ウォーラー愛奏曲集 『Jimmy Smith Plays Fats Waller』
ジミー・スミスのオルガンは、初期の頃は「プログレッシヴでアグレッシヴ」。これでもか、と言わんばかりに、鋭角な、攻撃的なフレーズを圧倒的なテクニックをもって弾きまくっていた。しかし、1960年代に入る頃から、弾きっぷりにも余裕が出てきて、歌心を重視した「聴かせる」オルガンがとても素敵だった。
『Jimmy Smith Plays Fats Waller』(写真左)。1962年1月23日の録音。ブルーノートの4100番。 4000番台のラスト盤。ちなみにパーソネルは、Jimmy Smith (org), Quentin Warren (g), Donald Bailey (ds)。この盤は、ジミー・スミスのオルガンがベースも兼ねた、シンプルなオルガン・トリオ。フロントの管楽器は無い。
フロントの管楽器が無い分、収録曲の旋律を弾く、ジミー・スミスのオルガンのテクニックと歌心が明確に感じられて良い。歌モノの旋律を弾かせた時のジミー・スミスのオルガンは天下一品で、オルガンってこれだけの表現力がある楽器だったんだ、と再認識させられるほどのテクニックと歌心。
偉大なピアノ、オルガン奏者ファッツ・ウォーラーの楽曲を取り上げたカヴァー集というか、ウォーラーの自作曲を含めた「ウォーラー愛奏曲集」になる。スタンダードの名曲「Squeeze Me」、大ヒット曲「Ain't Misbehavin'(浮気は止めた) 」や「Honeysuckle Rose」を収録。
さすが、オルガン・ジャズの第一人者、聴いたことの無い情感溢れるオルガンの音色で、歌心満点に名曲の数々を弾き進める。冒頭「Everybody Loves My Baby」での ”絞り出すような” エッジの立った、クリアでブルージーな音色、2曲目の「Squeeze Me」での、”転がる様な” 丸みのある、流麗でタッチの立った音色、どちらもジミー・スミスの歌心溢れる奏法。同一人物の演奏とは思えない。
硬軟自在、緩急自在、抑揚を上手く付けた、オルガンにおける多彩な表現には全く脱帽である。ギターのクウェンティン・ウォーレンも、あまり馴染みの無い名前だが、良い味を出している。ドラム担当のベイリーは、長年のジミー・スミスの相棒を務めただけあって、ジミー・スミスのオルガンにしっかり馴染むドラミングは立派。
この盤、聴けば聴くほど、味わいが深まる「隠れた名盤」だと僕は思う。
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