人囃子』

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から11年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 
 

2022年3月11日 (金曜日)

増尾好秋『Masuo Live』を聴く

最近、増尾好秋のリーダー作をちょくちょく聴いている。増尾好秋といえば、僕はジャズを本格的に聴き始めた頃、1970年代後半では、既に、日本発、世界に通用するフュージョン・ギタリストとして、渡辺香津美と並んで我が国では「人気ギタリスト」的な存在だった。

増尾はコンテンポラリーな純ジャズ志向のジャズ・ギターから入っている。とあるコンテストにて、渡辺貞夫に認められ、1968年1月、渡辺貞夫のバック・ギタリストとして初レコーディングを経験している。ソニー・ロリンズのバック・バンドにパーマネント・メンバーとしても活動。

しかし、1970年代後半には、キングレコード傘下のフュージョン・レーベル、エレクトリック・バードの第一号アーティストとして契約。1980年代前半までは、フュージョンのギタリストとして人気を博した。1990年代辺りから、コンテンポラリーな純ジャズ志向な音世界に戻ったが、1980年代後半以降、しばらくプロデューサー業に集中していた。

この「プロデューサー業」に集中していた時期、特に1990年代から2008年までが良く無かったのか、2010年代は増尾はミュージシャン活動に100%戻っているが、世間では「増尾って誰?」という感じで、ベテラン・ジャズ者の方々の中には「ああ、増尾って、明るくハッピーなエレギを弾くフュージョン野郎ね」などと、偏った意見を述べたりする方もいるから困ったものだ。
 

Masuo-live_1

 
増尾好秋『Masuo Live』(写真)。1980年2月9日、東京厚生年金会館でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Yoshiaki Masuo, Motoaki Masuo (el-g), Victor Bruce Godsey (el-p, org), T.M. Stevens (el-b), Robbie Gonzales (ds), Shirley (perc, syn)。

フュージョン時代の増尾好秋のライヴ盤であるが、この内容を聴けば、先の「明るくハッピーなエレギを弾くフュージョン野郎ね」は、ちょっと的外れな評価と言わざるを得ない。凄くパワフルで疾走感溢れる、ガッツリ硬派でノリノリ、とびきりハイテクニックなエレギにビックリする。

これが増尾のエレギの本質かぁ、と心から感心する。ライヴでこそ、そのジャズマンの真価が分かる、というが、このライヴ盤の増尾がその好例である。「ソフト&メロウ」なフュージョン野郎はこのライヴにはいない。ガッツリ硬派でとことんパワフルなエレギであるが、弾きまくるフレーズに「歌心」がしっかり宿っているのが素晴らしい。

バックのメンバーも凄い。まず、T.M.スティーブンスのチョッパー・ベース(スラップ奏法)が冒頭から飛ばしまくる。ロビー・ゴンザレスのドラムも凄い。疾走感溢れる叩きまくり。それでいて五月蠅くない。ビクター・ブルース・ガッジーのキーボードも良い。全く「ソフト&メロウ」では無い、疾走感溢れ、歌心満載、増尾のエレギに挑みかかるような、意欲的なキーボード。

このライヴ盤、フュージョン・ジャズという切り口でのみ解釈するのには無理がある。途中、無調で静的なフリー・インプロビゼーションがあったり、アブストラクトにブレイクダウンしたりで、従来のメインストリーム系のエレ・ジャズが持つ要素も兼ね備えていて、このライヴ盤は、どちらかと言えば「コンテンポラリーな純ジャズ」志向のフュージョンと解釈した方が良い、と僕は思う。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2021.08.11 更新。

  ・The Brothers Johnson『Light Up the Night』&『Winners』

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2021.08.11 更新。

  ・『ヘンリー8世と6人の妻』を聴く

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2021.08.11 更新。

  ・伝説の和製プログレ『四人囃子』

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から10年11ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 
 

2022年3月10日 (木曜日)

増尾のネオ・ハードバップ志向盤

和ジャズの「隠れ優れもの盤」を探しては聴いている。和ジャズは、権利関係の問題なのか、なかなか音楽のサブスク・サイトに、一部を除いて、アルバム・データがアップされずにいて、なかなか気軽に聴くことが出来ない環境が長く続いていた様に思う。

