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2021年11月 7日 (日曜日)

スティープルチェイスの珍盤奇盤

「1970年代北欧のブルーノート」と称されたデンマークの名門ジャズレーベルである「スティープルチェイス」。デンマークのニルス・ウインターが、1972年立ち上げたジャズ・レーベルで、1970〜80年代を中心に、ジャズ史に残る名盤を数多く生み出した欧州ジャズ・レーベルの老舗。

カタログを見ていると、さすが「1970年代北欧のブルーノート」と言われるだけあって、正統派なジャズ、いわゆるメインストリームな純ジャズが大半を占めていて、1970年代のハードバップの宝庫と呼ぶべき充実度である。そんな中で、あれっと思うような、内容のジャズも存在する。フリー・ジャズ、スピリチュアル・ジャズ、そして、エレ・ジャズな内容の「珍盤」があるから面白い。

Billy Gault『When Destiny Calls』(写真)。1974年10月29日の録音。Steeplechaseレーベルの SCS1027番。ちなみにパーソネルは、Billy Gault (p), Bill Saxton (ts), Billy Skinner (tp), James 'Fish' Benjamin (b), Michael Carvin (ds), Ellen Deleston, Joe Lee Wilson (vo)。NY出身の黒人ピアニスト、ビリー・ゴールトがリーダーのクインテット編成にボーカルが入る。
 

When-destiny-calls_1

 
冒頭の「The Time Of This World Is At Hand」の出だしから、妖しげで不確かなボーカルが入るから、思わず「オヨヨ」と思う。何だこれ、と思いながら聴き進めて行くと、華奢ではあるがパーッカシヴな、どこかで聴いた様な響きのピアノが入る。これって、この響きって「マッコイ・タイナーか?」と思う。フレーズは明らかにモーダル。冒頭の妖しげなボーカルと併せて、この盤、コルトレーン晩年のスピリチュアル・ジャズのオマージュと理解した。

ビル・サックストンのテナー・サックスが入ってきて、その印象は確信に変わる。確かに、この盤の音世界は「コルトレーン晩年のスピリチュアル・ジャズ」。その「コルトレーン晩年のスピリチュアル・ジャズ」から重量級の迫力を差し引いた、華奢で繊細なモーダルな演奏をベースに、スピリチュアルなジャズを展開している。が、こぢんまりした「コルトレーンのスピリチュアル・ジャズ」な印象に留まって、その音作りは成功しているとは思えない。

せめて、中途半端なボーカルは不要だったなあ。21世紀に入ってから「静的なスピリチュアル・ジャズ」が現れ出でるが、この盤の演奏自体が中途半端でテクニック不足な内容なので、どうにも中途半端な印象に留まってしまう。欧州ジャズがチャレンジした「コルトレーン晩年のスピリチュアル・ジャズ」の、まだまだこれからの貴重な記録として僕は聴いた。
 
 
 
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