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2021年12月28日 (火曜日)

「進化のジャズマン」を体感する

ジャッキー・マクリーン(Jackie McLean)は「進化のジャズマン」。1931年に生まれ、2006年に74歳で鬼籍に入っている。ちょうど、1955年のハードバップ初期から、1999年のネオ・ハードバップの初期の時代まで、約50年もの間、ジャズの第一線で活躍。しかも、その50年の間に、ジャズは様々な演奏トレンドや奏法を生み出し変化していった訳だが、マクリーンはその「変化」に積極的に追従していった。

Jackie McLean『Fickle Sonance』(写真左)。1961年10月26日の録音。ブルーノートの4089番。ちなみにパーソネルは、Jackie McLean (as), Tommy Turrentine (tp). Sonny Clark (p), Butch Warren (b), Billy Higgins (ds)。リーダーのマクリーンのアルト・サックスと、トミー・タレンタインのトランペットが2管フロントのオーソドックスなクインテット編成。ベースとドラムは新進気鋭、残り3人はハードバップ期の人気ジャズマン。

前リーダー作『Bluesnik』で、ハードバップの成熟した高度な演奏を披露したマクリーン。この次のリーダー作では、はやくも新しい演奏トレンドに触手を伸ばしている。冒頭の「Five Will Get You Ten」を聴けばそれが良く判る。前奏のユニゾン&ハーモニーも不協和音を織り交ぜていて不穏な響き。アドリブに入れば、コルトレーンの様な、少しフリーキーで自由度の高いモーダルな吹きっぷり。
 

Fickle-sonance_1

 
マクリーンのチャレンジ精神が横溢している。フロント2管の相棒、トミー・タレンタインのトランペットは、どちらかというと、ハードバップなスタイルに留まっているのだが、マクリーンは1人でチャレンジしている。新進気鋭の若手のリズム隊、ウォーレンのベース、ヒギンスのドラムについては、マクリーンの進歩的なフレーズに難なく反応。マクリーンのチャレンジをしっかりサポートし、成立させている。

興味深いのは、ピアノのソニー・クラーク。バリバリ、ハードバップなピアニストかと思いきや、マクリーンのプログレッシヴなフレーズにしっかりと反応し、新しい表現の中での個性の表出にチャレンジしている様子。しかし、そんなソニー・クラーク、この盤の録音の約1年2ヶ月後に帰らぬ人になっている。作曲の才にも長けたソニー・クラーク。モーダルな名曲を生み出す可能性もあっただけに、残念なことである。

マクリーンは進化のジャズマンだ、ということがとても良く判る好盤です。マクリーンの代表盤では無いし、ハードバップの名盤でも無い佳作ですが、この盤の底に流れる「溌剌としたチャレンジ精神」は清々しくもあり、積極的にチャレンジしているのが良く判る「溌剌としたアドリブ・パフォーマンス」が見事で、聴いていて爽快です。僕はこの盤の「爽快感」が好きで、この盤、今でもリピートしてます。
 
 
 
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