最近、やっと、和ジャズについても、過去の音源含めて、少しずつ、サブスクにアップされつつあって、この機会に「隠れ優れもの盤」を見つけては楽しんでいる。

Yoshiaki Masuo(増尾好秋)『Are You Happy Now』(写真左)。1996年2月and 5月のNY「The Studio」での録音。ちなみにパーソネルは、Yoshiaki Masuo (g), Larry Goldings (org), Lenny White (ds)。増尾のギターがメイン、オルガン+ドラムのトリオ編成。

増尾については、1970年代のフュージョン・ジャズ全盛期の時代から、彼のギターは折につけ、リーダー作は聴いてきた。特に、フュージョン時代の増尾のアルバムについては、ちょうど僕がジャズを本格的に聴き始めた頃にも重なって、大学近くの喫茶店でよく聴かせてもらった記憶がある。

明るい明確なトーンで、ハッピーなフレーズを弾く増尾は爽やかで、その卓越したテクニックを基に、意外と硬派なフレーズを弾くところが、お気に入りだった。そんな増尾が1996年にオルガン+ドラムを引き連れて、トリオで録音した盤がこの『Are You Happy Now』である。
 

Are-you-happy-now_1

 
パーソネルを見ると、オルガンに、現在では押しも押されぬ、人気ジャズ・オルガニストの1人である、ラリー・ゴールディングスと、ドラムに、大ベテランのフュージョン系ドラマーのレニー・ホワイトの名前が目を引く。このパーソネルを見ると、その内容の充実が感じられて、聴く前から楽しみになる。

内容的には、コンテンポラリーな純ジャズ。フュージョン・ジャズでは無い。増尾のエレギが「ネオ・ハードバップ」志向のフレーズを連発していて聴き応えがある。そして、オルガンの若きゴールディングスが、増尾の明るい、ハッピーなエレギに呼応して、明朗でポジティヴなオルガン・パフォーマンスを披露している。

そんな明るくハッピーな「ネオ・ハードバップ」風のフロント(ギター+オルガン)のパフォーマンスを、レニー・ホワイトのドラミングが、安定したリズム&ビートを供給し、演奏全体のグルーヴをコントロールしている。意外と、このホワイトのドラミングが演奏全体に好影響を与えていて、アルバム全体の雰囲気を良い感じに「締めている」。

また、ベースレスのトリオ演奏なので、どうすんのかな、と思って聴き耳を立てていたら、ギターがソロを執る時はオルガンとドラムがベースラインをバッキング、オルガンがソロを撮る時はギターとドラムがベースラインをバッキングするというやり方で、ベースレスを全く感じさせない、かつ、アルバム全体のリズム&ビートがを軽快な雰囲気している。

軽快でハッピーなギター+オルガンのトリオ演奏である。テクニックも高度で、アルバム全体の内容も聴きどころが満載。増尾の「ネオ・ハードバップ」志向な「優れもの盤」だと思います。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2021.08.11 更新。

  ・The Brothers Johnson『Light Up the Night』&『Winners』

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2021.08.11 更新。

  ・『ヘンリー8世と6人の妻』を聴く

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2021.08.11 更新。

  ・伝説の和製プログレ『四人囃子』

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から10年11ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 
 

2022年3月 9日 (水曜日)

森園の「国際性」溢れる2nd.盤

3月に入って、やっと春らしくなってきた。昨日の様に急に冷え込む日もあるが、これも東日本以北のこと。東大寺二月堂の「お水取り」が終われば、大阪以西は「春」。関東以北は、春分の日を過ぎても雪の積もる日があるので、本格的な「春」については、4月上旬にならないとその実感が湧かない。

春になると、ジャズ盤の選盤志向も変わってくる。陽射しが強くなり、朝が早くなり、世の中がパッと明るくなった様な気分になる。気持ちがポジティヴになる。すると、ジャズ盤の選盤も、フュージョン・ジャズの好盤に手が伸びるようになる。ソフト&メロウな8ビートのフュージョン・ジャズは、春の陽気に良く似合う。

森園勝敏『Cool Alley』(写真左)。1979年の作品。我が国のフュージョン・レーベルだった、エレクトリック・バード・レーベル(キング傘下)からのリリース。

ちなみにパーソネルは、森園勝敏 (el-g, vo), 中村哲 (key), Larry Knechtel (ac-p), Harvey Newmark (b), Jim Keltner (ds), マック清水 (per), 中村裕美子 (vo), Chuck Findley, Ollie MitchellI (tp), George R. Bohanon (tb), Jackie Kelso (as)。当時、流行の「LA録音」になる。パーソネルを見渡すと、現地の優秀なスタジオ・ミュージシャンがガッチリとサポートしている。

