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2022年2月 2日 (水曜日)

スピリチュアルなディッカーソン

ウォルト・ディッカーソン(Walt Dickerson)は、1928年に米国フィラデルフィア生まれのヴァイブ奏者。1962年にはダウンビート誌がベスト・ニュー・アーティストと選出されるくらい、将来を嘱望されたヴァイブ奏者であった。活動期間は1961年〜1985年辺りまで。2008年に鬼籍に入っている(享年80歳)。

ディッカーソンは従来の4ビート基調のスインギーなハードバップ基調では無く、ポスト・バップのヴァイブ奏者である。モーダルでスピリチュアルな展開が持ち味。「ヴァイブのコルトレーン」と呼ばれることもあるほど、ヴァイブの音の広がりを活かした幻想的なフレーズや、フリー一歩手前の限りなく自由度の高いモーダルなフレーズ、感覚的で印象派の様な音の広がりのある無調のフレーズが特徴。

Walt Dickerson『Peace』(写真左)。 1975年11月14日、NYでの録音。SteepleChaseレーベルのSCS 1042番。ちなみにパーソネルは、Walt Dickerson (vib), Lisle Atkinson (b), Andrew Cyrille (ds)。管もピアノも無い、ディッカーソンのヴァイブが唯一フロント楽器のトリオ編成。正式な収録曲が僅か2曲のみの大作である(CDには短いボートラが1曲加わる)。
 

Peace_walt-dickerson

 
ディッカーソンは、1965年から10年間ジャズシーンから離れていたが、この1975年録音のアルバムから、SteepleChaseレーベルより、優れたリーダー作をリリースする様になり、1985年までに11枚のリーダー作をリリースしている。欧州の「ブルーノート」と呼ばれた、バップなジャズがメインのスティープルチェイスのカタログの中では、ちょっと異質な「モーダル&スピリチュアル」な内容のリーダー作が異彩を放っている。

この盤の内容も一言で言うと「スピリチュアル」。適度なテンションの下、限りなく自由度の高いフリーキーなフレーズを繰り出しながら、ヴァイブの音の伸びを活かした幻想的なフレーズで、スピリチュアルな雰囲気を増幅している。ヴァイブって、こういう演奏にも使えるんやなあ、と妙に感心する。硬質でクリスタルな響きが充満した、如何にも欧州的な「スピリチュアル・ジャズ」である。

ブルーノート・レーベルが、エリック・ドルフィーやセシル・テイラーのフリー・ジャズを録音し、残したのと同じ感覚で、スティープルチェイス・レーベルは、このディッカーソンのスピリチュアル・ジャズを録音し、残したのだろう。さすがスティープルチェイス、1970年代の欧州ジャズのトレンド&歴史を、しっかりと残してくれているのだ。
 
 
 
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