« 冬のボサ・ノヴァ・ジャズ・3 | トップページ | サン・ラ・アーケストラの新盤 »

2021年12月17日 (金曜日)

聴き易い「モンクの強烈な個性」

リヴァーサイド・レコード(Riverside Records)は、1953年にオリン・キープニュースとビル・グラウアーによって設立されたジャズ・レーベルである。グラウアーは財政面を管理、キープニュースはプロデューサー。クラシック・ジャズの復刻専門としてスタートしたが、1955年、セロニアス・モンクと契約したのを機に本格的なレコード制作活動を始めている。

リヴァーサイドの成り立ちを読んでも判る通り、リヴァーサイドは、セロニアス・モンクに対して正統な評価をしていた。モンクのピアノについては、あまりに個性的が故、ブルーノートについても、プレスティッジについても、モンクの好きな様に演奏させ、その記録をそのまま、アルバムにしていた。個性が強すぎて、プロデュースは「必要悪」と判断した結果である。しかし、モンクの気持ちの赴くままにピアノを弾かせても、個性が強すぎて一般受けせず、売れなかった。

モンクのピアノは、バップ・ピアノとして最良のパフォーマンスであり、モンクのピアノは実にモダンである。しかし、その引き方、フレーズの音の飛び方があまりに個性的過ぎて、一般受けしない。しかし、その問題点をキープニュースはプロデューサーとして劇的に改善した。リヴァーサイドのモンクのリーダー作はどれもが「強烈な個性と聴き易さ」のバランスが取れた秀作揃いで、モンクはやっと優れたバップ・ピアニストとして認知された。リヴァーサイドの功績の一つである。
 

Thelonious-monk-plays-duke-ellington

 
『Thelonious Monk Plays Duke Ellington』(写真)。1955年7月の録音。リヴァーサイドからのリリース。盤番号は「RLP-201」。リヴァーサイドの新盤制作の第1号である。ちなみにパーソネルは、Thelonious Monk (p), Oscar Pettiford (b), Kenny Clarke (ds)。ピアニストの個性が良く判る「トリオ」編成。ジャズマンの皆が敬愛する「デューク・エリントン」の作品集である。

デュークの曲は、ほぼスタンダード化していて、多くのジャズマンが演奏している。そんな「スタンダード曲」を、モンクが強烈な個性で弾く。きっと訳が判らない感じにまで、デフォルメされているのだろうなあ、と諦め気味に聴き始めたら、モンクの強烈な個性と、デュークの曲が持つポップス性とが、絶妙にバランスが取れているではないか。モンクの強烈に個性的な弾き方で、デュークの曲の持つポップス性もしっかり出す。絶妙な「モンクの弾くデューク曲」である。

モンクのピアノはリヴァーサイドに移籍することで、個性的なアクロバティックなピアノという印象から、聴かせる的なアーティステックなピアノという印象に変化した。確かに、モンクのリヴァーサイドの諸作はどれもが、聴き易い、それでいて強烈な個性的なピアノはそのまま、という秀作揃い。キープニュースはモンクのピアノを誰よりも理解していたのだろう。キープニュースの慧眼恐るべしである。
 
 
 
《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2021.08.11 更新。

  ・The Brothers Johnson『Light Up the Night』&『Winners』

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2021.08.11 更新。

  ・『ヘンリー8世と6人の妻』を聴く

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2021.08.11 更新。

  ・伝説の和製プログレ『四人囃子』

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から10年9ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 
 

« 冬のボサ・ノヴァ・ジャズ・3 | トップページ | サン・ラ・アーケストラの新盤 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 冬のボサ・ノヴァ・ジャズ・3 | トップページ | サン・ラ・アーケストラの新盤 »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  
2022年12月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

カテゴリー