我が国が世界に誇るプログレバンド「四人囃子」のギタリスト、森園勝敏のセカンド盤。1954年2月生まれの森園は当時25歳。しかし、この盤では、LAの現地ミュージシャンをバックに、堂々としたギター・プレイを聴かせてくれるから頼もしい。
 

Cool-alley

 
エンジニアのジェフ・サイクスは、森園のギター・プレイに「インターナショナルな」響きを感じた、という。つまり、森園のギターは、ワールド・ワイドに通用する、ということ。

この盤での森園のプレイを聴けばそれが良く判る。森園のギターでしか出せない音がてんこ盛り。唯一無二、オリジナリティー溢れる音色&フレーズ。バックがLAの現地ミュージシャンでほぼ固めている、

ということもあって、この盤は日本で制作された、いわゆる「メイド・イン・ジャパン」なフュージョン・ジャズでは無く、ワールド・ワイドに通用する、インターナショナルなフュージョン・ジャズが展開されている。

冒頭「Thunder God(雷神)」では、日本人には似つかわしくない、ラテンのリズムにシンセが唸るジャズ・ロックがバッチリ決まっている。ワールド・ワイドなテクニックを披露する3曲目「Stickshift」、, 女性ヴォーカルと自身のヴォーカルをフィーチャーした(これがまずまず決まっていてホッとする・笑)AORフュージョンの4曲目「Promise Me The Moon」など、当時の日本製フュージョン・ジャズにない演奏の数々に思わず耳を奪われる。

LA録音が良い方向に作用した好例。とりわけ、米国の有名エンジニアの協力の下、録音から最終的なマスター作りまで全てをLAで完了させたことが「大正解」だったと僕は思う。この盤には、ワールド・ワイドで、当時の「クール」なフュージョン・ジャズがぎっしり詰まっている。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2021.08.11 更新。

  ・The Brothers Johnson『Light Up the Night』&『Winners』

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2021.08.11 更新。

  ・『ヘンリー8世と6人の妻』を聴く

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2021.08.11 更新。

  ・伝説の和製プログレ『四人囃子』

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から10年11ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 
 

2022年3月 8日 (火曜日)

ジャズ喫茶で流したい・231

今からかれこれ、もう15年も前になるのか。2007年当時、ITunesストアでジャズ盤が販売され、ネット経由で手軽にジャズ盤の音源データがダウンロード出来る様になっていた。それも、CDショップで見ることの無いアルバムがアップされていて、その盤の素姓を調べるのが大変だった。

ジャケットは違うがオリジナルの音源と内容は同じものとか、市場に恒常的に出回っているブート盤とか、見たことの無いジャケットだからといって、今まで聴いたことの無い盤と判断するのには問題が多かった。この盤もジャケットを見ただけでは、どこかブート盤っぽい感じが怪しくて、素姓が明確になるまで、手に取ることが出来なかった盤である。

『What Happens?... - Art Farmer - Phil Woods Together』(写真左)。1968年10月12日、ローマでの録音。リリースは1977年。ちなみにパーソネルは、Art Farmer (tp), Phil Woods (as), Martial Solal (p), Henry Textier (b), Daniel Humair (ds)。アート・ファーマーのトラペット、フィル・ウッズのアルト・サックスがフロント2管のクインテット編成。

アルバムの素姓は判ったので、入手と相成ったが、その主な動機は「安い」。確か500円程度でダウンロード出来たのではないか。輸入盤CDと比べても半額程度の安さだったので、内容が悪くても仕方が無い、と割り切って購入した思い出がある(笑)。しかし、聴いてみたら「あらら」。なかなかにエッジの立った、疾走感溢れる、エネルギッシュなハード・バップで、聴き応え満載。

そもそも、ウッズとファーマーがフロントで共演するのも珍しいし、ベースとドラムは、フィル・ウッズ主宰の「ヨーロピアン・リズムマシーン」在籍。加えて、ピアノがマーシャル・ソラール。ピアノが、ジョルジュ・グルンツだったら「ヨーロピアン・リズムマシーン」with アート・ファーマーだったな(笑)。しかし、このピアノのソラールがむっちゃ良かったりするのだ。
 

