ジャズ喫茶で流したい・225
和ジャズを聴き直すと、意外と新しい発見がいろいろ出て来て面白い。以前、初めて聴いた時から時間が経って、その間に新しい知識が入ってきて、その新しい知識に照らし併せて、新しい発見につながるようだ。和ジャズはジャズを聴き始めた頃から聴ける盤は聴いてきているが、なかなかCDで再発されないものも沢山あって、何十年ぶりに聴いた、なんていう盤も結構ある。
『北村英治のすべて』(写真左)。1960年7月5日、東京大手町・サンケイホールでのライヴ録音。パーソネルは以下の3つのユニットに分かれる。
1)北村英治とクインテット
北村英治 (cl), 小川俊彦 (p), 津川正雄 (g), 池沢行生 (b),
辻村昭一 (ds), 増田一郎 (vib)
2)北村英治とカンサス・オールスターズ
北村英治 (cl), 西代宗良 (cor), 尾田悟 (ts), 小川俊彦 (p),
池沢行生 (b), 辻村昭一 (ds)
3)北村英治とモダン・クワルテット
北村英治 (cl), 藤井英一 (p), 栗田八郎 (b) 田畑貞一 (ds)
このライヴ公演の企画構成を担当したのが「大橋巨泉」。大橋巨泉は、北村英治のクラリネットの幅広い個性を網羅する為、異なった編成の3つのグループに分けた、とのこと。ちなみに、この盤の「解説(ライナーノーツ)」も担当している。そうそう、大橋巨泉って、若い頃はジャズ評論家でもあったんですよね。ふむふむ。
北村英治は「クラリネット奏者」。スイング・ジャズの時代の花形楽器。ビ・バップ以降は衰退の一途をたどるが、今でも僅少派ではあるが存在する。流麗なフレーズ、爽快な音色、強烈なスイング感、ブルージーな深い表現。北村英治のクラリネットは、表現の幅がとても広い、かつ、テクニックは抜群。
北村英治のクラリネットの個性を網羅する為に、3つのグループに分けたのは、この「表現の幅」の広さが故。一つ目は、クラリネットが花形楽器だった「スイング・ジャズ」のフォーマット、二つ目は、クラリネットがコミカルに活躍する「ディキシーランド・ジャズ」、三つ目は、ビ・バップ以降の「モダン・ジャズ」。
北村英治のクラリネットは、以上3パターンのジャズ・フォーマットにバッチリ適応する、実に幅広い適応力を持ったもの。このライヴ盤を聴いても、その適応力の広さが十分に聴いて取れる。しかもテクニックが相当に高く、速いフレーズも流麗に淀みなく吹き上げていく様は見事。
この盤、1960年の録音なんですが、音がとても良い。ライヴ会場の雰囲気もよく伝わってきて、ほんと聴いていて爽快、良いライヴ盤です。
北村英治さんは、1929年生まれで、今年92歳。まだまだ現役。このライヴ盤の収録時は31歳。ジャズとしては、まだまだ若手。溌剌とした爽快感溢れるクラリネットが魅力の好ライヴ盤です。
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