レッド・ガーランドの遺作です
僕が所有したジャズ盤の中には、LP時代、購入資金が足りなくて、貸レコードでカセットにダビングして聴いていたものもある。そんな「カセット・ダビング盤」の中には、カセットデッキが壊れて、その盤は聴けなくなって、CDでもリイシューされないという、悲劇的なアルバムもある。
Red Garland『Misty Red』(写真)。1982年4月14,15日の録音。ちなみにパーソネルは、Red Garland (p), Jamil Nasser (b), Frank Gant (ds)。1984年4月に亡くなったガーランドの遺作になる。昨年の12月に、目出度く再リイシューされた(サブスクにもアップされている)。喜ばしいことである。ただ、再リイシューのジャケは良く無い(写真右)。やはり、LP時代の日本盤のお洒落なジャケが良い(写真左)。
この盤は、僕にとっては「カセット・ダビング盤」で、カセットデッキが不調に陥った後、聴くことが叶わなかった盤である。レッド・ガーランドのリーダー作を全て、まとめて聴き直し始めたのが、2010年の頃からだったので、このガーランドの遺作の『Misty Red』の音源が入手出来なくて、ずっと困っていた。で、今回、再リイシューが叶った訳で、やっと30年ぶりに『Misty Red』を聴くことが出来た。
この盤、ガーランドが58歳の時の「遺作」で、ガーランドはピークを過ぎていて、弾き回しがイマイチ、という評が多いが、僕はそうは思わない。もともと、ガーランドはバップなピアニスト。シンプルな右手もバリバリ弾き倒すのがガーランドで、コロコロと印象的にリリカルに弾く右手の個性は、マイルスのカルテットに所属していた時の、マイルスのリクエストに合わせた弾き方だろう。
マイルスの下を離れたガーランドは、結構、バリバリ弾き倒す右手で、左手のブロックコードも結構、ガンゴン、強いタッチで弾き倒している。そういう点からすると、この盤『Misty Red』でも、ガーランドはバリバリ弾き倒している訳で、意外とこの「遺作」でも、ガーランドは好調だったと思うのだ。
録音時、ガーランドは58歳。ジャズマンとしては、充実した中堅バリバリで、ピアニストとして衰えを見せる年齢でも無い。その証拠に「Misty」などのバラード曲のガーランドの弾き回しは絶品である。意外とこの「遺作」にはガーランドらしさが満載なのだ。ガーランドは60歳で鬼籍に入るまで、ガーランドらしさを失わなかったと言える。
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