What-happens

 
録音はイタリアのローマだったらしいので、この盤は欧州ジャズの範疇で語られるべき好盤であろう。リリース当時、1977年はフュージョン・ジャズの大ブーム真っ只中。この盤の様な上質のハードバップは欧州のマーケットに限られていたように思う。逆にさすがイタリアである。良く、この面子でハードバップな演奏をやらせたなあ、と感心することしきり、である。

冒頭のタイトル曲、ミシェル・ルグラン作曲の「What Happens?」を聴けば、この盤の良さが判る。ウッズのアルトが良く鳴っている。そして、ファーマーのフリューゲルホーンが気合い十分で熱いブロウ。バックのソラールのピアノが率いるリズム・セクションが、素晴らしいバッキングで応酬する。3曲目のドーハム作曲の「Blue Bossa」でも、ウッズのアルトは充実、ファーマーのトランペットは何時になく熱い。

2曲目のストレイホーン作の「Chelsea Bridge」は、ウッズのアルトのワンホーン。5曲目の「The Day After」は、ファーマーのトランペットのワンホーン。どちらも、ワンホーンでも素晴らしいパフォーマンスを披露する。特に、ファーマーのバラード演奏、かなり熱が入っていて聴き応えがある。

この盤の聴きどころは、ウッズのアルトの充実、ファーマーの熱い、気合いの入ったトランペット。そして、ウッズの「充実」とファーマーの「熱さ」を引き出したのが、マーシャル・ソラールのピアノが率いるリズム・セクション。特に、ダニエル・ユメールのドラミングが、ウッズとファーマーを熱く効果的に鼓舞している。

「幻の名盤」とは言い過ぎですが、なかなかにエッジの立った、疾走感溢れる、エネルギッシュなハード・バップが楽しめる「ウラ名盤」だと思います。久し振りに聴きましたが、しばらく「息の長いヘビロテ盤」になりそうです。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2021.08.11 更新。

  ・The Brothers Johnson『Light Up the Night』&『Winners』

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2021.08.11 更新。

  ・『ヘンリー8世と6人の妻』を聴く

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2021.08.11 更新。

  ・伝説の和製プログレ『四人囃子』

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から10年11ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2022年3月 7日 (月曜日)

ウェスCTI三部作の最優秀盤

1967年、A&Mレコード内のジャズ・レーベルとして、敏腕プロデューサー「クリード・テイラー」が創設。レーベル名称「CTI」は「Creed Taylor Issue」の頭文字。1970年にCTIレコードとして独立するまでは「A&M CTI 3000番台」が主なカタログ。フュージョン・ジャズの前触れ、イージーリスニング・ジャズの宝庫である。

Wes Montgomery『Down Here on the Ground』(写真)。1967年12月、1968年1月の録音。A&M CTI三部作(『A Day in the Life』『Road Song』と本作)の中の真ん中2番目のウェスのリーダー作になる。実は3部作の中で一番人気が無いのだが、内容的には一番充実している。

ちなみにパーソネルは、Wes Montgomery (g), Herbie Hancock (p), Ron Carter (b), Grady Tate (ds), Ray Barretto (perc), Hubert Laws, George Marge, Romeo Penque (fl, oboe), Bobby Rosengarden (perc), Mike Mainieri (vib), Gene Orloff, Raoul Poliakin (vln), George Ricci (cello), Emanuel Vardi (viola)。

大衆音楽の主流がロック&ポップスに移りつつある時代を感じる。当時の人気ジャズマン、ハンコック、カーター、テイトがリズム隊を務める。イージーリスニング・ジャズのムーディーな雰囲気を醸し出す、フルート&オーボエ、そしてストリングスが名を連ねる。もちろん、リーダーは、オクダーヴ奏法のギター・レジェンド、ウェス・モンゴメリーである。
 

Doun-here-on-the-ground_1

 
ウェスのA&M CTI三部作の中で、一番、イージーリスニング・ジャズの「俗っぽい」雰囲気が薄く、後の「ソフト&メロウ」なフュージョン・ジャズの先取り的な、流麗で聴き心地の良い、それでいて、しっかりと地に足が着いた、ハイテクニックなインプロビゼーションが素晴らしい。特に、リーダーのウェスのギターが光っている。

この盤の選曲が良い。当時のポップス曲っぽいのは、バカラックの「I Say a Little Prayer」くらいで、後の曲はミュージシャンズ・チューン若しくはウェスの自作。スタンダード曲としては「Georgia on My Mind」が選曲されているが、アレンジが秀逸で、俗っぽさとは全く無縁の名演。

実は「A&M CTI 3000番台」では、当時のポップス曲のカヴァーのアレンジが、あんまり上手く無くて、「俗っぽい軽音楽的な」雰囲気を増長していたのだが、この盤には当時のポップス曲のカヴァーが無い。これが「俗っぽい軽音楽的な」雰囲気を相当に薄めていて、意外とこの盤を上質なイージーリスニング・ジャズの好盤に仕立て上げている。

ウェスの必殺「オクダーヴ奏法」が、これほどまでにイージーリスニング・ジャズに向いているとは思わなかった。ウェスのギターは「音が太く切れ味が良い」。曲の持つフレーズが躍動感も持って浮き出てくる。そして「ファンクネスが色濃く香るピッキング」。弾き出すフレーズがファンキーな色に染まる。このウェスの個性を見抜いたクリード・テイラーの慧眼には感服するばかりである。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2021.08.11 更新。

  ・The Brothers Johnson『Light Up the Night』&『Winners』

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2021.08.11 更新。

  ・『ヘンリー8世と6人の妻』を聴く

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2021.08.11 更新。

  ・伝説の和製プログレ『四人囃子』

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から10年11ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2022年3月 6日 (日曜日)

インプロヴァイザーとしての頂点

コロナワクチン第3回目接種の副反応のお陰で、スタン・ゲッツ(Stan Getz)のリーダー作を聴き直せた。発熱したのだが、病気での発熱では無いので、意識はハッキリしてるし、体力もある。つまり、床に入っても相当に暇なのだ。こういう時にiPhoneが役に立つ。Musicで選盤して、Bluetoothで音を飛ばして、ミニ・スピーカーで聴く、という仕組みで、2日間でかなりの枚数のアルバムを聴くことが出来た。

Stan Getz『Focus』(写真左)。邦題『焦点』。1961年7月14日、ストリングスとゲッツ。1961年7月28日、ストリングスのみ。1961年9〜10月、ゲッツのパートのみオーバーダビング。ちなみにパーソネルは、Stan Getz (ts), Steve Kuhn (p), John Neves (b), Roy Haynes (ds) のゲッツのワンホーン・カルテットに、Alan Martin, Norman Carr, Gerald Tarack (vln), Jacob Glick (viola), Bruce Rogers (cello) のストリングスが共演。

不思議な雰囲気の「ウィズ・ストリングス」盤である。まず、「ウィズ・ストリングス」盤独特のムーディーな雰囲気が皆無。イージーリスニング・ジャズ志向な音作りは全く無く、ラウンジ・ジャズ風のアレンジは全く無い。

スタン・ゲッツ自身がこのレコードに対し、死の前年にインタビューで語っている言葉を読むと、その「不思議な雰囲気」の理由が良く判る。「音楽がまったく書かれていない、ただ、僕(ゲッツ自身)のキーに楽譜が移調されているだけのストリングスに合わせて演奏するというのはね。このレコーディングには大変な努力を要した」と。
 

Focus_stan-getz

 
つまり、コード進行に基づいて演奏したのでなく、ストリングスによるモチーフに自由に絡むように、サックスを演奏したものである、ということ。ゲッツの評伝ではこれを「オーネット・コールマンの手法」だと表現している。

つまりは、ストリングスをモチーフにした「ゲッツの考えるフリー・ジャズ」ということになる。実母の逝去でスタジオ入りできなかったため、全7曲中4曲については、実はゲッツだけオーバーダビングだが、それでも「ストリングスによるモチーフに自由に絡むように、サックスを演奏したもの」であることには変わりが無い。

この盤でのゲッツはいつにも増して、豊かなイマージネーションによる優れたアドリブ・フレーズを吹きまくっている。運指テクニックも抜群、淀み迷いは一切感じられない、ストレート・アヘッドなアドリブ・フレーズの数々。表現も豊かの限りを尽くして、変幻自在、硬軟自在、弛緩自在、当時最高のインプロヴァイザーの1人であると言うことを再認識する。

ゲッツのインプロビゼーション「だけ」が印象に残る、ゲッツの「ほとんどフリーな自由度の高いインプロビゼーション」が素晴らしい盤であり、ゲッツのインプロヴァイザーとしての頂点を記録した「ウィズ・ストリングス」盤である。

ただ、ゲッツはこのイメージで暫く吹くのかと思いきや、この盤を録音した翌年には、チャーリー・バードとの『Jazz Samba』を録音、以降、ボサノバ・ジャズの第一人者のイメージで、1960年代以降を駆け抜ける訳で、この「ほとんどフリーな自由度の高いインプロビゼーション」が二度と聴け無かったのは、惜しいと言えば惜しいことであった。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2021.08.11 更新。

  ・The Brothers Johnson『Light Up the Night』&『Winners』

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2021.08.11 更新。

  ・『ヘンリー8世と6人の妻』を聴く

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2021.08.11 更新。

  ・伝説の和製プログレ『四人囃子』

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から10年11ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2022年3月 5日 (土曜日)

ゲッツの「クール」なサックス

3月に入って、やっと気温が上がってきた。今日などは、3月の早春らしい陽気でなんだかウキウキする。遠くの景色が少し霞む様になってきて、いよいよ季節は春である。この春のホンワカした雰囲気に合うサックスは、と考えていたら、スタン・ゲッツの名が浮かんだ。

3月2日にコロナワクチンの第3回目接種が終わって、今回もしっかり副反応が出て、一昨日は終日寝込んでいた。副反応による発熱なので、意識はしっかりしている。とにかく暇なので、寝床でジャズを聴いていた訳だが、ちょうど上手い具合に、スタン・ゲッツのリーダー作をまとめて聴くことが出来た。

『Stan Getz Plays』(写真)。1952年12月12 & 29日、NYでの録音。ちなみにパーソネルは、Stan Getz (ts), Jimmy Raney (g), Duke Jordan (p), Bill Crow (b), Frank Isola (ds)。ゲッツのテナー・サックスとジミー・レイニーのギターがフロントのクインテット編成。1952年の録音なので、リズム・セクションはビ・バップの中堅どころを採用している。
 

Stan-getz-plays_1

 
ゲッツのほのぼのとした、少し掠れるような、力感のあるクールなテナー・サックスを愛でるに最適なアルバムである。収録曲全てがスタンダード曲で占められ、演奏のテンポはミッド〜スロー。ゲッツのテナーの堅実なブロウと素晴らしい運指テクニックがしっかり確認出来、しっかりと堪能出来る。当時、男性的な楽器と言われたテナー・サックスを、ここまでスムースに吹き上げるゲッツは実に「クール」。

1曲目「Stella By Starlight」、7曲目「Stars Fell On Alabama」などは、ゲッツの吹き回しは筆舌に尽くしがたい。4曲目の「The Way You Look Tonight」と5曲目「Lover Come Back To Me」のややアップテンポな2連チャンは、ゲッツの最高にメロディアスな運指テクニックに思わず唸ってしまう。当時、ゲッツはかなりの麻薬中毒だったそうだが、そんなこと、思いもかけないほど、この盤のゲッツのテナーは素晴らしい。

LP時代はA面B面合わせて11曲。CDでリイシューされた盤は、ボートラ5曲が入っていて、1曲「How Deep Is the Ocean?」はLP時代に収録と同じNY録音なんですが、残りの4曲はLAの録音で、パーソネルも全く異なるので、注意が必要です。こういうボートラの収録は困りものですね。NY録音の未収録曲「How Deep Is the Ocean?」だけのボートラ収録に留めることは出来なかったのでしょうか。
 
 
 
《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!》
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2021.08.11 更新。

  ・The Brothers Johnson『Light Up the Night』&『Winners』

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2021.08.11 更新。

  ・『ヘンリー8世と6人の妻』を聴く

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2021.08.11 更新。

  ・伝説の和製プログレ『四人囃子』


Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から10年11ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2022年3月 4日 (金曜日)

ジャズ喫茶で流したい・230

コロナワクチンの第3回目接種が終わった。が、きっちり副反応が出てダウンしている。今回はモデルナを選択したのだが、ファイザーだろうがモデルナだろうが、体質的に絶対に発熱するように出来ているらしく、今回も一昨日の夜中から昨日にかけて、38度の発熱〜解熱剤を飲んだら平熱〜解熱剤の効力が切れたら発熱を繰り返した。今朝は平熱になったが、夕方から微熱が出てきて閉口している。

副反応の発熱時、床に入っていると、病気では無いので意識ははっきりしていて、とにかく暇である。ということで、IPhoneでジャズをずっと聴いていた。特に、スタン・ゲッツとマッコイ・タイナーを集中して聴いていたのだが、本当に暫く聴いていなかった好盤に出くわしたりして、これはこれでなかなか有意義な一時ではあった。

David Murray『Special Quartet』(写真左)。1990年3月26日の録音。ちなみにパーソネルは、David Murray (ts), McCoy Tyner (p), Fred Hopkins (b), Elvin Jones (ds)。非コルトレーンな伝統的スタイル踏襲なサックス奏者、デヴィッド・マレイのワンホーン・カルテット盤。我が国のDIWレコード(アヴァンギャルド ジャズに特化した日本のレーベル)からのリリース。

もともと、デヴィッド・マレイはフリー〜アヴァンギャルド・ジャズ志向のサックス奏者である。が、この盤では、ストレートアヘッドな、とっても硬派でネオ・ハードバップなブロウを展開している。
 

Special-quartet-david-murray

 
最初、誰だか判らなくて聴いていて、コルトレーンの様にストレートなブロウなんだが、コルトレーンの様な吹きっぷりとは異なる、かなり伝統的で切れ味の良いブロウが特徴。誰だこれ、と思ってパーソネルを見たら、デヴィッド・マレイで思わずビックリ。

バックのリズム・セクションに、コルトレーンの伝説のカルテットから、マッコイ・タイナーとエルヴィン・ジョーンズが参加。ベースのホプキンスはマレイの相棒とも言うべき存在。このリズム・セクションから、レーベルとしては、マレイにコルトレーン・ライクなブロウを期待したのだろうが、マレイは意に介せず、マレイ独特のブロウに終始しているところがこの盤の面白さ。

それが、冒頭のコルトレーン作「Cousin Mary」の演奏で良く判る。どう聴いたって、コルトレーン・ライクでは無い。他の選曲の曲目、自作の「Dexter's Dues」、エリントンの「In A Sentimental Mood」などを見たって、コルトレーン・トリビュートでは無い。マッコイもエルヴィンもそこは良く心得ていた様で、コルトレーンの伝説のクインテットとは違う、マレイに合ったバッキングをしているところがこれまた良い。

しかし、我が国のDIWレコード、デヴィッド・マレイの優れた内容のアルバムを沢山残していて、良い仕事してますね。このストレート・アヘッドなデヴィッド・マレイのテナー、すっごく魅力的で、とても良い音だしてます。好盤ですね。
 
 
 
《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2021.08.11 更新。

      ・The Brothers Johnson『Light Up the Night』&『Winners』

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2021.08.11 更新。

  ・『ヘンリー8世と6人の妻』を聴く

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2021.08.11 更新。

  ・伝説の和製プログレ『四人囃子』

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から10年11ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2022年3月 2日 (水曜日)

最強6重奏団のモード・ジャズ

Art Blakey and the Jazz Messengersは、その時台時代で、リーダーのブレイキー以外、メンバーを入れ替えているが、このセクステット(ブレイキー、ショーター、ハバード、フラー、ウォルトン、メリット)が意外と「最強」ではないか、と思うことがある。特に、このセクステットが奏でるモード・ジャズは味わい深いものが沢山ある。

Art Blakey and the Jazz Messengers『Buhaina's Delight』(写真左)。ブルーノートの4104番。1961年11月28日と12月18日の録音。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Freddie Hubbard (tp), Curtis Fuller (tb), Wayne Shorter (ts), Cedar Walton (p), Jymie Merritt (b)。前作の名盤『Mosaic』と同一のセクステット(6人)編成。

いかついブレイキーの横顔アップのジャケでちょっと損なイメージの盤だが、前作の名盤『Mosaic』と同じ、音楽監督ウェイン・ショーターの下、ショーターらしいモーダルなジャズがこれでもか、と展開されている。収録曲を見ると、ショーターが3曲、フラーとウィルトンがそれぞれ1曲ずつ、スタンダード曲は当時流行っていたと思われる、ヘンリー・マンシーニ作の有名曲「Moon River」のみ。
 

Buhainas-delight

 
当時としては、Art Blakey and the Jazz Messengersが、1962年にリバーサイド・レーベルに移籍した後、1963年にブルーノートからリリースされた、当時としては「未発表音源」集なのだが、そんなイメージは全く無い。どこかのセッションからの未収録音源を寄せ集めているのでは無く、通常盤と同様、1961年11月28日と12月18日の2日間のセッションから収録しているのだから、新盤と捉えても良い、充実した内容である。

どこから聴いてもモーダルなジャズが楽しめる。メンバー全員がモードを理解し、前作『Mosaic』同様、実に優れた内容のモード・ジャズを展開している。特にフロント3管のユニゾン&ハーモニーはとても美しく録音されている。メンバーの自作曲は静的でブルージー。ファンキー・ジャズをぶっ放してたジャズ・メッセンジャースはもうここには無い。理知的で思索的なモード・ジャズがなかなか決まっている。

ラストの唯一のスタンダード曲「Moon River」のモーダルなアレンジがかなり「エグい」。原曲の美しさとムードを踏襲しつつ、きっちりモーダルなジャズに仕立て上げているジャズ・メッセンジャースの演奏力には感服する。疾走感溢れるタイトル曲「Bu's Delight」、印象的にメロディアスに展開する「Contemplation」など、聴きどころ満載。良いアルバムです。
 
 
 
《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2021.08.11 更新。

  ・The Brothers Johnson『Light Up the Night』&『Winners』

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2021.08.11 更新。

  ・『ヘンリー8世と6人の妻』を聴く

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2021.08.11 更新。

  ・伝説の和製プログレ『四人囃子』

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から10年11ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 
 

2022年3月 1日 (火曜日)

スターンの13th.盤は「当たり」

このところ、メインストリーム系の純ジャズを聴くことが多かった。するとどこかのタイミングで、いきなり、コンテンポラリーな純ジャズ、若しくは、フュージョン・ジャズ、それも、クラシック・フュージョンが聴きたくなる。

Mike Stern『Who Let The Cats Out?』(写真左)。2006年8月のリリース。可愛い「猫ジャケ」で有名な、マイク・スターンの通算13作目のリーダー作。「コンテンポラリーな純ジャズ」な内容の好盤。

ちなみにパーソネルは、Mike Stern (g), Chris Minh Doky (ac-b), Meshell Ndegeocello, Victor Wooten, Anthony Jackson (el-b), Richard Bona (el-b, vo), Kim Thompson, Dave Weckl (ds), Jim Beard (p, org, syn), Bob Franceschini, Bob Malach (sax), Roy Hargrove (tp), Gregoire Maret (harmonica)。

曲によって、メンバー編成を変えていて、マイク・スターンのギターとジム・ビアードのキーボード、ボブ・フランセスチーニのサックスが中心メンバーで、トランペットでロイ・ハーグローヴが2曲参加。ハーモニカのグレゴア・マレが2曲参加。サックスで、ボブ・マラックが1曲参加。ベーシストについては、5人のベーシストを曲によって使い分けている。
 

Who-let-the-cats-out_1

 
マイク・スターンのエレギは絶好調。以前は「スターンと言えばテレキャス」だった。が、最近は恐らく、Yamaha PA1611MS(テレキャスをベースに深くえぐれたカッタウェイが特徴のヤマハのエレギ)がメインだと思うんだが、とにかく、スターンのエレギがとても良く鳴っている。従来のスターンの独特の音色、切れ味の良いカッティングの躍動感とスピード感が増している様だ。

4ビート曲も多めで、どこか「カムバック後のエレ・マイルス」の雰囲気を宿していて、さすがスターン「マイルス・チルドレンの優等生」である。ファンクネスを控えめにしつつ、ポップ度を高めた「カムバック後のエレ・マイルス」という感じの演奏が聴いていて楽しい。

参加メンバーもそれぞれ良い味を出していて、リチャード・ボナのスキャットは「爽快」、マレのハーモニカは「センチメンタル」、ウェックルのドラムは「21世紀の千手観音ドラミング」。ミッシェル・ンデゲオチェロは「グルーブ感溢れるベース」。この多彩な参加ミュージシャンの個性もこの盤の「聴き応え」に大きく貢献している。

マイク・スターンのリーダー作は出来にバラツキがあるが、この盤は「当たり」。とにかく、スターンのギターが良く鳴り、良く唄っている。こういう時のスターンは無敵。第49回グラミー賞では最優秀コンテンポラリー・ジャズ・アルバム賞にノミネートされたのも頷ける内容。好盤です。
 
 
 
《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2021.08.11 更新。

  ・The Brothers Johnson『Light Up the Night』&『Winners』

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2021.08.11 更新。

  ・『ヘンリー8世と6人の妻』を聴く

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2021.08.11 更新。

  ・伝説の和製プログレ『四人囃子』

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から10年11ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 
 

« 2022年2月 | トップページ | 2022年4月 »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  
2022年7月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

カテゴリー